戯れ言たれる侏儒
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高トリグリセライド血症

戯れ言たれる侏儒 / 2008.02.16 00:16 / 推薦数 : 0

従来から高中性脂肪(トリグリセライド)血症は高コレステロール血症の影に隠れた脇役でした。

しかし最近では食後の中性脂肪上昇について注目され、またMetsとの関連で再評価されて来ているようです。

早発性冠動脈疾患(CAD)との関連については高トリグリセライド血症に伴う低HDL血症がどれだけ関与しているのかも知りたいところです。

以下の研究報告で勉強してみました。

 

高トリグリセライド血症
原因を特定し管理・治療を
早発性冠動脈疾患との関連も重要
〔ニューヨーク〕ワシントン大学(UW,ワシントン州シアトル)のJohn D. Brunzell博士が高トリグリセライド血症(HTGD)の臨床学的レビューにおいて,HTGDの管理と治療法,およびHTGDと早発性冠動脈疾患(CAD)との関連性をNew England Journal of Medicine(NEJM,2007; 357: 1009-1017)に発表した。

まず家族歴の入手を
HTGDは55歳未満の喫煙男性,65歳未満の喫煙女性,65歳未満の非喫煙男性,75歳未満の非喫煙女性においては心筋梗塞発症または冠動脈インターベンション施行の必要性と関連している。
 HTGDは特にsmall dense LDLの存在とHDLコレステロール(HDL-C)値の低下に密接に関係しており,どちらも早発性CADと関連していることがわかっている。
このため,トリグリセライド(TG)高値とHDL-C低値の多くの患者が治療を要し,LDLコレステロール(LDL-C)値が上昇していなくても慎重に評価を行うべきである。
 

Brunzell博士は「HTGD患者を評価する最初のステップとして,家族のなかにアテローム動脈硬化症を発症している者がいるかどうかを患者に調べさせるなどして,詳しい家族歴を入手する。また発症年齢,もし一親等の親族が死亡していた場合は死亡年齢と死因を調査する。家族歴から脂質異常症治療の必要性のある親族が特定されることも多い」と述べている。
 早発性CADの原因となるHTGDには一般的な 3 つの遺伝性疾患があるが,もう1つのHTGDの遺伝型と早発性CADとには関連性がない。このためHTGDの原因を調べることが重要である。
 早発性CADを引き起こす 3 つの遺伝性疾患は,家族性混合型高脂血症(FCHL)良好に管理された 2 型糖尿病患者における残存脂質異常症と家族性低αリポ蛋白質血症(FHA)で,これらはすべてメタボリックシンドロームの特徴を伴う。早発性CADとは関連のない疾患として1遺伝子性HTGDがある。

同博士は「これらの 3 つの疾患を合わせると,早発性CADイベントの50%を引き起こすとされている。このため,これらの疾患が診断された際は心血管リスクを低下させるための積極的な治療が必要となる」と述べている。

肥満(特に中心性肥満)はTG値の上昇とHDL-C値の低下と関連している。インスリン抵抗性を伴う中心性肥満は,2 型糖尿病の脂質異常症,FCHLとFHAを誘発する主因子と考えられる。

HTGDの各タイプで異なる特徴
二次性HTGDはコントロール不良の糖尿病,飲酒と特定の薬剤使用により発症することがある。特定の薬剤としては,エストロゲンやエストラジオール,アンドロゲン,テストステロン(プロゲスチンは逆にTG値を低下させる),グルココルチコイド,シクロスポリン,タクロリムス,サイアザイド系利尿薬,b遮断薬,プロテアーゼ阻害薬,バルプロ酸と関連薬剤,isotretinoinがあり,セルトラリンも含まれると考えられる。

二次性HTGDのより複雑な病態についてはBrunzell博士の検討に含まれていないが,甲状腺機能低下症,末期腎疾患,腎炎症候群とHIV感染と関連している。
 

HTGDの疑いのある患者については,家族歴,未治療の糖尿病や薬剤使用などの二次的要因とbody mass index(BMI)値に焦点を当てて評価すべきである。同博士によると,HTGDのみを評価するよりも,TG値の上昇と腹囲の増大のほうがインスリン抵抗性とCADリスクのより有用なマーカーとなりうる。特に,家族性HTGDはFCHLやFHAと異なり,体幹部肥満や心血管リスク増加を伴うことはない。

FCHLとFHAによりHDL-C値は低下する。FCHLではLDL-C値上昇あるいは正常である。また,FCHLとFHAはいずれもsmall dense LDLと関連性がある。

臨床検査として空腹時脂質プロフィールが必要となる。最近では非絶食下でのTG値が研究されているが,標準値が得られていないため,この検査は推奨できない。

アテローム動脈硬化症の既往歴と家族歴がなくTG値が上昇した患者の場合,アポリポ蛋白質B(アポB)値の測定がFCHLと家族性HTGDの鑑別に役立つと考えられる。いずれの疾患でもLDL粒子(大粒子および小粒子)の総数を推定するためにアポB値を使用することができる。アポB値はFCHLでは高く,家族性HTGDでは低い。

