| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
| 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
| 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
| 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
| 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
< JSAPとCOURAGE | メイン | 重症急性心不全のICU管理 >
昨日は
「低リスク安定冠動脈疾患患者の治療はどうあるべきか」
というテーマで、JSAPとCOURAGEの大規模臨床試験を通じて勉強しました。
最近の国内の学会でも予防的PCIの多用に対する反省の声があがっています。
きょうは第66回心臓血管放射線研究会(2008.1.19、津市)での発表で勉強しました。
スタチン製剤の活用でプラーク退縮効果 2種のMRI検査の効果
津市で1月19日に開かれた第66回心臓血管放射線研究会では、日本心血管画像動態学会との合同企画で「心血管画像診断法の予後評価における役割」をテーマにシンポジウムが行われた。
日本で活発に行われているとされる非急性期の経皮的冠動脈形成術(PCI)のエビデンスに対する疑問が率直に示されるなど、心血管治療では生活習慣病予防のアプローチを重視する姿勢を求める意見が相次いだ。
待期的PCIは適応基準明確化を
合同企画シンポジウムで、医療法人坂崎診療所・画像診断センターの多田村栄二氏は、「心臓核医学の予後評価におけるエビデンス」と題して講演した。
同氏は、「現代の医療に求められる最大の目標は、患者の予後の改善と医療費の抑制だ」として、「国内で盛んに行われているPCIは極めて高額な医療費をかけている割に、予後の改善に結びつかない非本質的な治療法」として厳しく批判した。
同氏は、この問題提起は国内外でのスタディー結果を待つまでもなく、現状では常識的な考え方であることを強調。
いくつかのスタディー結果を示しつつ、米国でのデータでは心血管SPECT検査で正常だった患者が重大症例に至る確率は0.6~0.9%にすぎないとして、核医学検査重視を求めた。
PCIについては、直感的診断による非急性期の患者に施行されている例が多く、医療側の不安がPCIを増加させているのではないかと疑問を示した。
特に、現在の保険制度の問題点の1つとの認識も示し、「PCI至上主義への偏向は、年間数千億円の無駄につながり、本質的で合理的な医療を軽視している」と述べた。
さらにPCI1回の入院費用は総額で200万円になるケースもあり、うち自己負担が10万円程度としても、残りが保険財政から支出されているとの現状を明らかにした。
その上で、現在の循環器医療に求められることとして、
①待期的なPCIの適応基準明示
②根拠となるエビデンスの公開
③厳格な監視体制
を挙げ、「非侵襲的検査により患者の持つ心事故の危険性を評価し、PCIに伴うコストやリスクと天秤にかけ、適応を判断する」姿勢の重要性を強調した。
「非侵襲的検査」について同氏は、心臓MRI検査を示し、その診断能力をアピール。
放射線被曝がなく患者への負担も少ないこと、長期的予後評価が行えるエビデンスが集積されつつあることにも注目するよう求めた。
MRIによる予後評価については、三重大の栗田泰郎氏が報告。
「パーフュージョンMRIと遅延造影MRI」をテーマに、7年間にわたるMRI検査の集積結果を示しながら、正確な予後評価について持論を展開した。
栗田氏らの調査研究は、三重大の倫理委員会の承認を得て、2000年2月から07年2月まで、虚血性心疾患既往の患者、もしくは虚血性心疾患が疑われる患者で負荷パーフュージョンMRIと遅延造影MRI検査を三重大病院で施行した1132人を対象に行われた。
負荷パーフュージョンMRIの予後予測の有用性について栗田氏は、海外での報告はいくつかあるが、いずれも少数の患者による評価で、梗塞の評価が総合的に行える心臓MRI検査の特徴を十分に反映していないとして、研究を開始したことを明らかにした。
結果をみると、1年間のイベント発生率は、梗塞・虚血のいずれも認めない群では1.6%、梗塞のみを認める群7.6%、虚血・梗塞両方を認める群では14.9%となることが明らかになり、2つの検査を組み合わせた心臓MRI検査は、虚血と梗塞の総合的な診断が可能であり、遅延MRI単独よりも正確に予後評価できることが示唆されている。
栗田氏は、SPECT検査や造影CTに比して、両MRI検査の組み合わせは特に虚血性心疾患を非常に明瞭に発見し、将来の心事故や心臓死発生などの予後予測に役立つことを強調した。
不安定プラークは非観血的検査で監視
一方、最近急速に浸透し始めているマルチスライスCT(MDCT)の冠動脈疾患の診断については、近藤武氏(高瀬クリニック)が報告した。
近藤氏は、「64列MDCTにより、高画質の冠動脈画像が比較的容易に撮影できるようになった」として、これによって冠動脈狭窄(きょうさく)ばかりでなくプラークの質的、量的検討がなされるようになったことを強調。
