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昨日の続きです。
一方,腎髄質では傍髄質糸球体の輸出細動脈から分枝した直血管より血流が供給されますが,腎髄質のなかでも腎皮質に隣接する髄質外帯には太いヘンレ係蹄上行部が位置しており,元来,低酸素状態に陥りやすく,腎臓のなかで最も障害を受けやすい部位と言えます。
また,皮質表在糸球体では傍髄質糸球体の輸入細動脈に比べアンジオテンシンII(A II)の作用をより強く受けることから,RA系の亢進による障害を受けやすいことが知られています。
以上から,微量アルブミン尿がCVDの予測因子と考えられるのは,微量アルブミン尿が腎臓に限らずその他の臓器においても,最初に血管障害が現れるであろう"Strain Vessel"の傷害を結果的に反映するためと考えています。
また,腎臓では高血圧とRA系の亢進により障害を受ける主たる部位がそれぞれ異なるということも重要です。
つまり,腎保護のためには厳格な降圧とRA系の抑制の両方が不可欠であると言えます。
オルメサルタンによる抗炎症および抗酸化への関与
筒井
私たちは高血圧患者13例を対象にオルメサルタン20mg/日を開始用量として12週間投与し,冠動脈における内皮依存性の血管拡張反応について検討しました。
PETを使って寒冷昇圧試験前後の心筋血流を測定した結果,オルメサルタンによる血管抵抗の有意な低下が認められました。
また,種々の生化学マーカーについて検討した結果,オルメサルタンは炎症マーカーである血中IL-6を低下させるとともに,抗酸化作用を有するスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)を増加させ,SODの増加と冠血管抵抗の減少には有意な相関が認められました(図3)。

以上の結果から,A IIによる活性酸素種の産生が血管内皮機能障害に関与していると見られ,オルメサルタンがこれを改善したと考えられます。
Ruilope
欧州で実施された臨床試験EUTOPIAでも,高血圧患者においてオルメサルタンが種々の炎症マーカーを低下させており(図4),筒井先生の臨床研究の結果とも合致していると思います。

微量アルブミン尿に関する臨床試験ROADMAP―オルメサルタンの優れた降圧効果とRA系抑制作用
伊藤
オルメサルタンは,ARBのなかでもAT1受容体への結合が強く,降圧効果に優れた薬剤です(図5)。

CKDの視点からCVDの抑制を考えた場合,特に適した薬剤と思われますが,いかがでしょうか。
Ruilope
オルメサルタンの効果を検証するために欧州では現在,臨床試験ROADMAPが進行中です。
ROADMAPは,心血管系危険因子を少なくとも1つ以上有する正常アルブミン尿の2型糖尿病患者4,400例を対象にオルメサルタン40mg/日またはプラセボを投与し,微量アルブミン尿の発症,さらに心血管系イベントの発生がどの程度抑制されるか否かについて検討しています。
ACE阻害薬による同様の臨床試験にBENEDICTがありますが,その際は必ずしも十分な降圧は得られませんでした。ROADMAPではオルメサルタンの優れた降圧効果とRA系抑制作用のダブル効果が期待されており,理論的には従来を超える結果が予想されます。
糖尿病患者ではCKDが多いことが知られていますが,それは,腎臓のRA系が亢進していることや高血圧の合併例が多いためで,伊藤先生のご説明とよく合致します。
伊藤
2型糖尿病患者においてARBが微量アルブミン尿から顕性腎症の進展を抑制することはすでに報告されていますが,微量アルブミン尿の発症自体をエンドポイントとするROADMAPは,"Cardio-renal Continuum"の初期の段階で危険因子を抑制した場合の有用性を問うものであり,微量アルブミン尿だけでなく,それに続くほかの標的臓器障害の保護という意味も含んだ非常に重要な試験と考えます。
オルメサルタンについては,このROADMAP以外にも,2型糖尿病患者における顕性腎症の進展抑制への影響を検証するORIENTが日本人を主とするアジア人で現在進行中であり,ともに結果が期待されます。
Medical Tribune 2008.2.21
版権 メディカル・トリビューン社
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今日明日「心腎連関」の復習(?)をしてみます。
特別企画
鼎談 心腎連関
臓器障害の連続性を考慮した降圧治療
糸球体濾過量(GFR)の低下や蛋白尿,微量アルブミン尿の存在などによって診断される慢性腎臓病(CKD)が,心血管系疾患(CVD)の独立した危険因子であることが明らかになり,CVDの発症抑制および早期治療の必要性が提唱されている。
CVD発症を包括的に抑制するには,高血圧治療においてもCKDを視野に入れた治療が必要であり,AT1受容体拮抗薬(ARB)オルメサルタン メドキソミル[以下オルメサルタン](オルメテックR)にはその役割が期待される。
そこで,CKDを念頭に置いた降圧治療におけるオルメサルタンの効果ならびに可能性について,腎臓・高血圧および心臓を専門とする3名の先生方にお話しいただいた。
伊藤 貞嘉 氏(司会) 東北大学大学院医学系研究科腎・高血圧・内分泌学分野教授
Luis M. Ruilope 氏 Head of the Hypertension Unit, 12 de Octubre Hospital(マドリード,スペイン)
筒井 裕之 氏 北海道大学大学院医学系研究科循環病態内科学教授
"Cardio-renal Continuum(心腎連関)"の3段階
伊藤
心臓と腎臓が機能的に密接に関連していることは従来より
知られていましたが,CKDがCVDの独立した危険因子であることが近年明らかにされてきました。
本日はこの心腎連関について,お話を伺いたいと思います。Ruilope先生は心腎連関をどのように位置づけていらっしゃいますか。
Ruilope
ハーバード大学のVictor Dzau先生が1991年に提唱した"Cardiovascular(CV)Continuum"(心血管系疾患の連続性)という概念は,循環器領域の先生方には,広く知られています。
これは,CVDには,危険因子を有するのみの段階から始まって,動脈硬化の進展,心筋梗塞(MI),さらには心不全から死に至る連続性があることを示しています。
その連続性の研究において新たに明らかにされたのがCKDの関与です。"CV Continuum"は今や"Cardio-renal Continuum(心腎連関)"と言い換えることができます(図1)。

"Cardio-renal Continuum"は大きく3つの段階に分けられます。
最初の段階は危険因子が認められるだけの時期であり,この段階で治療を開始すればその後の標的臓器障害を「予防」(PREVENT)することが可能です。
第2段階は無症候性に標的臓器障害が進展する時期であり,これをいかに「退縮」(REGRESS)させるかが重要な課題です。
この段階では,微量アルブミン尿,左室肥大,頸動脈肥厚などの標的臓器障害は治療により改善可能であり,それによってその後の心血管系イベントの発生を抑制できることが示されています。
第3段階は動脈硬化が進展し, MI,脳卒中,一過性脳虚血発作,狭心症などイベントとして顕在化してくる時期で,心血管系イベントの発生を「予防」するというよりも,いかに「遅延」(RETARD)させるかがより現実的な課題です。
中等度のGFR低下で心血管系リスクは上昇
伊藤
筒井先生は心臓専門医のお立場から心腎連関をどのようにお考えですか。
筒井
エビデンスとして特に興味深かったのが,MI後で左室機能が低下した患者を対象に実施されたVALIANT試験のサブ解析結果です。
従来,MI後の心血管系リスクは,冠動脈病変の重症度や左室機能などによって規定されることが知られてきましたが,それら以外にGFRが予後に大きな影響を与えることがわかり,中等度のGFR低下が心血管系リスクを上昇させることが明示されました。
また,心不全患者でも同様の結果が得られています。
私たちが行っている慢性心不全の増悪による入院患者を対象とした登録観察研究(J-CARE-CARD)で,eGFR60mL/分/ 1.73m2未満の症例が約70%を占めていました。
GFRの低下している患者はより高齢で,心不全の原因として虚血性心疾患や高血圧が多く,合併症は高血圧,糖尿病,高尿酸血症のほか,脳卒中や貧血が多いことがわかりました。
そして,GFRの低下している群ほど院内死亡率が高く,GFRはその独立した危険因子であることが認められました。
また,GFRが低下している慢性心不全患者では長期予後が不良であることも報告されています。
"CV Continuum"では,いずれの段階にもレニン・アンジオテンシン(RA)系が関与しているとされ,RA系を抑制するACE阻害薬やARBは腎保護作用を有すると言われています。
しかし,私たちのこの登録観察研究では,GFRが低下している患者ほどACE阻害薬やARBの使用率が低く,逆にCa拮抗薬の使用率が高くなっていました。
伊藤
ACE阻害薬やARBが敬遠されたのは,GFRがさらに低下したり,血圧が下がり過ぎることが警戒されたのかもしれません。しかし,腎保護にとっては厳格な降圧とともにRA系の抑制がきわめて重要です。
ACE阻害薬やARBによるGFRの低下は腎臓にとって必ずしも悪いことではなく,腎機能の低下した症例においてRA系の抑制が有用であることが報告されています。
RA系抑制薬の投与によりGFRが一時的に低下しても腎機能の改善によりやがてGFRが回復することが考えられます。
したがって,腎臓内科専門医への相談が条件となりますが,むしろ腎機能低下例にこそRA系抑制薬を投与すべきであると考えています。
腎臓と心血管系の障害には"Strain Vessel"の傷害が共通―腎保護には厳格な降圧とRA系抑制の双方が不可欠
伊藤 腎臓には心拍出量の20%,毎分1Lの血液が流入し,糸球体内を50mmHgもの高い圧で灌流します。通常の毛細血管では10~15mmHgですから,それがいかに高い圧かがわかります。
そのため,全身の血管に異常がある場合,最初に障害を受けるのは腎臓であり,微量アルブミン尿がCVDの予測因子と考えられています。
しかし,アルブミンは正常の糸球体内皮細胞でも透過しますから,糸球体内皮細胞の異常によって微量アルブミン尿が生じているとは限りません。
微量アルブミン尿とCVDには糸球体内皮細胞の異常とは別の共通する病態があると考えています。
腎臓では皮質と髄質の境界を走る弓状動脈から皮質表層に向かって多数の小葉間動脈が分岐しています。
これらの小葉間動脈から輸入細動脈が分枝して糸球体に至り,糸球体から輸出細動脈が出ていきます。
弓状動脈では全身血圧と同等のおよそ90mmHgの圧がかかっていますが,糸球体内圧は自動調節能によって50mmHgに維持されています。
このため,弓状動脈から近い傍髄質糸球体の輸入細動脈は大きな負荷を受け,かつ強く収縮しています。
高血圧になると傍髄質糸球体輸入細動脈がまず傷害され,自動調節能は破綻し,糸球体高血圧から過剰濾過となり尿中にアルブミンが漏出します。
一方,表在糸球体は小葉間動脈を介して徐々に圧力が低下するために傷害が遅くなるため,全体の尿中に出てくるアルブミンは少量となります。
私たちは傍髄質糸球体輸入細動脈のように高い圧を受け,緊張度の高い細血管を"Strain Vessel"と呼んでおり,腎臓と心血管系の障害に共通の病態だと考えています(図 2)。

