戯れ言たれる侏儒
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EPA

戯れ言たれる侏儒 / 2008.04.03 00:46 / 推薦数 : 0

最近、JELIS試験に代表されるようにEPAによる抗動脈作用が話題になっているようです。
私自身、EPA投与中の患者さんにPWVを経時的に測定 して良好な感触を得ています。

きょうは
第72回日本循環器学会
2008年3月28日~3月30日 福岡               
でのEPAに関する演題で勉強しました。
 

エンドセリン-1誘発性の心筋細胞肥大をEPAが抑制

筑波大学循環器内科の下條信威氏
エンドセリン-1誘発性の心筋細胞肥大をエイコサペンタエン酸(EPA)が抑制することが明らかにされた。
ラット心筋細胞の初代培養を用いた実験による研究成果で、これらの結果はEPAの臨床的心保護作用のひとつとして説明された。第72回日本循環器学会総会・学術集会のポスターセッションで、筑波大学循環器内科の下條信威氏が3月30日に報告したもの。

エンドセリン-1は強力な血管収縮作用を有する神経液性因子であり、心筋肥大や心筋リモデリングの促進物質でもあることが知られている。

一方、EPAは諸家の研究で心保護作用が認められ、大規模介入試験JELISからは、冠動脈疾患の予防効果も報告されている。

そこで下條氏らは、「エンドセリン-1誘発の心筋細胞肥大を、EPAが抑制するか否か」、「抑制するならば、いかなる分子メカニズムによるものか」を培養細胞で検討した。

実験には、生後2日のSDラットから採取した心室心筋細胞を用い、初代培養下でエンドセリン-1(0.1nM)を添加するET群と、EPA(10μM)の24時間先行添加後にエンドセリン-1を加えるET+EPA群などを設けて比較検討を行った。

結果としてET群では、
(1)細胞表面積が約2倍に増加、
(2)総たんぱく合成能の指標であるLeucineの細胞内取り込み増加、
(3)心筋細胞骨格α-actininの発現亢進、
(4)心肥大マーカーであるANPmRNAの発現亢進を認めたが、これらはすべてET+EPA群にて抑制されていた。

これらの結果から、エンドセリン-1誘発性心筋細胞肥大は、EPAによって明確に抑制されるものと考えられた。

次に、分子メカニズムの検討だが、ET群ではJNK(c-Jun Nterminal kinase)やc-junなどの発現亢進を認め、これらが心肥大を促すものと考えられるが、ET+EPA群ではそれらがほぼ正常化していた。
また、ET群ではPPAR-αの発現と転写活性に低下を認めたが、ET+EPA群では著明に改善していた。

以上から、EPAによる心肥大抑制作用メカニズムはJNKやc-junの発現亢進を抑制し、PPAR-αの発現を促進することによるものと考えられた。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2008/200804/505953.html

 

糖代謝異常の主要冠動脈イベントリスクもEPAで2割減:JELISサブ解析
日本医科大学内分泌代謝内科教授の及川眞一氏
ハイリスクとなる糖代謝異常の患者においても、エイコサペンタエン酸(EPA)の投与は主要冠動脈イベント(MCE*)の発症リスクを22%減少させたとの研究成果が明らかになった。
JELIS試験における糖代謝異常についてのサブ解析結果で、第72回日本循環器学会総会・学術集会の「Late Breaking Clinical Trials II」セッションで3月29日、JELIS Investigatorsを代表して、日本医科大学内分泌代謝内科教授の及川眞一氏が発表した。
 
JELIS試験は、脂質異常症患者を対象にEPAの冠動脈疾患予防効果を検討した、国内初で最大級の大規臨床介入試験である。
対象は血清総コレステロール値が250mg/dL以上の脂質異常症患者1万8645例で、全例にスタチンを投与した上で、高純度EPA製剤1800mg/日を投与するEPA群と非投与の対照群に無作為で割り付けし、最長5年(平均4.6年)の追跡が行われた。

今回のサブ解析では、対象全体を糖代謝異常合併例(ベースライン時に糖尿病、または空腹時血糖≧110mg/dL)4565例と非合併(糖代謝正常)例1万4080例に層別化し、EPAによるMCEの予防効果を調べた。

