戯れ言たれる侏儒
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< スタチンによるプラーク安定化 | メイン | 非冠動脈疾患のカテーテルインターベンショ... >

動脈硬化の新たなリスクマーカー
LDLコレステロール(LDL-C)が動脈硬化の進展を示すリスクマーカーであることは,数々のエビデンスから確立されており,昨年改訂された動脈硬化性疾患予防ガイドラインでもLDL-C管理の重要性が強調されている。
近年,このLDL-C値にHDLコレステロール(HDL-C)値を組み合わせたLDL-C/HDL-C比が,動脈硬化の進展をより高い精度で評価する指標となりうることが報告されている。
東京医科歯科大学生命倫理研究センターの吉田雅幸教授(学長特別補佐)は,東京都で開かれたプレスセミナー「動脈硬化退縮を目指したコレステロール値の評価」(主催=アストラゼネカ(株)・塩野義製薬(株))のなかで,LDL-C/HDL-C比がプラーク容積と相関することや,プラーク進展の目安となるLDL-C/HDL-C比が明らかにされつつある状況を,国内外の文献から概説した。

単独因子より動脈硬化を正確に評価
LDL-C/HDL-C比が動脈硬化の進展と相関する機序について,吉田教授は「LDL-Cがコレステロールを末梢へ運搬する一方,末梢の余剰コレステロールを引き抜くのがHDL-C。
この両者のバランスによって末梢コレステロール量が決まる」と説明。
LDL-Cが末梢に運搬するコレステロールは,細胞膜成分やステロイドホルモンの重要な構成要素であるが,供給が過剰になると蓄積され,血管において供給過剰の場合はプラーク形成につながるという。
一方,HDL-Cは肝臓で合成され,末梢組織で余ったコレステロールを引き抜く作用がある。
引き抜かれたコレステロールはコレステロールエステル転送蛋白(CETP)によって他のリポ蛋白に渡されるか,肝臓へ転送される。

このような機序によって末梢組織のコレステロール量が規定され,LDL-C値が低くHDL-C値が高いほど末梢コレステロール量の蓄積が抑制されると考えられる。
つまり,LDL-C/HDL-C比が低いほど,プラーク形成リスクが低くなると考えられる。

このLDL-C/HDL-C比が動脈硬化の指標として優れていることを示すデータとして,冠動脈疾患患者の両側頸動脈におけるプラーク体積をMRIにより評価した研究〔J Cardiovasc Imaging 2007; 23(3): 337〕がある。
この研究では,HDL-C値およびLDL-C値単独でもそれぞれプラーク体積と有意に相関したが,LDL-C/HDL-C比とプラーク体積の相関係数がより高かったという。
また,TNT試験対象者のLDL-C/HDL-C比を 5 段階に分けて心血管イベント発症リスクを見た分析では,LDL-C/HDL-C比が高いほどリスクも高くなることが報告されている(NEJM 2007; 357: 1301)。

国内では,野池博文氏らが冠動脈が正常あるいは軽度の壁不整のみの97例の左前下行枝のプラーク占拠率を血管内超音波法(IVUS)で評価し,LDL-C/HDL-C比との関係を調べている。
この報告によると,LDL-C/HDL-C比が2.5超の群のプラーク占拠率は20%超で,2.5以下の群と比べて有意に高くなっていた(J Cardiol 2005; 45: 1)。
一般的に動脈硬化進展リスクの目安になると考えられる平均プラーク占拠率は15%と言われているが,同氏らはこれに相当するLDL-C/HDL-C比が2.5であったことも確認した。

さらに,糖尿病を合併する場合はこの比が1.3,収縮期血圧140mmHg以上の場合は1.4であったことから,吉田教授は「心血管リスクを有する場合はLDL-C/HDL-C比が2.5以下であっても,動脈硬化の進展を抑えるには不十分と考えられる」と述べた。

LDL-C/HDL-C比の目安について海外からは,IVUSでプラーク退縮効果を見た 4 試験(REVERSAL,CAMELOT,ACTIVATE,ASTEROID)の解析で,2.0超でプラーク体積が進展傾向,2.0以下であれば退縮傾向,さらに1.5未満であれば退縮傾向がより強いことが報告されている。