ライフスタイルの改善が重要
では,HTGDと診断された患者をどのように管理すべきであろうか。まず,二次的疾患の治療を実施して問題となる薬剤投与を中止すべきである。次に管理に関して,TG値の低下のみを目的とした治療を行うべきか,それとも中間比重リポ蛋白,LDL-C値,HDL-C値の異常に関連する治療を行うべきかが重要な問題となる。

TG値が1,000~1,500mg/dLの場合,膵炎リスクを低下させるためにフィブラート系薬による治療を要する。軽度?中等度のTG値の上昇を治療する便益は明白ではない。

ライフスタイルの改善は確実に有用である。体重の軽度?中等度の減少によりTG値は約22%低下し,HDL-C値は約9%増加する。これは主として,HDL2が約43%増加した結果である。small dense LDLは約40%まで減少する可能性がある。Brunzell博士は「中等度の体重減少でもTG値の低下につながり,定期的な有酸素運動(週に約4時間)によって維持することができる」と述べている。

飽和脂肪含有量の多い食物は,複合糖質,一価不飽和脂肪と多価不飽和脂肪の食物に変更する必要がある。特に果糖などの単糖類の摂取は避けるべきである。

これまでの試験のメタアナリシスでは心血管イベントと死亡率の低下は認められなかったが,n-3脂肪酸の補給はTG値を低下させる可能性がある。

また,禁煙する必要がある。TG値が2,000mg/dL超の患者は禁酒する必要があるが,それ以下の患者が飲酒する際は適量でなければならない(男性で 1 日2杯,女性で 1 日1杯。500mg/dL以下であれば中等度の飲酒は許容)。

ニコチン酸などが有用な可能性
薬剤の使用はほとんどの患者で必要であるが,目標とするTG値は膵炎リスクを低下させる目的以外では明白に示されていない。一般的に薬剤の使用は,早発性CADの既往歴と家族歴を有するHTGD患者に対して考慮される。薬剤を使用する際,特にsmall dense LDLを減少させ,HDL2を増加させる薬剤が好ましい。ニコチン酸はこのいずれにも有効である。ニコチン酸は単剤あるいはスタチン系薬やcolestipolとの併用により検討されている。

フィブラート系薬はTG値を低下させるが,Brunzell博士は「ランダム化比較試験によって主要アウトカムに関して明白な結果は得られなかったものの,共通した副作用が認められた」と説明している。

糖尿病患者でCADリスクがある場合はスタチン系薬が推奨される。しかし最近の試験から,フェノフィブラート療法を実施すると致死的心筋梗塞がわずかに増加したことが明らかにされた(Keech A, et al. Lancet 2006; 366: 1849-1861,訂正Lancet 2006; 368: 1415-1420)。

同博士は「ブドウ糖のコントロールを妨げると考えられるニコチン酸は,糖尿病患者におけるHTGDの治療の際に第一選択薬として使用してはならないとされている。しかし,複数の試験でニコチン酸療法は糖尿病が良好にコントロールされ,血糖値にほとんど影響がない患者には使用可能であることが示されている」と指摘している。
 

糖尿病患者でCADリスクがある場合はスタチン系薬が推奨される。しかし最近の試験から,フェノフィブラート療法を実施すると致死的心筋梗塞がわずかに増加したことが明らかにされた(Keech A, et al. Lancet 2006; 366: 1849-1861,訂正Lancet 2006; 368: 1415-1420)。

同博士は「ブドウ糖のコントロールを妨げると考えられるニコチン酸は,糖尿病患者におけるHTGDの治療の際に第一選択薬として使用してはならないとされている。しかし,複数の試験でニコチン酸療法は糖尿病が良好にコントロールされ,血糖値にほとんど影響がない患者には使用可能であることが示されている」と指摘している。
 
Medical Tribune2008.2.14
版権 メディカル・トリビューン社

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4107341&year=2008

 カトラン『ぶどうの房のある静物』リトグラフ
http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v15271126

<コメント>

HTGDの指導で真っ先に患者に指導すべきことは節酒と思われるのですが、アルコールについてはほとんど触れられず禁煙の重要性が強調されているのは少し意外でした。

<自遊時間>

昨夕、高血圧症の新患の方(50代)が来院されました。なんでも会社の近くの開業医に長年血圧でかかっていたとのことです。

前日、会社の帰りに寄ったら廃院のお知らせがぽつんとあったとのことでした。先生自身、彼と同年輩ということでそんな年でもありません。

当院を受診されたのはそんな事情だったわけですが、その話を聞いて我が身に置き換えてしまいました。

開業医の自分はどんな終わり方をするんだろうかと。

 

さらに4月からは外来にストップウオッチを置いてて5分間のお説教をこの方にしなければなりません。

患者さんに診察料が高くなるので4分で切りあげてくれといわれそうです。

まことにもって滑稽な外来風景が予想されます。何よりも内科外来の混乱は必至です。

 

 

 

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