戯れ言たれる侏儒
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Doctors Blog

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ENHANCE試験についてはつい先日とりあげさせていただきました。
  ENHANCE試験
  
http://blog.m3.com/reed/20080418/ENHANCE

結果的にはnegative dataだったわけです。
きょうはその試験の舞台裏のお話です。

この試験については興味のない方もおみえになるかと思います。
しかし、今大流行のエビデンスづくりとしての大規模臨床試験に企業や医学者がどのようにかかわり、製薬メーカーの業績や株価といった経済界、しいては国レベルに影響を与える。
そんな点では、大規模臨床試験全体に敷衍できる話題と考えます。
これだけ舞台裏が大きく取り上げるのは異例のことです。
ドロドロした話は別ルートでも聞きましたが、その話はオフレコのようなのできょうは触れません。

そしてこの試験結果がNEJMという一流専門誌にとりあげられたのも私にはショックでした。

動脈硬化症治療薬の治験結果が波紋を招く
家族性高コレステロール血症の患者を対象に米国で実施された予防的治療の臨床試験、ENHANCEの結果が今年発表された。
ところがJAMA(2008;299:885~887)による論争lことどまらず、その結果発表が異様に遅かったことに対する訴訟問題や当局の介入にまで事態がエスカレートしているという。
 
このENHANCE試験はヘテロ接合型家族性高コレステロール血症患者における動脈硬化症の進行抑制を目的に、エゼチミブ(ezetimibe)と シンバスタチンの配合剤Vytorinの有効性をシンバスタチン単独と比較した試験である。
エゼチミブはZetia(Schering-Plough社)、シンバスタチ ンはZocor(Merck社)の薬剤が使われている。
2年間の投薬治療後に試験実施研究者がデータを解析した結果、1次エンドポイントとした動脈硬化症マーカー、頚動脈内膜中膜複合体厚(IMT)の変化については2つの治療群間に統計学的な有意差を見いだせなかった。
ただし、2次エンドポイントに規定した低比重リポ蛋白コレ
ステロール(LDL-C)値の低下に関しては、エゼチミブ・シンバスタチン併用群はシンバスタチン単独群に比べ有意に大きな効果が認められた。
  
ENHANCE試験はMerck社とSchering Plough Pharmaceuticals社が共同で研究者に依頼した国際共同、無作為化、二重盲検、対照試験であり、720人の患者が参加した。

論争の原因
今回の問題が起きた発端は、これらの解析に基づく結論がすでに2006年4月に出されていたにもかかわらず、研究結果の正式な発表(今年1月中旬)までに2年近くも遅れたことだ。
医師のなかには、現在Vytorinを使用している患者に投薬を続けるべきかどうか憂慮している人もいる。
しかし、今回の結果を拡大解釈しないようにと注意を喚起している心血管疾患の専門家もいる。
本剤の有効性と安全性を評価している他の大規模試験が2~3年後に終了する予定のため、その答えを待つべきだというのだ。
このような医学的な視点以外からも議論は広がっている。
例えば、試験結果の発表が遅れていた間にvytorinが年間何億ドルもの売り上げをもたらしていた事実について、米連邦議会の議員らが昨年12月に調査を開始している。
 
また、本研究の論文が試験実施依頼者(製薬会社)から報告されたことも批判の的になっており、製薬会社が試験結果の処理に何か操作を加えたのかどうか、米国下院エネルギー・
商業対策委員会(House Committee on Energy and Commerce)が調査に乗り出した。
 
同委員会の議長John D. Dingellと監視・調査分科会議長のBart Stupakが1月14日付で出した声明のなかで、「Merck社とSchering-Plough社は試験結果を発表する前の段階で(解析結果に影響しうる)エンドポイントの変更を試みたようだ」と指摘している。
 
「両社によると、この変更は諮問委員会(委員名は未公表)から勧められたという」。
なお、この諮問委員会には、ENHANCE試験の実施責任研究者でオランダのAcademic Medical Center(AMC)内科教授のJohn Kasteleinは含まれていない。
  
さらに、エゼチミブのみを用いた小規模の安全性評価試験の結果も製薬会社は発表しておらず、ENHANCE試験にしても本来は患者登録前に済ませておくべき治験登録を試験終了後に行っていた。
国際医学誌編集者委員会(International Committee of Medical Joumal Editors)では「研究論文の掲載基準として、すべての臨床試験に対して患者登録の開始前に公的な試験登録データベースへの登録」を義務づけている。

Merck社とSchering-Plough社はこれらの批判に対して次のように弁明している。
「試験結果の発表が遅れたのは、IMTの測定に約40,000例の超音波画像を解析しなくてはならず、予想外に時間がかかってしまったのが主な理由だ」。
さらに両社は、データを迅速に解析するために、専門家委員会も設置したと補足している。
この専門家委員会は、最初に研究を計画した時点では頚動脈の3カ所でIMTを測定することになっていたが、1カ所の測定に減らすように提案したものの、この提案は採用されなかった。
Clinical Trials.govへの試験登録が遅れたのは単純に処理を忘れていた事務的なミスが原因であり、またエゼチミブの安全性試験は論文として発表するほど科学的な重要性がないと判断した、と説明している。

出典 MMJ April 2008 Vol.4 No.4
版権 毎日新聞社
 

田崎廣助 「浅間山」 リトグラフ
http://page5.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/e79329777
 

他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)                 があります。

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