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ACC2008―注目の降圧薬臨床試験
ACE阻害薬 とARBのガチンコ対決として衆目が一致するところのONTARGETの結果が、ついに発表になりました。
そのONTARGETの結果は、米国シカゴで行われた米国心臓学会の学術集会「ACC2008」のLate-Breaking Clinical Trials Iの中で発表されました。
はたして結果はいかに。
以下はMTproの最新記事からです。
第57回米国心臓学会(ACC2008;3月29日~4月1日,米国シカゴ)における発表から,降圧薬に関する2つの試験を紹介する。
いずれも発表と同時にNew England Journal of Medicine オンライン版(NEJMoa0801317,NEJMoa0801369)に掲載された。
臨床的インパクトが高く,今後日本のガイドラインにも影響を及ぼしそうだ。
ONTARGET;RA系阻害の意義を再確認も併用の有用性は認めず
40か国733施設が参加し,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)を用いた臨床試験としては最大規模となったONTARGETでは,心血管疾患のハイリスク患者を対象にARBテルミサルタン,ACE阻害薬ラミプリル(国内未承認)の各単剤および併用療法が行われ,心血管イベント抑制効果が検証された。
テルミサルタンはHOPE試験で有効性が確認されているラミプリルに対し非劣性であることが証明されたが,併用療法の有用性は認められないという結果であった。
主任研究者のS.Yusuf氏が発表した。
対象は冠動脈疾患(CHD),末梢動脈疾患,脳卒中,臓器障害を伴う糖尿病のいずれかに合致する55歳以上の患者で(心不全例は除外),導入期間の後,約2万5,620例をラミプリル単独群,テルミサルタン単独群,両薬剤の併用群の3群にランダムに分け,二重盲検法により56か月追跡した。
最大用量はラミプリル10mg/日,テルミサルタン80mg/日とした。
各群の平均血圧値はいずれも約141/82mmHgで,治療による血圧低下度はラミプリル単独群 - 6.0/4.6mmHg,テルミサルタン単独群 - 6.9/5.2mmHg,併用群 - 8.4/6.0mmHgであった。
また,各群の平均年齢は約66歳,女性の割合は26~27%,CHDおよび糖尿病の保有率はそれぞれ約74%,36~38%であった。
1次評価項目の非劣性検定では,心血管死亡,心筋梗塞,脳卒中,心不全による入院発現率の割合はラミプリル単独群16.46%,テルミサルタン単独群16.66%で,テルミサルタンのラミプリルに対する非劣性が証明された。
忍容性についてはテルミサルタンが優れる傾向にあり,咳,血管浮腫による試験中止率がラミプリル群に比べ有意に低率であった。
一方,併用療法については,ラミプリル単独群と併用群との間で1次評価項目の発現率に有意差は認められなかった。
また,併用群では低血圧,失神,下痢,腎機能障害が有意に高率であった。
ONTARGETの結果から,ARBはACE阻害薬と同等の心血管疾患抑制効果を持つことがわかり,レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害の意義が再確認された。
RA系を“二重阻害”する有用性は認められなかったが,慢性腎臓病(CKD),心不全など特定の病態で有用である可能性はあるという。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0804/080404.html
版権 日経BP社
<参考>
ONTARGET(The Ongoing Telmisartan Alone and in Combination with Ramipril Global Endpoint Trial)
<関連サイトから>
ARBの有用性に確証--心血管イベント抑制効果はACE阻害薬に劣らず、副作用が減少
レニン・アンジオテンシン系(RAS)抑制薬であるACE阻害薬とアンジオテンシンII拮抗薬(ARB)については、脳、心、腎などの心血管系臓器に対し保護作用を示すことが既報の臨床成績から明らかになっている。
しかし、ACE阻害薬とARBの心血管イベント抑制効果に違いがあるか否かは不明であり、両者を直接比較した大規模試験はまだない。
ONTARGET試験はこの問題の解答を得るべく実施された史上最大規模の臨床研究である。
今回ONTARGET試験の結果を報告したカナダ・マクマスター大のSalim Yusuf氏によれば、ARBの有効性がACE阻害薬と同等か否かという疑問は、2000年に発表されたHOPE(Heart Outcomes Prevention Evaluation)試験の成績から生じたものである。
この試験では、心血管疾患のハイリスク患者約9000例を対象にACE阻害薬の心血管イベント抑制効果をプラセボと比較しているが、ACE阻害薬は心筋梗塞、脳卒中、心血管死などの発生率を有意に低下させたものの、咳、血管浮腫などの副作用が高率に認められ、治療の忍容性に問題があることも判明した。
