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β遮断薬は生き残れるか 揺らぐ降圧薬第1選択の座
降圧薬としてのβ遮断薬の位置付けが揺らいでいる。
最近の大規模介入試験の結果を根拠に、英国のガイドラインでは第1選択から外された。
一方で反論もなされ、その扱いをめぐって論議が高まっている。
2006年6月に発表された英国の高血圧診療ガイドライン改訂版(NICE/BHS2006)は、世界的な議論のきっかけとなる衝撃的なものだった。
従来の英ガイドラインでは、β遮断薬を55歳未満の第1選択薬の1つに位置付けていた。
だがこの改訂により、β遮断薬の位置付けはステップ4、つまり第4選択まで後退してしまったのだ(図1)。

国際医療福祉大熱海病院内科教授の築山久一郎氏は「β遮断薬に退場を迫ったようなもの」と憤慨する。
(注;築山教授はβ遮断薬一筋で研究を続けられた先生です。我が国のβ遮断薬の歴史そのものといっても過言ではありません。「憤慨する」という表現だったので思わず追加させていただきました)
翌年の07年9月には、欧州高血圧学会と欧州心臓病学会が合同して作っているガイドラインも改訂された(ESH/ESC2007)。
こちらではサイアザイド系利尿薬、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)と並んで、β遮断
薬も第1選択に生き残った。
ただし、降圧薬を併用する際、利尿薬とβ遮断薬の併用は代謝に悪影響を与える可能性があるとして、選択肢にはなるが推奨しないとした。
さらにエビデンスがないα遮断薬との併用も外され、結局β遮断薬の推奨併用薬はCa拮抗薬だけになった(図2)。

このようにガイドラインが変わってきた理由は、降圧薬の種類によって効果に差があるかを検討した大規模介入試験で、対照薬に比べβ遮断薬が劣っていたとする結果が相次い
で発表されたためだ。
RCTやメタ解析で負けた
その代表例が、左室肥大を合併した高血圧患者(9193人、平均66.9歳)を対象にARB(ロサルタン)とβ遮断薬(アテノロール)の効果を比較したLIFE試験(2002年)。
降圧の程度は両群間で有意差はなかったが、複合1次エンドポイント(心血管疾患死、脳卒中、心筋梗塞)発生のリスクはARB群の方が13%、脳卒中に限ると25%も低かった。
また糖尿病の新規発淀のリスクもARB群が25%低くなっていた(いずれも有意差あり)。
さらに、複数の大規模介入試験をまとめたメタ解析でも、β遮断薬に不利な結果が出ている。
LIFE試験も含めた13の試験を対象に、β遮断薬と他の降圧薬で心血管イベント抑制効果に違いがあるか比較したリンドホルムらの解析によれば、脳卒中の発生リスクはβ遮断薬が16%高かったという(ただし心筋梗塞や全死亡では差はなかった)。
埼玉医大腎臓内科教授の鈴木洋通氏は「患者によって至適用量に幅があるなど、β遮断薬は他の降圧薬に比べて使いにくさがあり、現状も降圧薬としての使用は限られている。ガイドラインは非専門医が多く参照するものだけに、特に問題となる合併症がない患者の第1選択薬からβ遮断薬が外れるのは、やむを得ないだろう」と話す。
正当な評価を受けていない
だが、これには反論も多い(表)。

例えばLIFE試験では、有意差はないがβ遮断薬群の収縮期血圧が約1mmHg高く、得られたイベント発生率の差はその血圧差で説明が付くという。
同じ血圧値まで下げられれば、イベント発生率に差は出なかった可能性があるというわけだ。
また糖尿病の新規発症も、明らかに問題になるのは複数のリスクが集積した患者に限られるとの解析もある。
築山氏は「これまでの大規模介入試験やメタ解析は、β遮断薬を適切に評価できていない。それだけに、現時点で第1選択から外すのは時期尚早」という意見だ。
東京都老人医療センター副院長の桑島巌氏も「高齢者では動脈硬化が進行しβ遮断薬が効きにくいので、特に合併症のない高齢者なら第1選択から外してもいい。だが、青壮
年までと心血管合併症のある高齢者では、第1選択に残る」と指摘する。
ガイドライン絶対視は避ける
β遮断薬は、心不全や心筋梗塞の既往などがあれば積極的に選択すべき降圧薬になる。
特に冠動脈疾患のリスクが高い人ほど、β遮断薬の有用性も高まる。
「ガイドラインの第1選択から外れることで医師の認識が低くなり、必要な患者に使われなくなることを危愼する」と築山氏。
β遮断薬を選ぶべき症例があることは鈴木氏も同意見で、「降圧薬の第1選択から外れても、β遮断薬が全否定されたわけではない」とする。
