戯れ言たれる侏儒
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J-WIND試験

戯れ言たれる侏儒 / 2008.02.07 00:10 / 推薦数 : 1

「J-WIND」試験を解説
hANP、再生移植療法よりも高い効果
創薬化にも期待

昨年(2007年)の10月、「J-WIND」試験が英医学誌ランセットに掲載された。
同試験は、急性期心筋梗塞発症後に心筋梗塞サイズを縮小させることで、梗塞後心不全を抑制した初めての試験であることから、世界的に注目を集めている。
日本の医師主導で行われた臨床研究が、海外からも認められた意義は大きい。
同試験で培われたノウハウが今後の臨床試験、臨床研究へと生かされることも期待される。
ここでは、試験に携わった国立循環器病センター・臨床研究開発部の北風政史部長と朝倉正紀専門外来医長の解説を交えながら、試験の概要を解説する。
 
同試験は、虚血性心筋梗塞患者に対し、心不全治療薬のカルペリチド(ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド=hANP)または抗狭心症薬のニコランジルを投与することで、心筋梗塞の梗塞サイズが縮小するか検討することを目的に行われた。急性心筋梗塞の治療は、血栓溶解療法による冠動脈の再疎通のほか、ステント療法なども行われており、救命率が向上してきている。

してきている。
一方で、心筋梗塞の再発や梗塞後の心不全などの増加をいかに抑制するかは依然として課題だ。
最近では、心筋梗塞の梗塞サイズを縮小させる薬物療法と再生移植療法に注目が集まってきた。
一方で、心筋梗塞の再発や梗塞後の心不全などの増加をいかに抑制するかは依然として課題だ。
 最近では、心筋梗塞の梗塞サイズを縮小させる薬物療法と再生移植療法に注目が集まってきた。

15%梗塞サイズ減少「ものすごく大きい効果」
臨床研究では、
①hANP静注内投与群277例とプラセボ投与群292例
②ニコランジル投与群276例とプラセボ投与群269例―の2試験に割り振り、梗塞サイズの縮小効果を検討した。
主要評価項目は、急性心筋梗塞の梗塞サイズの縮小効果と、左室駆出率を指標とした左室機能。

hANP投与群では、再疎通療法施行前から0.025μg/kg/minを3日間持続静注した。
一方、ニコランジル試験群は同様に、0.067mg/kg単回投与した後、1.67μg/kg/min24時間持続静注を行った。

hANPを選択したのは、同センターで行ってきた動物実験の結果が大きい。

北風氏は、「動物実験の結果から、虚血性心筋梗塞患者では、最終的にアデノシンと一酸化窒素(NO)が関係していることが分かった」と説明。すでに国内で小規模の臨床試験が行われていたことから、その結果を踏まえ、用量を設定し、大規模臨床試験をスタートさせた。

その結果、hANP投与群では、急性心筋梗塞の梗塞サイズがプラセボ投与群に比べ、14.7%有意に減少した。

また、左室駆出率は、5.1%有意に増加した。心臓死・心不全による再入院も、有意に73.3%減少させた。

左室機能を大きく改善
北風氏は、hANPの投与により、心筋梗塞のサイズを15%減少させたことの意義を「ものすごく大きい」と評価する。梗塞サイズの縮小により、慢性期の壁運動を改善し、左室機能が大きく改善したとの見方を示す。

現在、虚血性心筋梗塞患者の治療法として注目を集める再生移植療法でも、「米国心臓病協会学術集会(AHA)の報告によると、慢性期の左室駆出率改善率は3~4%」と話し、hANPの有効性を強調する。

また、薬物療法と再生移植療法を併用することで、さらに高い効果を得ることに期待感を示す。

一方、朝倉氏は、hANPの効果が高くでた症例について、「腎機能がおちた症例」をあげる。同試験のCKD(慢性腎臓病)に焦点を当てたサブ解析の結果でも、CKDの人ではより高い効果をあげているという。ただ、hANPは現在の適応は「急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)」のみで、急性心筋梗塞に対する適応がないのが現状だ。

北風氏は、急性心筋梗塞後で心不全兆候を示す患者はいるとした上で、「現在のところ、急性心不全がなければ使うことができない」と補足。ただ、「臨床研究に参加した施設を中心に、急性心不全の兆候がある患者にhANPを投与している施設もある。現場は確実に変わりつつある」と手応えをみせる。

これらの現状を踏まえ、近い将来の適応拡大にも期待感を示した。

サブ解析進め、10論文を世界に発信
これに対し、ニコランジル投与群では、心筋梗塞サイズ、再灌流障害、左室駆出率すべてでプラセボ投与群と有意差は見られなかった。

心臓死・心不全による入院は、有意差は見られないものの、21.1%減少させた。

試験の開始時点で、結果に期待が集まっていたニコランジルで期待していた結果が得られなかった理由について北風氏は、用量設定や投与期間の設定を挙げる。

用量設定は、この用量で「no-reflow」現象が改善し、それにより慢性期の予後改善が報告されていたことに基づいて設定した。

no-reflow現象とは、再潅流した際に血管がつまり、再潅流しても微細な血管に血液が流れなくなること。北風氏は、「プライマリーエンドポイントが違ったために、差が出なかったのかもしれない」と説明する。左室駆出量が改善した試験では、12mgを静注していることから、用量を増加させることで、効果が発揮される可能性を示唆した。