Medical Tribune 2008.2.21
版権 メディカル・トリビューン社
<参考 "Strain Vessel" >
大脳辺縁系の出血中大脳動脈の穿通枝からの出血で、頻度としては最も多い。
全体の70%を占め、うち被核からが40%、視床からが30%である。
この2ヶ所からの出血が多いのは、中大脳動脈という太い動脈から急激に細い動脈に変化するからである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B3%E5%86%85%E5%87%BA%E8%A1%80
<自遊時間>
あるブログを覗いてみました。
Back To The Street ふろむ診療所
(教授の定年退官記念祝賀会に思う)
http://blog.m3.com/BackToTheStreet/20080319/1
第二の医療崩壊と言われる医学界崩壊が直ぐそこまで来ているそうだ。僕が留学した時期に比べ、例えば生化学領域での研究者の数は33%にまで減少しているそうだ。恐らくほとんどの基礎医学領域の研究者は新臨床研修制度の開始後に半減していると思われ、産科や外科の減少率より悲惨だと思う。
もはや日本は学問で世界と戦うことを完全に諦めてしまったかのようだ。文系が支配するということは悲しいことだと思う。日本は二流国家へゴロゴロと転がっていっているようだ。
引用させていただいた先生にはおこわりのコメントを入れさせていただきました。
<コメント>
奇しく同じ日に同じようなことを私の別ブログで紹介させていただきました。
基礎研究者の壊滅が将来の医学界の崩壊に
http://wellfrog.exblog.jp/d2008-03-19
他に
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過去数十年間にわたる研究者らの努力で、総コレステロール値の低下という目標はほぼ成功している。
米防疫センター(CDC)によると、2005~06年の調査で米国成人の平均コレステロール値は、過去50年間で初めて 200mg/dLを下回った(JAMA2008;299:509~510)。
最大の要因は、高コレステロール血症に対するスタチン療法で、結果的に動脈疾患が約30%減ったという。
しかしながら現在、最大の課題となっている善玉(高比重リポ蛋白:HDL)コレステロールを増やし、しかも忍容性が良好で安全性の高い薬剤開発は、実現していない。
薬剤の副作用が課題
「HDLコレステロール値と心血管リスクに負の関連が存在するのは、疑いの余地がない」とCleveland Clinic財団心血管医学部門長のSteven E. Nissen は言う。
例えば、運動や減量、禁煙などの生活習慣を見直すことで、HDL コレステロール値はわずかながら改善する。
また、ニコチン酸(ナイアシンまたはビタミンB3)とフィブラート系薬剤などHDLコレステロール上昇作用のある薬剤も知られている。
ただし、これらの薬剤は副作用などの改善が必要だ。
ナイアシンはとりわけHDL-コレステロール値の上昇効果が高い薬剤だが、顔面潮紅(有害作用)のために第1選択薬にならない、とWashington大学循環器学教授のB. Greg Brown は指摘する.
「ナイアシンを処方された患者の約20~30%は顔面潮紅のため服用をやめてしまう」とBrownは言う。
「顔面潮紅を訴える患者のケアに時間をとられたくないと、最初から処方しない医師もいる」。
ビタミン剤の処方にさえ消極的な医師を考慮し、現在進行中の臨床試験では、徐放型ナイアシン製剤(顔面潮紅のリスクが低い)とスタチンの併用療法が評価されている。
スタチンとの配合剤
SEACOAST試験(Safety and Efficacy of a Combination of Extended-Release Niacin and Simvastatin in Patients With Dyslpidemia)は、HDLコレステロール値以外の数値が高い患者600人以上を対象にした24週にわたる無作為化、二重盲検試験だ。
使用された薬剤(Simcor) は、シンバスタチンと徐放型ナイアシン(Niaspan)を一定の用量で配合した試験薬だ。
試験でSimcorを投与された患者群はシンバスタチン単独投与群に比べ、より大きなHDLコレステロール値の改善効果が得られた; HDLコレステロール値の上昇率はシンバスタチン単独投与群が7%だったのに対し、徐放型ナイアシン/シンバスタチンの1,000mg/20mg配合剤群はさらに18%、2,000mg/20mg配合剤群はさらに25%もアップした。
「単に総コレステロール値を下げるだけでは十分とは言えない。この配合剤はそれらの患者に対する新たな治療選択肢として有用だと考える」とSEACOAST試験責任者でMethodist DeBakey心疾患センター・心血管疾患予防センター所長のChristie M・Ballantyneは述べる。
現在、ナイアシン・スタチン併用療法の大規模臨床試験が3件実施中で、その結果が明らかになる数年後には治療戦略が変わる可能性もある。
Brownが行っているAIM HIGH試験(Niacin Plus Statin to Prevent Vascular Events trial)では、既存の血管疾患およびアテローム性脂質代謝異常を有する患者6,600人を無作為にシンバスタチン単独投与群もしくは徐放型ナイアシン・シンバスタチン配合剤投与群に割り付け、中央値で4年間追跡する計画だ。
併用療法で、最初の主要心血管イベント発生が遅れるかどうかが評価される。
もう1つは、英国、中国、スカンジナビア諸国で実施されているHPS2-THRIVE試験(Treatment of HDL to Reduce the incidence of Vascular Events study)だ。
顔面潮紅の症状発現を抑制する新薬(MK‐0524A、Merck社)とナイアシンの件用療法が、心血管リスクを下げるかどうかを検証する。
対象患者として、すでに先行治療により低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値が十分改善している約20,000人が登録される。
3つめの試験は、ACCORD試験(Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes trial)の1群に実施されるサブスタディーだ。
AOCORD試験に参加している2型糖尿病患者10,251人の一部を追跡する。
血糖コントロールが良好な患者で、フィプラート系とスタチン系の薬剤を併用して、HDLコレステロール値を上昇させ、トリグリセリドとLDLコレステロールを低下させた時、LDLコレステロールだけを低下させるスタチン単独療法との比較で、心血管イベント発生率が低下するかどうかを検証する。
MMJ 2008 vol.4 No.3
版権 毎日新聞社
<関連サイト>
Abbott's Investigational SIMCORR Offers Comparable LDL Lowering to Simvastatin and Significantly Raises HDL and Lowers Triglycerides in Phase III Study
http://www.abbott.com/global/url/pressRelease/en_US/60.5:5/Press_Release_0540.htm
In fact, a recent post-hoc analysis of 9,770 patients from the Treating to New Targets study, published in the New England Journal of Medicine, concluded HDL levels were predictive of major cardiovascular events in patients treated with statins, and also observed in patients with LDL levels below the National Cholesterol Education Program's most aggressive target of 70 mg/dL.
SIMCOR Additional Efficacy
http://www.simcortablets.com/for-healthcare-providers.aspx
MK0524A Phase IIb Study
http://clinicaltrials.gov/ct2/show?intr=%22Nicotinic+Acids%22&rank=20
New Combination Drug Improves Multiple Cholesterol Disorders in Single Pill
http://fathappens.com/news/view_ndb1c8eefd4c5a67836b3fae3587b3092/
http://www.docguide.com/news/content.nsf/news/852571020057CCF68525738A007535A8#
AIM-HIGH
http://www.aimhigh-heart.com/overview.shtml
STUDY COMPARES NIACIN PLUS STATIN VS. STATIN ALONE TO DELAY HEART DISEASE
http://www.umm.edu/news/releases/niacin_statin.htm
Niacin/Simvastatin Combination More Effective Than High-Dose Simvastatin
http://www.medscape.com/viewarticle/556549_4
<コメント>
ACCORD試験はフィブラート系とスタチン系の薬剤の併用ということですが国内では併用は出来ません。
諸外国では併用しているのでしょうか。
また驚いたことに米国では成人の平均コレステロール値が200mg/dlを下回ったということです。
もっともスタチンの効果も大きいようですが、翻って日本の成人の平均コレステロール値はどのくらいなんでしょうか。
コレステロールに頓着しないメタボ狂騒劇の間に冠動脈疾患が増えなければよいのですが。
