戯れ言たれる侏儒
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JAPAN-ACS

戯れ言たれる侏儒 / 2008.03.30 00:07 / 推薦数 : 0

日本人の新たなエビデンス・JAPAN-ACSへの期待
 ピタバスタチンとアトルバスタチンという2つのストロングスタチンの冠動脈プラーク退縮効果を比較したJAPAN-ACSの結果がまもなく発表される。
本試験は,日本人の急性冠症候群(ACS)患者を対象としたストロングスタチンでの初めての多施設共同無作為化比較試験となる。
(代田 浩之 氏 順天堂大学 循環器内科 教授 )

IVUSによるプラーク評価の意義
JAPAN-ACSは,高コレステロール血症を有し,ACSのために経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた日本人患者307例を対象とした多施設共同無作為化比較試験で,ピタバスタチン群(4mg/日)またはアトルバスタチン群(20mg/日)による,治療前後の冠動脈プラーク容積の変化を血管内超音波(IVUS)を用いて比較することを主要評価項目としている(図1)。

 

本試験において主要評価項目としたIVUSによる冠動脈プラークの評価は,あくまでもサロゲートエンドポイントであり,心血管イベントの抑制というハードエンドポイントとは別物である。
しかし,ACS患者の多くは責任病変以外にも複数の不安定プラークを有しており,その破綻が二次イベントの原因となることはよく知られている。
したがって,
ACS患者におけるプラークの退縮はイベントリスクの低下と直結しており,IVUS所見はきわめて有用なサロゲートマーカーと位置づけられている。

日本人においても積極的脂質低下療法の意義は証明されるか?
IVUSにて評価した冠動脈プラーク容積の変化をエンドポイントとした海外の試験としては,REVERSALASTEROIDなどが有名である。
前者では,標準的なコレステロール低下療法によってLDL-コレステロール(LDL-C)値を150mg/dLから110mg/dLに低下させてもプラークの増大は抑えられなかったが,79mg/dLまで低下させた場合は増大が完全に抑制された。
さらに後者では,治療前に130mg/dLであったLDL-C値を50%以上低下させて61mg/dLとしたことにより,わずかながらプラークの退縮が認められた。

一方,国内に目を向けると,ACS患者を対象としたESTABLISH試験において,41.7%のLDL-C低下に伴い13.1%のプラーク退縮を認め,解析の結果,プラークの進展阻止にはLDL-C<70mg/dL,あるいは約50%の低下が必要であることが示されている。

はたして日本人においても積極的脂質低下療法は利益をもたらすのか? わが国の多施設共同研究であるJAPAN-ACSの結果がその1つの答えになることを期待している。

LDL-C以外の因子もプラーク退縮に関与するか?
LDL-C以外の因子として,まず注目したいのはHDL-コレステロール(HDL-C)である。
プラークの進展・退縮におけるHDL-Cの意義は大きく,4つの無作為化試験のメタアナリシスにより,LDL-C値が同レベルであっても,HDL-C上昇率が小さければプラークの退縮が得られないことが報告されている図2)。


ピタバスタチンは優れたLDL-C低下作用に加えてHDL-C上昇作用についても期待できる薬剤であるが(図3),この作用がJAPAN-ACSの結果にどのように寄与するかについても注目したい。

 

また,スタチンには,血清脂質改善作用以外にも,動脈硬化の進展にかかわるさまざまな因子に対する多面的な作用(pleiotropic effects)が備わっていることが明らかになりつつあるが,これらは必ずしもスタチンのクラスエフェクトではなく,各薬剤間で差異がみられる可能性がある。
JAPAN-ACSでは,高感度CRP(hs-CRP)やペントラキシン3(PTX3)といった,炎症マーカーとの関係についても検証することとなっている。

JAPAN-ACSによって日本人におけるACS治療の新しいエビデンスが生まれ,スタチンに求められる作用が明確になることが期待される。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41120581&year=2008
 

<参考サイト>

血管壁培養細胞でみたスタチンの作用
http://www.livalo.com/b/bk/02/03.htm
血管内皮細胞(HUVEC)におけるスタチンの効果;HUVECで一番抑制された遺伝子は、ペントラキシン3(PTX3)です。これは平滑筋細胞でも抑制されます。PTX3は、いわば内皮細胞が作るCRPのような遺伝子で、acute phase reactantとして知られ、CRPなどとペントラキシンファミリーを形成します。動脈硬化病巣でも高度に発現し、組織因子を誘導することが分かっています。心筋梗塞の重症度と血中のPTX3濃度とがリンクするという論文が、最近“Circulation”で発表されています。

PTX3 ハーバード大学医学部ブリガム&ウィメンズ病院との共同研究の開始
http://www.ppmx.com/corporate/news/20070918_PR.html
ペントラキシン3(Pentraxin 3, PTX3)は、体内の炎症により現れる炎症性タンパク質です。
動脈硬化/血管中のプラーク形成/進行/破綻の過程には、損傷された組織、および炎症部位に浸潤した白血球や肥満細胞、マクロファージなどから放出される多くの炎症メディエーターの関与が知られていますが、PTX3もその一つです。
よく知られている炎症性タンパク質としてC反応性タンパク質(CRP)がありますが、PTX3もCRPと同じペントラキシンファミリーに分類されます。CRPが肝臓で産生されるのに対し、 PTX3は、動脈硬化と密接な関係を持つ血管内皮細胞、血管平滑筋、マクロファージ、好中球から、短時間に、直接産生されるという特徴をもっています。
また、PTX3は、心疾患リスクファクター(コレステロール、喫煙、ヘモグロビンA1c等)に影響を受けない有用なマーカーである可能性が、最近の研究で示唆されています。
さらに、こうした研究に加え、ヒト内皮細胞にスタチンを作用させることで、最も発現抑制される遺伝子がPTX3であること、また、心筋梗塞のみならず、心筋壊死が既に起こっている不安定狭心症で、PTX3値が上昇することなども報告されています。

<2008.6.8追加>

この内容については

JAPAN-ACS アゲイン
http://blog.m3.com/reed/20080608/JAPAN-ACS_でもとりあげています。

赤松 克己『ミモザとチューリップ』 
油彩画 キャンヴァス サイン・画題・三越取扱シール
 
http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c160421560?u=;artfolio11


他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)                                         があります。

<2009.5.18追加>

(興和創薬2009.4作製パンフより)


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