また、投与期間もニコランジルは24時間と短時間であったことから「hANPのように3日間投与すれば、効果は出たかもしれない」と話す。

動物実験では、梗塞は再潅流後数時間で決定してしまう。しかし、人に対してはこのようなデータは今までのところ得られておらず、「今回の結果からみると、「人では、心筋梗塞が3日間や1週間かかって形成されるのかもしれない」と疑問を投げかける。

今後は、得られたデータを基に関連病院の医師らと共同し、2次的な解析を行う考え。さらに長期成績を追跡するなどして、同試験から10論文を発信したい考えだ。

また、「J-WIND」により構築された臨床研究基盤を生かして、“中核病院”としての役割を担っていくとした。
 
 
「J-WIND」試験を解説
 
http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/jiho/200801/current1.html

 

J-WIND、待望の論文化 J-WIND

 わが国で実施され、2006年には米国心臓協会にて報告された大規模試験J-WINDが、Lancet誌10月27日号に掲載された。心筋梗塞に対する再灌流療法にヒト心房性ナトリウムペプチド(カルペリチド)、あるいはニコランジルを加える有用性を検討した本試験、筆頭著者は国立循環器病センターの北風政史氏である。
カルペリチドとニコランジルの有用性を別個に検討

J-WINDは2つの別個の試験から成る。いずれも急性心筋梗塞例を対象としているが、J-WIND-ANP試験では再灌流療法時にカルペリチドを3日間持続静注、J-WIND-KATP試験ではニコランジルをボーラス静注し、いずれの試験も梗塞サイズと左室駆出率を対照群と比較した。ANP試験ではカルペリチド群に277例、対照群に292例が、KATP試験ではニコランジル群に276例、対照群に269例がそれぞれ無作為割り付けされ、単盲検にて平均2.7年(ANP試験)、2.5年(KATP試験)追跡された。 
 

カルペリチド群では梗塞サイズが縮小し左室機能も保たれる

569例が無作為化されたANP試験では、まず535例(カルペリチド群:255例、対照群:280例)で梗塞サイズが検討された。梗塞巣サイズの評価は、再灌流療法前と再灌流1時間~72時間後の間に少なくとも6回採取した血液サンプルから求めたクレアチニンキナーゼのAUCで行なった。その結果、対照群の77,878.9IU/L時に比べカルペリチド群では66,459.9IU/L時と有意(p=0.016)に低下していた。梗塞サイズに換算すると相対的に14.7%の減少になるという。ただし再灌流後12~18時間に測定したトロポニンT濃度は減少傾向にとどまった。

また398例(各群199例ずつ)で評価できた6~12カ月後の左室駆出率も、カルペリチド群では対照群に比べ相対的に1.05倍、有意(p=0.024)に高値だった。この結果よりJ-WIND研究者らは、「経皮的冠血行再建術を施行される心筋梗塞患者に対し、カルペリチド追加は安全かつ有効な治療だと信じている」と記している。
 

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http://page5.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/e73144632

ニコランジルは用量の問題か
対照的だったのがKATP試験である。ニコランジル群で梗塞サイズ、左室駆出率とも対照群と有意差を認めなかった。 

しかしJ-WIND-KATP試験については本年度の日本循環器学会のセッション「Late Breaking Clinical Trials in Japan」において、以下が指摘されている。すなわち、これまでに報告された臨床試験で、ニコランジルによる梗塞巣縮小が認められた場合、用量は8~12mg程度が用いられている。特に、プラセボ群に比べ心筋梗塞患者の「心血管系死亡と心不全による予定外入院」を有意に抑制し,Circulation誌に掲載された臨床試験では12mgが用いられていた [Ishii H et al. Circulation 2005; 112: 1284]。しかし今回J-WINDで用いられた「0.067mg/kgボーラス+1.67μg/kg/分×24時間」というレジメンではおよそ4mg程度にしかならないため、「もう少し高用量ならば異なった結果になっていた可能性もある」(コメンテーター)とのことである。
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=1046

Human atrial natriuretic peptide and nicorandil as adjuncts to reperfusion treatment for acute myocardial infarction (J-WIND): two randomised trials.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=ShowDetailView&TermToSearch=17964349&ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum

