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長期予後の大規模調査が必要
循環器健診への課題
日本大学総合健診センターの久代登志男所長は「本学会では今年から画像と生理機能検査の精度管理を開始するが,今まで循環器健診については外部はおろか内部精度管理も十分に行われていなかった」との現状を指摘,心血管疾患の発症リスクに応じた健診項目の選択と,その結果が健康増進にどのくらい役に立ったかを検証するシステムの構築が早急の課題であると述べた。
共通の問診票で自覚症状を評価
久代所長は,循環器健診への精度管理が進まない現状を指摘したうえで,「循環器疾患は問診と診察で7〜8割は診断できると言われている」として,自覚症状を的確に把握する問診表の見直しや適切な身体所見の評価法,血圧測定の方法などを具体的に提示した。
自覚症状を正確に把握する方法の1つとして,狭心症,失神,動悸,息切れについて同学会の循環器問診検討委員会で作成した問診票を紹介した。
例えば胸痛に関する設問は,症状がいつごろからあり,どのくらいで消えたか,どんなときに生じたかなど9項目あり,症状の発生部位はイラストに示された番号を選ぶだけの答えやすい形になっている(表)。

しかし,「このような問診票により定型的な狭心症を見逃すことは少なくなるが,わが国で増えている50%未満の軽度狭窄を伴うプラークの破裂で起こる急性心筋梗塞を事前に発見するには,問診,運動負荷試験などは有用でない」と限界も示した。
また,「動悸,失神,息切れについては,共通のフォーマットで自覚症状を評価できれば,健診精度の向上に有用であり,現在日本大学病院で信頼性について検討中であり,今年度中に公表したい」とした。
血圧測定に関しては,「坐位で背もたれを使用しなかったり,下肢を組んだりすると筋肉が緊張して血圧は6〜8mmHg高く測定される可能性がある」などの問題があり,日本循環器管理研究協議会と米国心臓協会(AHA)の勧告に従って測定すべきだとした。
白衣性高血圧の存在も広く知られているが,同所長は家庭で測定する血圧にも問題があることを指摘。
30人を対象に家庭で血圧の自己測定をしてもらった結果,本人が報告した血圧が血圧計のメモリーと一致していたのは6人だけで,他の24人の報告はメモリーと一致しないデータだったことを報告した。
24人の内訳を見ると,何度も測定して,そのなかから低い値を選択して報告した人が最も多く,実際のメモリーと異なる値を記録した人,一度も測定しないで記録した人もいた(図)。

これについて,同所長は「うそをつくというより,実際よりよく見せたいと考えてしまう人間のさがのようなものだと思う。
健診施設で測定する血圧は客観的なデータであるが,一時点の血圧である。今後健診の場で家庭血圧を血圧評価にどのように応用すべきか検討する必要がある」と述べた。
安静時心電図については,同所長が実施した全国労働衛生団体連合会の調査結果から「自動解析の精度が向上し,心電図診断自体よりも所見の病的意義とその後の対応方針が施設で大きく異なっている」ことを示した。
「心電図所見だけでなく,受診者の自覚症状や病歴,危険因子などと併せて循環器疾患のリスク評価を行い,方針を決めるべきである。
そのためには,健診受診者についての大規模調査によるデータ構築が必要である」とした。
また,同調査では心電図で異常が見られ要精査とされた1万942人を対象に事後処理がどのように行われたかを追跡したところ,精査確認を行ったのは10.6%,最終診断を確認したのは2.8%にすぎなかったことを提示。
「心電図所見から精査を勧めても,最終診断と予後調査が行われていなければ,健診の有用性を検証することができない」と述べ,「健診で問題ありとされた人にきちんと指導や治療を行い,その効果を評価することが必要。エビデンスに基づいたよりよい健診システムを構築することが重要である」と結論付けた。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4109121&year=2008
<コメント>
文中にあるように、安定狭心症から心筋梗塞に移行する症例は以前考えられていたようには多くないようです。
したがって、健診でACS発生を未然に予知することには限界がありそうです。
さらに健診では一般的に心電図の際に運動負荷は行われません。
なおさら予知は難しそうです。
急性冠症候群の予知マーカー
http://www.kessen-junkan.com/2005061302/20.pdf
冠動脈プラーク不安定化を検出するマーカーとしてpregnancy.associated plasma protein-A (PAPP.A),placental growth factor (PLGF)などが提唱されている。
心筋梗塞発症,心事故発症の予知因子として重要なマーカーとして注目されており,冠動脈プラーク崩壊に伴い上記マーカーが上昇すると報告されている。
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