したがって、ARBの有効性が少なくともACE阻害薬と同等であり、かつ副作用が低減するならば、治療の有用性は大きく向上するであろう。
また、RAS系抑制薬の評価が高まるなかで、ACE阻害薬とARBの併用により心血管イベント抑制効果がさらに改善するか否かにも関心が集まっているが、本試験ではこの問題も検証された。
中略
以上の成績についてYusuf氏は、「心血管疾患リスクの高い患者の治療において、テルミサルタンはラミプリルに代る心血管保護薬として使用できること、その心血管イベント抑制効果はラミプリルと同等だが、忍容性、安全性からみて信頼性の高い薬剤であることが明らかになった」と述べ、心血管疾患リスクの高い患者の治療において、ARBがACE阻害薬と並ぶ有力な選択肢になったとの見解を示した。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acc2008/200804/505929.html
<コメント>
結局、結論としてはARB(テルミサルタン)はACE阻害薬(ラミプリル)に比較して副作用の発現は少ないものの、それ以上のものではない(非劣性という便利な表現があるようです)ということのようです。
そして何よりも、両者併用によるRA系を“二重阻害”する有用性が認められなかったことの衝撃は大きいものと思われます。
今後この臨床試験の解説が多く出るものと思われます。
<参考サイト>
RAS抑制を介した厳格な降圧が心血管保護に及ぼす影響
ミカルディスの大規模臨床試験ONTARGET
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/micardis/ontarget/
■ AT1受容体遮断作用に加えて、選択的PPARγ活性化作用を有するミカルディスは、強力な降圧効果を発揮して臓器保護に好影響を及ぼすと考えられる。
■ 現在、ミカルディスが心血管イベント発症にどのような影響を及ぼすかを検討する大規模臨床試験ONTARGETプログラムが進行中である。
ミカルディスはAT1受容体を遮断して強力な降圧効果を発揮する
■ ミカルディスは、AT1受容体に対する解離半減期が長く、血中半減期も長いことから、長時間にわたり強力かつ安定して血圧を低下させることができると考えられる。
■ ARBはマクロファージの活性化を阻害して、血管壁の石灰化を抑制する。
以下は
群馬大学 倉林正彦教授のONTARGET試験に関するコメントです。
■ HOPE試験で優れた心血管イベント抑制効果を有することが実証されたラミプリルとの比較のため、同等性が示されただけでも、ミカルディスの心血管イベントへの影響は高く評価できる。
■ 評価項目のなかでも特に注目しているのは心筋梗塞である。なぜなら、心筋リモデリングに対するACE阻害薬のエビデンスは信頼性が高く、メタアナリスでもACE阻害薬はARBに比べて優位ではないかという見解も報告されているからである。脳卒中については血圧レベルが大きく影響すると考えられるから、降圧効果が強いミカルディスが優位ではないか。
■ 従来の臨床試験では、心不全や心房細動に対するARBとACE阻害薬の影響には違いは認められなかった。ONTARGET試験でこれらの評価項目に差が認められれば、それはPPARγ活性化による影響が加わった結果ではないかと考えられる。
サブスタディでの項目に心臓のMRI所見が比較検討されることになっており、心臓に対してPPARγ活性化がどのような影響を及ぼすのか興味がある。
また、酸化ストレスのマーカー、OGTTによる耐糖能異常にもPPARγ活性化の影響が認められるのではないか。
<過去ブログへの追加>
EPA
http://blog.m3.com/reed/20080403
MEGA studyとともに,わが国で行われ2005年AHAのLate-Breaking Clinical Trialsに選ばれた冠動脈疾患予防の大規模臨床試験である。特徴は高LDL血症を対象としているので全員にスタチン系薬剤が用いられており,その上でイコサペント酸エチル(EPA)を使用した群とそうでない群を比較した試験であり,EPAの効果をみたということができる。従来,魚油が心筋梗塞予防に効果があることは,疫学的にも介入試験でも証明されており,3つの試験のメタ解析でも有意な動脈硬化予防効果を示していた。本論文は純粋なEPAにその効果があることを示しており,これまでの試験の中核となる部分を証明したという意味で評価できる。薬剤としての有効性という面と,食のエビデンスという意味で意義深いものと考えられる。
JELIS
Japan EPA Lipid Intervention Study
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002357.html
(寺本先生のJELIS に対するコメントです)
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) があります。
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