高血圧を診る医師はガイドラインの読み方も学ぶ必要があるようだ。
循環器の臨床薬理と臨床試験に詳しい、琉球大臨床薬理学教授の植田真一郎氏は「ガイドラインは薬剤に優劣の順番を付けるものではなく、どのような治療が患者にとって利益・不利益になるか、臨床のヒントとなる情報を提供するもの。
過度に絶対視せず、降圧自体が重要という原則を念頭に、自分の臨床経験にガイドラインの内容を加えていくという
姿勢で受け入れればいい」と話す。
日本のガイドラインでも、各降圧薬の得意な分野(積極的適応)と不得意な分野(禁忌)がまとめられている。
「この表を参考に、積極的適応となる薬剤があれば試みてはどうか」と植田氏はアドバイスする。
ちなみに、現状ではβ遮断薬を第1選択薬の1つにしている日本高血圧学会のガイドラインも、今秋に改訂案が発表される。
その内容にも注目したい。

斎藤三郎 油彩4号『娘 エアリ』
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クロピドグレルに中止後のリバウンドの可能性
使用中止が凝集亢進作用を引き起こす可能性を示唆
急性冠症候群(ACS)で治療を受けて退院後にクロピドグレルを使用した患者は、使用期間の長短にかかわらず、使用中止後90日までの死亡または急性心筋梗塞リスクが、90日以降に比べ約2倍であることが示唆された。
米国Denver退役軍人医療センターのP. Michael Ho氏らの報告で、詳細はJAMA誌2008年2月6日号に掲載された。
現在のガイドラインは、退院後のクロピドグレル投与期間について、薬物療法またはベアメタルステントの留置を受けた患者では少なくても1カ月、できれば1年間継続するとし、また薬剤溶出ステントの留置を受けた患者の場合は1年以上使用を継続するよう求めている(勧告はクラスIA)。
著者らは、クロピドグレル投与中止後のリバウンド(凝集亢進作用)を懸念し、ACS(急性心筋梗塞または不安定狭心症)の患者がクロピドグレルの使用を中止すると、有害事象の発生率が上昇するのではないかと考えた。
そこで全米規模の後ろ向きコホート研究を行った。
対象となったのは、2003年10月1日から2005年3月31日までに全米127カ所の退役軍人病院を退院したACS患者で、退院時にクロピドグレルを処方された3137人。
ACSに対して薬物療法を受けた患者1568人(平均年齢68.5歳)と、経皮的冠インターベンション(PCI)を適用された患者1569人(63.5歳)について、別々に評価した。
クロピドグレルの使用については、処方記録を調べ、使用期間と使用中止日を確定した。
主要アウトカム評価指標は、クロピドグレル中止後の全死因死亡または急性心筋梗塞(AMI)による入院に設定した。
薬物療法群では、クロピドグレル使用期間の平均は302日、使用中止からの追跡期間の平均は196日だった。
死亡またはAMIは17.1%(268人、死亡が155人、AMIが113人)に発生。
それらのイベントの60.8%(163人)は0~90日の間に発生、21.3%(57人)が91~180日に、9.7%(26人)が181~270日に生じていた。
追跡1000人-日当たりのイベント発生率は、0~90日が1.31(95%信頼区間1.12-1.53)、91~180日は0.69(0.53-0.89)、181~270日では0.64(0.44-0.94)となった。
クロピドグレルの使用期間も調整に加えた多変量解析を行ったところ、91~180日に比べ、0~90日の有害事象リスク上昇が明らかになった(率比1.98、95%信頼区間1.46-2.69)。アウトカムをAMIのみとしても、罹患率比は2.39(1.50-3.82)で、やはり0~90日でリスクは有意に上昇していた。
リスク上昇は、クロピドグレルの使用期間に基づいて患者を層別化しても、一貫して見られた。
調整率比は、使用期間3カ月以下が2.13(1.36-3.32)、6カ月以下が2.20(1.49-3.26)、9カ月以下が2.00(1.41-2.85)、9カ月超は1.79(0.96-3.34)となった。
次にPCI群だが、試験期間が薬剤溶出ステントの利用が可能になった時期を挟んでいたため、全体としてはベアメタルステントの適用率が高かった。
62.7%(984人)がベアメタルステント、37.3%(585人)が薬剤溶出ステントの留置を受けていた。
PCI群では、クロピドグレル投与期間の平均は278日、使用中止からの追跡期間の平均は203日で、7.9%(124人)に死亡(68人)またはAMI(56人)が発生。
