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対談
New Original Articles of Olmesartan
オルメサルタンの優れた降圧効果と新たな知見
大動脈弁狭窄症に対するオルメサルタンの影響
大動脈弁狭窄症(Aortic Stenosis; AS)は,高齢者人口の増加に伴い,近年増加傾向である。ASは重症化すると弁置換術を要することから,早期から薬剤介入によって進行の抑制あるいは予防を行うことが重要となる。
星賀氏は,ASに対するアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)オルメサルタンメドキソミル(オルメテック)〔以下,オルメサルタン〕の影響を検討した動物実験を行った。
そこで今回,ASの病態生理,大動脈弁における内皮保護の意義に併せ,実験の成績について解説いただいた。なお,聞き手は堀内氏が務めた。
聞き手:
堀内 正嗣 氏 愛媛大学大学院医学系研究科分子心血管生物・薬理学教授
解 説:
星賀 正明 氏 大阪医科大学第一内科講師
ARBオルメサルタンの降圧効果
堀内
高血圧治療では,朝までしっかりと24時間にわたる厳格な降圧が求められております。
ARBのなかでも,オルメサルタンは,ダブルチェーンドメインと呼ばれる2つの側鎖(-COOH,-OH)によるAT1受容体への強固な結合による,優れた降圧効果が示されております(図1)。

また,近年,さまざまな研究によりオルメサルタンの臓器,組織における多面的な影響も報告されており,注目を集めています。
本日は,大動脈弁狭窄症(AS)の抑制に対するオルメサルタンの影響という非常に興味深い研究をなさっている星賀先生に,お話を伺いたいと思います。
まず,ASとはどのような疾患なのか,お教えいただけますか。
動脈硬化と類似点が多い大動脈弁狭窄症
~加齢,高血圧,高脂血症がリスクファクター~
星賀
大動脈弁は左心室と大動脈を隔てる弁で,右冠尖,左冠尖,無冠尖の三つの弁尖から成ります。
この弁尖に炎症,癒着および硬化・石灰化が生じ,弁の狭窄が発生するのがASです。
ほとんどの場合,心室側ではなく,大動脈側から大動脈弁に病変が現れるのが特徴です(図2)。

最終的には石灰化によって弁の開放が制限されます。ASは動脈硬化との類似点が多く,例えば,リスクファクターは動脈硬化と同様,加齢,高血圧,高脂血症,喫煙などです。
堀内
高血圧患者におけるASの頻度はどれぐらいでしょうか。
星賀
頻度はかなり高いと思いますが,心エコーでどの程度からが大動脈弁狭窄かを判断するのは非常に難しく,正確な頻度はわかりません。
ASの病態生理には,内皮細胞機能が重要な役割を果たしていると考えられます。
例えば,AS患者では,年齢の適合した対照患者に比べて,内皮機能が低下していることが報告されています。
また,狭窄した大動脈弁の内皮細胞では,細胞接着分子VCAM-1の発現亢進が示唆されています。
また,ブタの大動脈内皮と大動脈弁内皮を培養しますと,大動脈内皮は血流に対して平行に並びますが,大動脈弁内皮は垂直に並ぶことが報告されています。
こうした点からも,大動脈弁内皮は複雑な血流を受けており,特に大動脈側の大動脈弁では,ずり応力(shear stress)が低下して硬化病変が形成されるのではないかと考えられます。
堀内
通常の血管内皮とは違う概念でとらえたほうがいいということですね。
星賀
血管と大動脈弁の内皮には,かなり違いがあるようですが,まだ不明な点が多いようです。
堀内
ASとレニン・アンジオテンシン(RA)系の関与についてはどのくらいわかっているのですか。
星賀
ヒトの大動脈弁病変において検討した論文〔O'Brien K D et al: Circulation 106(17): 2224-2230, 2002〕によれば,アンジオテンシン変換酵素(ACE)は,浸潤したマクロファージや細胞外マトリックスにあるアポ蛋白Bの存在部分に発現が認められ病変形成に寄与しています。
病変が形成されると,αアクチン陽性,つまり筋線維芽細胞様の細胞が出現します。
AT1受容体は,ヒト大動脈弁の正常部分には発現しませんが,病変に一致してAT1受容体の発現が認められています。
こうした点から,病変形成と RA系は関係していると推測されます。
炎症やオステオポンチン(炎症性サイトカイン,石灰化メディエーター)を抑制することが石灰化の抑制に
堀内
ASでは,動脈硬化と同様に,内皮細胞障害やRA系の活性化が見られ,病変の発生とともにAT1受容体が発現するということですが,そうなるとARBが有用だと思いますが,星賀先生が発表された,ASに対するARBオルメサルタンの影響を検討した動物実験について,ご紹介いただけますか。
星賀
この試験では,高コレステロール血症ウサギにオルメサルタンを投与して,ASの前段階である大動脈弁硬化および内皮の連続性破綻(内皮障害)に対する影響を検討しました。
ウサギを
(1)対照群,
(2)1%コレステロール食を8週間与え,後半4週間にオルメサルタン(1mg/kg/日)を経口投与するオルメサルタン群,
または
(3)1%コレステロール食を 8 週間投与するコレステロール負荷群に分けました。
コレステロール値は対照群の約30mg/dLに対し,コレステロール負荷群とオルメサルタン群で1,500~2,000mg/dLに増加しましたが,両群のコレステロール値に有意差はありませんでした。
コレステロール負荷群では,大動脈弁の大動脈側に脂質の沈着や泡沫細胞の形成が認められましたが,オルメサルタン群ではこのような脂質沈着の発現がほとんど認められず,全体の面積に対するOil Red O染色による陽性面積の割合が11.5%から3.4%に減少しました(図3A)。