諸外国とは健康指導の方向性が違うようです。
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昨年のLancet誌に掲載された記事で勉強しました。
虚血プレコンディショニング(IPC)は1986年に提唱されたということで、20年以上前からの概念ということになります。
ここでは右側上腕を虚血状態にする"remote"なIPCを行っています。
術者に影響を与えることのない簡単な方法で、かつ片側の上腕だけという少ない虚血暴露のみで良好な心筋保護が得られたというものです。
PCIにも応用しようという考えは誰にも浮かぶアイデアですが、無効であると「解説」には書かれています。
冠動脈バイパス術施行患者の心筋障害に対するリモートプレコンディショニングは有益(無作為化対照試験)
Effect of remote ischaemic preconditioning on myocardial injury in patients undergoing coronary artery bypass graft surgery:a randomised controlled trial
背景
リモートプレコンディショニング(遠位虚血曝露;ある臓器の長時間の虚血イベントによる障害を防ぐため、遠隔臓器を虚血・再潅流状態に短時間曝露すること)が冠動脈バイパス術施行患者に有益かどうかはわかっていない。
リモートプレコンデイショニングがこれらの患者で心筋障害を減らすかどうかについて、無作為化単盲検化対照試験において検証した。
方法
待機的冠動脈バイパス術を受ける成人患者57人を麻酔導入後、リモートプレコンデイショニング群(n=27)もしくは対照群(n=30)に無作為に割り付けた。
リモートプレコンディショニングとして右側上肢に5分間の虚血曝露を3回実施した(上腕に自動加圧式カフを装着し、200mmHgまで加圧し5分間虚血、カフを減圧し5分間再灌流)。
血清卜ロポニンT値を術前、術後6,12,24,48,72時間目に測定した。
解析はintention-to-treatに基づいて行った。
結果
リモートプレコンディショニングにより、術後6,12,24,48時間すべてで血清トロポニンT値が有意に低下した(図)。
血清トロポニンT値の総曲線下面積は、対照群に比較してリモートプレコンディショニング群では43%減少した(P=0.005)。
結論
1カ所の3次医療施設で待機的冠動脈バイパス術を受けた成人患者において、上肢の一過性虚血によるリモートプレコンディショニングは有益な効果をもたらす可能性が示された。
中島千波 「晴和三春の瀧櫻」
http://page9.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/k50877363
解説
大きな利点のある療法だがさらなる知見が必要
加賀重亜喜(助教).松本雅彦(教授)
山梨大学医学部第2外科
”虚血プレコンディショニング(IPC)”は1986年にMurryらが最初に提唱した概念であり、先行する短時間の心筋虚血によってその後に生じる致死的な虚血性心筋障害が抑制される現象である。
内因性心筋保護作用として重要と考えられており、G蛋白を介したアデノシン受容体やカ
リウム感受性ATP(KATP)チャネルの関与が示唆されている。
IPCの臨床応用は、開心術時の間欠的大動脈遮断法や体外循環を用いない冠動脈バイパス術(CABG)時の一時的冠動脈遮断法として一部で行われてきたが、動脈硬化が強い場合には、間欠的大動脈遮断に伴う脳合併症のリスク上昇やバイパス血管吻合前の一時的冠動脈遮断の手技が侵襲的であるという問題がある。
今回実施された”リモートプレコンディショニング”はPrzyklenkが1993年に最初に報告した手法である。
イヌの冠動脈左回旋枝でIPCを実施した後、左前下行枝を1時間虚血後に再灌流した結果、非虚血プレコンディショニング心筋である左前下行枝領域の梗塞範囲が、対照群に
比べ小さくなり、心筋保護効果が認められた。
その後の研究で、心臓以外の臓器・組織(腎、腸、骨格筋)に短時間の虚血・再灌流操作を繰り返した場合にも同様な効果が示されている。
臨床応用では、小児の開心術時に下肢に巻いた血圧測定用カフの加圧・減圧(下肢筋組織の虚血・再灌流)により心筋保護効果が示された。
効果発現機序としてアデノシン、ブラジキニンなどの体液物質や神経系を介したシグナル伝達の関与が示唆されているがいまだ明らかではない。
本研究は待機的CABG患者をリモートプレコンディショニング(RIPC)群と対照群に分け、術後のトロポニンT値を測定し効果を評価したものである。
除外基準は80歳以上、不安定狭心症、左主幹部病変、肝・腎・肺疾患、上肢の閉塞性動脈疾患合併例である。
RIPCは麻酔導入後、執刀前に行っている。
RIPCは上腕に巻いた血圧測定用カフの加圧・減圧という簡便かつ非侵襲的な方法で行っている。
執刀前にRIPC操作が終わっているため手術手順に影響を与えず、外科医にとって受け入れやすい方法といえる。
IPCに関する最初の報告から約20年たち、実験的・臨床的に膨大な研究成果が得られてきたにもかかわらず、いまだに臨床面での普及がみられていない。
その理由として以下があげられる;
①間欠的大動脈遮断法に伴う脳合併症のリスク
②IPC操作による手術時間の延長
③プレコンディショニング作用のある薬物・麻酔剤の存在(薬理的プレコンデイショニング)
④高齢者では効果が弱い
⑤信頼性の高い臨床研究による一貫したエビデンスの不足
⑥臨床的に最も有効なIPC方法が確立していない。
低リスクのCABG施行患者では、心筋障害の指標となる術後のトロポニンT値、CKMB値の上昇は軽微であることが多く、本研究でも同様であったが、術後のトロポニンT値は対照群に比べRIPC群で有意に低くRIPCの効果が明らかとなった。
一方、その他の指標の推移はどうなのだろうか?
CKMB値の記述はないが、有意差があったのだろうか?
術後急性期の血行動態・心機能や中期・遠隔期の心事象(イベント)への好影響はみられたのだろうか?
本研究におけるプレコンデイショニングの方法は本研究におけるプレコンディショニングの方法はきわめて簡便で非侵襲的であるという大きな利点がある。
しかし、同様のプレコンディショニング法がPCI(経皮的冠動脈形成術)症例で無効だったとの報告もある。
開心術時の標準的な心筋保護手段として本法が定着するためには、まだ多くの知見が必要であろう。
原著 Hausenloy DJ,et al. Lancet 2007; 370: 575-579.
和訳ならびに解説 MMJ vol.4 No.2 2008
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心不全患者の入院件数を大幅に減少
〔ベルリン〕慢性心不全が進行した患者では,薬剤療法下でも繰り返し心機能の悪化が見られ,入院を余儀なくされることが多い。
こうした患者の外来治療を監視・適正化することが可能なカプセル型の新しい測定システムが,アーヘンとデュースブルクの研究グループにより開発された。今回のプロジェクトのリーダーであるアーヘン工科大学(アーヘン)応用医療技術科のThomas Schmitz-Rode教授は「新しい心臓カプセルは心ポンプ機能が低下すると速やかに警告を発するため,大幅な入院件数の減少とコスト削減につながる」と期待を寄せている。
小さなカプセルが大きな働き
Schmitz-Rode教授は「今後,予定されている開発が順調に成果をおさめれば,約 2 年後には進行した心不全患者に対する外来での持続的監視が可能となり,患者は自宅で自立した生活を送ることができるようになる」と説明した。
同カプセルの使用に際しては,まず,外来でカテーテルを用いて肺動脈分岐部に直径数ミリ程度の心臓カプセルを埋め込む。カプセルのセンサーにより測定された血圧と体温のデータは,マイクロトランスポンダーとマイクロアンテナを介して外部の読み取り装置に送信される。
その際,読み取り器からカプセルに対して無線でエネルギーが送られる仕組みとなっており,カプセルへのバッテリーの搭載が不要なことからカプセルの小型化が可能となった。
主治医は遠隔測定されたこれらのデータに基づき,コンピュータを用いて左室ポンプ機能を判定,早期に悪化を把握して治療法を選択することができる。
従来,これらのデータを得るには集中治療室での特殊なカテーテル検査が必要であったが,この新システムを用いれば,心循環機能の持続的監視が在宅で可能となり,検査のための来院は不要となる。
同カプセルの開発により,患者の生活条件が大きく改善される。
慢性心不全患者は,体力低下,呼吸困難,肺浮腫や下肢浮腫などに悩まされる。
初期にこれらの症状が現れるのは身体的負荷時に限られるが,病期が進行してしまうと,わずかな負荷(階段を昇るなど)や安静時にも現れるようになる。
疾患経過に伴い,例えば感染症などがきっかけとなって,繰り返し代償不全(心衰弱)に陥るようになり,入院治療を余儀なくされるのが一般的である。
しかし,この早期警告システムにより,家庭医は利尿薬の用量を増量するなどして,迫りつつある代償不全を回避することで,患者は入院の必要がなくなる。
アーヘン医療技術者センター(AKM,アーヘン)のChristoph Monfeld博士は「ドイツにおける心不全患者数は約180万人と内科疾患のなかでも多く,年間20?30万人のペースで増加している。
直接的・間接的に心不全に費やされるコストは医療費全体の約 3 %と推定されているが,心臓カプセルにより医療費は著しく削減されるだろう」と期待を寄せている。
心機能の低下を警告する心臓カプセル
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4108061&year=2008
Medical Tribune 2008.2.21
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
肺動脈に心臓カプセルという異物が挿入されるわけですから、当然肺梗塞の原因になりうると考えられます。
血栓が付着しなくても大なり小なりウエッジする可能性があるわけです。
要するに安全なデバイスか検証する必要があります。
われわれは今やBNPやNT-proBNPという心不全のサロゲートマーカーを既に手に入れています。
治療に直結するICD(植込み型除細動器)とは当然意味合いが異なります。
したがって、どれだけこのカプセルが臨床面で普及するかどうかは疑問です。