0~90日のイベント発生は58.9%(73人)、91~180日が23.4%(29人)、181~270日は6.5%(8人)だった。
追跡1000人-日当たりのイベント発生率は、0~90日が0.57(0.45-0.72)、91~180日が0.33(0.23-0.47)、181~270日が0.19(0.09-0.37)。
やはり多変量解析で、最初の90日間の有害事象リスク上昇が認められた。
率比は1.82(1.17-2.83)。ベアメタルステント適用者のみを対象に分析しても90日間のリスク上昇は有意だった(率比2.14、1.23-3.74)。
以上の結果から、適用されたのが薬物療法かPCIかにかかわらず、クロピドグレル中止から90日以内は有害事象リスクが有意に上昇することが明らかになった。
これは、クロピドグレルの中止がリバウンドを引き起こす可能性を示唆している。
イベント発生率の絶対値は大きくないものの、中止後の短期的なリスク上昇を抑制する方法を見いだす必要がある。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/jama/200802/505592.html
原題
JAMAVol. 299 No. 5, February 6, 2008
Incidence of Death and Acute Myocardial Infarction Associated With Stopping Clopidogrel After Acute Coronary Syndrome
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/short/299/5/532
Nikkei Medical ONLINE 2008.2.26
以下は日本医事新報での「クロビドグレル」に関する記事です。

三塩清巳 「バラ」 油彩10号http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s87620296
クロビドグレル
心筋梗塞、脳梗塞などの動脈血栓症は悪性腫瘍とともに日本人の主要な死因である。
動脈血栓症の発症予防および治療においては抗血小板薬が重要な役割を果たすが、2007年にわが脚で新たにクロピドグレル(プラビックス)の適用が拡大され、冠動脈ステント再閉塞予防目的での使用が可能になった。
この薬剤は従来使用されてきたチクロピジンと同様のチエノピリジン系の薬剤であり、経口投与後速やかに吸収され、肝臓で代謝されて活性代謝物となるプロドラッグである。
この活性代謝物は血小板表面上のADP受容体であるP2Y12に非可逆的に結合して抗血小板効果を発揮する。
チクロピジンは冠動脈ステント留置後の再閉塞予防などには欠かせない薬剤として使用されてきたが、血球減少、肝障害、血栓性血小板減少性紫斑病などの副作用を有することが問題とされていた。
一方、クロピドグレルは有効性がチクロピジンと同等で副作用が少ないことがわが国でも報告されている。
クロピドグレルが米国で認可されたのは1997年のことであり、わが国での認可は約10年遅れたことになるが、今後は
わが国でもチクロピジンに代わって使用される機会が増えるであろう。
ただし、クロピドグレルを内服しても血小板機能抑制効果を得られない「クロピドグレル不応」の患者がいることは、解決すべき課題である。
また、新規に開発された同じチエノピリジン系薬剤であるプラスグレルの有効性がクロピドグレルを上回ったとの報告もある。
さらにチエノピリジン系ではないP2Y12受容体拮抗薬の開発、臨床試験も進んでいる。
抗血小板薬の使用は長期に及ぶことが多いため、日常の臨床では有効性、安全性に加え、選択に際しては費用も重要な点である。
ステン卜留置後に使用する抗血小板薬はクロピドグレルがよいのか、それとも他の抗血小板薬のほうがよいのかを明らかにするために、今後もさらに臨床研究を進めていくことが
必喪であろう。
日本医事新報No.4374 2008.2.23p58
<コメント>
アスピリン抵抗性(レジスタンス)という概念は以前からあるようですが「クロピドグレルに中止後のリバウンド」や「クロピドグレル不応」は私にとっては新知見でした。
アスピリンレジスタンス(その1)1/2
http://blog.m3.com/reed/20071117/1
アスピリンレジスタンス(その2)2/2
http://blog.m3.com/reed/20071118/_2_2
アスピリンレジスタンスを考える(その1)1/2
