戯れ言たれる侏儒
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DES 費用対効果

戯れ言たれる侏儒 / 2008.03.15 00:24 / 推薦数 : 1

薬剤溶出ステント 費用に見合う価値は低い
主要心血管イベントの発生率は従来型と同等

〔ニューヨーク〕 バーゼル大学病院(スイス・バーゼル)心臓病学のHans Peter Brunner-La Rocca博士らは,主要心血管イベントリスクが高い患者と低い患者で薬剤溶出ステントの費用効果を調べるバーゼル・ステント費用効果試験を行った結果,たとえステントの価格が大幅に下がったとしても,薬剤溶出ステントをすべての患者に使用した場合,費用に見合う価値は低いとする結論をLancet(2007; 370: 1552-1559)に発表した。

費用効果が高いのは 3 割
Brunner-La Rocca博士らは患者826例を 2 対 1 の比率で薬剤溶出ステント群と従来型金属ステント群にランダムに割り付けた試験の18か月間のデータを解析した結果,薬剤溶出ステントは小血管ステントまたはバイパスグラフト留置が必要な患者では費用効果が高いものの,ネイティブの大血管でステント術を要する患者では効果が高くないことがわかった。

薬剤溶出ステントには大きな便益があり,患者の30%以上でかなり費用効果が高いとする同博士らの知見は注目に値する。
試験サンプルのおよそ 3 分の 1 に相当する小血管ステント,またはバイパスグラフト留置術を行った高リスク患者のサブグループでは,薬剤溶出ステントは費用効果が非常に高いか,少なくとも費用の節約になった。

また,
(1)65歳以上の患者
(2)治療部位が 1 か所以上の患者
(3)治療病変当たりのステントのサイズが長い患者(4)適応外使用の患者
に対しては薬剤溶出ステントを使用した結果,1 つの主要な心血管イベントを予防するための増分費用効果比(ICER)はおよそ 1 万ユーロであった。

同博士らは,ステントの費用効果が高くないというデータ結果の患者サブグループが存在したことを指摘し,薬剤溶出ステントはすべての患者で費用効果が高いわけではないという知見を強調している。

このサブグループは感度分析とサブグループのさらなる細分化の指標とは無関係に,ネイティブ大血管ステント術を受けた低リスク患者では薬剤溶出ステントの費用効果がきわめて低い可能性があった。
さらに,このことは付加的な高リスク特性を有する患者にも当てはまった。

ステント術の種類で異なる結果
Brunner-La Rocca博士らは「薬剤溶出ステントの価格が下がっても,必ずしもすべての患者で薬剤溶出ステントの費用効果は高くなるわけではない」と述べている。
このことは,次世代の薬剤溶出ステントが開発されて遅発性ステント血栓症という問題が解決されたとしても変わりはない。
ノンパラメトリック・ブートストラップ法により求めた薬剤溶出ステント術を受けた患者1人当たりのコストは1万1,808ユーロ〔標準偏差(SD)400〕,従来型金属ステント術を受けた1人当たりのコストは1万450ユーロ(SD592)であることが判明した。
平均差1,358ユーロ(SD717)(P<0.0001)は薬剤溶出ステントの価格が高いためであった。

薬剤溶出ステントと従来型金属ステントのICERは,全体で 1 つの主要な心血管イベントを予防するために6 万4,732ユーロとなった。
また,得られたQOLで調整した生存年(QALY)当たりのICERは 4 万467ユーロであった。

同博士らは「ICERはステントのコスト,イベント数,QALYなどの要因で影響を受けるとはいえ,許容可能な費用効果を達成できると考えるのは現実的でない」と述べている。

高リスク患者と低リスク患者では結果が大きく異なった。
高リスク患者では,薬剤溶出ステントが 1 つの主要な心血管イベントを予防するためにICER 1 万ユーロを達成する確率は0.874であったが,低リスク患者では0.016であった。
この研究では,低リスク群は3 mm以上のステント(患者826例の68%),高リスク群は3mm未満のステントまたはバイパスグラフト留置術のいずれか(同826例の32%)と定義された。

長期間の費用効果は不明
今回の研究に参加した患者は66%が適応外の徴候があったという点で,最近発表された登録患者からのデータに匹敵する。およそ40%が安定冠動脈疾患で,患者の大半が複合病変形態と多血管疾患を有していた。

18か月の時点で,いずれのタイプのステントの患者でも,心臓死または主要な心血管イベントの割合は同等で,非致死性心筋梗塞の発症率も同等であった。
薬剤溶出ステントは,非心筋梗塞関連性の標的血管血行再建術の割合が,従来型金属ステントより35%低かったという点で便益が見られた。

Brunner-La Rocca博士らは薬剤溶出ステントが,長期間の分析でもこの18か月試験で示されたのと同じ便益を示すかどうかについては推測を避けており,「薬剤溶出ステント留置後の遅発性ステント血栓症の増加が続いていることは,少なくとも 3 年間までは薬剤溶出ステントの短期間の便益をさらに減じる可能性がある。
このような状況は,反対の事態を予測した当初の推定とは逆に,薬剤溶出ステントの長期間にわたる費用効果を低下させるだろう」と述べている。

重要な点として,集団全体における主要な心血管イベントに関するICERは,6 か月目の結果に基づくICERより著しく不良であった。

クロピドグレルの役割が問題
状況をさらに複雑にしているのは,クロピドグレルの役割である。Brunner-La Rocca博士は「薬剤溶出ステントを受けた患者では,クロピドグレルによる長期間治療が必要なため,従来型金属ステントの患者と比べてさらにコストが上がることから,ICERに負の影響を与えている」と述べている。
しかし,米食品医薬品局(FDA)は最近,従来型金属ステントではなく薬剤溶出ステントとクロピドグレルによるこのような長期治療を支持している。