急性冠症候群(ACS)の75%以上は冠動脈プラークの破裂によるとされるが、近藤氏は「この不安定プラークを同定し、それがいつ破裂するか予測することは極めて難しい」とした上で、不安定プラークは必ずしも有意狭窄を伴うものではなく、むしろ狭窄度は軽く、したがって狭心症症状がなくても不安定プラークが存在し得ることに理解を求めた。
ただ、不安定プラークの臨床的発見には、IVUSやOCTなどの観血的検査を行う必要があるが、症状のない患者に観血的検査を実施するのは困難なことから、低侵襲の検査が必要とされてきた経緯がある。
近藤氏は、現時点で不安定プラークの描出に関して最も期待されているのはMDCTだとして、不安定プラークのMDCT画像について病理所見を示しながら解説を加えた。
この中で、近藤氏は、MDCT上での不安定プラークのプロスペクティブスタディーでは、不安定プラークは
①ポジティブ
②リモデリング
③ソフト・プラーク
④スポッティ・カルシフィケーション
の4つのタイプに分かれることを示しながらも、プロスペクティブではMDCT上の不安定プラークの特徴は未だ明確ではないことに留意を求めた。
近藤氏はこのプロスペクティブスタディーを通じて、スタチン製剤でのプラーク退縮を認めたことを明らかにし、「不安定プラークがどの血管部位にできるか、その大きさはどうなるか、いつ破裂するかを予測するのは困難だが、スタチン系製剤の使用でプラークが退縮する効果は大きいとの示唆は与えられた」として、スタチン製剤の薬剤効果判定検査としてもきわめて有用なことを示した。
<コメント>
米国の医学雑誌では、数十年前から医療経済学の考えが持ち込まれた発表が数多く見られます。
国内でも、今回の発表のような内容が今後も増えるものと思われます。
一定の医療費というパイの中での取り合いということでしょうが、インターベンションなどの診療の萎縮につながらなければよいのですが。
これらのことは本来は厚労省や支払い基金側が検証することかも知れません。
財務省からの厚労省への圧力で今の医療の荒廃を招いたこともあり、厚労省だけが悪役ではないのでしょうが、経済至上主義も困ったものです。
今日の某新聞の朝刊にこんな記事が載っていました。
医療を知らない医療経済学者(東京○科○科大大学院教授)川○孝○氏が書いた「勤務医不足 解消遠く」。
中略
「根本的な問題は、医師の絶対数が足りないこと。国は、まずその事実を認め①供給過剰にある歯科医師を医師に転向させる②海外の医学部を卒業した日本人に医師国家試験受験の機会を与える③外国人医師に対する臨床修練制度を拡大する」など、即効性のある方策を模索してはどうか。
以下略。
一定の影響力のある人だけに実現する可能性もありそうです。
医師をはずした「○○諮問会議」ですんなり国会を通る可能性だってあります。
昔、アメリカ国内の医学部へ入れない医師志望者がメキシコの医学部へ行ってアメリカに戻るという話を聞いたことがあります。
今でさえ医師の質は不均一です。
質の確保の問題をこの医療経済学者はどのように考えているのでしょうか。
待遇や身分保障があってはじめて医師、パラメディカルを含めた医療の質が確保されます。
それは官僚、法曹界、教育界なども一緒のはずです。
国会議員や市町村議員の場合は、待遇や身分保障が保たれているのに質が確保されてないではないかというツッコミには答えを持ち合わせていません。
<参考>
日本循環器学会の待機的インターベンションに関するガイドラインはどうかと調べてみました。
これに関するガイドラインは2000年のみで最近はないようです。
ちなみに「急性冠症候群の診療に関するガイドライン」は2007年に改訂版が出ています。(初回は2002年)
冠動脈疾患におけるインターベンション治療の適応ガイドライン
Japanese Circulation Journal Vol. 64, Suppl. IV, 2000
予 後
薬物療法のみの群,PTCA 群,CABG 群について比較
すると,一般的には,いずれの治療法も選択しうる1枝
疾患では,6ヶ月~3年後の死亡,心筋梗塞の発生率は
3群間に有意な差はない.
しかし,生活の質(QOL),運動能の改善,発作の出現頻度についてはPTCA,CABG の方が薬物療法のみと比べて有意の改善が認められる.
再血行再建施行の頻度は,薬物治療のみおよびPTCA の方がCABG に比較して高い.
いずれの治療法も選択しうる2枝疾患では,2~3年後の死亡,心筋梗塞の発生率は薬物療法のみとPTCA の間に有意な差はないが,QOL,運動能の改善,発作の出現頻度についてはPTCA の方が薬物療法のみと比べて有意の改善が認められる.
しかし,PTCA においては術後早期の合併症により3年後までの死亡,心筋梗塞の発生率が薬物療法よりもむしろ高くな
るという報告もみられる.
一方,近年,積極的に脂質低下療法を施行することにより,安定狭心症患者の
1.5年後の虚血イベントをPTCA 施行例以上に低下させうるとの報告も認められる.
薬物治療とPTCA の比較
P T C A の利点;血行再建により確実に症状軽快
欠点;不適当な病変あり,侵襲性,再狭窄
あり,合併症を伴う
薬物治療の利点;非侵襲的
欠点;症状,QOLの改善が劣る
<コメント>随分簡潔な記載です。
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
コメント
コメントはまだありません。コメントを書く