簡便かつ患者にもわかりやすい
これらの結果から,LDL-C値と合わせてHDL-C値を管理することでプラーク進展抑制がより期待できると言えるが,現在のところHDL-C上昇薬と言える薬剤はない。
そこで吉田教授は,現実的な対応として「HDL-C値の上昇効果が明らかにされている運動と禁煙,スタチン系薬のなかでもHDL-C上昇作用のある薬剤や比較的上昇作用のある
ニコチン酸製剤と組み合わせる」ことを推奨した。

今後,LDL-C/HDL-C比が臨床で使用される際のメリットについて「近年,small dense LDLなど動脈硬化の新たな指標が出てきているが,LDL-C/HDL-C比は一般的な血液検査で評価できるため,新たに検査項目を増やす必要がなく簡便。
また,患者にとってわかりやすいマーカーである」としている。
現時点のLDL-C,HDL-C値の目標値は「あくまでも動脈硬化性疾患予防ガイドラインが前提」としているが,今後始まる特定健診の指導においても指導に有用との期待感を述べた。

最後に,今後明らかにすべき点について,同教授は「HDL-C値上昇に伴うリスク低下に頭打ちがあるのかなど明確でない点もあるため,LDL-C/HDL-C比の基準値と合わせて,さらに詳細に検討する必要がある」と述べた。
 

<コメント>

目新しい内容でもない気もしますが、IVUSのプラーク占拠率での検討というところがneuesなんでしょうか。

従来の動脈硬化指数(TC-HDLC/HDL)はそれなりに意味があっての指数だったはずなのですが、最近はLDL-C/HDL-Cが動脈硬化の指標となっているようです。

動脈硬化指数はいつから用いられなくなったのでしょうか。

一時期、Lp(a)やRLP-Cがとりあげられ私自身も検査の際オーダーしています。研究報告が最近あまりないのも気になるところです。

 

他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。

 

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 私の患者さんの中に、50代男性で、DM(HbA1C6.5%前後)・HT(カンデサルタン4mgとスピロノラクトン12.5mgで130/80を下回っています)の方がいます。冠動脈疾患の一次予防のためにビタバスタチンカルシウム1mg処方しています。LDL-CHOL85~102、HDL-CHOL50~59、TG186~201あります。LDL-C/HDL-Cはいつも2未満ですが、やはりLDL-C/HDL-C1.5未満を目指したほうがよろしいでしょうか。その場合、この患者さんは1日15000歩歩行を実践されています。これ以上歩けとは言えません。良い方法がありますか?
written by 富山の老内科医 / 2008.09.02 17:35
富山の老内科医 様 その1(1/2)

コメント有難うございました。
私も老内科医(開業医)ですので、このようなご質問にお答えするような立場ではありません。
少し私見を書かせていただきます。

スタチンの冠動脈疾患の一次予防効果は2次予防効果より低いようです。
周知のことですが、運動によるLDL-C改善効果は中性脂肪、HDL,過体重などのいわゆるMets改善効果に比較して弱いといわれています。
したがって先生のいわれるように、これ以上の運動による効果は期待できないと思われます。  
動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2007年版)では「一次予防においては安易な薬物療法は行うべきではなく、個人のリスクを正しく評価し、絶対リスクが高い患者を対象とした薬物療法を行うべきである」と記述されています。
先生の症例は加齢、高血圧、糖尿病があるためカテゴリーⅢ(高リスク群)に分類されます。
written by 戯れ言たれる侏儒 / 2008.09.03 08:28
富山の老内科医 様 その2(2/2)

しかし、私としては同じ薬剤療法ならビタバスタチンの2mgへの増量より、ピオグリタゾンのようなグリタゾン系による糖尿病のコントロールの強化(HbA1c6%以下を目標にする)をチョイスとしたいと思います。
しかし、ACCORD試験のような報告が出たため自信はありません。

ACCORD試験とADVANCE試験
http://wellfrog2.exblog.jp/8857687

当院ではビタバスタチンの場合は2mgをベタで処方(院内処方です)し、脂質異常の程度が軽い場合やスタチンの多面的作用のみを期待する場合はプラバスタチン10mgをと使い分けています。

質問に対するお答えになっていないかも知れません。
他の先生からのコメントもいただけると有難いのですが。

またのコメントをお待ちしています。
written by 戯れ言たれる侏儒 / 2008.09.03 08:29

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