| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ||||||
| 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
| 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
| 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
| 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
| 30 | 31 |
スタチンと冠動脈プラークの退縮。
以下の特集では特に目新しい話は余りありませんが、結果がすでに出た臨床試験、そして国内で進行中のJAPAN-ACSが紹介されています。

中村宗弘 「富士雪林」 日本画2号
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t66424282?u=;ginza_kaigakan
特別企画
冠動脈疾患予防の治療戦略シリーズ2/循環器専門医に聞く
冠動脈プラークの退縮と薬物療法
尾崎 行男 氏 藤田保健衛生大学 循環器内科 教授
わが国の冠動脈疾患(CAD)患者数は,生活習慣の欧米化に伴い増加の一途を辿っている。
その最たる要因の1つに,血清脂質値の上昇がある。
ここ40年間で,日本人の平均総コレステロール値は30mg/dL以上も上昇した。
また,糖尿病,高血圧症などの複数のリスクファクターを保有する,冠動脈疾患のハイリスク患者も急増している。
こうしたなか,強力な脂質低下作用を持つストロングスタチンに熱い視線が向けられている。
海外では十分なエビデンスを持つストロングスタチンは,日本人にも同じく有用と考えてよいのかどうか,その可能性について尾崎行男氏にお聞きした。
スタチンによるプラークの安定化は"vulnerable patient"に対する重要な治療戦略の1つ
1977年に経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)が開始されて以来,CADの治療技術は急速に進歩し,1986年に冠動脈ステント,1999年に薬剤溶出性ステント(DES)が使用されるようになると,治療成績は飛躍的に向上した。
しかし,急性心筋梗塞(AMI)の死亡率は約30%と今なお高い。
AMIを含む急性冠症候群(ACS)の発症原因の70%近くは,"不安定プラーク(vulnerable plaque)の破綻"とそれに引き続く血栓形成とされる。
そのため,AMIによる死亡率の低下には,複数の"vulnerable plaque"を持ち,血液凝固能が亢進し,危険な不整脈が出やすい,いわゆる"vulnerable patient"の早期診断と治療が必要で,PCIによる局所病変の早期治療,生活習慣の改善,抗血小板薬による血液凝固能の正常化とともに,スタチンによりプラークの安定化を図ることが,治療戦略としてきわめて重要である。
CAD患者のLDL-コレステロール値は下げれば下げるほどよい
スタチンによるプラークの安定化とその使用意義は,さまざまなエビデンスにより裏付けられており,スタチンは現在,CAD患者の治療に欠かせない薬剤の1つとなっている。
4S試験をはじめとする1990年代に行われた一連のスタチン介入試験では,血清脂質値,特にLDL-コレステロール(LDL-C)値の上昇がCAD発症リスクと強力に相関し,その是正をもたらすスタチンが優れたイベント抑制策となることが明らかになった。
さらに,ストロングスタチンの登場によりコレステロール低下療法の限界が大きく塗り替えられたことを受け,今世紀初頭からはストロングスタチンを用いた「積極的コレステロール低下療法」の意義を問う大規模試験が相次いだ。
例えば,CAD患者654例を対象に,冠動脈プラーク容積の変化を血管内超音波法(IVUS)によって評価したREVERSAL(2004)では,プラーク容積が18ヵ月で平均2.7%増加した標準的コレステロール低下療法群に対し,積極的コレステロール低下療法群におけるプラーク容積はむしろ進展が抑制される結果(-0.4%)であった。
また, ACS患者約4,000例を対象に,REVERSALと同じ薬
剤を用いて標準的コレステロール低下療法と積極的コレステロール低下療法のイベント抑制効果を比較したPROVE IT(2004)では,積極的コレステロール低下療法群のイベント発生率が標準的コレステロール低下療法群に比して有意に16%低いという結果が得られた。
すなわち,CAD発症の原因となるプラークの進展抑制あるいは退縮をもたらし,さらには心血管イベントの抑制を達成するためには標準的なコレステロール低下療法では不十分であり,ストロングスタチンによる積極的なコレステロールの低下を図る必要があるものと考えられる。
ピタバスタチンを用いた積極的コレステロール低下療法により,日本人でもプラークが退縮
積極的コレステロール低下療法の意義を検討した海外のデータは数多くあるが,生活習慣,医療環境,体格,遺伝的素因の異なる欧米人を対象として実施された海外の試験データを日本人の治療にそのまま反映させることにはまだ議論の余地があり,日本人のエビデンスを構築することが必要となる。
日本においてはスタチンによる心血管イベント抑制のエビデンスは存在しないが,サロゲートマーカーとしての評価が高まっているIVUSによる冠動脈プラーク評価を行った研究として,順天堂大学の代田先生のグループによりESTABLISHが2004年に報告された。
この研究において,ACS患者に対する積極的コレステロール低下療法によるプラーク容積の有意な退縮が報告されている。
一方,われわれもPCIを施行したCAD患者を対象に,ストロングスタチンであるピタバスタチン(2mg/日)を用いた研究を行った。
ピタバスタチンを投与した41例の患者(ピタバスタチン群)と,年齢・背景因子が一致する食事療法施行患者41例(コントロール群)を約9ヵ月にわたって追跡し,IVUSを用いてプラーク容積の評価を行った。