http://blog.m3.com/reed/20080205/1
アスピリンレジスタンスを考える(その2)2/2
http://blog.m3.com/reed/20080206/2
抗血小板薬の選択肢 その1(1/3)
http://blog.m3.com/reed/20071215/_1_3_
抗血小板薬の選択肢 その2(2/3)
http://blog.m3.com/reed/20071216/_2_2_3_
抗血小板薬の選択肢 その3(3/3)
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ACC/AHA 線溶療法の重要性も明記
STEMIのガイドラインを改訂
〔米テキサス州ダラス〕米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)は,心筋梗塞のさまざまな側面に関する臨床試験のデータが発表されているのを受けて,ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の管理に関する共同ガイドラインを一部改訂した。
改訂内容は,Circulation(2007; オンライン版)とJournal of the American College of Cardiology(2007; オンライン版)に発表された。
入院前の心電図の利用を推奨
米国では,毎年ほぼ50万人が完全な動脈閉塞により引き起こされるSTEMIを発症している。
STEMIは最も重度の心筋梗塞とみなされているが,直ちに診断できれば心臓損傷を減らすための治療は可能である。
ガイドライン執筆グループの責任者でBrigham and Women's病院冠疾患集中治療室(CCU)部長でもあるハーバード大学(ともにボストン)内科のElliott Antman教授は「STEMIの初回治療としては,従来通り心臓への血流をできる限り早く戻すことを推奨している。
治療体系を改善して再灌流までの時間を早めれば,患者のアウトカムが改善できることがデータにより示されている。
STEMI治療体系を改善するうえで十分に利用されていないものの,有効な戦略として,救急医療組織(EMS)により生命維持を進展させる入院前の12誘導心電図プログラムの利用を拡大することが挙げられる。
これにより早期診断が可能となり,適切な治療戦略を開始できる」と述べた。
今回の推奨は,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を重視しているものの,線溶療法の重要性をあいまいにすべきではないという点も明記している。
血管形成術としても知られるPCIは,冠動脈の梗塞領域に小さなワイヤを挿入し,バルーンを膨らませて動脈を再開通して心臓への血流を回復させる手技で,しばしばステントを挿入して動脈を広げる支えとする。
一次PCIは90分以内に開始
PCI施行可能な病院に搬送されたSTEMI患者には,医療システムの目標として最初の医学的接触から90分以内に一次PCIを施行すべきである。
PCIが施行できない病院に運ばれた場合でも,患者を90分以内に転送して治療を行えるのであれば,その目標は達成できる。
しかし,PCIセンターへの90分以内の転送とPCI治療が不可能であれば,医療システムの目標として禁忌でない限り病院に到着後30分以内に線溶療法を開始すべきである。
また,今回の改訂ではSTEMI患者のうち,早期の経静脈的β遮断薬療法の候補とならない患者の条件として,次の4点を明記している。
(1)心不全の徴候
(2)低心拍出量状態を示すエビデンス
(3)心原性ショックリスクの増大
(4)β遮断に対する他の相対的禁忌(2~3度の心ブロック,活動性喘息,反応性気道疾患など)。
これらの条件が当てはまるSTEMI患者には,β遮断薬を静脈投与してはならないとしている。
線溶療法直後のPCIは有害
今回の改訂には,最初に線溶療法を受けた患者をPCIの施行が可能な施設に移送した際の処置に関しても,新たな情報が提示されている。
それはfacilitated PCIとrescue PCIである。
facilitated PCIとは,血管閉塞を減らすため投薬直後に予定通りPCIを行う治療法である。
rescue PCIとは,線溶療法後も血流が心臓に戻らなかった際に緊急に行うPCIのことである。
今回の改訂によると,facilitated PCIの潜在的な利点としては,
(1)血流の早期再開
(2)心筋損傷の軽減
(3)患者の安定性の改善
(4)手技の成功率の上昇?がある。