同博士らは「フォローアップ経費はかなり低い」としている。
患者の83%でフォローアップ時のイベント発生は認められなかったことから,総コストはおもに最初の入院とステント費用の問題であった。

今回の研究では,全体的に見ると18か月目における薬剤溶出ステント患者と従来型金属ステント患者の主要な心血管イベントの発生率に差はなかった。
しかし,高リスク患者では,従来型金属ステントに比べ薬剤溶出ステントで主要な心血管イベント発生率が有意に高かった。

また,低リスク患者では両タイプのステントでQALYに差はなかった。
しかし,薬剤溶出ステントの高リスク患者では,従来型金属ステントの高リスク患者より有意に高いQALYが得られた。
18か月後には,QOLの差は有意ではなかった。

別の研究では死亡リスクは同等
別の研究ではどのような結果になっているだろうか。ベルン大学(スイス・ベルン)のChristoph Stettler博士らは,患者 1 万8,023例が参加し,4 年にわたってフォローアップをした38件のランダム化比較試験のメタアナリシスについて,「薬剤溶出ステントと従来型金属ステントでは関連する死亡リスクは同等である。Sirolimus溶出ステントは,従来型金属ステントとパクリタキセル溶出ステントより臨床的に良好と思われる」とLancet(2007; 370: 937-948)に発表した。

同博士らは,留置30日以上での明確な遅発性ステント血栓症リスクが,従来型金属ステントと比べてパクリタキセル溶出ステントで増加したことを見出した。
また,従来型金属ステントと比べて薬剤溶出ステントで見られた標的病変における血行再建術施行の減少は,パクリタキセル溶出ステントに比べてSirolimus溶出ステントのほうが顕著であった。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M41110241&year=2008

Medical Tribune  2008.3.13
版権 日経BP社

 <コメント>

『薬剤溶出ステントは小血管ステントまたはバイパスグラフト留置が必要な患者では費用効果が高いものの,ネイティブの大血管でステント術を要する患者では効果が高くないことがわかった。』

当然、冠動脈での話しだと思うのですが小血管、大血管という表現がよく理解できません。 また「バイパスグラフト留置が必要な患者」の意味するところもよくわかりません。

この論文の重要なポイントですので原著(英文)にあたる必要がありそうです。

<番外編> 

~降圧薬の臓器保護作用~ 
ACE阻害薬とARBに期待
〔独ボッフム〕すべての降圧薬が一様に臓器障害の予防に有効なわけではなく,高い保護作用を見込めるのはレニン・アンジオテンシン(RA)系に作用する薬剤である。

聖ビンセンツ病院(リムブルク)のJorg Kreuzer教授は「特にACE阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)では,降圧効果だけでなく臓器保護作用が認められるとの知見が既に数多く得られている」とドイツ高血圧連盟の会議のシンポジウムで説明した。
 
ロサルタンとアテノロールを比較したLosartan intervention for endpoint reduction in hypertension(LIFE)試験から,血圧値が同一である場合は,心血管関連死,脳卒中,心筋梗塞から成る複合エンドポイントで明らかにARBのほうが有利であることが示された。

同教授によると,腎不全および全身性内皮障害の徴候としてのアルブミン尿,顕症性の冠動脈性心疾患(CHD),末梢動脈閉塞性疾患,糖尿病,左室肥大(LVH)が認められる患者には,特に優れた臓器保護作用が必要とされるという。

左室容積を基準として患者を5群に分類した試験では,心臓の容積が大きい患者の予後は明らかに不良であった。

ACE阻害薬とARBには最も強力なLVH改善作用が認められたため,これらの患者への投与は有効である。

また,これらの薬剤が微量アルブミン尿に対して他剤より有効であるとのデータも得られている。

さらに,European trial on Olmesartan and Pravastatin in inflammation and atherosclerosis(EUTOPIA)試験では,オルメサルタンが炎症マーカーの濃度にも影響を及ぼすことが示され,例えば高い心血管リスクと関連がある高感度C反応性蛋白(hsCRP)と腫瘍壊死因子(TNF)αは同薬投与下で明らかに低下した。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41110171&year=2008 

<自遊時間>  
日本医事新報No.4375 2008.3.1 P103に東京都職員共済組合青山病院の星野達夫先生の「冠動脈造影にみる診断の進歩」というエッセイが掲載されています。
循環器領域の診断法の過去と近未来が書かれています。

その中で「64列CT(CTCA)については,細動脈領域および頻脈や心房細動時の画像に問題が残ること、被曝量が多いことがこれから解決すべき点」と書いてありました。
確かに、被曝量は大きな問題です。
最近ではCT被曝の発癌性についても問題になっています。
PCIを行えば当然被曝量も多くなるのでしょうが、はたしてCTCAとどちらが1回あたりの被曝が多いのでしょうか。
医師はえてして被曝量については無頓着な場合が多いようです。
患者に説明を求められた場合には即答できるような知識は当然必要ですが。

私は解答を持ち合わせていません。


たまたま昨日の新聞に、ある自動車メーカーが40億円を投入して社員、家族の予防医療を進める健康支援センターの運営を始めるという記事が目につきました。

「内臓脂肪の面積を測れるCTなど最新の健診機器を導入」ということですが、被爆までして調べることかと考えてしまいました。

ああ、ここかしこでメタボ狂乱。

 

専門医の期待に答える64列MDCTの高画質
http://blog.m3.com/reed/20070930/1
CTとX線被曝
http://wellfrog.exblog.jp/7210455
がんの約2%、CTが原因
http://wellfrog.exblog.jp/7628436


他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)

 

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