その結果,ピタバスタチン群のLDL-C値は132.5mg/dLから87.4mg/dLに低下し(p<0.001;図1-A),これに伴い10.6%ものプラーク容積の有意な退縮を認めた(p<0.001;図1-B,C)。
日本人による,日本人のための大規模な前向き比較試験・LAPAN-ACSがまもなく公表される
このように国内ではいくつかの臨床研究の結果が集積されつつあるなか,日本人における積極的コレステロール低下療法の意義をさらに明確にし,冠動脈プラーク退縮に寄与する因子を明らかにすることを目的としてJAPAN-ACSが計画された。
本研究は全国37施設が参加し,約300例の日本人患者を対象とした多施設共同前向き比較試験である。
対象は,ACS治療のためにPCIを施行された高コレステロール血症患者であり,ピタバスタチン群(4mg/日)またはアトルバスタチン群(20mg/日)に無作為に割り付け,8~12ヵ月の治療に伴うプラーク容積の変化をIVUSにより追跡するというものである(図2)。

本試験は共同研究者の努力によりエントリー期間を全く延長することなく予定症例数が集まり,その後昨年10月に追跡を終了し,まもなくその結果が発表される予定である。
日本人による,日本人のためのエビデンスがCAD治療に加わることになり,その結果に期待が集まっている。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41110301&year=2008
Medical Tribune 2008.3.13
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
4S
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2000096.html
コレステロールの低下による冠動脈イベントの抑制効果は判明していたが,総死亡に対する影響は必ずしも明確ではなかった。心血管イベントによる死亡が最も多い地方で,コレステロールを25%低下させるという強力な治療により,はじめて総死亡の抑制を証明したランドマーク的な試験である。(寺本)
REVERSAL
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2001726.html
動脈硬化予防のためのガイドラインにはLDL-Cの管理目標値が提示されているが,十分な検証がなされていなかった。本試験でプラバスタチン40mg/日投与群が対象に選ばれた理由は,すでにプラセボを対照とした本治療法でイベント抑制やアテロームの進展抑制効果が証明されているからである。本試験は,このようなプラバスタチン投与群(LDL-C:110mg/dLに低下)に対してアトルバスタチンによる強力な治療(LDL-C:79mg/dLに低下)がアテローム進展という立場から優位性があるか検討した試験である。結果的には,強力な治療でLDL-Cを80mg/dL以下にすることでアテローム進展が完全に抑制できたという点で,LDL-Cの管理目標値の設定には大きな影響を与えるものと思われる。一方,プラバスタチン群との比較で高感度CRPの低下の程度がアトルバスタチン群でより大きく,これがアテローム進展抑制に有効であったという可能性が指摘されている。しかし,両群間におけるLDL-Cの低下の程度が異なることを考慮すると,その評価は困難と思われる。(寺本)
PROVE IT-TIMI 22
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2001727.html
本試験は,本来ACS直後では,プラバスタチンによる標準的治療(LDL-C:95mg/dLに低下)がアトルバスタチンによる強力な治療(LDL-C:62mg/dLに低下)に対してイベント発症に差がないのではないかということで組まれた試験である。結果としては,やはりリスクの高い群ではLDL-Cは下げればそれだけ効果があることが実証されたことになる。また,極めて早期にその治療効果があったということからACS直後からの治療が重要であることを示したと言える。4162人という大規模で行われ,その信頼性は高く,今後の管理目標値の設定に影響を与えそうである。ただし,ベースラインのLDL-Cが125mg/dL未満の群では両治療群の間には有意な差が見られないことから治療開始基準については今後の課題になりそうである。(寺本)
ESTABLISH
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002297.html
本試験はわが国で行われたいわゆる二次予防試験である。血管内超音波法(IVUS)でのプラーク容積を評価項目としているため,少数例でも統計学的に有意差を出しえたものと考えられる。対照群ではプラークの進展が見られたのに対し,強力にLDL-Cを低下させることが動脈硬化進展抑制効果を発揮することを示したことは,極めてインパクトのある結果である。一つはLDL-Cを70mg/dLまで下げることがプラーク進展を抑制すること,第二にLDL-Cが125mg/dL未満でも治療することの意義を示したということで,2004年に発表された米国のNCEP ATP IIIのレポートにおけるLDL-C 70mg/dL以下を治療目標値にすることも一つの選択肢であるとしたレポートを支持するものである。また,現在はわが国の保険制度では認められていないLDL-C 125mg/dLでも高脂血症治療をする意義を示したという点で,今後の治療基準にも影響を与える結果ととらえることができる。(寺本)
JAPAN-ACS
http://www.japan-acs.or.jp/
JAPAN-ACS試験の概要
http://www.japan-acs.or.jp/summary.html
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。
固定リンク | コメント (3) | トラックバック (0)