J-WIND、待望の論文化
2005. 3. 23
【日本循環器学会2005速報】
循環器病治療の進歩、大規模試験の「検証的・発見的解析」が鍵に関連ジャンル:循環器
 「我々は、さらに新しい循環器病に関する治療方法を開発・発明・発見する必要がある。そのためには、大規模臨床研究による検証的・発見的解析が必要だ」。こう力強く語るのは、国立循環器病センター心臓血管内科部長の北風政史氏。同氏は3月21日のシンポジウム「我が国独自のエビデンスを構築するためには」で、同センターが実施する2試験を例に、臨床研究を成功させるために欠かせないポイントを列挙した。

 同センターが行っている大規模試験の一つは、「J-WIND」(Japan-Working Groups of Acute Myocardial Infarction for the Reduction of Necrotic Damage)。厚生労働省の「21世紀型医療開拓推進研究事業」として採択された臨床試験だ。心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP、一般名カルペリチド、商品名ハンプ)と、カリウムチャンネル開口薬のニコランジル(商品名シグマート)のそれぞれについて、5%ブトウ糖液と生理的食塩液を対照薬に再灌流療法後の心筋保護作用をみる。

 患者登録は2001年11月からスタート、3月21日までの3年4カ月で1039人が登録され、目標登録数の1200人まであと一歩のところまで来た。ポイントは、組み入れ条件や投薬法・評価法(プロトコル)を簡便化することで、参加施設に対するハードルを低くしたこと。参加呼びかけを「従来の枠組みにこだわらず、急性心筋梗塞症例が多い施設に直接交渉した」(北風氏)点も試験手法として斬新な点だ。各施設の研究協力者間のコミュニケーションを図るため、年2回ミーティングを開催するなどの工夫も凝らされている。

 また、遺伝子の一塩基多型(SNP)と治療効果との関連を調べるなど、分子疫学的手法を取り入れている所も従来試験との相違点。ここは“平均の医学”である大規模試験結果を、個別の医療へと応用するために欠かせない要素だ。患者へのインフォームド・コンセントを、時期を変えて3度行うなど、倫理面にも高い配慮がなされている。データ登録はインターネットで行うが、公定書協会やNTTデータとのタイアップで個人情報保護法に対応できるデータ管理システムを構築した。

 同センターが実施するもう一つの試験は、西有田町研究。佐賀県西松浦郡の西有田町住民を対象とした大規模疫学研究だ。同町の健康診断業務を受託する西有田共立病院と共同研究契約を結び、健診時に心血管機能に関する特殊検査とSNP解析を実施。個人に適した心血管疾患の予防・治療法を開発する。「講演会で偶然会った西有田共立病院の医師に、遺伝子解析を依頼されたことから始まった」(北風氏)共同研究だが、西有田町との契約締結はこれから。厚生労働省も含めた形での研究契約を結ぶ予定だという。

 こうした臨床研究について、北風氏は最後に「基礎医学で得られた知識を検証するだけではなく、日本の福祉・健康・厚生行政に貢献することが我々の責務」と述べ、自らの手で新しいエビデンスを作り出すことの社会的な意義を強調した。(内山郁子、日経メディカル)

(日経メディカル2005.3.23)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200503/366192.html

 

ANPで梗塞サイズが有意に縮小
日本のJ-WIND試験報告(第1報)

国立循環器病センター内科心臓血管部門長の北風政史氏は、14日午前に開催された最新臨床試験報告(LBCT)セッション2で、急性心筋梗塞患者を対象としたJ-WIND試験(Japan-Working Group of Acute Miocardial Infarction for the reduction of Necrotic Damage )の試験結果を発表、ヒト心房由来ナトリウム利尿ペプチド投与(ANP)投与群で対照群に対し、14.6%と有意な梗塞サイズの減少が見られたことを報告した。「薬剤投与による梗塞サイズの減少を報告した大規模臨床試験はこれが初めて」(北風氏)という。

 J-WINDは厚生労働省の「21世紀型医療開拓推進研究事業」として採択された臨床試験で、日本の65医療機関が参画した。多施設前向き無作為化盲検試験で、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドのカルペリチドとカリウムチャンネル開口薬のニコランジルの梗塞サイズ縮小効果を検討した。

 

【訂正】
11/22に以下の点を訂正しました。
 本文最後の段落で、「ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドのカルペリチドとカリウムチャンネル開口薬のニコランジルを比較した」とありましたが、本試験は両剤をそれぞれ偽薬と対照した2アームの試験です。そのため上記のように、「ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドのカルペリチドとカリウムチャンネル開口薬のニコランジルの梗塞サイズ縮小効果を検討した」と訂正します。

ANPで梗塞サイズが有意に縮小
日本のJ-WIND試験報告(第1報)(11/22訂正)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/aha2006/200611/501865.html

急性心不全治療-私のストラテジー CCUから退院まで
http://www.lifescience.jp/ebm/PDEIII/sinzoubyo/sin51_1/3.htm

カルペリチドは急性心不全患者の長期予後を改善するか
http://www.ttmed.com/cardiology/jp/aha2006/pdf/2.pdf#search='カルペリチド'

J-WIND、待望の論文化
http://blog.m3.com/reed/20071205

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