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昨日の続きです。
後半は現在進行中のKYOTO HEART Studyについてのディスカッションされています。
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目標症例に達し登録を終了したKYOTO HEART Study
光山
では次に,KYOTO HEART Studyの概要と進行状況について,松原先生,お願いします。
松原
KYOTO HEART Studyの目的は,ハイリスク高血圧患者に対するバルサルタン上乗せ投与による心血管イベント抑制効果を検討することです。
対象は糖尿病,喫煙習慣,脂質代謝異常,肥満,虚血性心疾患などの心血管疾患リスクファクターを1つ以上有する高血圧患者で,バルサルタン上乗せ群と従来治療群(非ARB群)に無作為化して3年間追跡します。
試験デザインは,既に申し上げたようにPROBE法です。
1次エンドポイントは心血管イベント,2次エンドポイントは総死亡,心機能悪化,不整脈,糖尿病出現・悪化などです。全例に心エコーを実施しています。
バルサルタンは80mg/日から開始して,160mg/日,他剤併用と必要に応じて進んでいきます。
従来治療群はARB/ACE阻害薬以外の降圧薬をflexible doseのかたちで使用します。
なお両群ともに,試験開始時にACE阻害薬が使われている場合は継続可としました。
目標降圧値は140/90mmHg未満(糖尿病や腎疾患合併例では130/80mmHg未満)です。KYOTO HEART Studyがスタートしたのは2004年1月ですが,昨年,目標としていた3,000例を超えて3,200例になったので登録を終了しました。
合併症としては高脂血症が50%強,虚血性心疾患・糖尿病がおのおの約25%強で,うっ血性心不全が約5%強です。
JIKEI HEART Studyよりも高血圧治療戦略の早期段階に位置するKYOTO HEART Study
Dahlof
KYOTO HEART Studyの対象は,高血圧+他のリスクファクター1つ以上ということですね。
松原
そうです。バルサルタンの上乗せ試験ということではJIKEI HEART Studyによく似ています。
Dahlof
試験開始時の血圧値はどの位でしたか?
松原
159/88mmHgです。
Dahlof
JIKEI HEART Studyの試験開始時の血圧は両群ともに139/81mmHgでしたから,明らかにKYOTO HEART Studyのほうがより高い値からスタートしていますね。ですからKYOTO HEART Studyは,JIKEI HEART Studyと比べると高血圧治療戦略のより早期の段階に位置する試験だと言えます。
その意味でKYOTO HEART Studyは,JIKEI HEART Studyを補完する臨床試験であると解釈できます。
光山
それがKYOTO HEART Studyの意義ということになりますね。
Dahlof
そう思います。
松原
中間解析の結果では,収縮期血圧が132mmHg,拡張期血圧が70mmHg台まで下がっていました。
Dahlof
降圧の度合いが大きいですね。興味あるデータです。
ところで,1次エンドポイントである心血管イベントの内訳はどうなっていますか?
松原
「脳」は脳卒中の発症/再発およびTIAの発症/再発,「心臓」は急性心筋梗塞の発症/再発,心不全の発症/再発および悪化による入院,抗心不全薬の追加・増量,狭心症の発症/再発および悪化による入院,抗狭心症薬の追加・増量またはPCI,CABGの施行,「血管」は急性大動脈解離の発症,下肢末梢動脈閉塞症の発症/再発および悪化,「腎障害」は透析への移行,血清クレアチニン値が投与前値の2倍以上の上昇などです。
Dahlof
1次エンドポイントはその患者の初発イベントであり,一人の患者につき1イベントに限定されます。
同じ患者に後から起こったほかのイベントは2次エンドポイントで算出することができます。
注意しなくてはいけないことは,1次エンドポイントにあまりソフトエンドポイントが入っていると,ソフトエンドポイントは厳密度が高まる前にカウントされるため,より厳密なハードエンドポイントを失う可能性があるということです。
例えばTIAはソフトエンドポイントなので,これで1次エンドポイントがカウントされてしまうと,続いて脳卒中が生じても1次エンドポイントとして扱うことができません。
ですから,ハードなものとソフトなもののエンドポイントのバランスを保つようにしなくてはなりません。
松原
貴重なアドバイスをありがとうございます。
Dahlof
JIKEI HEART Studyでは3,000例を対象に平均3年間追跡することで1次エンドポイントで300イベントが得られると,バルサルタン群で20%の有意なリスク軽減が得られると仮定しました。
実際には39%のリスク軽減が得られ検出力は当初の計算より高かったのですが,KYOTO HEART Studyの場合,統計学的に有意差が得られる検出力をどう計算していますか?
松原
1次エンドポイントでリスク軽減20%という有意差を得るためには,平均3年間の追跡で12%(年間約4%)のイベント発症が必要であると考えています。仮説イベント数は約300です。
光山
KYOTO HEART StudyでJIKEI HEART Studyに続く日本人におけるバルサルタンのエビデンスが得られることを期待したいと思います。
(ノバルティスファーマ株式会社の提供記事)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4106081&year=2008
Medical Tribune 2008.2.7
版権 メディカル・トリビューン社
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。
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