堀内
同じコレステロール負荷を与えると,大動脈や頸動脈にはどのような影響がありますか。
星賀
大動脈や頸動脈には病変がほとんど形成されませんでした。
堀内
血管よりも,大動脈弁のほうで硬化が起こりやすいということでしょうか。
星賀
そのように思います。
さらに,オルメサルタンは脂質の沈着だけでなく,炎症性細胞であるマクロファージや炎症性サイトカインであるオステオポンチンの発現も抑制しました。
マクロファージをRAM11で染色しますと, コレステロール負荷群では大動脈側に著明な発現増加が認められますが,オルメサルタン群では有意に抑制されました(図3B)。
また,コレステロール負荷によってオステオポンチンの発現も増加しましたが,オルメサルタン群では有意に抑制されました(図3C)。
堀内
オステオポンチンの発現が抑制された意義についてはいかがですか。
星賀
1つは炎症の抑制ですが,もう 1 つは,石灰化のメディエーターでもあるオステオポンチン発現の抑制は,弁膜の石灰化病変発生の経路――筋線維芽細胞から骨芽細胞への形質変化の阻害を示唆しています。
本試験でも,筋線維芽細胞が骨芽細胞に分化する際の骨芽細胞特異的転写因子Cbfa-1の発現が,オルメサルタンの投与によって減少しています(図4)。

堀内
オステオポンチンの発現抑制が,石灰化抑制につながったと考えてよろしいのでしょうか。
星賀
オステオポンチン抑制が,石灰化抑制を引き起こしたと考えるよりは,石灰化過程のマーカーの 1 つとして考えたほうがよいと思います。

高畠達四郎 「海岸風景」 5号 物故巨匠
http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m49863870
大動脈弁狭窄症の解説
http://www.m-junkanki.com/heart_diseases/valvularhd/as/as.html
#大動脈弁狭窄症の原因は、1)加齢変性、2)先天性、3)リウマチ性に分けられる。
#この20-30年で小児期にかかるリウマチ熱によるリウマチ性弁膜症は激減した。その一方で、加齢に伴う弁尖の硬化による高齢者の弁膜症が増えた。非リウマチ性の大動脈弁狭窄症の発症年齢には2つのピークがある。
ひとつは本来三尖あるべき大動脈弁が、生まれつき二尖しかない(大動脈二尖弁)ために、機械的な刺激を受けて、弁の硬化や癒着が生じる場合で、成人期から症状が出現する。
もう一つは加齢に伴う弁尖の硬化による場合である。正確な発症頻度は不明であるが、65歳以上でみられ、加齢とともに増加する。 男性よりも小柄な体格の女性に多い。大動脈弁狭窄症の発症には動脈硬化症の危険因子の高コレステロール血症も関係すると考えられている。加齢に伴う硬化による大動脈弁狭窄症は、僧帽弁輪石灰化を伴うことが多い。
#連続波ドプラ法で計測した最大圧較差からみた重症度の目安は、50mmHg未満であれば軽症、 50~90mmHgであれば中等症、90mmHg以上であれば重症である。64mmHg以上は重症とした報告もある。 しかし、左室収縮能低下が進行して心拍出量が減少した場合には、 圧較差は減少するので、圧較差だけでは重症度を過小評価してしまう。 逆に大動脈弁逆流を合併すれば、狭窄が中等度でも圧較差が高度になり、過大評価となる。 このように圧較差だけで大動脈弁狭窄症を正確に評価することは困難である。
#狭心痛出現からの平均余命は5年、失神からは3年、心不全発症後からは2年とある。
#高脂血症治療薬(スタチン)の投与で、大動脈弁狭窄症の進行が半分になる。
大動脈弁狭窄症とは
http://www.geocities.jp/shin_zou_geka/astop.htm
大動脈弁狭窄症と閉鎖不全症
http://homepage3.nifty.com/hanzoumon-clinic/syujutu03.htm
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。
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