| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | |||||
| 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
| 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
| 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
| 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
「日経メディカル ブログ」で
MEGAスタディーを女性だけで解析してみたら
北澤京子の「医学論文を斬る」
というブログが目にとまりました。
最近の調査で、医学部教授の9割は製薬メーカーから何らかの寄付を受けているということです。
研究予算が少ない中、一概に悪いとは決め付けられないことですが、その製薬メーカーの薬剤の有効性を検討する際にバイアスがかからないという保証もないのが現実です。
まさに「李下に冠を正(整)さず」です。
そして知らないうちに「寄附講座」という従来なかった講座が増えて来ました。
最近、国内でもメガスタディが行われるようになってきていますが、大学教授達のコメントも予定調和的です。
ごく一部の先生(ここではあえてお名前は控えますが)の辛口コメントは大いに楽しませてくれます。
<関連記事>
医学部教授、9割が企業から寄付金 厚労省調査
2008年01月23日
インフルエンザ治療薬タミフルの副作用を国の補助金で研究していた大学教授が、輸入販売元の製薬会社から多額の寄付金を受けていた問題を受け、厚生労働省が調査を行ったところ、医学部教授の9割が製薬会社から寄付金を受けている実態が明らかになった。厚労省は22日、公的研究の中立性を確保するため、監視する委員会を各大学に設置するよう求める指針を決めた。
調査は昨年8月、無作為抽出した43の大学医学部・薬学部の教授215人を対象に行い、91人が回答。医学部教授の91%、薬学部教授の44%が06年度に製薬会社から「奨学寄付金」を受け、寄付1回あたりの平均額は約60万円だった。医学部教授の3割余は年間の寄付金総額が1000万円以上で、3000万円以上の教授も1人いた。
指針では、特定企業に便宜を図るなどの不適切な研究を監視する委員会を各大学に設置し、国の補助金を受ける教授らは企業からの寄付などを委員会に報告しなければならない。報告基準は各大学で定めるが、指針では「同一企業・団体からの収入が年間100万円を超える場合」などの目安を示した。
不適切事例があれば、大学が厚労省に報告、厚労省が調査や指導を行う。改善しなければ補助打ち切りや研究費の返還請求などの制裁措置をとるという。
http://www.asahi.com/health/news/TKY200801220404.html
個人的な話で恐縮ですが、私はオーディオを趣味としています。
いわゆるオーディオ評論家と音響メーカーの関係は、今までの話と似たように感じてしまいます。
長くオーディオ雑誌を読んでいると、評論家同士にも予定調和があって大体どんな評論をするかも分かってしまいます。
音を文章にするわけですから、いくら巧みな文章でも理解は出来ないのは当然として、何よりも何の評論にもなっていないのです。
厳しい批評をする評論に巡り合ったことはなく結局は値段の高い機器は音がいいというつまらない結論になっています。
最近、牛乳についての議論がされています。
牛乳が体に悪い?
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2008/01/29
最近の新聞にも有識者の討論会の案内が出ていました。
牛乳市民講座
http://mhlab.jp/event/seikatsusyukanbyo_01/2008/02/001983.php
話を聞かなくても内容はわかってしまいそうです。
そんな中での「斬る」という大上段に構えた小気味のよいブログの紹介です。

黒澤信男 「山形肘折温泉」 60号出展作日展会友
http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s81965503
プラバスタチン(商品名:メバロチン)の心血管疾患の一次予防効果について、日本人を対象に検討したMEGAスタディー[1]がLancet誌に発表されたのは1年半ほど前。
1. Nakamura H, Arakawa K, Itakura H, Kitabatake A, Goto Y, Toyota T, et al. Primary prevention of cardiovascular disease with pravastatin in Japan (MEGA Study): a prospective randomized controlled trial. Lancet 2006; 368: 1155-63.
当時は医療関係者の間で大きな話題になりました。先ごろ、女性のみを解析した結果がCirculation誌に発表されたので、さっそく読んでみました。
Mizuno K, Nakaya N, Ohashi Y, Tajima N, Kushiro T, Teramoto T, et al. Usefulness of pravastatin in primary prevention of cardiovascular events in women: analysis of the management of elevated cholesterol in the primary prevention group of adult Japanese (MEGA study).