潜在的なリスクとしては,特に高齢者で出血性合併症の増加が見られる。
しかし,有用とされているfacilitated PCIに対する臨床試験の結果,梗塞サイズの縮小,またはアウトカムの改善という点で便益は見られなかった。
そのため,改訂では十分量の線溶療法を行った直後にPCIを施行するのは,有害な可能性があると明記している。
しかし,
(1)患者が高リスク
(2)PCIが90分以内に施行できない
(3)出血リスクが低い
というすべての要因がそろっていれば,血流を再開させるため,十分量の線溶療法以外の療法としてfacilitated PCIを行うことは考えられる。
Rescue PCIは,線溶療法を受けた患者のうち,
(1)血管再生の候補として適する75歳未満の患者で心原性ショックがある
(2)重度のうっ血性心不全または肺水腫
(3)血流力学上危険な心室性不整脈
の要因のうち,いずれかがある患者に推奨される。
このガイドラインには,抗凝固薬に関する新たな推奨も含まれている。
血栓溶解薬により再灌流を行った患者は48時間以上,可能なら初回入院期間中は最長8日間まで抗凝固薬投与を受けるべきである。
今回の改訂によると,STEMI患者には線溶療法による再灌流を受けたか否かにかかわらず,アスピリンにクロピドグレルを追加し,14日間以上継続すべきである。
COX-2阻害薬は治療中は禁忌
改訂による変更で最も顕著な推奨は,シクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害薬とアスピリンを除いた非ステロイド抗炎症薬(NSAID)をルーチンに使用している患者が心筋梗塞の治療を受けている場合は,その間,服用を中止しなければならないという点である。NSAIDは疼痛,発熱,炎症を改善する抗炎症薬で,COX-2阻害薬は炎症や疼痛を引き起こすCOX-2酵素を直接標的とするNSAIDの1種である。
COX-2阻害薬と他のNSAIDに関する見解の改訂に加えて,経静脈的β遮断薬療法などの他の薬剤療法のさらに詳細な説明と改訂,STEMI患者に適応されるべき新たな薬剤療法の推奨が発表された。
NSAIDを,心疾患患者または心疾患危険因子のある患者に投与すると,有害事象リスクが増加する可能性が示唆されている。
そのため,AHAは2007年 2 月に鎮痛薬の処方を変更するようにアドバイスしており,COX-2阻害薬とNSAIDは第一選択療法でなく,最終的な療法として用いるよう推奨している。
今回の改訂では,STEMI患者の急性期ではNSAIDとCOX-2阻害薬を投与しないよう推奨している。
最初の治療以降では,退院時の疼痛管理に続いて5 段階過程による適切な鎮痛薬の選択を行い,必要な治療を厳密に見直すことを推奨している。
すべての症例に対し,可能な限り短期間にできる限り少ない有効量を投与すべきで,COX-2選択的NSAIDは最終手段としてのみ考慮すべきであるとしている。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4104181&year=2008
Medical Tribune 2008.1.24
版権 メディカル・トリビュンーン社

小絲源太郎 「ばら」 SM
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UA/NSTEMIのガイドライン
http://blog.m3.com/reed/20070903
NSTEMI、STEMIという分け方
http://blog.m3.com/reed/20070904
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昨年11月の話題で、今となっては旧聞に属する内容で申し訳ありません。
きょうは服薬状況が悪く薬物治療がうまくいかない高血圧患者にワクチンで降圧療法を行おうというお話です。
高血圧ワクチンCYT006-AngQbに、早朝と昼間の血圧を下げる効果
アンジオテンシンIIを除去する抗体を誘導する高血圧ワクチンCYT006-AngQbに、早朝と昼間の血圧を下げる効果が確認された。
ローザンヌ大医学生物学部(スイス)のJuerg Nussberger氏らが11月6日、米国心臓協会・学術集会の一般口演で報告した。
無作為化臨床第IIa相比較試験の結果、CYT006-AngQbの300μg投与群(21人)で、昼間自由行動下の平均血圧が収縮期血圧で5.6mmHg、拡張期血圧で2.8mmHg、それぞれプラセボ群(24人)より低下していた(p=0.007とp=0.034)。