その結果、糖代謝異常合併では非合併に対し、MCEの発症リスクが1.71倍と高く(p<0.0001)、糖代謝異常と脂質代謝異常を併せ持つ患者が、明らかにハイリスクであると確認された。

次に、本サブ解析の主題となる糖代謝異常合併例でのEPA効果だが、対照群のMCE発生率が6.1%だったのに対し、EPA群では4.7%と低く、EPAによってMCEの発症リスクが有意に22%減少していた(ハザード比0.78、95%信頼区間0.60-0.998、p=0.048)。

また、本介入試験の追跡期間内では、空腹時血糖値とHbA1c値に、対照群とEPA群との間で差を認めていない。
したがって、EPAによるMCEの予防効果は、血糖降下作用とは独立であることが示唆された。

なお、コメントスピーカーとして発言した筑波大学内分泌代謝・糖尿病内科教授の山田信博氏は、脂質の質に注目する必要性を指摘し、脂肪合成のマスター転写因子SREBP1c抑制作用などを紹介した。
また、糖尿病患者に対する脂質低下薬として中性脂肪をコントロールすることの必要性についても指摘した。

*) 主要冠動脈イベント(Major Coronary Event):心臓突然死、致死性および非致死性心筋梗塞、不安定狭心症、インターベンション(心血管再建術、ステント留置術、冠動脈バイパス術)を含む。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2008/200804/505936.html

 

高TG・低HDL症例でEPAが主要冠動脈イベントを半減:JELISサブ解析
千葉大学大学院医学研究院細胞治療学教授の齋藤康氏
第72回日本循環器学会総会・学術集会初日のLate Breaking Clinical Trials Session 1で、JELIS試験におけるエイコサペンタエン酸(EPA)の冠動脈イベント抑制1次予防と2次予防についてのサブ解析結果が報告された。
このうち1次予防の解析結果は、「高TG・低HDL-Cを呈するハイリスク例では、EPAによって特に強力な有効性が認められ、主要冠動脈イベント(MCE*)の発症リスクが53%減少した」という、非常に興味深い内容である。
JELIS Investigatorsを代表して、千葉大学大学院医学研究院細胞治療学教授の齋藤康氏が発表した。
 
JELIS試験は、脂質異常症患者を対象に、EPAの冠動脈疾患予防効果を検討した国内初で最大級の大規臨床介入試験である。

対象は血清総コレステロール値が250mg/dL以上の脂質異常症患者1万8645例(うち、冠動脈疾患の既往あり1万4981例、既往なし3664例)であり、全例にスタチンを投与したうえで、高純度EPA製剤1800mg/日を投与するEPA群と、非投与の対照群に無作為で割り付けし、最長5年(平均4.6年)の追跡が行われた。

サブ解析では、コレステロール低下に依存しないEPAの効果を明らかにするためにマルチプルリスクファクターに着目し、EPAによるMCEの予防効果を調べた。

まず、EPAのTG低下作用に着目し、TGに関連するファクターを検討したところ、TGおよびHDL-Cに異常のない集団と比較して、「TG≧150mg/dLかつHDL-C<40mg/dL」のグループでは、MCE発症リスクが1.71倍と有意に増加しており(p=0.014)、高TG・低HDL-Cを呈する例は確かにハイリスクであることが確認された。

次に、本サブ解析の主題だが、EPAの投与により、上記のハイリスク例(n=957)におけるMCE発生リスクは、対照群に比べて有意に53%減少していた(ハザード比0.47、95%信頼区間0.23-0.98、p=0.043、 NNT=48)。

ちなみに、全例対象のJELIS試験メイン解析(n=18645)では、EPA投与によってMCE発症リスクが有意に19%減少していた。
したがって、高TG・低HDL-C例では、EPAの有効性がより高いことが示唆された。

なお、JELIS試験の既報告によれば、
(1)EPAによるMCE予防効果は、血清LDLコレステロール改善から独立しており、
(2)同効果は、治療期間中の血中EPA濃度(EPA/アラキドン酸比)の上昇に依存する
ことなどが明らかにされていた。

