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昨日の続きです。
講演2
血管内皮機能評価の臨床応用:FMD検査の標準化
久留米大学心臓・血管内科 准教授 松岡 秀洋 氏
FMDを心血管病の代理エンドポイントとして活用
血管の機能異常,器質的障害をできるだけ早期に見出し,心血管病を防ぐにはどうしたらよいか―。
講演の冒頭で松岡氏は,その方策の 1 つとして代理エンドポイント(surrogate endpoint)の活用を挙げた。
代理エンドポイントは主要心血管イベント(hard endpoint)に対する概念で,その要件は次のように厳格である。
(1)大規模臨床研究で心血管病発症との関連が示唆されている。
(2)評価が簡便で,再現性に優れる。
(3)血管傷害に関する分子機序の少なくとも一部が明らかである。
(4)前向き介入試験で心血管病発症や,その予後改善効果が実証されている。
これらの要件を満たし,現在世界的に注目されているのが,血管内皮機能の評価指標となるFMDである。
循環器疫学で有名なFraminghamコホート研究でも,FMDが採用されている。
同氏は,日本におけるFMD検査の標準化を見据えながら,その進め方を詳説した。
FMD検査では,まず被検者の上腕にカフを巻き,収縮期血圧+30mmHg程度で 4 分半加圧すると,前腕は虚血を来す。
加圧をやめると,血流の回復途上で上腕動脈にシェアストレスがかかり,血管内皮から一酸化窒素(NO)が遊離し,血管径は徐々に拡張する。
FMDは,その際の拡張ピークを加圧前の血管径に対する変化率として算出したものである(図 1)。

ただしFMDは,血管内皮機能のみを反映する指標ではない。
シェアストレスやNO産生の度合い,血管平滑筋の反応性,血管弾性,血管径などもFMDの規定因子である。
例えばFMDは変化率で表されるため,加圧前の血管径が大きいほど低くなることに留意する必要がある。
また,血管平滑筋の反応性を除外してFMDを捉えるには,血管平滑筋に直接作用するニトログリセリン(NTG)を被検者に投与し,それに伴う血管拡張反応を調べなければならない。
その場合,NTGの適量は0.075mg(舌下錠 1 / 4 錠)であると同氏は補説した。
米欧に続き日本でもFMD検査の標準化指針を作成
加齢や血圧上昇,リスク因子数の増加に伴ってFMD値が低下することは,Framingham心臓研究で疫学的にも裏付けられている。
だが,検査の方法や環境,機器などに統一基準がないため,各施設で測定されるFMD値は客観性に欠ける。
このため近年FMD検査の標準化を図る気運が高まり,2002年に米国でFMD評価ガイドライン(J Am Coll Cardiol 39: 257, 2002)が作成され,欧州ではこれを修正する形で2005年に声明(J Hypertens 23: 7, 2005)が出された。
先般日本でも,松岡氏や東氏らが中心となってまとめた,超音波による血管機能評価法についてのコンセンサスステートメントが発表された(臨床薬理 38: 305, 2007)。
そこで松岡氏は,このステートメントに基づいてFMD検査の実施上の注意事項を示した。
FMD値は,検査時間・室温・音といった環境のほか,被検者の食事や運動,排泄などの状態,血管径,検査装置の性能などの影響を受ける。
したがって朝の空腹時,喫煙・カフェイン飲料摂取を6時間以上休止した状態でFMD検査を行うことが推奨される。
検査室は静かで薄暗く室温23~26度に保ち,被検者が女性の場合は月経周期も考慮する必要がある。
検査前は,10分間の安静臥床後に血圧を測定し,低血圧や徐脈のないことを確認する。
検査装置としては,高周波(7~12MHz)プローブを装着した高解像度の二次元ドップラー超音波診断装置が適し,プローブ保持機材と上腕支持装置も備えるべきである。
ちなみにカフは,通常前腕または上腕肘窩上に巻くが,最近はプローブがずれにくく手技を施しやすい前腕法が主流になりつつあるという。
バイオマーカーも考慮して総合的に病態を把握すべき
FMD検査の実施時は,血管径は少なくとも 3 か所で測定して平均化し,ドップラー流速は加圧前と加圧解除直後に検出する。
また,NTG誘発血管内皮非依存性血管拡張反応を調べ,NTG投与前と投与後最大拡張時のドップラー流速を計測する。
血管径の大きさは,加圧前は心電図R波に同期させた拡張末期イメージで,加圧解除後は最大拡張ポイントで捉える。最近は,血管壁の変位を自動追尾する機能を備えた計測装置もある。
検査結果の再現性を保つには最低 6 か月,少なくとも100回以上のトレーニングを要するという。
画像の解像度は,プローブの周波数によって大きく変わるため,用いる周波数を一定にする必要がある。
多施設研究を行う場合,測定法に関するワークショップを設けるなど結果の整合性維持に努めなければならない。
なお,結果発表時に最小限必要なデータは以下の通りである。
(1)加圧前の血管径,
(2)シェアストレスを規定する血流パラメーター(ヘマトクリットなど),
(3)測定時の血圧・心拍数,
(4)FMD最大拡張径および加圧前に対する拡張率,
(5)NTG最大拡張径およびNTG投与前に対する拡張率,(6)FMDドップラー血流%増加率。
さらに介入試験時は,加圧前の血管径と血流増加率が不変であることも確認することが求められる。
松岡氏は「FMD値は,介入試験時の代理エンドポイントとして利用できるほか,健康診断や人間ドック,周術期患者のリスク評価,治療対象のリスク層別化,心血管病危険因子の同定,動脈硬化プロセスの解明などに役立つ。
単にFMDを見るのでなく,心血管病の進展に応じて種々のバイオマーカーを使い分けたり,組み合わせたりしながら,病態を総合的に捉えることが重要である(図2)」と総括した。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4103581&year=2008
Medical Tribune2008.1.17
版権 メディカル・トリビュン社

カトラン リトグラフ「静物」グランマーレ開催記念http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p97696813
血管内皮細胞
http://hobab.fc2web.com/sub2-kekkannnaihisaibou.htm
動脈硬化と血管内皮・NO
http://www.lochol.jp/News/news10.html
動脈硬化における内皮の役割とNO
内皮より産生されたNOは血管平滑筋に作用して血管拡張性に働くほか、血小板凝集抑制、平滑筋増殖抑制、白血球接着抑制、活性酸素産生抑制などの作用を有することが知られている。
これらは、まさに動脈硬化形成の逆の作用であり、動脈硬化は内皮機能障害の結果であるというRossの傷害反応仮説と照らし併せてみても興味深い。
動脈硬化血管や高コレステロール血症モデル動物の血管などではNOを介する内皮依存弛緩反応が減弱していることが知られている。
内皮機能が保たれている血管ではアセチルコリンに対して弛緩反応を示すが、内皮機能が障害されていると反応は減弱ないし消失、あるいは逆に収縮する。また、この反応はL-アルギニンの投与により回復する。
同様のことは、動脈硬化の危険因子とされる高血圧、糖尿病、加齢、喫煙、閉経などの状態でも認められている。
血管新生と内皮細胞
http://www.med.rcast.u-tokyo.ac.jp/vascbio/11.html
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。
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