また、早朝血圧(8時時点)も、収縮期血圧で25mmHg、拡張期血圧で13mmHgと、それぞれプラセボ群より大幅に低下していた(p<0.0001とp=0.0035)。
昼間の血圧降下作用については、6月の欧州高血圧学会で報告済みだが、早朝血圧の降下作用については初めての学会報告となった。
Nussberger氏らは、今回、危険な時間帯といわれる早朝に血圧降下作用が確認されたことを重視、CYT006-AngQbの可能性がさらに高まったとした。
今後、臨床試験を重ね実用化を急ぐことにしている。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/aha2007/200711/504664.html
飲み忘れのない高血圧ワクチンに有望な結果
高血圧の管理が注射1本でできるようになる可能性があるという。
米フロリダ州オーランドで開催された米国心臓協会(AHA)年次集会で、毎日の服薬を不要にする高血圧ワクチンについて、初期研究で有望な結果が得られたことが報告された。
研究を行ったのは、スイス、ヴォーVaud州大学病院教授のJuerg Nussberger博士で、このワクチンを製造するCytos Biotechnology社の関係者でもある。
AHA会長のDaniel Jones博士によると、米国では3人に1人が高血圧であるとされるが、患者のうち血圧を管理できている人は37%にとどまっているという。
問題の一つは、複雑な投薬計画に従うことの難しさにあると思われる。
同集会で報告された別の研究では、高血圧治療を簡素化すると、国のガイドライン通りに投薬するよりも血圧を管理できる患者が多くなることが示された(簡素化群65%、対照群53%)。
CYT006-AngQbと呼ばれるこの新しいワクチンは、血管を収縮させ血圧を上昇させる物質であるアンジオテンシンIIを阻害することにより作用する。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬およびアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)などの既存の薬剤も同じ物質を標的としている。
今回の試験では、軽症ないし中等症の高血圧患者72人を対象に、試験開始から0、4、12週目にワクチン100μgまたは300μg、プラセボ(偽薬)のいずれかを注射した。被験者は男性65人、女性7人で、平均年齢は51.5歳。ワクチン投与群では、いずれの用量でも最初の注射後に抗アンジオテンシンII抗体の産生がみられ、高用量群では有意に反応が高く、持続期間も長かった。
14週間後、高用量群では収縮期血圧が5.6mmHg、拡張期血圧が2.8mmHg降下した。
さらに、午前5時から午前8時に生じる血圧の急激な上昇が軽減するという予想外の効果も認められ、収縮期血圧が25mmHg、拡張期血圧が13mmHg降下した。
早朝は心臓発作や脳卒中のリスクが最も高い時間帯だという。
また、ACE阻害薬やARBではレニンの大幅な上昇がみられるが、このワクチンによるレニンの増大は少なかった。レニンは炎症を引き起こす酵素で、腎不全の原因にもなると考えられている。
今後さらに試験を重ねる必要があり、特に、必要な場合には血圧を上昇させる身体の「回避機構」が働くかどうかを確かめなくてはならないという。
また、安全で有効なワクチンであっても患者がまず同意せねばならなく、服薬遵守(コンプライアンス)は100%にはならないとJones氏は指摘している。
http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&task=view&id=963
飲み忘れのない高血圧ワクチンに有望な結果
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20071115hj001hj
Cytos biotechnology
http://www.cytos.com/doc/Cytos_Press_E_080214.pdf

日本画 柳沢正人「奈良の春」F20
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p102456286?u=;ga_vision2004
<コメント>
高血圧の管理で問題になっているのが、服薬不履行による血圧コントロールの不良です。
処方する我々医師側も服薬コンプライアンスをきちんと把握していなのが実情ではないでしょうか。
