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DESの適応外使用の際にBMSと比較して有害事象が増加するかどうかという報告で勉強しました。
ここでいう「DESの適応外使用」とは
再狭窄病変、バイパスグラフト病変、左冠動脈主幹部の病変、左冠動脈前下行枝入口部の病変、分岐部病変、または完全閉塞病変、病変部前後の対照血管径が2.5mm未満か3.75mm超または病変長が30mm超
と定義されています。
BMSとDES、適応外使用にはどちらがよいか
適応外使用の場合にはBMSよりDES 近年、薬剤溶出ステント(DES)の適応外使用と有害事象の発生率上昇との関係を示唆する報告があるが、適応外の場合はベアメタルステント(BMS)と比べて有害事象は増えるのか。
米国Pittsburgh大学のOscar C. Marroquin氏らは、DESまたはBMSの標準適応または適応外使用を受けた患者を1年間追跡し、BMSに比べDESの適応外使用が死亡または心筋梗塞リスクの上昇をもたらすことはないこと、血行再建術再施行リスクはDESの方が有意に低いことを示した。
詳細はNEJM誌2008年1月24日号に報告された。
著者らは、米国国立心肺血液研究所の登録データから6551人の患者のデータを抽出して分析した。
DES(シロリムス溶出ステントとパクリタクセル溶出ステント)のみ、またはBMSのみが適用された患者について、標準適応か適応外使用かを判定のうえ、術後1年間追跡して安全性と有効性を比較した。近年、薬剤性と有効性を比較した。エンドポイントは全死因死亡、心筋梗塞、血行再建術の再試行(PCIまたはCABG)に設定した。
適応外使用は、再狭窄病変、バイパスグラフト病変、左冠動脈主幹部の病変、左冠動脈前下行枝入口部の病変、分岐部病変、または完全閉塞病変、病変部前後の対照血管径が2.5mm未満か3.75mm超または病変長が30mm超と定義した。
適応外使用は、BMS留置を受けた患者の54.7%(3858人中2110人)、DES留置を受けた患者の48.7%(2693人中1312人)に見られた。
ベースラインで、BMS群に比べDES群で糖尿病、高血圧、腎疾患の有病率が高く、心筋梗塞歴、冠インターベンションまたは冠動脈バイパス術歴を有する頻度が高く、3枝疾患患者が多かった。
1年後の時点で、抗血小板薬の2剤併用を継続していた患者の割合はDES群で高かった(71.7%と5.9%、P<0.001)。
院内死亡と入院中の心筋梗塞発生は全体に少なかったが、標準適応に比べ適応外使用で多かった(院内死亡は0.4%と1.3%、P<0.001、心筋梗塞は1.3%と2.5%、P<0.001)。
適応外使用グループ内で比較すると、DES群の方がBMS群より院内死亡率は低かった(0.5%と1.9%、P<0.001)。
心筋梗塞の発生率には差はなかった(2.0%と2.8%、P=0.11)。
多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、留置術から1年間の全死因死亡、心筋梗塞、血行再建術再試行のハザード比を求めた。
調整は、年齢、性別、ステント留置は待機的か緊急か、PCI歴、CABG歴、慢性腎疾患既往、うっ血性心不全歴、糖尿病既往、罹患枝数などについて実施した。
まず、標準適応グループでは、DESとBMSの死亡、心筋梗塞、死亡または心筋梗塞リスクに有意差はなかった一方、適応外使用でも、BMSと比較したDESの調整ハザード比は、死亡が0.94(0.64-1.38)、心筋梗塞が0.71(0.50-1.00)、死亡または心筋梗塞は0.78(0.60-1.02)で有意差はなかった。
血行再建術再施行のリスクは、標準適応グループ、適応外使用グループのいずれにおいてもDESの方が有意に低かった標準適応では、DES群のPCI再施行の調整ハザード比は0.61(0.46-0.81)、CABG再施行は0.53(0.41-0.69)、適応外使用でもそれぞれ0.75(0.61-0.93)と0.63(0.52-0.77)だった。
「追跡が1年間を超えるとBMSとDESのイベント発生率に差が生じるという報告もあり、より長期にわたる比較が必要だが、今回得られた結果は、適応外使用の場合にはBMSよりDESが好ましいことを示唆している」と著者らは述べている。
BMSとDES、適応外使用にはどちらがよいか
適応外使用の場合にはBMSよりDES
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/nejm/200802/505454.html
版権 日経BP社
A Comparison of Bare-Metal and Drug-Eluting Stents for Off-Label Indications
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/358/4/342

鈴木保徳 油彩4号『薔薇』
http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s85411998
DESを用いた場合の抗血小板剤投与期間について
