戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2008/04 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

第18回日本心血管画像動態学会(会長=三重大学病院画像診断科・武田寛教授)の合同シンポジウム「心血管画像診断法の予後評 価における役割」(座長=三重大学病院画像診断科・佐久間肇・准教授,東京医科大学第二内科・山科章主任教授)

坂崎診療所(京都府)の多田村栄二氏は,非急性期の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)はエビデンスに基づくことなく,個々の循環器内科医の裁量により施行されていることにより,毎年,数千億円もの医療費が無駄遣いされている可能性を指摘した。

心筋SPECT結果と予後が相関
多田村氏は,初めに,安定労作性狭心症患者を対象としたJ-SAP Study1-1や米国大規模studyのCOURAGE trialで,薬物治療先行群とPCI先行群の心臓死および急性冠症候群(ACS)発症率などの長期予後に有意差がなかったとの結果を紹介し,「非急性期PCIは数百万円もの医療費をかけている割に長期予後改善に結び付かない有効性の限られた医療である」とコメント。
「冠動脈に狭窄があれば,その狭窄を解除しなければ心臓発作や死亡の高リスクにさらされるのではないか」との単に直感的な不安に基づくPCI医療の非合理性を指摘した。

次に同氏は心臓核医学のエビデンスとして,負荷心筋SPECTで欠損領域が認められない患者における重大な心事故発生率は非常に低い(0.6?0.9%以下)ことを指摘した。
また,米ロサンゼルスのグループが行っている心筋SPECTによる虚血のスコア化は心臓死発生率と相関し,虚血範囲10%以下の群を薬物治療群と血行再建群に分けて予後を比較したところ,薬物治療群で予後が良好であった()。

 

米国では心臓核医学検査は無用なPCIを抑制するエビデンスとして重要視されている。
また,日本のエビデンスとして,心筋SPECTで見られた血流異常の程度別に患者予後を検討したJ-ACCESSでも血流異常が顕著なほど心血管イベントが多く,日本人における心血管イベントの発生率は同様の虚血程度でも米国人の2分の1から3分の1程度であった。

現在,米国ではもともと心血管リスクが低い患者には,リスクとコストの高いPCIを行う合理性はなく,低リスク例には内科的管理を行い,一定以上のリスクを持つ患者にのみ血行再建術が施行されている。
最後に,同氏は「高額でありながら有効性の限られているPCIを無原則に容認,奨励する日本の独特の保険制度は,医療費の観点から考えると大きな社会的な脅威である」と結んだ。

無原則なPCIは社会の脅威に
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41160421&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.4.17
版権 メディカル・トリビューン社

<参考サイトとブログ>
J-SAP Study1-1
http://www.gclew.com/gakkai/70th_jcs/contents/24_02.php
(第70回記念 日循総会)
低リスク安定労作性狭心症に対する先行療法の選択に欧米との違いが
安定労作性狭心症は、冠動脈病変の部位による死亡率の高低により高リスク安定労作性狭心症(3枝病変、左主幹部病変、前下行枝起始部病変)と、低リスク安定労作狭心症(上記以外の1枝、2枝病変)に分けられる。
両者への治療戦略は異なり、欧米のガイドラインでは、前者に対しては冠動脈バイパス術(CABG)を初期治療とするCABG先行療法が、後者に対しては薬物療法を初期治療とする薬物先行療法が推奨されている。
一方、日本のガイドラインでは、前者に対しては、欧米同様CABG先行療法が、後者に対しては、経皮的冠動脈形成術(PCI)を初期治療とするPCI先行療法が奨励されている。
そのため日本における患者一人当たりのPCI施行数は米国の2.2倍と高いが、どちらが患者にとって有益なのかは明らかではない。そこで藤原氏らは、全国34施設の協力により、日本人における安定労作性狭心症に対する薬物先行療法とPCI先行療法の長期予後について検討した。
PCI先行療法の優位性認めず:J-SAP 1-1 study
J-SAP 1-1 studyでは、低リスクの安定労作性狭心症患者382例(薬物先行療法群190例、PCI先行療法群192例)を対象に、平均3.5 年間の長期予後を検討した。その結果、心疾患死亡率は、薬物先行療法群が1.6%、PCI先行療法群が2.6%、心疾患死亡+急性冠症候群発症の頻度はそれぞれ2.1%、4.7%と、いずれも有意な群間差はみられなかった。
また1年後の狭心症症状改善度も、薬物先行療法群とPCI先行療法群は同等であり、医療費はPCI先行療法群が有意に高く、治療1年目は薬物先行療法群の4.4倍、2年目は3.1倍だった。
高リスク安定労作性狭心症にはCABG先行療法が優れる:J-SAP 1-2 study
一方、 J-SAP 1-2 studyでは、高リスクの安定労作性狭心症患者176例(薬物先行療法群77例、CABG先行療法群99例)を対象とし、平均3.4年間観察した。その結果、心疾患死亡率は薬物先行療法群9.1%、CABG先行療法群2 %、心疾患死亡+急性冠症候群発症の頻度はそれぞれ11.7%、3%と、CABG先行療法群で有意に低く、1年後の狭心症症状改善度もCABG先行療法群が有意に優れていた(p<0.05)。
医療費は、1年目はCABG先行療法群が薬物先行療法群の2.3倍と高かったが、2年目は同等だった。
このような検討結果から、低リスクの安定労作性狭心症患者の長期予後は、薬物先行療法とPCI先行療法とでは差がなく、また経済性の面から薬物先行療法の選択が、一方、高リスク安定労作性狭心症患者には、CABG先行療法の選択が好ましいと藤原氏は結論づけた。
ただし、J-SAP 1 studyは、無作為ではあるが患者の登録がレトロスペクティブに行われたため一般的症例群を反映していない可能性が指摘される。
このため、現在、低リスクの安定労作性狭心症患者を、登録時からプロスペクティブに検討するJ-SAP 2 studyが進行中であり、その結果が待たれている。

JSAPとCOURAGE
http://blog.m3.com/reed/20080322/JSAP_COURAGE

COURAGE trial
Optimal Medical Therapy with or without PCI for Stable Coronary Disease
http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa070829v1
(原著です)

COURAGE TRIAL:Research Released at ACC - Percutaneous Coronary Interventions (PCI) Does Not Reduce Heart Disease Deaths as Compared to Medical Management in Stable Coronary Patients
http://www.clevelandclinic.org/heartcenter/pub/news/archive/2007/courage3_28.asp

Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluation
http://www.ebm-library.jp/att/detail/61084.html

Medical Therapy Takes COURAGE: No Benefit of PCI Over Optimal Drugs for Preventing Events in Stable CAD
http://www.medscape.com/viewarticle/554120


COURAGE trial
http://blog.goo.ne.jp/suzukit_tky/e/838b6cf3fe48d6f691b239156497645b

ブログ2周年は循環器のホットなトピック
http://www.dryumi.com/?p=261
(以前にも紹介させていただいた在米の循環器医のブログです)

 

他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)                 があります。

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)