私自身、患者さんがこの薬は余っているから要らないとか何日分で結構ですといわれても、何らそのことを咎めることなく処方しているのが現状です。
さて今回のワクチンは軽症~中等症の高血圧患者が対象のようです。
以下MMJ2008.2からの一部引用です。
非感染性のウイルス形粒子にアンジオテンシンⅡを化学的に結合させた製剤で、ヒトに接種すると抗体が産生され、アンジオテンシンⅡによる血管収縮作用が減弱すると考えられています。
Nussbergerによると、ワクチンが過剰な血圧低下を起こす可能性は低いという。
その根拠として、12週Hのブースター接種でピークに達した
抗体価がその後短期間で低下した点を挙げる。
また標的分子が小さく表出されるエピトープ数に限界がある
ため、同ワクチンで惹起された抗体が他の蛋白に交差反応する可能性も非常に低い、と彼は補足する。
CYTOO6-AngQbワクチンが承認されると、患者は日常的に降圧薬を服用しなくても済むようになるかもしてないが、ブースターを年に2~3回接種する必要がある、とNussbelgerは予測する。
そのうえで、今後の研究の方向性については、小規模の試
験を経て、抗体産生反応および降圧効果が最大になる用量を決定することになるという。
この報告について、英国のCambridge大学臨床薬理学教授Morris J Brownは「興味を引かれる結果だが、Cytos社から資金提供を受けた試験であり、あくまでも予備的な知見で
ある」とコメントする。
その上で「バイオ医薬品として注目を集めた初期研究の結果であり、特に安全性試験での有効`性の評価は副次的なもの。慎重に判断する必要がある」と付け加える。
なお、Brownは、Protherics社(英国)が進める高血圧症治療ワクチン(PMD3117)の開発に協力している
<コメント>
「同じ穴の狢」といったところです。
高血圧ワクチンだけでなく、禁煙ワクチン、肥満症に対するワクチンなどの開発も現在行われているようです。
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
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ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
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特別企画
第30回日本高血圧学会総会ランチョンセミナー
脳梗塞の再発予防戦略
血圧管理の重要性と抗血小板療法
上島 弘嗣 氏 橋本 洋一郎 氏
抜歯や体表の小手術では抗血栓療法の休薬は不要
心原性脳塞栓症の予防では,ワルファリンが中心となる。
このため,心原性脳塞栓症のおもな原因である非弁膜症性心房細動(NVAF)を持つ患者では,高齢,TIAまたは脳梗塞の既往,高血圧症,糖尿病,冠動脈疾患,心不全のうち 1 つでも該当すればワルファリンを投与することが日本循環器学会のガイドラインに明記されている。
しかし,この推奨項目はあまり守られていないようだ。
橋本氏の行った後ろ向き検討では,NVAFのため心原性脳塞栓症を発症した80例中,危険因子(+)群は71例で,うちワルファリン服用患者は17例にすぎなかったという。
ワルファリンに関しては,INR※が2.0を割ると脳梗塞が増加し,逆に3.0を超えると脳出血が増えることが知られている。しかし,日本では2.6を超えると高齢者の脳出血が増えるため,高齢者ではINR1.6~2.6という目標が決められた。
抗血栓療法中の脳出血を回避する方策としては,
(1)INRを3.0以下(70歳以上では2.6以下)に維持,
(2)高齢者と脳卒中者ではワルファリン+アスピリン併用には特に注意,
(3)脳卒中者ではクロピドグレル+アスピリン併用は避ける,
(4)中等度の降圧を継続する―が推奨されている。
※ プロトロンビン時間国際標準比
抗血栓療法に関しては,観血的手技を行う場合の休薬も問題となる。従来,他科の医師は休薬のリスクを過小評価しがちであったが,最近はコンセンサスが生まれつつある。
抜歯や体表の小手術では,ワルファリンやアスピリンの休薬の必要はないことが広く理解されてきている。
内視鏡治療でも,出血リスクの低い例ではアスピリンなら 3 日間の休薬でよいと,日本消化器内視鏡学会のガイドラインで定めている(表3)。

まず行うべきは高血圧治療―Ca拮抗薬の優位が明確に
続いて橋本氏は,危険因子の管理について解説を行った。脳梗塞発症の危険因子としては,高血圧症,糖尿病,心房細動,喫煙,脂質異常症などが知られている。
