戯れ言たれる侏儒
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炎症性腹部大動脈瘤

戯れ言たれる侏儒 / 2008.02.04 00:05 / 推薦数 : 0

炎症性腹部大動脈瘤の診療
アテローム性との比較含めレビュー

高齢化社会の到来に伴い,腹部大動脈瘤(AAA)の発生件数は年々増加している。このため,新たに作成されたガイドラインでは,喫煙歴のない65~75歳に対してもAAAを検出するための超音波検査を実施するよう推奨している。

こうした背景のもと,医師にはAAAのさまざまな病態に対して,これまで以上の認識が求められる。ジョンズホプキンス大学(メリーランド州ボルティモア)のDavid B. Hellmann博士らは,AAA患者の5~10%を占める炎症性AAA(IAAA)に関するレビューをJAMA(2007; 297: 395-400)に発表した。

ATAAAと同様に腹大動脈に好発
IAAAはAAAで多いアテローム性AAA(ATAAA)とはいくつかの点で異なり,また全身性血管炎とも異なる。
IAAAの好発部位は,ATAAAと同様に腎臓下部の腹大動脈である。

大動脈瘤を形成するほかの疾患からIAAAを区別する際の特徴としては,
(1)動脈瘤壁の際立った肥厚
(2)隣接する後腹膜の線維症
(3)動脈瘤壁前方に隣接する臓器の高度の癒着
の3 つがある。

Hellmann博士らは「これ以外に,炎症による外膜の異常な拡張は,ATAAAからIAAAを区別する主要な特徴である」と述べている。
さらに,赤血球沈降速度(ESR)の上昇ならびに他の血清中炎症性マーカーの異常がIAAAの特徴である。
また特筆すべき点として,IAAAは他の動脈の炎症を伴うことはほとんどないという。
IAAAは現在,慢性大動脈周囲炎として知られる疾患群に分類され,同疾患群にはほかに特発性後腹膜線維症(IRF)およびIRFとIAAAの合併がある。
同博士らは「IAAAでは炎症と線維症は大動脈周囲に発生し,通常,腸管や尿管の閉塞は伴わない。
一方,IRFでは後腹膜で炎症性線維症が発生し,大動脈瘤は認められない」と説明している。
当然ながら,炎症と線維化のスペクトルのなかで,多くの違いがある。

IAAAの2大危険因子である男性と喫煙は,ATAAAよりもIAAAで強力な危険因子となっている。
同博士らは「とりわけ,喫煙はAAA発症の最大危険因子で,IAAA患者はほぼ例外なく喫煙者である」と述べている。
女性喫煙者もIAAAに罹患することがある。
家族歴はATAAAでも重要であるが,IAAAではさらに重要と考えられている。IAAAの好発年齢はATAAAよりも5~10歳若い。

約80%に背痛などの症状
IAAAでは,診察時に背痛や腹痛などの症状が患者の約80%に認められるが,ATAAAでは8~18%と少ない。
IAAA患者の20~50%が診察時に発熱,倦怠感,体重減少を訴える。
広範な後腹膜線維症がある場合,十二指腸閉塞,尿管疝痛,下大静脈閉塞の症状と徴候が認められることがあり,拍動性の腹部腫瘤の有無を問わず,腹部圧痛が見られることがある。
急性の腹痛や循環虚脱を呈する患者は比較的まれである。IAAAによる破裂の生涯リスクは5%未満である。
IAAA患者の40~90%ではわずかな上昇にとどまる場合が多いものの,ESRの上昇が見られるが,ATAAA患者では約20%にESRの上昇が認められる。
IAAAの病因は不明であるが,Hellmann博士らは,免疫組織病理学的知見から,IAAAが外膜に限局する抗原に対する免疫反応に由来することが示唆されると指摘している。IAAAが全身性自己免疫疾患であるという指摘に対しては,「説得力が弱い」としている。
また,IAAAを感染症と関連付ける理論も存在する。
同博士らは「CTとMRIは,いずれもIAAAの特徴である動脈瘤周辺の軟部組織炎症のカフを高い感度で描出できる」と述べている。
しかし,患者が既に副腎皮質ステロイド薬を投与されている場合には,大動脈周囲のコントラスト増強の程度は低下することがある。
ルーチンの腹部X線写真では通常,目立った知見は得られず,また超音波検査法はCTやMRIよりも感度が低い。
予備的証拠から,将来的にはIAAAが疑われる患者に対して陽電子放射断層撮影(PET)が特に感度の高い検査法になる可能性があることが示唆されている。