木下孝則 油絵4号「バラ」
http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s89934044?u=;ginza_kaigakan
<番外編>
胸痛の原因鑑別に新検査法
心筋梗塞の予防につながる
〔英リーズ〕リーズ大学臨床心臓病学のAlistair Hall教授らは,従来のトロポニン検査と比べて画期的に進歩した心臓損傷検査法を開発,これによって心筋梗塞を発症するリスクの高い患者の診断が容易になると American Journal of Cardiology(2007; 50: 2061-2067)に発表した。
脂肪酸結合蛋白質を検出
この検査法により,必要がないのに入院する患者が減少し,医療従事者は治療を最も必要とする患者に集中できるようになる。
Hall教授は「救急病棟では胸痛症状を示す患者を常に診察している。
最もリスクの高い患者群は診断が容易で,直ちに入院させている。
心筋梗塞を発症するリスクがない患者も,診断が容易である。
逆に診断に困難を伴うのはその中間の患者である。
通常,これらの患者は原因が解明されるまで24時間入院させる」と説明している。
最も一般的に利用されている診断ツールはトロポニン検査で,心臓損傷を検出,評価し,他の原因による胸痛との鑑別に用いられる。
原理的には,患者の血中にトロポニン蛋白質が存在すれば,心臓に問題があることを示している。
しかし,トロポニン検査は偽陰性と偽陽性のいずれの結果も出るため,必要がないのに入院する患者もいれば,誤って退院させられる患者もいるとしている。
英国心臓財団の助成により今回開発された新しい検査法では,心筋虚血に伴う心臓損傷後に血液中に放出される心臓由来脂肪酸結合蛋白質(H-FABP)を検出する。
同教授は「このH-FABP検査は,従来の方法に比べて大幅に進歩しており,心臓細胞死を検出する現在の検査よりも,より軽度かつ早期の段階で心臓損傷を検出することが可能と思われる」と述べている。
今回の研究の結果,最も救命治療を必要とする心筋梗塞患者の治療がより効率的になることが示された。
搬送中でも検査が可能
また,この検査により,数週間または数か月以内に発症する心筋梗塞の徴候となる胸痛が見られる患者も同定可能になる。
Hall教授は,これらの問題が事前に判明していれば,これまでより 3 か月間先行して予防ができるとしている。
今回の研究は,限られた資源の有効利用という点から厳しい決断を迫られている英国の国民保険制度下で行われた。この血液検査は,10ポンド(約2,250円)ほどの費用で救急隊員でも患者を病院へ搬送中に施行できる。
これによって,入院の必要のない人を早期に帰宅させることが可能となる。
同教授は「今回の研究結果は,患者と医療従事者に真の便益をもたらすものだと非常に期待している」と述べている。
英国心臓財団の医療部長で同大学のPeter Weissberg教授は「現在,胸痛患者の心臓損傷を調べるには心電図(ECG)や血液検査などに依拠している。
今回の血液検査法により,心臓損傷を早期の段階でより正確に診断することが可能になると見られる。
今後の研究によって,現在の検査法に対するこの検査法の優位性が確認されれば,さらなる問題を予防するため診断法を改善し,集中的な検査と治療を必要とする患者を同定できるであろう」と述べている。
Medical Tribune 2008.2.21
版権 メディカル・トリビューン社
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スタチンと冠動脈プラークの退縮。
以下の特集では特に目新しい話は余りありませんが、結果がすでに出た臨床試験、そして国内で進行中のJAPAN-ACSが紹介されています。

