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アスピリンジレンマ、アスピリンパラドックス、アスピリンレジスタンスとアスピリンは何かと話題にされる不思議な薬剤でもあります。
アスピリン
http://www.sam.hi-ho.ne.jp/tootake/1989115.html
アスピリンレジスタンスのハイリスク患者には、効果的なトロンボキサン阻害薬の追加が必要とされていますが、こうした場合の有効な薬剤としては現在、米国では硫酸クロピドグレルが挙げられています。
きょうは昨日に続きアスピリンレジスタンスを勉強しました。
特別企画 座談会 アスピリンレジスタンスを考える
その概念・評価法・臨床的意義は?
後藤 信哉 氏(司会) 東海大学内科学系 教授
Carlo Patrono 氏 イタリア・カトリック大学薬理学 教授
大森 司 氏 自治医科大学分子病態治療研究センター分子病態研究部 講師
血小板凝集能を見ても血栓性イベントの予測につながらぬ
後藤
では,アスピリンレジスタンスをどう判定して評価すべきでしょうか。
Patrono先生が先述されたように,血小板凝集能は血栓性イベントの予測因子ではないと思います。
血小板凝集をほぼ完全に抑制することで注目された非可逆的グリコプロテイン(GP)IIb/IIIa阻害薬(本邦未承認)が,臨床試験においてアスピリンほどのイベント抑制効果を示さなかったことからもわかります。
Patrono
GP II b/III a阻害薬だけでなく,いわゆるスーパーアスピリンについても同じことが言えます。
血小板凝集を強力に抑制するものの,イベント予防につながらないという試験結果が報告されています。
大森
そのうえ,血小板凝集能は測定時間や日内変動,交感神経活性,食物摂取など多くの因子に左右されるため,一個人でも条件によりばらつき方が大きくなります。
また血小板凝集は,TXB2だけでなくアデノシン二リン酸(ADP)や環状アデノシン一リン酸(cyclic AMP)など,さまざまなジグナル経路によっても影響を受けるため,単にアスピリンの作用のみを示しているとは限りません。
Patrono
その通りです。
後藤
それではアラキドン酸誘発による血小板凝集を1回でなく,複数回測定する方法ではいけませんか。
Patrono
アラキドン酸誘発性血小板凝集能の変動性を踏まえると,繰り返し測定するのは有意義だと思います。
しかしながら血清TXB2濃度の代わりに,血小板凝集能を見なければならない特別な理由があるのでしょうか。
血清TXB2濃度は,アスピリンの作用機序とより直接的に関係し,比較的安定して推移します。
後藤
ただ,血清TXB2濃度も計測法,検体,採血法のばらつきから個人差が大きいのは,特に私のような心臓医にとって気になるところです。
大森
その点は見過ごせませんが,現時点で血清TXB2濃度の測定は,少なくとも血小板凝集能よりもはるかに信頼性が高いと思います。
まずは薬力学的相互作用とコンプライアンスの確認を
後藤
本当にアスピリンに対して,COXが阻害されないという意味で,反応のない患者は非常に少なく,私は1,000例あるいは1万例に1例ぐらいだろうと考えていますが,そういう患者に対してはどのような治療を考えるべきですか。
Patrono
アスピリンで抑制し得ないTXA2生合成をもたらす機序として,第一に薬力学的相互作用が挙げられます。イブプロフェンなどのNSAIDsの服用患者がアスピリンを服用すると,アスピリンの作用が減弱することが知られていますので,その相互作用を見極めるのが先決です。
そのほか,COX-2を発現する炎症反応や血小板ターンオーバーの亢進などが,アスピリンによっても反応しないTX生合成として考えられています。
どの機序によるのか,十分に考慮して対処することが重要だと思います。
なお,脳梗塞既往患者約1万8,000例を対象として,低用量アスピリンと選択的TX受容体拮抗薬の有用性を比較する大規模臨床試験が現在進行中です。
その結果が,この問題に関する新しい知見を提供してくれると期待しています。
大森
私は,やはりアスピリン服用のコンプライアンスを確認することが先決と考えています。
そのうえで出血による血小板ターンオーバーの亢進が見られないかを調べます。
そしてアスピリンを160mg/日を上限に増量し,血清TXB2濃度の測定を繰り返すことにしています。
後藤
用量について言及されましたが,欧州でアスピリンはどれぐらいの用量で使われていますか。
Patrono
ほとんどの患者は,最も低用量である75?100mg/日を使っています。75mgと100mgで効果に違いは見られません。米国では特に心臓医は300?325mg/日で使用することが多いですが,この用量が低用量よりも有効であることを示すエビデンスは得られていません。
大森
アスピリン用量と患者の体重の関係については,どのように考えられますか。
Patrono
体重もアスピリンの有効性に影響を及ぼす要因ですね。
