戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2008/04 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

第72回日本循環器学会の演題で勉強しました。

日本人冠動脈疾患患者の再発予防にはスタチン,EPA
従来,日本人は冠動脈疾患(CAD)発症率が欧米人に比べ低く,脂質異常の是正がどの程度イベント発症の抑制に寄与するか,どの程度の介入が適切かといった点について,臨床試験はあまり実施されてこなかった。

しかし,最近日本でも大規模臨床試験が実施され,スタチンやイコサペント酸エチル(EPA)によるCADの初発・再発予防の意義が相次いで報告されている。

今回late breaking clinical trialsやシンポジウムで発表された数々の試験から,CAD再発予防に関する知見を紹介する。

LDL-C:日本人でも“the lower, the better”の可能性
動脈硬化性疾患診療ガイドライン2007では,CADの再発予防におけるLDLコレステロール(LDL-C)の目標値は100mg/dL未満とされているが
,“the lower, the better”なのかはわかっていない。

済生会熊本病院(心臓血管センター循環器科)副部長の坂本知浩氏は急性および慢性心筋虚血における経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後の標準用量スタチン投与の有用性を証明したMUSASHI-PCI(55施設, PCI後スタチン投与を受けた478例)のデータをLDL-Cレベル別に再解析した。

その結果,LDL-Cレベルがガイドライン目標値に近いコントロールレベル(LDL-C 75~125mg/dL)群,125mg/dL超のコントロール不良群におけるCADイベント発症率はそれぞれ10.4,10.6%であったのに対し,75mg/dL未満のより低いレベルの群では,1.5%と有意に低い値にとどまっていた。

同氏は「日本人においてもCAD再発予防の目標LDL-C値は“the lower, the better”かもしれない」と考察。

その一方で「大半の症例ではスタチンの使用により,前値よりもいくらかでもLDL-C値を低下させること自体に意味がある可能性がある」と言及,「再発予防も初発予防と同様,リスクの階層化を行い,積極的な脂質低下療法が必要な重症例では“the lower, the better”を目指し,それ以外の症例では“just make it lower”の考え方が求められるのではないか」と結論した。

積極的脂質低下療法による明らかなプラーク退縮が示される
TWINS studyでは日本人CAD患者57例を対象に,アトルバスタチンを投与,LDL-C値100mg/dL未満に低下させ,治療前,投与28週,80週目に血管内視鏡および血管内超音波(IVUS)によるプラークの色調・容積の評価を行った。解析対象となった29例の28週,80週時点の平均LDL-C値はそれぞれ治療前の146.2mg/dLから85.7,87.9mg/dLに低下していた。

それに伴い,プラークの白色化とともに退縮が起きてくることがわかったという。

色調の変化はLDL-C低下後,比較的早い段階で起こり,プラーク容積の減少はそれに引き続き起こってくる様子も観察された。

発表者の日本大学板橋病院(循環器内科)医長の高山忠輝氏は「CAD再発予防においてLDL-C 100mg/dL以下を目標とした治療は,早期のプラーク退色による安定化と継続的なプラーク容積の退縮をもたらすことから,日本のガイドライン基準値は妥当と考えられる」と考察した。

IVUSガイド下PCIを受けた急性冠症候群(ACS)患者307例を対象としたJAPAN-ACSでは,アトルバスタチンに対するピタバスタチンの非劣性が検証された。

一次評価項目はPCI実施時ならびに割付・内服開始後8~12か月時点での非責任病変のプラーク容積の変化率。

各種血清脂質の変化とプラーク容積の変化の相関も検討された。

発表者の京都大学(循環器内科学)准教授の木村剛氏は,両群のプラーク容積減少率は当初設定された非劣性マージンの範囲内であり,ピタバスタチンの非劣性が証明されたとの結果を示した。

定量的IVUSによるプラーク容積の平均変化率はピタバスタチン群,アトルバスタチン群でそれぞれ-16.9±13.9%,-18.1±14.2%(有意差なし)であった。

LDL-C低下率にも有意な差は認められず,LDL-C値の低下とプラーク退縮との間には明らかな相関は見られなかった。同氏は「同試験からピタバスタチン,アトルバスタチンを問わず,日本人ACS患者においても発症早期の高用量ストロングスタチン投与によりプラーク容積の著明な退縮が見られることが証明された」とコメント。

糖尿病がプラーク退縮の阻害因子となる可能性も
一方,LDL-Cを100mg/dL以下に下げる積極的脂質低下療法が行われたこれらの試験からは,さらに興味深い知見も示された。

先のTWINS studyにおけるサブ解析から,高山氏は「糖尿病患者では,非糖尿病患者に比べプラークの安定化が遅れ,スタチン治療への抵抗性が示唆された」としたほか,JAPAN-ACSにおいても,糖尿病の有無による解析結果が示され,LDL-Cの変化率は両群とも同等だったにもかかわらず,プラーク容積の減少率は,非糖尿病患者で