中村宗弘 「富士雪林」 日本画2号
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t66424282?u=;ginza_kaigakan
特別企画
冠動脈疾患予防の治療戦略シリーズ2/循環器専門医に聞く
冠動脈プラークの退縮と薬物療法
尾崎 行男 氏 藤田保健衛生大学 循環器内科 教授
わが国の冠動脈疾患(CAD)患者数は,生活習慣の欧米化に伴い増加の一途を辿っている。
その最たる要因の1つに,血清脂質値の上昇がある。
ここ40年間で,日本人の平均総コレステロール値は30mg/dL以上も上昇した。
また,糖尿病,高血圧症などの複数のリスクファクターを保有する,冠動脈疾患のハイリスク患者も急増している。
こうしたなか,強力な脂質低下作用を持つストロングスタチンに熱い視線が向けられている。
海外では十分なエビデンスを持つストロングスタチンは,日本人にも同じく有用と考えてよいのかどうか,その可能性について尾崎行男氏にお聞きした。
スタチンによるプラークの安定化は"vulnerable patient"に対する重要な治療戦略の1つ
1977年に経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)が開始されて以来,CADの治療技術は急速に進歩し,1986年に冠動脈ステント,1999年に薬剤溶出性ステント(DES)が使用されるようになると,治療成績は飛躍的に向上した。
しかし,急性心筋梗塞(AMI)の死亡率は約30%と今なお高い。
AMIを含む急性冠症候群(ACS)の発症原因の70%近くは,"不安定プラーク(vulnerable plaque)の破綻"とそれに引き続く血栓形成とされる。
そのため,AMIによる死亡率の低下には,複数の"vulnerable plaque"を持ち,血液凝固能が亢進し,危険な不整脈が出やすい,いわゆる"vulnerable patient"の早期診断と治療が必要で,PCIによる局所病変の早期治療,生活習慣の改善,抗血小板薬による血液凝固能の正常化とともに,スタチンによりプラークの安定化を図ることが,治療戦略としてきわめて重要である。
CAD患者のLDL-コレステロール値は下げれば下げるほどよい
スタチンによるプラークの安定化とその使用意義は,さまざまなエビデンスにより裏付けられており,スタチンは現在,CAD患者の治療に欠かせない薬剤の1つとなっている。
4S試験をはじめとする1990年代に行われた一連のスタチン介入試験では,血清脂質値,特にLDL-コレステロール(LDL-C)値の上昇がCAD発症リスクと強力に相関し,その是正をもたらすスタチンが優れたイベント抑制策となることが明らかになった。
さらに,ストロングスタチンの登場によりコレステロール低下療法の限界が大きく塗り替えられたことを受け,今世紀初頭からはストロングスタチンを用いた「積極的コレステロール低下療法」の意義を問う大規模試験が相次いだ。
例えば,CAD患者654例を対象に,冠動脈プラーク容積の変化を血管内超音波法(IVUS)によって評価したREVERSAL(2004)では,プラーク容積が18ヵ月で平均2.7%増加した標準的コレステロール低下療法群に対し,積極的コレステロール低下療法群におけるプラーク容積はむしろ進展が抑制される結果(-0.4%)であった。
また, ACS患者約4,000例を対象に,REVERSALと同じ薬
剤を用いて標準的コレステロール低下療法と積極的コレステロール低下療法のイベント抑制効果を比較したPROVE IT(2004)では,積極的コレステロール低下療法群のイベント発生率が標準的コレステロール低下療法群に比して有意に16%低いという結果が得られた。
すなわち,CAD発症の原因となるプラークの進展抑制あるいは退縮をもたらし,さらには心血管イベントの抑制を達成するためには標準的なコレステロール低下療法では不十分であり,ストロングスタチンによる積極的なコレステロールの低下を図る必要があるものと考えられる。
ピタバスタチンを用いた積極的コレステロール低下療法により,日本人でもプラークが退縮
積極的コレステロール低下療法の意義を検討した海外のデータは数多くあるが,生活習慣,医療環境,体格,遺伝的素因の異なる欧米人を対象として実施された海外の試験データを日本人の治療にそのまま反映させることにはまだ議論の余地があり,日本人のエビデンスを構築することが必要となる。
日本においてはスタチンによる心血管イベント抑制のエビデンスは存在しないが,サロゲートマーカーとしての評価が高まっているIVUSによる冠動脈プラーク評価を行った研究として,順天堂大学の代田先生のグループによりESTABLISHが2004年に報告された。
この研究において,ACS患者に対する積極的コレステロール低下療法によるプラーク容積の有意な退縮が報告されている。
一方,われわれもPCIを施行したCAD患者を対象に,ストロングスタチンであるピタバスタチン(2mg/日)を用いた研究を行った。
ピタバスタチンを投与した41例の患者(ピタバスタチン群)と,年齢・背景因子が一致する食事療法施行患者41例(コントロール群)を約9ヵ月にわたって追跡し,IVUSを用いてプラーク容積の評価を行った。
その結果,ピタバスタチン群のLDL-C値は132.5mg/dLから87.4mg/dLに低下し(p<0.001;図1-A),これに伴い10.6%ものプラーク容積の有意な退縮を認めた(p<0.001;図1-B,C)。
日本人による,日本人のための大規模な前向き比較試験・LAPAN-ACSがまもなく公表される
このように国内ではいくつかの臨床研究の結果が集積されつつあるなか,日本人における積極的コレステロール低下療法の意義をさらに明確にし,冠動脈プラーク退縮に寄与する因子を明らかにすることを目的としてJAPAN-ACSが計画された。
本研究は全国37施設が参加し,約300例の日本人患者を対象とした多施設共同前向き比較試験である。
対象は,ACS治療のためにPCIを施行された高コレステロール血症患者であり,ピタバスタチン群(4mg/日)またはアトルバスタチン群(20mg/日)に無作為に割り付け,8~12ヵ月の治療に伴うプラーク容積の変化をIVUSにより追跡するというものである(図2)。