AAAに大動脈周囲や後腹膜の高度の線維症と炎症を伴う点はIAAAにのみ認められる特徴で,このことはIAAAの鑑別に役立つ。
IAAA好発年齢の患者における高安大動脈炎,側頭動脈炎,コーガン症候群,大動脈の炎症,マルファン症候群,エーレルス・ダンロー症候群,嚢胞性中膜壊死,感染症(サルモネラや梅毒による)などでは,こうした一群の病変を伴うことはない。

直径が5.5cm超えたら外科的介入を
IAAAに対しては内科的,外科的手法の双方が行われるが,禁煙が内科的療法の最初の一歩である。
内科的療法に関しては,抗炎症療法の最終的な有効性は証明されていないものの,副腎皮質ステロイドなどの抗炎症療法や免疫抑制療法では肯定的な結果が得られている。
こうした薬剤には prednisone,メトトレキサート,シクロホスファミド,アザチオプリンがある。
IAAAはアテローム性脂質に対する局所的な炎症反応を伴うため,Hellmann博士らは,アテローム硬化症の危険因子をできるだけ少なくするよう十分な配慮を行うよう強く推奨している。
したがって,禁煙に加え,患者に応じて,糖尿病,高血圧,脂質異常症の管理が重要となる。
同博士らは「IAAAはATAAAよりも破裂するリスクは低いが,動脈瘤の直径が5.5cmを超える症例では外科的介入が賢明と考えられる」と述べている。
特に,外科的手法にはこの数十年で大きな変化や改善が見られる。現在,最新の手法を使用した場合の術後死亡率は約5%である。
一般的に,解剖学的特徴が適切である場合には,ATAAAと同等にIAAAにも血管内修復術が有効であると考えている。

Medical Tribune 2008.1.3
版権 メディカル・トリビューン社


 シャガール「果実と花束』 」http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s84077854?u=;meiseiitou60

大血管領域における画像診断
http://www.nv-med.com/jsrt/pdf/2003/59_11/1361.pdf
特殊な大動脈瘤
・炎症性腹部大動脈瘤 inflammatory aortic aneurysm
大動脈瘤の 3~10%程度にみられる特殊な動脈瘤である.動脈瘤周囲に線維化による壁肥厚がみられ,perianeurysmal fibrosisとも呼ばれる.成因は明らかではないが,動脈硬化性プラークへの自己免疫反応が関与しているとされている.単純CTでは大動脈壁や内膜の石灰化を取り巻く厚い低吸収領域がみられ,造影CT平衡相で同部が濃染する.この線維化は周囲の組織を巻き込むことにより水腎症を合併することがあるため,腎臓や尿管の変化にも注意する.
・感染性大動脈瘤 mycotic aneurysm
黄色ブドウ球菌やサルモネラ,大腸菌などの感染により動脈壁が破壊され動脈瘤を頸性する.CT上,動脈瘤周囲にガスがみられたり,非常に不正な壁,血栓などが認められた場合に疑う必要がある.臨床的には発熱や高度の炎症所見を伴うため,検査所見も加味して診断される.
(コメント:炎症性と感染性を分けて考えるようです。確かにわかりやすいです)


大動脈瘤
http://www.cardio-vasc.com/anuerysm.html
腹部大動脈瘤で破裂していないのに腹痛や腰痛を自覚することがあります。この場合、多くは「切迫破裂」といって破裂の前兆ですが、「炎症性腹部大動脈瘤」という特殊な病態で腹痛を生じることがあります。また「感染性大動脈瘤」と呼ばれる怖い病気があり(まれです)、細菌などの感染が原因で大動脈に瘤ができる疾患で、これも瘤そのもので痛みを伴います。

大動脈瘤 aneurysm
http://akimichi.homeunix.net/~emile/aki/html/medical/circulatory/node174.html
炎症性(梅毒,結核,細菌性,血管型ベーチェット病,高安動脈炎のIV型)

動脈瘤(メルクマニュアル)
http://merckmanual.banyu.co.jp/cgi-bin/disphtml.cgi?url=16/s211.html
感染性動脈瘤の治療は起因菌(原因の病原体)に対する強力な抗生物質療法,次いで動脈瘤切除である。早期診断と治療が,良好な転帰につながる。

他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。 

 

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