通常のBare Metal Stent(BMS)の場合は、留置後アスピリン、チクロピジンの併用が少なくとも2週間行われれば、以後チクロピジンを中止してもSub Acute Thrombosis(SAT)はほとんど発生しない。 一方、重篤なチクロピジンの副作用が発現するのは、主として2週間以後である。 クロピドグレルが使えない本邦においてもBMSを比較的安全に使用し得たのはこのためである。
しかしながら、DESの場合は、その特性からステントストラットが内膜で被われる時期はBMSより遅れる可能性があり、BMSでの前述の知見をそのままDESに適応することには問題がある。
現在欧米では、クロピドグレルなどの抗血小板剤の投与期間を3ヶ月以上としており、さらに最近ではより長期(1年)の投与が望ましいと言う意見もでている。 このような提案や意見が出された背景には、チクロピジンないしはクロピドグレルを3ヶ月以内に中止した症例でステント血栓症が無視しえない頻度で発生した事実があると推測される。
したがって、現時点ではDESを用いた場合の抗血小板剤至適投与期間については、海外同様3ヶ月以上、可能であれば1年という指針を本検討委員会も提言したい。 チクロピジンの副作用発現頻度とその時期について
チクロピジンの副作用に関して、次に考察したい。
クロピドグレルと比較した調査として代表的なものは2つあり、おのおの9.1%vs 4.6%、10.6% vs 5.3%となって、チクロピジンの副作用発現率が高いことが確認されている。
また、チクロピジンの3大副作用、すなわち顆粒球減少、肝障害、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の発現時期はほぼ90%が2ヶ月以内となっている。 副作用発現率が9ないし10%という頻度は看過し得ないものであり、また重篤な副作用の発現時期が投与開始後2ヶ月以内に集中するという事実、そしてその時に代替の抗血小板剤(すなわちクロピドグレル)を我が国が現段階で有していないという事態は重く受け止めるべきであろう。
なお、チクロピジンの代替薬剤としてシロスタゾルを選択しうるという意見もあろうが、同剤はPCIでの保険適用がなく、有用性においても国際的評価は得られていない。 本邦での比較調査(メタアナリシス)でもSAT発現率がチクロピジン 0.8% vs シロスタゾル 4.0%(p<0.0001)となっており、シロスタゾルはチクロピジンやクロピドグレルの代替薬とはなり得ない。
まとめ
BMS時代、チクロピジンの副作用発現例のほとんどはチクロピジンを中止するか、シロスタゾルに切り換えることによって、これまで臨床的に問題なく対処し得た。これは、チクロピジンの投与期間がほぼ2週間という短期間で十分だったからという理由によるところが大きい。 しかし、DESではその特性から、少なくとも3ヶ月間の抗血小板剤の投与が必須とされている。 したがって、チクロピジンの代替薬を持たない現状でstent thrombosisが発生した場合に、生命の危険が発生する可能性のある部位にDESを留置することは慎重に検討されるべきである。
そこで、クロピドグレルが使えない状況下でも安全にDESが使用されるよう、JACCTとして声明を発し、警告を行う義務があると考えられた。
<参考資料>
Berger PB, Bell MR, Hasdai D, Grill DE, Melby S, Holmes DR. Safety and Efficacy of Ticlopidine for Only 2 Weeks After Successful Intracoronary Stent Placement. Circulation 99:248-253 1999.
緊急声明(薬剤溶出ステントDES導入に際して)の背景
日本心血管カテーテル治療学会
http://www.jacct-th.jp/background_declaration_des.pdf
冠動脈疾患インターベンション治療の適応ガイドライン
1) PTCAの安全性
死亡率 0.37%、急性心筋梗塞 1.79%、緊急バイパス手術1.4%
穿刺部出血0.49%
2) CABG合併症 死亡率1.94%、心筋梗塞3.4?2・2%、
脳梗塞2.6?2.2%、感染症1.8%。
3) 6か月以内の再狭窄率 POBA30?40%、ステント20?30%、
4) 初回入院時の経費
PTCA:1枝199万円、2枝196万円、3枝338万円
CABG:2枝440万円、3枝425万円、LMT439万円
日本循環器学会Circulation Journal 65(Suppl 4) 2001を参考に作成
冠動脈疾患インターベンション治療の適応ガイドライン
http://www.jhf.or.jp/a&s_info/guideline/kandomyaku.html
Anti Thrombotic Therapy.2007
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/nmk/stent/tct2007/tct2007_13.html
(DES関連の報告を多数みることができます)
薬剤溶出ステントの臨床適応のEBMに基づいた評価
http://www.nv-med.com/tct/06/pdf/12.pdf
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