本試験は共同研究者の努力によりエントリー期間を全く延長することなく予定症例数が集まり,その後昨年10月に追跡を終了し,まもなくその結果が発表される予定である。
日本人による,日本人のためのエビデンスがCAD治療に加わることになり,その結果に期待が集まっている。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41110301&year=2008
Medical Tribune 2008.3.13
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
4S
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2000096.html
コレステロールの低下による冠動脈イベントの抑制効果は判明していたが,総死亡に対する影響は必ずしも明確ではなかった。心血管イベントによる死亡が最も多い地方で,コレステロールを25%低下させるという強力な治療により,はじめて総死亡の抑制を証明したランドマーク的な試験である。(寺本)
REVERSAL
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2001726.html
動脈硬化予防のためのガイドラインにはLDL-Cの管理目標値が提示されているが,十分な検証がなされていなかった。本試験でプラバスタチン40mg/日投与群が対象に選ばれた理由は,すでにプラセボを対照とした本治療法でイベント抑制やアテロームの進展抑制効果が証明されているからである。本試験は,このようなプラバスタチン投与群(LDL-C:110mg/dLに低下)に対してアトルバスタチンによる強力な治療(LDL-C:79mg/dLに低下)がアテローム進展という立場から優位性があるか検討した試験である。結果的には,強力な治療でLDL-Cを80mg/dL以下にすることでアテローム進展が完全に抑制できたという点で,LDL-Cの管理目標値の設定には大きな影響を与えるものと思われる。一方,プラバスタチン群との比較で高感度CRPの低下の程度がアトルバスタチン群でより大きく,これがアテローム進展抑制に有効であったという可能性が指摘されている。しかし,両群間におけるLDL-Cの低下の程度が異なることを考慮すると,その評価は困難と思われる。(寺本)
PROVE IT-TIMI 22
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2001727.html
本試験は,本来ACS直後では,プラバスタチンによる標準的治療(LDL-C:95mg/dLに低下)がアトルバスタチンによる強力な治療(LDL-C:62mg/dLに低下)に対してイベント発症に差がないのではないかということで組まれた試験である。結果としては,やはりリスクの高い群ではLDL-Cは下げればそれだけ効果があることが実証されたことになる。また,極めて早期にその治療効果があったということからACS直後からの治療が重要であることを示したと言える。4162人という大規模で行われ,その信頼性は高く,今後の管理目標値の設定に影響を与えそうである。ただし,ベースラインのLDL-Cが125mg/dL未満の群では両治療群の間には有意な差が見られないことから治療開始基準については今後の課題になりそうである。(寺本)
ESTABLISH
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002297.html
本試験はわが国で行われたいわゆる二次予防試験である。血管内超音波法(IVUS)でのプラーク容積を評価項目としているため,少数例でも統計学的に有意差を出しえたものと考えられる。対照群ではプラークの進展が見られたのに対し,強力にLDL-Cを低下させることが動脈硬化進展抑制効果を発揮することを示したことは,極めてインパクトのある結果である。一つはLDL-Cを70mg/dLまで下げることがプラーク進展を抑制すること,第二にLDL-Cが125mg/dL未満でも治療することの意義を示したということで,2004年に発表された米国のNCEP ATP IIIのレポートにおけるLDL-C 70mg/dL以下を治療目標値にすることも一つの選択肢であるとしたレポートを支持するものである。また,現在はわが国の保険制度では認められていないLDL-C 125mg/dLでも高脂血症治療をする意義を示したという点で,今後の治療基準にも影響を与える結果ととらえることができる。(寺本)
JAPAN-ACS
http://www.japan-acs.or.jp/
JAPAN-ACS試験の概要
http://www.japan-acs.or.jp/summary.html
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。
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薬剤溶出ステント 費用に見合う価値は低い
主要心血管イベントの発生率は従来型と同等
〔ニューヨーク〕 バーゼル大学病院(スイス・バーゼル)心臓病学のHans Peter Brunner-La Rocca博士らは,主要心血管イベントリスクが高い患者と低い患者で薬剤溶出ステントの費用効果を調べるバーゼル・ステント費用効果試験を行った結果,たとえステントの価格が大幅に下がったとしても,薬剤溶出ステントをすべての患者に使用した場合,費用に見合う価値は低いとする結論をLancet(2007; 370: 1552-1559)に発表した。
費用効果が高いのは 3 割
Brunner-La Rocca博士らは患者826例を 2 対 1 の比率で薬剤溶出ステント群と従来型金属ステント群にランダムに割り付けた試験の18か月間のデータを解析した結果,薬剤溶出ステントは小血管ステントまたはバイパスグラフト留置が必要な患者では費用効果が高いものの,ネイティブの大血管でステント術を要する患者では効果が高くないことがわかった。
薬剤溶出ステントには大きな便益があり,患者の30%以上でかなり費用効果が高いとする同博士らの知見は注目に値する。
試験サンプルのおよそ 3 分の 1 に相当する小血管ステント,またはバイパスグラフト留置術を行った高リスク患者のサブグループでは,薬剤溶出ステントは費用効果が非常に高いか,少なくとも費用の節約になった。
また,
(1)65歳以上の患者
(2)治療部位が 1 か所以上の患者
(3)治療病変当たりのステントのサイズが長い患者(4)適応外使用の患者
に対しては薬剤溶出ステントを使用した結果,1 つの主要な心血管イベントを予防するための増分費用効果比(ICER)はおよそ 1 万ユーロであった。
同博士らは,ステントの費用効果が高くないというデータ結果の患者サブグループが存在したことを指摘し,薬剤溶出ステントはすべての患者で費用効果が高いわけではないという知見を強調している。
このサブグループは感度分析とサブグループのさらなる細分化の指標とは無関係に,ネイティブ大血管ステント術を受けた低リスク患者では薬剤溶出ステントの費用効果がきわめて低い可能性があった。
さらに,このことは付加的な高リスク特性を有する患者にも当てはまった。
ステント術の種類で異なる結果
Brunner-La Rocca博士らは「薬剤溶出ステントの価格が下がっても,必ずしもすべての患者で薬剤溶出ステントの費用効果は高くなるわけではない」と述べている。
このことは,次世代の薬剤溶出ステントが開発されて遅発性ステント血栓症という問題が解決されたとしても変わりはない。
ノンパラメトリック・ブートストラップ法により求めた薬剤溶出ステント術を受けた患者1人当たりのコストは1万1,808ユーロ〔標準偏差(SD)400〕,従来型金属ステント術を受けた1人当たりのコストは1万450ユーロ(SD592)であることが判明した。
平均差1,358ユーロ(SD717)(P<0.0001)は薬剤溶出ステントの価格が高いためであった。
薬剤溶出ステントと従来型金属ステントのICERは,全体で 1 つの主要な心血管イベントを予防するために6 万4,732ユーロとなった。
また,得られたQOLで調整した生存年(QALY)当たりのICERは 4 万467ユーロであった。
同博士らは「ICERはステントのコスト,イベント数,QALYなどの要因で影響を受けるとはいえ,許容可能な費用効果を達成できると考えるのは現実的でない」と述べている。
高リスク患者と低リスク患者では結果が大きく異なった。
高リスク患者では,薬剤溶出ステントが 1 つの主要な心血管イベントを予防するためにICER 1 万ユーロを達成する確率は0.874であったが,低リスク患者では0.016であった。
この研究では,低リスク群は3 mm以上のステント(患者826例の68%),高リスク群は3mm未満のステントまたはバイパスグラフト留置術のいずれか(同826例の32%)と定義された。
長期間の費用効果は不明
今回の研究に参加した患者は66%が適応外の徴候があったという点で,最近発表された登録患者からのデータに匹敵する。およそ40%が安定冠動脈疾患で,患者の大半が複合病変形態と多血管疾患を有していた。
18か月の時点で,いずれのタイプのステントの患者でも,心臓死または主要な心血管イベントの割合は同等で,非致死性心筋梗塞の発症率も同等であった。
薬剤溶出ステントは,非心筋梗塞関連性の標的血管血行再建術の割合が,従来型金属ステントより35%低かったという点で便益が見られた。
Brunner-La Rocca博士らは薬剤溶出ステントが,長期間の分析でもこの18か月試験で示されたのと同じ便益を示すかどうかについては推測を避けており,「薬剤溶出ステント留置後の遅発性ステント血栓症の増加が続いていることは,少なくとも 3 年間までは薬剤溶出ステントの短期間の便益をさらに減じる可能性がある。
このような状況は,反対の事態を予測した当初の推定とは逆に,薬剤溶出ステントの長期間にわたる費用効果を低下させるだろう」と述べている。
重要な点として,集団全体における主要な心血管イベントに関するICERは,6 か月目の結果に基づくICERより著しく不良であった。
クロピドグレルの役割が問題
状況をさらに複雑にしているのは,クロピドグレルの役割である。Brunner-La Rocca博士は「薬剤溶出ステントを受けた患者では,クロピドグレルによる長期間治療が必要なため,従来型金属ステントの患者と比べてさらにコストが上がることから,ICERに負の影響を与えている」と述べている。
しかし,米食品医薬品局(FDA)は最近,従来型金属ステントではなく薬剤溶出ステントとクロピドグレルによるこのような長期治療を支持している。
同博士らは「フォローアップ経費はかなり低い」としている。
患者の83%でフォローアップ時のイベント発生は認められなかったことから,総コストはおもに最初の入院とステント費用の問題であった。
今回の研究では,全体的に見ると18か月目における薬剤溶出ステント患者と従来型金属ステント患者の主要な心血管イベントの発生率に差はなかった。
しかし,高リスク患者では,従来型金属ステントに比べ薬剤溶出ステントで主要な心血管イベント発生率が有意に高かった。
また,低リスク患者では両タイプのステントでQALYに差はなかった。
しかし,薬剤溶出ステントの高リスク患者では,従来型金属ステントの高リスク患者より有意に高いQALYが得られた。
18か月後には,QOLの差は有意ではなかった。
別の研究では死亡リスクは同等
別の研究ではどのような結果になっているだろうか。ベルン大学(スイス・ベルン)のChristoph Stettler博士らは,患者 1 万8,023例が参加し,4 年にわたってフォローアップをした38件のランダム化比較試験のメタアナリシスについて,「薬剤溶出ステントと従来型金属ステントでは関連する死亡リスクは同等である。Sirolimus溶出ステントは,従来型金属ステントとパクリタキセル溶出ステントより臨床的に良好と思われる」とLancet(2007; 370: 937-948)に発表した。
同博士らは,留置30日以上での明確な遅発性ステント血栓症リスクが,従来型金属ステントと比べてパクリタキセル溶出ステントで増加したことを見出した。
また,従来型金属ステントと比べて薬剤溶出ステントで見られた標的病変における血行再建術施行の減少は,パクリタキセル溶出ステントに比べてSirolimus溶出ステントのほうが顕著であった。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M41110241&year=2008
Medical Tribune 2008.3.13
版権 日経BP社
<コメント>
『薬剤溶出ステントは小血管ステントまたはバイパスグラフト留置が必要な患者では費用効果が高いものの,ネイティブの大血管でステント術を要する患者では効果が高くないことがわかった。』
当然、冠動脈での話しだと思うのですが小血管、大血管という表現がよく理解できません。 また「バイパスグラフト留置が必要な患者」の意味するところもよくわかりません。
この論文の重要なポイントですので原著(英文)にあたる必要がありそうです。
<番外編>
~降圧薬の臓器保護作用~
ACE阻害薬とARBに期待
〔独ボッフム〕すべての降圧薬が一様に臓器障害の予防に有効なわけではなく,高い保護作用を見込めるのはレニン・アンジオテンシン(RA)系に作用する薬剤である。
聖ビンセンツ病院(リムブルク)のJorg Kreuzer教授は「特にACE阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)では,降圧効果だけでなく臓器保護作用が認められるとの知見が既に数多く得られている」とドイツ高血圧連盟の会議のシンポジウムで説明した。
ロサルタンとアテノロールを比較したLosartan intervention for endpoint reduction in hypertension(LIFE)試験から,血圧値が同一である場合は,心血管関連死,脳卒中,心筋梗塞から成る複合エンドポイントで明らかにARBのほうが有利であることが示された。
同教授によると,腎不全および全身性内皮障害の徴候としてのアルブミン尿,顕症性の冠動脈性心疾患(CHD),末梢動脈閉塞性疾患,糖尿病,左室肥大(LVH)が認められる患者には,特に優れた臓器保護作用が必要とされるという。
左室容積を基準として患者を5群に分類した試験では,心臓の容積が大きい患者の予後は明らかに不良であった。
ACE阻害薬とARBには最も強力なLVH改善作用が認められたため,これらの患者への投与は有効である。
また,これらの薬剤が微量アルブミン尿に対して他剤より有効であるとのデータも得られている。
さらに,European trial on Olmesartan and Pravastatin in inflammation and atherosclerosis(EUTOPIA)試験では,オルメサルタンが炎症マーカーの濃度にも影響を及ぼすことが示され,例えば高い心血管リスクと関連がある高感度C反応性蛋白(hsCRP)と腫瘍壊死因子(TNF)αは同薬投与下で明らかに低下した。<自遊時間>
日本医事新報No.4375 2008.3.1 P103に東京都職員共済組合青山病院の星野達夫先生の「冠動脈造影にみる診断の進歩」というエッセイが掲載されています。
循環器領域の診断法の過去と近未来が書かれています。
その中で「64列CT(CTCA)については,細動脈領域および頻脈や心房細動時の画像に問題が残ること、被曝量が多いことがこれから解決すべき点」と書いてありました。
確かに、被曝量は大きな問題です。
最近ではCT被曝の発癌性についても問題になっています。
PCIを行えば当然被曝量も多くなるのでしょうが、はたしてCTCAとどちらが1回あたりの被曝が多いのでしょうか。
医師はえてして被曝量については無頓着な場合が多いようです。
患者に説明を求められた場合には即答できるような知識は当然必要ですが。
私は解答を持ち合わせていません。
たまたま昨日の新聞に、ある自動車メーカーが40億円を投入して社員、家族の予防医療を進める健康支援センターの運営を始めるという記事が目につきました。
「内臓脂肪の面積を測れるCTなど最新の健診機器を導入」ということですが、被爆までして調べることかと考えてしまいました。
ああ、ここかしこでメタボ狂乱。
専門医の期待に答える64列MDCTの高画質
http://blog.m3.com/reed/20070930/1
CTとX線被曝
http://wellfrog.exblog.jp/7210455
がんの約2%、CTが原因
http://wellfrog.exblog.jp/7628436
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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大動脈弁狭窄症には早期からの治療が大切
堀内
オルメサルタンのACE活性に対する実験の成績はいかがでしたか。
星賀
コレステロールの負荷により,大動脈側を中心にACE発現が認められましたが,オルメサルタン群ではコレステロール負荷群に比べ対照群と同等のレベルまで有意に抑制されました(図5)。

