戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2008/04 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

昨日の続きです。 

過灌流症候群の予防につながる術式の工夫が急務となっている
CASで好成績を得るには,過灌流の回避も課題となる。CAS施行後に頭痛や痙攣,一過性の脳神経症候,頭蓋内出血といった過灌流症候群が生じる頻度は1%前後と低いが,出血合併症を来した場合の死亡率は50%と高い。
脳循環予備能の低下や高度狭窄がリスク因子と考えられているが,同症候群に対しては治療の決め手を欠くのが現状である。

このため過灌流症候群の高リスク例に対し,浅側頭動脈と中大脳動脈のバイパス術(STA-MCA吻合術),STA-MCA吻合術後のCASまたはCEA施行など,過灌流の回避を目指した治療が試みられている。
吉村氏らは,小さめのバルーンを用いて経皮的血管形成術(PTA)を施し,後日にCASまたはCEAを行う段階的血管形成術(staged angioplasty)を考案。
少数例の検討ながら,CAS単独施行と比て過灌流症候群の発症が少ないことを確認した。
同氏は「今後も検討を続け,2回の手術にうリスクをいかに抑えるか,初期PTA施行時の拡張度設定や適応症例の選択の在り方などを探っていきたい」と語った。

CAS施行例の血栓症予防においてアスピリンは必須の薬剤である
頸動脈狭窄症治療において合併症ゼロを目指すには,抗血栓療法も不可欠である。
CAS施行中に懸念される遠位塞栓症は,種プロテクション法で回避しうる。
だが,施行後に血栓症を来す例が少なくく,CAS施行前から施行後も長期にわたって抗血栓療法を行う必要がある。
特にソフトプラークの症例は要注意である。
CAS周術期の抗血栓療法では最もエビデンスが豊富な低用量アスピリンが必須の薬剤として評価され,世界的に頻用されている。
国際共同研究ATT(Antithrombotic Trialists' Collaboration)では,287の無作為化比較試験(約21万2,000例)の成績をメタ解析。
主としてアスピリンを用いた抗血小板療法が,脳卒中既往・脳卒中急性期を含む閉塞性血管障害の高リスク例の脳・心血管イベント予防に有効であることが明らかになった(図 3)。

 

また,非心原性脳梗塞既往例を対象としたWARSS試験(2001)では,アスピリンの効果はワルファリンと同等であったが,出血リスクはアスピリン投与群で低い傾向が示され,アスピリンの有用性が高く評価された。
ただしCAS施行例の場合,施行後の血栓リスクが高いことから,一定期間は低用量アスピリンと他の抗血小板薬の併用が考慮される。

CARESS試験(2005)では,症候性頸動脈狭窄症例に対する抗血小板薬の併用により,微小塞栓シグナル(microembolic signals)が単独投与と比べて有意に少なくなることが示された。
しかし抗血小板薬の併用療法は,脳出血のリスクを高めることにもつながるため,漫然行うべきではない。

吉村氏は,現時点でCAS周術期の抗血栓療法を考慮する際,米国心臓学会財団と血管治療関係4学会が2007年に発表した臨床専門家合意文書が参考になるとし,その概要を説明した(図 4)。


CAS施行前は低用量アスピリンとクロピドグレを4日間併用し,施行時はヘパリンを静注。

施行後はアスピリンとクロピドグレルを1か月間併用し,以後はクロピドグレル投与を中止しアスピリン投与のみを継続することが推奨されている。

このように低用量アスピリンは,CAS施行例に対してもベースドラッグとして,長期にわたって服用が継続される。
同氏は「低用量アスピリンの薬価は1日当り約6円にすぎず,患者負担はきわめて小さい。有効性と安全性に加え,医療経済性が厳しく問われる現代にもマッチしている」と付言した。

そのうえで同氏は,近年臨床家の関心事となっている「アスピリンレジスタンス」について言及した。

「アスピリンレジスタンス」という言葉は,しばしば「アスピリンの抗血小板作用が十分に発揮されない状態」を表す際に用いられている。
しかし公式な定義は存在せず,その機序理解も確立された検査法もないなか,さまざまに解釈されて論じられているのが実情である。

同氏は「アスピリンに限らず,どんな薬剤を用いても,効果が現れやすい患者もいれば現れにくい患者もいる。今のところ知見は少ないが,将来的には効果を測定する正確なマーカーの開発,それに伴う個々の患者での用量調節が望まれる」との見方を示した。

病態に適した手技の選択と薬物療法の活用が治療成績向上の鍵
頸動脈狭窄症に対するCAS施行において「合併症ゼロ」という目標を達成するのは難しいが,吉村氏は今回紹介した要点を踏まえ,工夫を重ねながら着々と成果を上げている。

同氏らによる,2004年1月1日以降のCAS施行140例の総合成績を見ると,周術期死亡はなく,周術期合併症は5.0%(麻痺,視野異常),永久合併症は2.1%(視野異常)となっている。
CAS施行6か月後に実施したCTA検査または血管造影検査で,再狭窄が認められたケースはなかった。
フォローアップ中のCAS施行以外の原因にる死亡は1例(肝炎),合併症は1例(同側脳卒中〔脳出血〕)であった。

終演に当たり,同氏は「頸動脈狭窄症の治療成績を向上させるため,症例蓄積を通じて狭窄度およびプラーク性状の診断基準を確立したい。CASとCEAで治療効果を競う"CAS vs CEA"ではなく,"CAS with CEA"すなわち病態に適した手技を選択し,さらには薬物療法をうまく組み合わせていくことが重要考えている」と総括した。

出典 Medical Tribune 2008.4.3
版権 メディカル・トリビューン社

宮下 孝一 「ばら」
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t70563815

他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)                

があります。

 

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)