ただ,薬理学的に血小板COXのアセチル化に必要な最低用量は30mg/日ですから,そのほぼ 3 倍に相当する100mg/日を使えば,体重や血小板数などの個人差に十分対応できるはずです。
後藤
ところでレジスタンスの問題は,アスピリンだけでなくチクロピジンやクロピドグレルなど,他の抗血小板薬についても報告されています。
しかしアスピリンと比べて,用量や個人差に関する情報が少なく,実態がよくわかりません。
Patrono
そうですね。
例えばクロピドグレルは,肝での代謝活性化を要するプロドラッグです。
活性代謝産物の量,ひいては抗血小板効果にかなり個人差が見られます。
活性代謝物が十分量形成されず,抗血小板効果が得られないのは自明の理です。
これは,クロピドグレルレジスタンスと表現すべきではありません。
「再発=処方の切り替え」と安易に考えるべきでない
後藤
最後にお尋ねします。
例えばアスピリン服用中の患者が脳卒中を再発した場合,どう対処されますか。
アスピリンを増量あるいは他の抗血小板薬を追加しますか。それとも他薬に切り替えられますか。
Patrono
私は,豊富なエビデンスを有するアスピリン療法にこだわります。他薬の追加や変更については,有効性や安全性を検討した試験が行われていませんので,アスピリンによる治療を続けるべきと考えます。
大森
最近の大規模臨床試験の結果を踏まえると,アスピリンに他の抗血小板薬を安易に追加することは推奨できません。併用により,出血性合併症リスクが増加することが示されているからです。
後藤
患者と相談しながら,リスクとベネフィットのバランスを考える必要があると思います。
患者が重篤でない出血性合併症をあまり気にしていないのであれば,アスピリンを可能な範囲で増量できます。
しかし出血の既往があったり,ことさら不安を訴えたりするような場合は,エビデンスに基づいて他の方法を考慮しなければなりません。
Patrono
同感です。対話を通じて患者の価値観や志向にも気を配りながら,治療方針を決定すべきです。
後藤
本日は,Patrono先生ならびに大森先生からたいへん有意義なお話を伺うことができました。アスピリンレジスタンスに関するおもな論点が洗い出され,現在までに確認されている事実と不明な点,今後の検討課題が見えてきました。
Medical Tribune 2008.1.24
版権 メディカルトリビューン社

ミッシェル・バテュ 油彩30号『バカンス』
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t61605647
アスピリン不応症の病態と検査について教えてください(PDF)
http://www.kessen-junkan.com/2007031501/Q06.pdf#search='アスピリンレジスタンス
Aspirin Resistance: Do we have standardized methods for measurement?
http://www.clotcare.com/clotcare/aspirinresistance.aspx
Warning over aspirin resistance
http://www.lutontoday.co.uk/latest-national-news/Warning-over-aspirin-resistance.3687067.jp
Definition of Aspirin resistance
http://www.medterms.com/script/main/art.asp?articlekey=33668
Patients resistant to aspirin risk heart attack
http://www.martinfrost.ws/htmlfiles/jan2008/aspirin_resistance.html
Aspirin Resistance Increases Risk Of Death
http://www.sciencedaily.com/releases/2002/03/020327072842.htm
Clinical Characteristics of Aspirin Resistance
http://www.medscape.com/viewarticle/507660_4
Aspirin Resistance Boosts Heart Risks in Cardiac Patients
http://news.yahoo.com/s/hsn/20080118/hl_hsn/aspirinresistanceboostsheartrisksincardiacpatients
Lack of Aspirin Effect: Aspirin Resistance or Resistance
Previous Page
http://www.medscape.com/viewarticle/469788_4
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。
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