Circulation. 2008; 117: 494-502. (
<診療上の疑問・課題:明確。主要アウトカムが複合エンドポイントである点に注意>
当然ながら文献1と同じですが、今回は対象が女性限定です。
従って、今回の
P(patient)
I(intervention)
C(comparison)
O(outcome)は、
P:総コレステロール値が5.7~7.0mmol/L(220~271mg/dL)の高脂血症患者で、年齢40~70歳の閉経後女性。冠動脈疾患および脳血管疾患の既往がない人。
I:プラバスタチン(10~20mg/日)+食事療法
C:食事療法のみ
O:冠動脈疾患の発症(致死性/非致死性心筋梗塞、狭心症、心臓死/突然死、冠動脈血行再建術の施行、のいずれか)
と整理できました。
プラバスタチンは10mgから開始し、総コレステロール値が220mg/dL以下に下がらない場合は、医師の判断で20mgまで増量可としました。
また、両群共に、総コレステロール値が270mg/dLを超えてしまったら、スタチンを含む積極的治療に切り替えられるものとしました。
ここで注意すべきは、主要アウトカムが複合エンドポイントになっている点です。
特に、患者に“起こる”ものではなく、医師が自ら“行う”ものである冠動脈血行再建術が含まれている点に注意すべきでしょう。
これについては後で改めて触れたいと思います。
<研究デザイン:多施設共同ランダム化比較試験>
ランダム化比較試験(RCT)が行われました。
参加施設数は明記されてはいませんでしたが、数千人規模であることから考えて、多施設であることは間違いないでしょう
<割り付け:コンピューターを用いてランダム化>
この論文には詳しい記載はありませんでしたが、文献1によれば、コンピューターを用いたブロックランダム化(permuted-block randomisation)が行われました。
ブロックランダム化とは、ある一定の人数ごとに1つのブロックを作り、その中で両群のバランスが保たれるように割り付ける方法のことです。
RCTの参加者は、一斉に試験に入るのではなく、順に入っていくわけですから、何千人もの参加者を割り付けるには長い期間がかかります。
その際、ブロックランダム化を施すことにより、全員の組み入れが完了した段階のみならず、途中の段階においても、両群にバランスよく割り付けることができるのです。
今回はさらに、性、年齢、実施施設により層別化(stratification)が施されていました。
<盲検化:医師および患者は割り付け内容を知っていた。評価者のみ盲検化>
MEGAスタディーはオープン試験、つまり、プラバスタチンを処方する医師も、処方される患者も、自分がどちらの群に属するかを知っていました。
プラバスタチン群には薬を処方して、食事のみ群には処方しないわけですから、バレバレ(!)ですね。
医師が割り付け内容を知っているということは、冠動脈血行再建術を行うかどうかの判断に影響を及ぼしかねず、結果にバイアスが生じる可能性があると思われます。
つまり、医師は「この患者さんは薬を飲んでないから、血管が詰まっているかも。心カテしなきゃ」と考えるかもしれません。
先の「診療上の疑問・課題」の項目で、「冠動脈血行再建術が主要アウトカムに含まれていることに注意すべき」と書いたのは、このためです。
また、患者が「私は薬をもらっているから、(陰で)何を食べても大丈夫ね」と考えたり、「薬をもらっていないから、食事療法をがんばらなきゃ」と考えたりする可能性もあるでしょう。
もしも、プラバスタチンと形や色は同じで、有効成分を含まないプラセボが用いられていれば、二重盲検にでき、こうしたバイアスは避けられたはずです。
しかし、MEGAスタディーはメバロチンの市販後臨床試験として日常臨床に即した形で行われたため、プラセボは使用されませんでした。
ただし、評価者は、割り付け内容を知りませんでした。
ちなみに今回のような研究デザインは、PROBE(prospective、randomised、open、blinded end-point)法と呼ばれています。
<追跡:厳密には不明(低くはないだろう)。ITT解析されていた>
ランダム化された7832人のうち、女性は5356人(プラバスタチン群2718人、食事のみ群2638人)でした。
文献1には、7832人のうち7730人(98.7%)で5年以上の期間にわたって消息を確認できたとの記載がありましたが、この論文に女性だけのデータは示されていませんでした。
ただし、女性だけ追跡率が低いということは考えにくいと思われます。
解析は、割り付け内容に沿って(intention-to-treat)行われていました。
<介入以外の治療:食事療法は全員に行われたが、必ずしも均一ではない>
全員に行われた食事療法は、米国コレステロール教育プログラム(NCEP)ステップIダイエットというものでしたが、具体的には明記されていませんでした。
しかし実際には、前述のように、総コレステロール値が一定以上になれば、食事のみ群であってもスタチンや他の薬剤を使って積極治療を行っていたわけですから、プラバスタチン以外の介入内容が両群で同じとはいえないでしょう。
<サンプルサイズ:計算されていない>
MEGAスタディーのサンプルサイズは、男女合計で計算されたもの[1]です。
男女別に解析した場合に、差を検出するのに必要十分なサンプルサイズに達していたのかどうかは、明記されていませんでした。
<参考文献>
1. Nakamura H, Arakawa K, Itakura H, Kitabatake A, Goto Y, Toyota T, et al. Primary prevention of cardiovascular disease with pravastatin in Japan (MEGA Study): a prospective randomized controlled trial. Lancet 2006; 368: 1155-63.
<引用>
Nikkei Medical ONLINE 2008. 2. 13
MEGAスタディーを女性だけで解析してみたら
日経メディカル ブログ
北澤京子の「医学論文を斬る」
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/kitazawa/200802/505505.html
版権 日経BP社
固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)