堀内
オルメサルタンによる大動脈弁内皮への影響はどうでしょうか。
星賀
オルメサルタンは,大動脈弁内皮細胞の連続性の破綻(内皮障害)を抑制することがわかりました。
CD31免疫染色の結果,対照群では大動脈側,心室側ともに大動脈弁内皮の連続性は維持されています(図6A)が,コレステロール食を負荷すると,大動脈側の弁の付着部付近で内皮の連続性が失われました(図6B)。
一方,オルメサルタン群では,完全ではないものの,大動脈弁内皮の連続性の破綻がコレステロール負荷群に比べ有意に回復しました(図6C)。
これを定量化すると,CD31陽性率は心室側ではほぼ75%以上に維持されているのに対して,大動脈側ではコレステロール負荷によって顕著に低下し,オルメサルタンの投与によってコレステロール負荷群に比べ有意に回復しました(図6D)。

また,内皮機能のマーカーである内皮型NO合成酵素(eNOS)の発現は,コレステロール負荷によって減少しましたが,オルメサルタン投与により対照群のレベルまで有意に増加しました(図7)。

堀内
動物実験で大動脈弁硬化に対するオルメサルタンの有用性が認められたわけですが,ヒトではどうでしょうか。
星賀
実際に臨床で有用性を検討したいと思っているのですが,スタチン系薬剤やACE阻害薬を使用したこれまでの臨床試験では,否定的な結果も報告されています。
これらの臨床試験では,おそらく薬剤の投与時期が遅すぎたことが影響していると思います。
石灰化が進んだ病態を回復させるのはなかなか難しいのです。
ですから,大規模な試験で,より早期に介入し,なおかつ長期間の検討が必要だと思います。
また,エコーを使用して初期病変の段階から追跡しなければならないでしょう。
堀内
星賀先生の動物実験の結果から考えますと,オルメサルタンを早期に投与すれば,ASや大動脈弁硬化を抑制する可能性が十分期待できますね。
Medical Tribune 2007.11.1
版権 メディカル・トリビューン社
ttp://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=&page=0&id=M4044141&year=2007
http://page4.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d81790941
YAMAGATA『マスターズ』アートポスター
<自遊時間>
昨日、MRと面会しました。
脊柱管狭窄症の治療薬(内服)の啓蒙冊子を持参しました。
あるキャラが写真入りで出ていました。
彼曰く「この疾患にかかって手術を受けたある大物キャラを使おうとしたんですが、ギャラの折り合いがつかなくて急遽この方になったという裏話があるんです。」
病気になって金儲けが出来る。
芸能人ってそんないいこともあるんですね。
全国講演行脚の先生方。
1~2か月前に、ある週刊誌に1回の講演料が公開されていました。
各製薬メーカー一律の金額でした。
これって・・・。
きょうは下世話な話題になってしまいました。
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対談
New Original Articles of Olmesartan
オルメサルタンの優れた降圧効果と新たな知見
大動脈弁狭窄症に対するオルメサルタンの影響
大動脈弁狭窄症(Aortic Stenosis; AS)は,高齢者人口の増加に伴い,近年増加傾向である。ASは重症化すると弁置換術を要することから,早期から薬剤介入によって進行の抑制あるいは予防を行うことが重要となる。
星賀氏は,ASに対するアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)オルメサルタンメドキソミル(オルメテック)〔以下,オルメサルタン〕の影響を検討した動物実験を行った。
そこで今回,ASの病態生理,大動脈弁における内皮保護の意義に併せ,実験の成績について解説いただいた。なお,聞き手は堀内氏が務めた。
聞き手:
堀内 正嗣 氏 愛媛大学大学院医学系研究科分子心血管生物・薬理学教授
解 説:
星賀 正明 氏 大阪医科大学第一内科講師
ARBオルメサルタンの降圧効果
堀内
高血圧治療では,朝までしっかりと24時間にわたる厳格な降圧が求められております。
ARBのなかでも,オルメサルタンは,ダブルチェーンドメインと呼ばれる2つの側鎖(-COOH,-OH)によるAT1受容体への強固な結合による,優れた降圧効果が示されております(図1)。

また,近年,さまざまな研究によりオルメサルタンの臓器,組織における多面的な影響も報告されており,注目を集めています。
本日は,大動脈弁狭窄症(AS)の抑制に対するオルメサルタンの影響という非常に興味深い研究をなさっている星賀先生に,お話を伺いたいと思います。
まず,ASとはどのような疾患なのか,お教えいただけますか。
動脈硬化と類似点が多い大動脈弁狭窄症
~加齢,高血圧,高脂血症がリスクファクター~
星賀
大動脈弁は左心室と大動脈を隔てる弁で,右冠尖,左冠尖,無冠尖の三つの弁尖から成ります。
この弁尖に炎症,癒着および硬化・石灰化が生じ,弁の狭窄が発生するのがASです。
ほとんどの場合,心室側ではなく,大動脈側から大動脈弁に病変が現れるのが特徴です(図2)。

最終的には石灰化によって弁の開放が制限されます。ASは動脈硬化との類似点が多く,例えば,リスクファクターは動脈硬化と同様,加齢,高血圧,高脂血症,喫煙などです。
堀内
高血圧患者におけるASの頻度はどれぐらいでしょうか。
星賀
頻度はかなり高いと思いますが,心エコーでどの程度からが大動脈弁狭窄かを判断するのは非常に難しく,正確な頻度はわかりません。
ASの病態生理には,内皮細胞機能が重要な役割を果たしていると考えられます。
例えば,AS患者では,年齢の適合した対照患者に比べて,内皮機能が低下していることが報告されています。
また,狭窄した大動脈弁の内皮細胞では,細胞接着分子VCAM-1の発現亢進が示唆されています。
また,ブタの大動脈内皮と大動脈弁内皮を培養しますと,大動脈内皮は血流に対して平行に並びますが,大動脈弁内皮は垂直に並ぶことが報告されています。
こうした点からも,大動脈弁内皮は複雑な血流を受けており,特に大動脈側の大動脈弁では,ずり応力(shear stress)が低下して硬化病変が形成されるのではないかと考えられます。
堀内
通常の血管内皮とは違う概念でとらえたほうがいいということですね。
星賀
血管と大動脈弁の内皮には,かなり違いがあるようですが,まだ不明な点が多いようです。
堀内
ASとレニン・アンジオテンシン(RA)系の関与についてはどのくらいわかっているのですか。
星賀
ヒトの大動脈弁病変において検討した論文〔O'Brien K D et al: Circulation 106(17): 2224-2230, 2002〕によれば,アンジオテンシン変換酵素(ACE)は,浸潤したマクロファージや細胞外マトリックスにあるアポ蛋白Bの存在部分に発現が認められ病変形成に寄与しています。
病変が形成されると,αアクチン陽性,つまり筋線維芽細胞様の細胞が出現します。
AT1受容体は,ヒト大動脈弁の正常部分には発現しませんが,病変に一致してAT1受容体の発現が認められています。
こうした点から,病変形成と RA系は関係していると推測されます。
炎症やオステオポンチン(炎症性サイトカイン,石灰化メディエーター)を抑制することが石灰化の抑制に
堀内
ASでは,動脈硬化と同様に,内皮細胞障害やRA系の活性化が見られ,病変の発生とともにAT1受容体が発現するということですが,そうなるとARBが有用だと思いますが,星賀先生が発表された,ASに対するARBオルメサルタンの影響を検討した動物実験について,ご紹介いただけますか。
星賀
この試験では,高コレステロール血症ウサギにオルメサルタンを投与して,ASの前段階である大動脈弁硬化および内皮の連続性破綻(内皮障害)に対する影響を検討しました。
ウサギを
(1)対照群,
(2)1%コレステロール食を8週間与え,後半4週間にオルメサルタン(1mg/kg/日)を経口投与するオルメサルタン群,
または
(3)1%コレステロール食を 8 週間投与するコレステロール負荷群に分けました。
コレステロール値は対照群の約30mg/dLに対し,コレステロール負荷群とオルメサルタン群で1,500~2,000mg/dLに増加しましたが,両群のコレステロール値に有意差はありませんでした。
コレステロール負荷群では,大動脈弁の大動脈側に脂質の沈着や泡沫細胞の形成が認められましたが,オルメサルタン群ではこのような脂質沈着の発現がほとんど認められず,全体の面積に対するOil Red O染色による陽性面積の割合が11.5%から3.4%に減少しました(図3A)。

