| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | |||||
| 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
| 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
| 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
| 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
クロピドグレルに中止後のリバウンドの可能性
使用中止が凝集亢進作用を引き起こす可能性を示唆
急性冠症候群(ACS)で治療を受けて退院後にクロピドグレルを使用した患者は、使用期間の長短にかかわらず、使用中止後90日までの死亡または急性心筋梗塞リスクが、90日以降に比べ約2倍であることが示唆された。
米国Denver退役軍人医療センターのP. Michael Ho氏らの報告で、詳細はJAMA誌2008年2月6日号に掲載された。
現在のガイドラインは、退院後のクロピドグレル投与期間について、薬物療法またはベアメタルステントの留置を受けた患者では少なくても1カ月、できれば1年間継続するとし、また薬剤溶出ステントの留置を受けた患者の場合は1年以上使用を継続するよう求めている(勧告はクラスIA)。
著者らは、クロピドグレル投与中止後のリバウンド(凝集亢進作用)を懸念し、ACS(急性心筋梗塞または不安定狭心症)の患者がクロピドグレルの使用を中止すると、有害事象の発生率が上昇するのではないかと考えた。
そこで全米規模の後ろ向きコホート研究を行った。
対象となったのは、2003年10月1日から2005年3月31日までに全米127カ所の退役軍人病院を退院したACS患者で、退院時にクロピドグレルを処方された3137人。
ACSに対して薬物療法を受けた患者1568人(平均年齢68.5歳)と、経皮的冠インターベンション(PCI)を適用された患者1569人(63.5歳)について、別々に評価した。
クロピドグレルの使用については、処方記録を調べ、使用期間と使用中止日を確定した。
主要アウトカム評価指標は、クロピドグレル中止後の全死因死亡または急性心筋梗塞(AMI)による入院に設定した。
薬物療法群では、クロピドグレル使用期間の平均は302日、使用中止からの追跡期間の平均は196日だった。
死亡またはAMIは17.1%(268人、死亡が155人、AMIが113人)に発生。
それらのイベントの60.8%(163人)は0~90日の間に発生、21.3%(57人)が91~180日に、9.7%(26人)が181~270日に生じていた。
追跡1000人-日当たりのイベント発生率は、0~90日が1.31(95%信頼区間1.12-1.53)、91~180日は0.69(0.53-0.89)、181~270日では0.64(0.44-0.94)となった。
クロピドグレルの使用期間も調整に加えた多変量解析を行ったところ、91~180日に比べ、0~90日の有害事象リスク上昇が明らかになった(率比1.98、95%信頼区間1.46-2.69)。アウトカムをAMIのみとしても、罹患率比は2.39(1.50-3.82)で、やはり0~90日でリスクは有意に上昇していた。
リスク上昇は、クロピドグレルの使用期間に基づいて患者を層別化しても、一貫して見られた。
調整率比は、使用期間3カ月以下が2.13(1.36-3.32)、6カ月以下が2.20(1.49-3.26)、9カ月以下が2.00(1.41-2.85)、9カ月超は1.79(0.96-3.34)となった。
次にPCI群だが、試験期間が薬剤溶出ステントの利用が可能になった時期を挟んでいたため、全体としてはベアメタルステントの適用率が高かった。
62.7%(984人)がベアメタルステント、37.3%(585人)が薬剤溶出ステントの留置を受けていた。
PCI群では、クロピドグレル投与期間の平均は278日、使用中止からの追跡期間の平均は203日で、7.9%(124人)に死亡(68人)またはAMI(56人)が発生。
0~90日のイベント発生は58.9%(73人)、91~180日が23.4%(29人)、181~270日は6.5%(8人)だった。
追跡1000人-日当たりのイベント発生率は、0~90日が0.57(0.45-0.72)、91~180日が0.33(0.23-0.47)、181~270日が0.19(0.09-0.37)。
やはり多変量解析で、最初の90日間の有害事象リスク上昇が認められた。
率比は1.82(1.17-2.83)。ベアメタルステント適用者のみを対象に分析しても90日間のリスク上昇は有意だった(率比2.14、1.23-3.74)。
