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ONTARGETもそうですがENHANCEもセンセーショナルな話題をまき起こしています。
先日MRさんとの面会の際に、発売元のシェリングプラウのMRさんが
N. Engl J Med2008 April 3; 358(14): 1431-43.
の抄録(日本語訳)を私に恥ずかしそうに差し出しました。
頚動脈内膜中膜肥厚の平均変化量(±SE)がシンバスタチン単独群で0.0058±0.0037mm、シンバスタチンとエゼチミブ併用群で0.0111±0.0038mm(p=0.29)ということです。
この検査法自体の精度、そしてこの数字は実際測定出来るような数字ではなくあくまでも計算上の数値であることが気になりました。
私自身不勉強で、頚動脈内膜中膜肥厚が脂質異常症と血圧のどちらの影響を多く受けるかを知りません。
血圧の要因の検討がされていない点も少し気になりました。
いずれにしろ米国内ではかなりショッキングな結果だったようで株価やTV広告にも影響が出たとのことです。
以下は
http://www.watarase.ne.jp/aponet/topics/0801topics/080117.html
での、この試験の概略の紹介です。
このENHANCE試験は、家族性高コレステロール患者720人をシンバスタチン80mg投与群、シンバスタチン80mgとエゼチミブ10mg(日本名:ゼチーア)の合剤(米国では“Vytorin”という名前で合剤が承認され、広く使われている)を投与した群に分けて効果を調べた二重盲検ランダム化試験です。
合剤を投与した群でLDL-C値の低下が認められたものの、心臓病の発症リスクなどは有意差が認められなかったとする結果が得られました。
特に今回の結果では、LDL-Cの低下があっても動脈硬化の指標となる頚部動脈の内膜-中膜の厚さ(intima-media thickness)に大きな差が見られなかったことから、エゼチミブの有用性だけではなく、LDL-C値の低下を目的としたスタチンの有用性についての議論が巻き起こっています。
http://www.watarase.ne.jp/aponet/topics/0801topics/080117.html
コレステロール低下薬で大論争
「効果は薄い」と製薬会社を非難する声上がる
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080125/145406/
Drugs Do Any Good?
Research suggests that, except among high-risk heart patients, the benefits of statins such as Lipitor are overstated (BuicessWeek 2008.1.17)
http://www.businessweek.com/magazine/content/08_04/b4068052092994.htm
2008.01.28 コレステロール低下薬の有用性で波紋(米国)
http://www.watarase.ne.jp/aponet/topics/0801topics/080117.html
今回の発表を受けて両社の株価は下降、またVytorinの処方数の急減、Vytorin、ZetiaのTV広告の一時停止などの影響が広がっている他、米FDAは今回の発表に関して、今後6ヶ月かけてデータを詳しく分析するとするEarly Communicationを出して、国民に冷静な対応をするよう呼びかけています。
最後にケアネットの記事からの紹介です。
エゼチミブの動脈硬化抑制効果は確認できず
日本では昨年発売となった高脂血症治療剤エゼチミブ(国内商品名:ゼチーア錠)。
スタチン系薬剤シンバスタチンとの併用でのアテローム性動脈硬化症に対する効果について、臨床試験「ENHANCE」の結果が公表された。
Academic Medical Center(オランダ)John J.P. Kastelein氏らによる試験結果の公表は米国心臓学会で席上と同時に、同日発行のNEJMオンライン版(2008年3月30日付)で世界に伝えられた。
本誌では2008年4月3日号にて掲載。
家族性高コレステロール血症患者720例を2年間追跡
「ENHANCE」は北米、西欧、南アフリカの18施設で2002年8月から2006年4月の間に、家族性高コレステロール血症患者720例が参加した。
各対象者には24ヵ月間にわたり連日、シンバスタチン80mg+(エゼチミブ10mgまたはプラセボ)を併用投与し、効果を比較する二重盲検無作為試験で、頸動脈壁と大腿動脈壁の内膜中膜の厚さをBモード超音波検査法によって評価した。
主要評価項目は頸動脈内膜中膜厚の平均値の変化。
左右の総頸動脈と頸動脈球部、内頸動脈それぞれの遠位壁における内膜中膜厚を測定し、各平均値の平均を主要評価項目と定義付けた。
LDL-C値は低下したが頸動脈壁の厚さに有意差なし
主要評価項目である頸動脈内膜中膜厚の平均値(±SE)の変化は、シンバスタチン単独群では0.0058±0.0037mmだったが、シンバスタチン+エゼチミブ併用群では0.0111±0.0038mm(P=0.29)。
頸動脈に大腿動脈も含めた内膜中膜厚の他の変数からなる副次的評価項目でも、2群間に有意差はなかった。
試験終了時のLDLコレステロールの平均値(±SD)は、シンバスタチン単独群が192.7±60.3mg/dL(4.98±1.56mmol/L)だったのに対して、併用群では141.3±52.6mg/dL(3.65±1.36mmol/L)で群間差は16.5%だった(P<0.01)。
トリグリセリド値とCRP値の低下に関する群間差はそれぞれ6.6%と25.7%で、併用群でより大幅に低下した(両群比較のP<0.01)。
副作用と安全性は両群とも同程度だった。
このためKastelein氏らは「エゼチミブ併用によって家族性高コレステロール血症患者のLDLコレステロール値とCRP値は低下するが、内膜中膜厚の変化を見る限り、シンバスタチン単独と比較して有意な差は現れなかった」と結論づけた。
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=3487

長岡忠三郎 油彩10号『ナポリ郊外』
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t70017792
<コメント>
hsCRPレベルの低下していたということですから、とばっちりがhsCRPにも飛び火しそうな勢いです。
同じようなプロトコールでIVUSなどで冠動脈プラークを評価した試験はあるのでしょうか。おおいに気になるところです。
<参考サイト>
Simvastatin with or without ezetimibe in familial hypercholesterolemia.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18376000?ordinalpos=9&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum
ACC Statement on ENHANCE Trial
http://medicineblog.blog32.fc2.com/blog-entry-9.html
Statement from the American Heart Association on ENHANCE study results
http://www.americanheart.org/presenter.jhtml?identifier=3053094
Merck and Schering-Plough Respond To Issues Raised About ENHANCE Clinical Trial
http://www.sgp.com/schering_plough/news/release.jsp?releaseID=1100091
FDA and drug makers should have warned public earlier about Zetia, Vytorin
http://www.citizen.org/hot_issues/issue.cfm?ID=1804
<参考ブログ>
核心をついた小気味のよいブログです。
Ezetimibe(エゼチミブ)の臨床試験の波紋
http://medicineblog.blog32.fc2.com/blog-entry-8.html
ENHANCE試験関連リンク
http://medicineblog.blog32.fc2.com/blog-entry-9.html
ENHANCE試験のもう一つの側面
http://medicineblog.blog32.fc2.com/blog-entry-11.html
ENHANCE試験の教訓
http://medicineblog.blog32.fc2.com/blog-entry-22.html
ENHANCE試験のトリビア
http://medicineblog.blog32.fc2.com/blog-entry-23.html
ENHANCE試験のその後
http://medicineblog.blog32.fc2.com/blog-entry-25.html
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) があります。
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