この知見は今回のサブ解析にも当てはまり、試験期間中の血中EPA濃度が高い例ほど、MCEの予防効果が良好に得られていた。

なお、コメントスピーカーとして発言した熊本大学臨床系循環器病態学教授の小川久雄氏は、このようなEPAが著効する患者群についてメタボリックシンドロームである可能性を指摘した上で、その作用機序として、
(1)アディポネクチン上昇作用、
(2)マクロファージ抑制によるプラーク安定化作用、
(3)抗炎症作用、
(4)凝固線溶系の改善作用、の可能性を指摘した。


*) 主要冠動脈イベント(MCE:Major Coronary Event):心臓突然死、致死性および非致死性心筋梗塞、不安定狭心症、インターベンション(心血管再建術、ステント留置術、冠動脈バイパス術)を含む。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2008/200803/505905.html

三塩清巳 油彩4号『イタリア』
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p108188868?u=;artfolio11

<追加> 

メタボ症例へのEPA投与で心血管リスク指標のsVEGFR-2が低下
京都医療センターの和田啓道氏
メタボリックシンドローム症例にエイコサペンタエン酸(EPA)を3カ月間投与したところ、心血管リスクの新規マーカーとして有望視されている可溶性VEGF受容体2(sVEGFR-2)が有意に低下することが分かった。
京都医療センターの和田啓道氏らの研究で明らかになったもので、第72回日本循環器学会総会・学術集会のポスターセッションで3月28日に発表された。

メタボリックシンドローム(MetS)では、内臓脂肪蓄積によって脂肪細胞からの生理活性物質の分泌異常を生じ、心血管合併症を惹起すると考えられているが、その詳細な機序は未だ不明である。
そこで、和田氏らの研究グループは、sVEGFR-2に着目して研究を続けてきた。

sVEGFR-2は生体内に存在し、血管や心臓の発生や機能維持に不可欠な血管内皮増殖因子(VEGF)を阻害する。

 和田氏らは既に、
(1)血中sVEGFR-2レベルはMetS症例において有意に上昇している、
(2)BMI、中性脂肪、空腹時血糖と正の相関を示す、
(3)炎症や心血管リスクの指標である高感度CRPと正の相関を示す、
(4)抗動脈硬化ホルモンであるアディポネクチンと負の相関を示す、
などを明らかにしてきた。
以上のことから、sVEGFR-2は新たな心血管リスクの指標候補として、極めて有望と考えられる。

今回、演者らはMetSの7例(46±15歳、腹囲99±12cm、TG276±79mg/dL、血圧144±14/83±9mmHg、空腹時血糖85±39mg/dL)を対象に、食事・運動療法と並行してEPA1.8g/日を3カ月間投与することで、血中sVEGFR-2値(ELISA法)の変化を観察した。

結果として、EPA群では、血中sVEGFR-2値が試験前の平均10119pg/mLから、試験後には平均8664pg/mLへと有意に低下した(p<0.01)。
一方、EPAを投与しなかった対照群(n=9)では、試験前後の比較において、同値に有意な変化を認めなかった。

本検討結果は、EPAによる心血管系イベントの抑制効果について、その機序を説明しうるひとつと考えられた。

日本人の高コレステロール血症患者に、スタチンと共にエイコサペンタエン酸(EPA)を投与すると、冠動脈イベント、特に非致死的なイベントが減少することが明らかになった。
神戸大の横山光宏氏らの報告で、詳細はLancet誌2007年3月31日号に掲載された。

エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などの長鎖n-3脂肪酸の摂取により、冠動脈死が減少することが示唆されているが、これまで、ハイリスク患者の1次予防におけるn-3脂肪酸の効果を調べた無作為化試験は行われていなかった。

そこで著者らは、日本人の高コレステロール血症患者を対象に、EPAの長期的摂取が主要な冠動脈イベント減少をもたらすかどうかを調べる前向き無作為化試験を行った。
高脂血症患者に対するスタチンの有用性は証明されているため、今回は介入群と対照群の両方にスタチンを投与した。スタチンとn-3脂肪酸の併用の効果を示した予備的な研究はあるが、長期にわたる大規模な介入研究はこれが初めてだ。

