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ARBであるオルメサルタンが頚動脈に与える影響(粥状化と硬化)を、3D-USを用いて観察したMORE試験について勉強しました。
MORE Study
オルメサルタンの降圧効果とプラーク退縮への影響
AT1受容体拮抗薬(ARB)オルメサルタン メドキソミル[以下オルメサルタン](商品名 オルメテック)は,ダブルチェーンドメインを有しているため優れた降圧効果を示す。
また,AT1受容体との強固な結合やインバースアゴニスト作用による動脈硬化の退縮に与える影響も期待される。
そこで,オルメサルタンの降圧効果と動脈硬化に見られるプラークの容積変化を測定した臨床試験MORE( Multi-centre Olmesartan atherosclerosis RegressionEvaluation)について,この試験の総括責任者であるドイツ・ボン大学内科教授のKlaus O. Stumpe氏と,動脈硬化の発症・進展に造詣の深い本邦の専門医の先生方にご討議いただいた。
出席者(発言順)
光山 勝慶 氏(司会) 熊本大学大学院医学薬学研究部生体機能薬理学教授
赤阪 隆史 氏 和歌山県立医科大学循環器内科教授
Klaus O. Stumpe 氏 ドイツ・ボン大学内科教授
ダブルチェーンドメインがAT1受容体に強固に結合,インバースアゴニスト作用にも関連
光山
本邦では現在,5種類のARBが日常診療で利用されています。
なかでもオルメサルタンは,カルボキシル基(COOH基)とヒドロキシル基(OH基)の 2 つの側鎖ダブルチェーンドメインを有しているため(図 1),AT1受容体と強固に結合し,優れた降圧効果を発揮していると考えられています。
また,このダブルチェーンドメインはAT1受容体に対する単なるアンタゴニスト作用のみならず,インバースアゴニスト作用にも重要な役割を果たしていると注目されています。

赤阪
オルメサルタンの降圧効果については,強力,かつ速やかであると報告されています(図 2)。

オルメサルタンのAT1受容体との強固な結合やインバースアゴニスト作用が動脈硬化の退縮に与える影響は興味深いところです。
3D-US装置を用いたプラーク容積の測定により,抗動脈硬化を評価
光山
そこで本日は,このような優れた降圧効果を有するオルメサルタンの動脈硬化の退縮に与える影響について,高血圧患者の頸動脈の変化を検討したMOREに焦点を当てて議論したいと思います。
初めに,Stumpe先生がMOREを実施された理由についてお聞かせいただけますか。
Stumpe
MOREを実施したおもな理由は 2 つあります。
1 つは,動物実験でオルメサルタンによって動脈硬化の退縮が認められたことから,それをヒトでも確認したかったこと。
もう 1 つは,頸動脈のプラーク容積を直接的に測定できる3D-US装置が開発されたことが挙げられます。
光山
それでは,MOREの試験デザインとその成績について,ご説明いただけますか。
Stumpe
MOREは欧州 5 か国31施設が参加した,多施設共同無作為化二重盲検比較試験です。
対象は血圧が140~180/90~105 mmHg,遠位総頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)が0.8~1.6mm,総頸動脈または頸動脈球内に 1 つ以上のプラーク(容積 4 μL~500μL)が認められ,心血管系イベントの危険因子を 1 つ以上有する高血圧患者です。
これらの対象をオルメサルタン(20~40mg/日)群またはβ遮断薬アテノロール(50~100mg/日)群に無作為割付し,2 年間治療しました。
なお,血圧がコントロールされない場合(拡張期血圧>90mmHgおよび/または収縮期血圧>140mmHg),適宜利尿薬を追加投与しました。
オルメサルタンによる動脈硬化への影響について,IMTの変化およびプラーク容積の変化を検討しました。
総計442例をスクリーニングした結果,無作為化に至ったのは165例,そのうち有効性解析対象症例は155例(オルメサルタン群78例,アテノロール群77例)でした。
オルメサルタンによるプラーク容積への影響
Stumpe
2 年間の治療の結果,オルメサルタンにより血圧は速やかに目標値以下まで低下し,治療期間中,その効果は持続していました(図 3)。

IMTの変化については,オルメサルタン投与後,有意に減少しましたが,ベースライン時のIMT中央値(0.93mm)で患者を層別化した結果,中央値以上の群でIMTの優れた退縮が認められました。
オルメサルタン投与開始から 2 年後までのプラーク容積の経時的な変化を見ると,ベースライン時のプラーク容積が33.7μL以上の群では,オルメサルタン治療28週後に,プラークの著明な退縮が認められ,以降,治療終了に至るまで退縮が持続しました(図 4)。

プラーク容積は,IMTに比べて心血管系イベントのリスクとしての動脈硬化をより鋭敏に反映
光山
Stumpe先生,試験デザインについてお伺いします。MOREでは,IMTの変化とプラーク容積の変化について検討しています。
心血管系イベントの予測因子としては,IMTよりはプラーク容積のほうがより敏感で,有用であると考えられますか。
Stumpe
IMTは頸動脈の動脈硬化の指標として,これまでに豊富なデータが存在しています。
しかし,プラーク容積については,非侵襲的に測定する方法がなかったため,そのようなデータがなく,例えば標準偏差がどれくらいかということもわかっていません。
今後,プラーク容積が非侵襲的に測定できるようになり,データも豊富に蓄積されれば,こちらのほうが心血管系イベントの予測因子としてより有用であることは確かであると思います。
なぜなら,IMTは「内膜の動脈硬化」と「中膜の肥厚」を併せて測定していますが,厳密に心血管系イベントの危険因子と言えるのは「内膜の動脈硬化」のほうです。
したがって,動脈硬化だけを反映したプラーク容積を直接的に測定できれば,そちらのほうが心血管系イベントの予測因子としてより有用であろうと考えられます。
光山
この点に関して,赤阪先生からコメントはございませんか。
赤阪
動脈硬化はatherosis(粥状化)とsclerosis(硬化)が一緒になったものですが,プラークはよりatherosisを反映し,IMTはよりsclerosisを反映したものだと考えています。
したがって,Stumpe先生のおっしゃるように,心血管系イベントの危険因子としての動脈硬化の指標では,プラーク容積の測定のほうがより有用であると推測されます。
Medical Tribune 2008.4.3
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
産科領域で胎児の三次元による描出は以前から有名です。
私自身、恥ずかしながら頚動脈の3次元表示を見たことがありません。
国内には3次元超音波研究会、3DUS(http://us-3d.umin.jp/)という研究会が2005年4月に発足しているようです。
演題で見る限り頚動脈病変については余り発表がないようです。
是非、画像そのものを見たいものです。
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) があります。
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