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ARBの優れた脳卒中再発抑制効果
~MOSES試験から~
峰松
次に,脳卒中慢性期の患者さんに対して,再発や合併症を防ぐにはどのような治療が望ましいか伺ってみましょう。
苅尾
血圧,血糖,脂質の管理がまず重要です。
ESH/ESC高血圧ガイドライン2007では,脳・心血管系疾患や腎疾患を有する患者さんの降圧目標値を130/80mmHg未満とし,厳格な降圧が必要と勧告しています。
最新の報告から,降圧すればするほど,脳卒中の発症リスクは低下することが明らかにされました(図3)。

ただし,心イベントは異なります。
いずれにしても正常血圧を目指した厳格なコントロールは必要かもしれません。
峰松
PROGRESSで示されたメッセージも,厳格に降圧することが重要だということでしたね。
苅尾
それに加えて,夜間血圧にも注目すべきだと思います。
私たちは,夜間血圧が高い方は脳卒中の発症リスクも高い ことを認めています。
夜間血圧は日中の血圧よりばらつきが少ないですし,夜間血圧が高ければ当然,早朝血圧もさらに高くなります。
ですから,降圧薬を選択する際は,降圧の持続性というものにもっと目を向ける必要があると思います。
木村
CKDはもとより,腎機能が低下している患者さんでは,日中だけではNaや老廃物を十分排泄することはできません。
それを補うために夜間の血圧を上昇させてNaなどの排泄を続けているのです。
ですから,減塩を含め,Na貯留を是正し,夜間血圧をコントロールすることが脳卒中リスクの軽減に重要です。
峰松
具体的には,どのような降圧薬を用いていますか。
豊田
降圧薬で脳卒中の再発抑制を検討したエビデンスはわずかです。
その一つであるMOSES試験では,ARBとCa拮抗薬とで比較をしており,最終血圧は,ARB群137.5/80.8mmHg,CCB群136.0/80.2mmHgと,両群とも同等に降圧されていました。
しかしながら,ARB群は,脳卒中の再発を含めた脳・心血管系イベントリスクを21%低下させました。
日本人のハイリスク高血圧症を対象としたCASE-Jでも明らかにされたことですが,ARBは長期間投与するほどCa拮抗薬に対する優位性が高まると考えています。
その理由は,ARBは降圧に加え,糖尿病や心房細動の新規発症を抑制するなど脳卒中の危険因子に対しても好影響を及ぼすからです(図4)。

峰松
確かに脳卒中の再発抑制のためには,血圧だけに注目するのでなく,他のリスク因子,糖尿病や心房細動などにも同時に配慮する,多面的なアプローチが重要ですね。
例えば,従来の糖尿病治療薬では不可能だった脳卒中の再発防止を,ピオグリタゾンが可能にした(図5)のも,この薬剤が血糖コントロールだけでなく,血管保護やインスリン抵抗性改善といった多面的作用を有しているからでしょう。

本日は,脳卒中患者さんの再発防止を目的とした治療について伺いました。
一次予防に比べると,二次予防はエビデンスがまだまだ不足していることは否めません。
今後のエビデンスの蓄積を期待して,本座談会を終了したいと思います。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41140201&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.4.3
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
以前から不思議に思っていることがあります。
先生方も同じ考えと思うのですが、さまざまな大規模試験で用いられる血圧の数値です。
いわゆる随時血圧と思われるのですが、論文に詳しい血圧測定法の記載がありません。
治験で先生方も経験されていることでしょうが、血圧値をデータとして書き込む際にも、(メーカーに)都合のいい数値を拾い上げたりします。
たとえば投薬6か月後といっても、その月に該当する血圧で一番低い血圧値を記入するといったたぐいです。
2mmHgきざみの血圧計の目盛り。
切り上げる医師、切り捨てる医師。
医師によってくせがあるといった論文も以前見たことがあります。
それはさておき時々刻々と変化する血圧。
どの血圧をとりあげるか、世界的なコンセンサスのない現時点で論文になった数値をそのまま鵜呑みにしてしまうこと。
綺麗なグラフや統計をみてそのまま鵜呑みにしてしまう自分にいつも納得できないもう一人の自分がいます。
鼓膜の破れていない中耳炎の人への点耳液。
水晶体にどうして届くかわからない白内障の人への点眼液。
このことと同じぐらい不思議です。
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