このオープンラベル試験の被験者は、日本の各地で1996-1999年に開業医を通じて登録した。
対象者は、総コレステロール値が6.5mmol/L以上(LDL-Cは4.4mmon/L以上)などの条件を満たした男性5859人(40-75歳)と閉経女性1万2786人(75歳まで)の計1万8645人(平均年齢61歳)。
うち、冠疾患歴有りは3664人(2次予防群)、冠疾患歴無しは1万4981人(1次予防群)だった。
対象者にはプラバスタチン10mg/日またはシンバスタチン5mg/日を投与し、管理不良の場合には用量をそれぞれ20mgと10mgに増やした。食事指導も行った。

そして、スタチンと共に高純度EPAカプセルを1日3回食後に摂取(1日用量1800mg)するEPA群(9326人)、または、スタチンのみの対照群(9319人)の2群に無作為に割り付け、かかりつけ医が平均4.6年追跡した。

主要エンドポイントは、主要な冠イベントとした。その内訳は、心臓突然死、致死的または非致死的な心筋梗塞、それ以外の非致死的なイベント(不安定狭心症、血管形成術、ステント留置、冠動脈バイパス術)だ。

追跡の結果、主要な冠イベントが発症したのはEPA群262人(2.8%)、対照群324人(3.5%)、Kaplan-Meier曲線に基づくハザード比は0.81(95%信頼区間0.69-0.95)で、相対リスク減少率は19%(P=0.011)。

1次予防群では、ハザード比0.82(0.63-1.06)で、EPAによるリスク減少傾向は認められたが差は有意にならなかった。
2次予防群では0.81(0.657-0.998)で有意差があった。
またEPA群で有意に減少したのは不安定狭心症(24%減少)と非致死的冠イベント(19%減少)で、いずれも非致死的なイベントだった。
心臓突然死(1.06、0.55-2.07)と致死的心筋梗塞(0.79、0.36-1.74)には有意差はなかった。

ベースラインの交絡因子候補に基づいて患者をサブグループに分け、EPAの効果との関係を調べた。
年齢、性別、BMI、冠疾患歴、喫煙、糖尿病、総コレステロール値、トリグリセリド、HDL-C、LDL-Cのすべてについて、主要な冠イベントリスク減少との間に有意な関係は認められなかった。
著者らは、「EPAが、新たな作用機序を通じて、非致死的イベントを減らす可能性がある」と想定している。

なお介入開始から5年時の血漿EPA濃度は、対照群ではベースラインから変化なかったが、EPA群では70%上昇していた。

治療に関連する有害事象は、EPA群では4分の1の患者に、対照群では5分の1の患者に見られた。
有害事象による治療中止の頻度は、EPA群11.7%、対照群7.2%だった。

これらのことから著者らは、1800mg/日のEPAは、主要な冠イベント、特に、非致死的なイベントの予防において有望と考えている。

原題は
「Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolaemic patients (JELIS): a randomised open-label, blinded endpoint analysis」、
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200704/502936.html

 

出典 Nikkei Medical

版権 日経BP社

 

<2008.4.4追記 >

MEGA studyとともに,わが国で行われ2005年AHAのLate-Breaking Clinical Trialsに選ばれた冠動脈疾患予防の大規模臨床試験である。特徴は高LDL血症を対象としているので全員にスタチン系薬剤が用いられており,その上でイコサペント酸エチル(EPA)を使用した群とそうでない群を比較した試験であり,EPAの効果をみたということができる。従来,魚油が心筋梗塞予防に効果があることは,疫学的にも介入試験でも証明されており,3つの試験のメタ解析でも有意な動脈硬化予防効果を示していた。本論文は純粋なEPAにその効果があることを示しており,これまでの試験の中核となる部分を証明したという意味で評価できる。薬剤としての有効性という面と,食のエビデンスという意味で意義深いものと考えられる。
JELIS 
Japan EPA Lipid Intervention Study
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002357.html
(寺本先生のJELIS に対するコメントです)

<2008.4.11追記>
n-3系脂肪酸(EPAなど)摂取量と心筋梗塞の関連についてはCirculation:113(2)195-202,2006の研究があります。
摂取量mg/日(危険度)は
300(1.0), 600(0.7), 900(0.59), 1300(0.59), 2100(0.35)
という結果でした。
JELISでは1800mgでしたからエパデールS900×3回の2700mgのデータも知りたいところです。
添付文書でのS600とS900の使い分けも今一つはっきりしません。
(高脂血症には1800mg、トリグリセライドの異常を呈する場合には、その程度により、2700mgまで増量できる)

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