以上の結果から、適用されたのが薬物療法かPCIかにかかわらず、クロピドグレル中止から90日以内は有害事象リスクが有意に上昇することが明らかになった。
これは、クロピドグレルの中止がリバウンドを引き起こす可能性を示唆している。
イベント発生率の絶対値は大きくないものの、中止後の短期的なリスク上昇を抑制する方法を見いだす必要がある。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/jama/200802/505592.html
原題
JAMAVol. 299 No. 5, February 6, 2008
Incidence of Death and Acute Myocardial Infarction Associated With Stopping Clopidogrel After Acute Coronary Syndrome
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/short/299/5/532
Nikkei Medical ONLINE 2008.2.26
以下は日本医事新報での「クロビドグレル」に関する記事です。

三塩清巳 「バラ」 油彩10号http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s87620296
クロビドグレル
心筋梗塞、脳梗塞などの動脈血栓症は悪性腫瘍とともに日本人の主要な死因である。
動脈血栓症の発症予防および治療においては抗血小板薬が重要な役割を果たすが、2007年にわが脚で新たにクロピドグレル(プラビックス)の適用が拡大され、冠動脈ステント再閉塞予防目的での使用が可能になった。
この薬剤は従来使用されてきたチクロピジンと同様のチエノピリジン系の薬剤であり、経口投与後速やかに吸収され、肝臓で代謝されて活性代謝物となるプロドラッグである。
この活性代謝物は血小板表面上のADP受容体であるP2Y12に非可逆的に結合して抗血小板効果を発揮する。
チクロピジンは冠動脈ステント留置後の再閉塞予防などには欠かせない薬剤として使用されてきたが、血球減少、肝障害、血栓性血小板減少性紫斑病などの副作用を有することが問題とされていた。
一方、クロピドグレルは有効性がチクロピジンと同等で副作用が少ないことがわが国でも報告されている。
クロピドグレルが米国で認可されたのは1997年のことであり、わが国での認可は約10年遅れたことになるが、今後は
わが国でもチクロピジンに代わって使用される機会が増えるであろう。
ただし、クロピドグレルを内服しても血小板機能抑制効果を得られない「クロピドグレル不応」の患者がいることは、解決すべき課題である。
また、新規に開発された同じチエノピリジン系薬剤であるプラスグレルの有効性がクロピドグレルを上回ったとの報告もある。
さらにチエノピリジン系ではないP2Y12受容体拮抗薬の開発、臨床試験も進んでいる。
抗血小板薬の使用は長期に及ぶことが多いため、日常の臨床では有効性、安全性に加え、選択に際しては費用も重要な点である。
ステン卜留置後に使用する抗血小板薬はクロピドグレルがよいのか、それとも他の抗血小板薬のほうがよいのかを明らかにするために、今後もさらに臨床研究を進めていくことが
必喪であろう。
日本医事新報No.4374 2008.2.23p58
<コメント>
アスピリン抵抗性(レジスタンス)という概念は以前からあるようですが「クロピドグレルに中止後のリバウンド」や「クロピドグレル不応」は私にとっては新知見でした。
アスピリンレジスタンス(その1)1/2
http://blog.m3.com/reed/20071117/1
アスピリンレジスタンス(その2)2/2
http://blog.m3.com/reed/20071118/_2_2
アスピリンレジスタンスを考える(その1)1/2
http://blog.m3.com/reed/20080205/1
アスピリンレジスタンスを考える(その2)2/2
http://blog.m3.com/reed/20080206/2
抗血小板薬の選択肢 その1(1/3)
http://blog.m3.com/reed/20071215/_1_3_
抗血小板薬の選択肢 その2(2/3)
http://blog.m3.com/reed/20071216/_2_2_3_
抗血小板薬の選択肢 その3(3/3)
http://blog.m3.com/reed/20071217/1
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。
固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)