-19.4±13.4%,糖尿病患者では-12.8±14.4%と退縮の度合いがかなり異なることが示された。

JAPAN-ACSのコメントスピーカーとして登壇した日本医科大学(内科学第一)教授の水野杏一氏は,同試験へのコメントとして,さまざまな検討からプラークの進展,退縮にはnon HDLコレステロール(HDL-C)や炎症などの因子が関与することがわかってきていると述べた。

また,ACSでは脂質に富んだ黄色プラークが発症の引き金となるのに対し,糖尿病では線維石灰化がより強い性状を呈する。

こうした動脈硬化進展様式の違いが,スタチンによるプラーク性状の変化像に影響を与えているのではないかと指摘。

LDL-C値の低下に伴うプラークの安定化・退縮がACSの発症抑制メカニズムの1つと言われている。

また,糖尿病患者ではLDL-C値が正常範囲の場合でもスタチンによるイベント抑制効果が確認されているが,プラーク性状に及ぼす形態学的変化の特徴と臨床予後との関連については,代替マーカーとしての意義も含め,LDL-Cだけでなく,他の脂質プロフィールや背景疾患との関連など,より詳細な解明が期待される。


ハイリスク患者へのEPA追加投与により41%のリスク低下
既にスタチンを服用している脂質異常症患者への高純度EPA追加による心血管イベントの初発・再発予防効果を検討したJELISでは,再発予防群においてEPAによる心血管イベントの有意な抑制が既に報告されている。

今回,同群におけるサブ解析の結果が新たに示された。

それによると,心筋梗塞(MI)の既往を有する群,PCIを受けた群において,それぞれ-27%,-35%の相対リスク減少が認められたほか,MI+PCI群ではリスク減少率が-41%,number needed to treat(NNT)が10との結果が示された。

神戸大学(保健学科)教授の石川雄一氏は,既にスタチン投与を受けているハイリスク患者群において,EPAの追加で大きな再発予防効果が期待できると述べた。

EPAのLDL-C低下とは独立したイベント抑制効果については,ほかにもさまざまな解析が進んでおり,今学会でも高コレステロール血症に加え,高トリグリセライド,低HDL-C血症を呈するマルチプルリスクファクター症例への有用性や,空腹時血糖値の層別解析からEPA群での糖代謝異常改善がCADイベントの抑制に寄与している可能性が報告された。

従来,魚の摂取量が欧米人に比べ多く,CAD発症が少ないとされていた日本人においてなお,EPAによるイベント抑制効果が見られる理由について,フロア,コメントスピーカーたちからもより詳細なメカニズム解明を望む声が聞かれた。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0804/080402.html

出典 MedicalTribune 2008.4.17

版権 メディカル・トリビューン社

<番外編>
心房細動発作がまれな高血圧患者にも早期から抗凝固療法を
〔独ボーフム〕高血圧患者は心房細動を発症しやすく,血栓塞栓性脳卒中の発症リスクが正常血圧者よりも高い。

ザールラント大学(ホンブルク)第3内科のMichael Bohm教授は「高血圧で発作性心房細動が認められる患者に対しては,ためらうことなく経口抗凝固療法を適用すべきである。その際,出血リスクの上昇を 危惧する必要性は低い」とドイツ高血圧連盟の第31回学術会議で報告した。

CHADS2スコアで治療の必要性を判定
Stockholm Cohort Study on Atrial Fibrillation(SCAF)試験からは,発作性心房細動患者の予後は持続性心房細動患者の場合と同等に不良であることが示された。
抗血栓療法は,発作性心房細動患者に対しても有効であるが,CHADS2スコアを用いれば最も容易にリスクを判定でき,アスピリン投与だけで十分なのか,経口抗凝固療法が必要かを判断できる。
CHADS2スコアでは,うっ血性心不全,高血圧,75歳を超える高齢,糖尿病,脳卒中の5つをパラメータとし,4番目までのパラメータをそれぞれ1点,脳卒中のみを2点として合計点を計算する。

点数が1点以上の場合には経口抗凝固療法を検討すべきであり,高血圧にのみ該当する患者でも例外ではないという。2点以上であれば経口抗凝固療法が必須となる。
高血圧患者に抗凝固療法(プロトロンビン時間―国際標準化比;PT―INR2~3)を実施しても,出血リスクは正常血圧者より高くはならない。

しかし,phenprocoumonに加えて,抗血小板薬も投与されている高血圧患者(心血管インターベンション後など)では,出血性合併症の発症頻度がやや上昇する。

このため,長期間にわたる"血小板機能の二重の抑制"が必要となるタイプのステント留置は,心房細動を伴う高血圧患者には行うべきではない。
 
TOPICS FROM EUROPE
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41160063&year=2008

出典 MedicalTribune 2008.4.17

版権 メディカル・トリビューン社

 

他に

「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)                 があります。

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)