堀内
同じコレステロール負荷を与えると,大動脈や頸動脈にはどのような影響がありますか。
星賀
大動脈や頸動脈には病変がほとんど形成されませんでした。
堀内
血管よりも,大動脈弁のほうで硬化が起こりやすいということでしょうか。
星賀
そのように思います。
さらに,オルメサルタンは脂質の沈着だけでなく,炎症性細胞であるマクロファージや炎症性サイトカインであるオステオポンチンの発現も抑制しました。
マクロファージをRAM11で染色しますと, コレステロール負荷群では大動脈側に著明な発現増加が認められますが,オルメサルタン群では有意に抑制されました(図3B)。
また,コレステロール負荷によってオステオポンチンの発現も増加しましたが,オルメサルタン群では有意に抑制されました(図3C)。
堀内
オステオポンチンの発現が抑制された意義についてはいかがですか。
星賀
1つは炎症の抑制ですが,もう 1 つは,石灰化のメディエーターでもあるオステオポンチン発現の抑制は,弁膜の石灰化病変発生の経路――筋線維芽細胞から骨芽細胞への形質変化の阻害を示唆しています。
本試験でも,筋線維芽細胞が骨芽細胞に分化する際の骨芽細胞特異的転写因子Cbfa-1の発現が,オルメサルタンの投与によって減少しています(図4)。

堀内
オステオポンチンの発現抑制が,石灰化抑制につながったと考えてよろしいのでしょうか。
星賀
オステオポンチン抑制が,石灰化抑制を引き起こしたと考えるよりは,石灰化過程のマーカーの 1 つとして考えたほうがよいと思います。

高畠達四郎 「海岸風景」 5号 物故巨匠
http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m49863870
大動脈弁狭窄症の解説
http://www.m-junkanki.com/heart_diseases/valvularhd/as/as.html
#大動脈弁狭窄症の原因は、1)加齢変性、2)先天性、3)リウマチ性に分けられる。
#この20-30年で小児期にかかるリウマチ熱によるリウマチ性弁膜症は激減した。その一方で、加齢に伴う弁尖の硬化による高齢者の弁膜症が増えた。非リウマチ性の大動脈弁狭窄症の発症年齢には2つのピークがある。
ひとつは本来三尖あるべき大動脈弁が、生まれつき二尖しかない(大動脈二尖弁)ために、機械的な刺激を受けて、弁の硬化や癒着が生じる場合で、成人期から症状が出現する。
もう一つは加齢に伴う弁尖の硬化による場合である。正確な発症頻度は不明であるが、65歳以上でみられ、加齢とともに増加する。 男性よりも小柄な体格の女性に多い。大動脈弁狭窄症の発症には動脈硬化症の危険因子の高コレステロール血症も関係すると考えられている。加齢に伴う硬化による大動脈弁狭窄症は、僧帽弁輪石灰化を伴うことが多い。
#連続波ドプラ法で計測した最大圧較差からみた重症度の目安は、50mmHg未満であれば軽症、 50~90mmHgであれば中等症、90mmHg以上であれば重症である。64mmHg以上は重症とした報告もある。 しかし、左室収縮能低下が進行して心拍出量が減少した場合には、 圧較差は減少するので、圧較差だけでは重症度を過小評価してしまう。 逆に大動脈弁逆流を合併すれば、狭窄が中等度でも圧較差が高度になり、過大評価となる。 このように圧較差だけで大動脈弁狭窄症を正確に評価することは困難である。
#狭心痛出現からの平均余命は5年、失神からは3年、心不全発症後からは2年とある。
#高脂血症治療薬(スタチン)の投与で、大動脈弁狭窄症の進行が半分になる。
大動脈弁狭窄症とは
http://www.geocities.jp/shin_zou_geka/astop.htm
大動脈弁狭窄症と閉鎖不全症
http://homepage3.nifty.com/hanzoumon-clinic/syujutu03.htm
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。
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ちょっと旧聞に属するかも知れませんが、 昨年11月のAHAの演題で勉強しました。
ARBとACE阻害薬の両者には「器質的リモデリング抑制作用」つまり心室壁線維化抑制がみられ、さらにARBでは「電気的リモデリング抑制作用」がみられたという報告です。
バルサルタンによるAF抑制には電気的リモデリング抑制も
アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)やアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬による心房細動(AF)再発抑制作用がいくつかの臨床研究で報告されている。イタリアUniversity of PaviaのRoberto Fogari氏が検討したところ、レニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬はCa拮抗薬と異なり、心房壁の「器質的リモデリング」を抑制し、さらにARBはACE阻害薬よりも強力な「電気的リモデリング抑制作用」があるという。米国心臓協会・学術集会の一般口演で11月6日に発表した。
Fogari氏らは降圧薬によるAF再発抑制作用を比較するため、AF既往のある高血圧患者341例をARBの「バルサルタン」群(113例)、ACE阻害薬「ラミプリル」群(115例)と「アムロジピン」群(113例)に無作為割り付けして検討した。
対象としたのは、過去6カ月以内に2回以上のAFエピソードを心電図で確認された高血圧患者(140~160/90~100mmHg)である。RA系阻害薬や抗不整脈薬服用者、直近3カ月に電気的除細動を受けた例は除外されている。3群間の背景因子については、年齢、性別や心房径などを含め、有意差は認められなかった。対象患者は休薬導入期間後に上記試験薬の服用を開始し、12カ月間追跡。降圧が不十分な場合は試験薬を増量した。
12カ月間の試験終了時、3群間には血圧と心拍数に有意な差はなかった。にもかかわらず、AFエピソードの再発は、アムロジピン群に比べ、バルサルタン群とラミプリル群で有意(p<0.01)に少なく、バルサルタン群ではさらに、ラミプリル群よりも有意(p<0.05)に減少していた。
これらの差をもたらす機序を探るべく、心房壁の器質的リモデリングを検討した。
するとラミプリル群とバルサルタン群では、アムロジピン群と異なり「心室壁線維化」が抑制されていたが、ラミプリル群とバルサルタン群間に抑制の差はなかった。
そこで心房細動の心電図所見に特徴的なP波の振れ(dispersion)の変化を見たところ、アムロジピン群では試験開始時と終了時の間に変化はなかったが。ラミプリル群とバルサルタン群では試験終了時有意な低下が認められた。さらに、バルサルタン群における試験終了時のP波dispersionはラミプリル群よりも有意に低値となっていた。
これらよりFogali氏は、「バルサルタンによるAF再発抑制には2つの機序が働いていると思われる。そのひとつ『器質的リモデリング抑制』はACE阻害薬も同様に有するようだが、P波dispersionの改善に見られる『電気的リモデリング抑制』はおそらく、バルサルタンに固有の作用だろう」と結論した。
Nikkei Medical ONLINE
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/aha2007/200711/504684.html
版権 日経BP社
<コメント>
AFは昔は心房粗動を意味すると相場が決まっていたのにいつのまにやら心房細動もAFと表現するようになったようです。
さて最近動悸を訴える方(60代、女性)で12誘導の心電図をとっている最中にたまたま洞調律から心房細動に移行する瞬間を記録することができました。
ホルター記録ではなく短時間の12誘導記録の最中だったので少し感激しました。
甲状腺機能亢進症状はなかったのですが、念のため甲状腺機能検査を行ったところ、みごとな機能亢進状態でした。
開業医としてのささやかな満足感を味わいました。
勤務医の頃、ホルター心電図に凝っていて、「洞不全症候群を呈した甲状腺機能亢進症の症例」(治療により軽快)を学会で報告したことを思い出しました。
当時いろいろ文献を探したのですが、あまり報告はなかったようです。
論文にしておけばよかったと悔やまれます。
さて今回の症例はメルカゾール6錠/日投与で2週間後には「低下症」になっていました。
心房細動はその後ないようですが、ひやっとさせられました。
スタチンにも心房細動二次予防効果があるようです。
スタチンは心房細動二次予防に有効 ?
http://blog.m3.com/reed/20080305/1
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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