日本の脳梗塞の実態を調査したJ-MUSICでは,高血圧症患者は61.7%と,糖尿病の25.2%,心房細動の21.8%を引き離して最も多くの患者に認められた。
脳梗塞の再発予防では,高血圧の是正が最優先の課題となる。
日本脳卒中協会の"脳卒中予防十か条"でも,第一条は「手始めに高血圧から治しましょう」である。
脳梗塞後患者の降圧をめぐっては従来,過度の降圧は再発リスクを高めるという J カーブの存在が信じられてきた。
しかし,PROGRESS試験のサブ解析から,治療中の血圧値が低いほど再発も少なく,115/75 mmHgまでは J カーブは認められないことがわかったのである。
これを踏まえ,日本の高血圧治療ガイドライン2004では,脳血管障害合併例の降圧目標が「一次目標(治療開始 2 ~ 3 か月)150/95mmHg未満,最終目標140/90mmHg未満」に改められた。
高血圧治療ガイドライン2000の一次目標150~170/95mmHg未満,最終目標140~150/90mmHg未満に比べると大きな変化である。
ただし,この最終目標は合併症のない高齢者と同じである。65歳未満なら脳卒中の既往があっても130/85mmHg未満を目指すべきだと,同氏は言う。
では,降圧治療ではどんな降圧薬を用いればよいのか。BPLTTCのメタ解析では,降圧薬のクラスごとに脳卒中の発症リスクを比較。
Ca拮抗薬が良好な降圧効果を示し,脳卒中抑制作用も利尿薬/β遮断薬やACE阻害薬より高い点が示された(図 2)。

Verdecchiaらのメタ解析(2005)でも同様の成績が報告され,脳卒中予防にはACE阻害薬よりCa拮抗薬が優れていると結論されている。
危険因子の多角管理で,脳梗塞再発予防を目指す
糖尿病は高血圧に次いで合併率の高い危険因子だが,厳格な血糖管理を行っても通常の管理に比べて脳卒中が減らないとの成績がUKPDSから発表され,衝撃が拡がった。
以来,糖尿病例では血糖と血圧,血清脂質を多角的に管理しなければ,脳・心血管イベントの十分な予防はできないと考えられている。
脂質異常症については,脳卒中またはTIA既往例に対するスタチン投与で,再発が16%抑えられたとするSPARCL試験の報告がある。
半面,この試験ではスタチン投与で脳出血が増加した。
脳出血の発生因子を調べると高血圧が関与しており,強力な脂質低下療法を行う場合,血圧管理も重要となることが示唆された。
こうした糖尿病と脂質異常症の臨床試験などから,危険因子の多角管理の必要性が浮き彫りになった。
これに関連してWaldらは,大規模試験の成績などから興味深いシミュレーションを報告した。
アスピリン,スタチン,3 種の降圧薬,葉酸を比較的低用量で併用(polypill strategy)すると,虚血性心疾患を88%,脳卒中を80%低下させることができるとした(図3)。

もちろん,危険因子の多角管理は,薬物療法だけではない。理想体重維持や運動も,脳・心血管イベント予防に有益である。
なかでも最も予防効果の高いのが禁煙であり,禁煙対策の遅れは日本の最大の問題の 1 つだと,橋本氏は語る。
最後に同氏は,生活習慣病の進展過程における位置付けを論じ,心筋梗塞と脳卒中は同じ段階ではないとした。
第 1 段階は不適切な生活習慣,第 2 段階は境界領域期,第 3 段階は高血圧症や糖尿病,第 4 段階が虚血性心疾患や糖尿病による透析・失明とすれば,より予後の悪い脳卒中は第4.5段階に相当する(図 4)。

進展の最終段階に位置するだけに,そこからの再発予防も容易ではない。
同氏は「少しでも前段階からの予防を目指し,循環器専門医やかかりつけ医と協力していきたい」と講演を締めくくった。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4107441&year=2008
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第30回日本高血圧学会総会ランチョンセミナー「脳梗塞の再発予防戦略:血圧管理の重要性と抗血小板療法」(座長:滋賀医科大学社会医学講座福祉保健医学部門教授・上島弘嗣氏)では,"熊本方式"といわれる地域の脳卒中診療ネットワークを構築したことで知られる熊本市立熊本市民病院神経内科部長の橋本洋一郎氏が,脳梗塞の再発を予防するための実践について解説。
抗血小板療法や抗凝固療法のほか,高血圧症や脂質異常症,糖尿病や喫煙などの危険因子に対する多角管理が重要であることを強調した。
すべての地域に多科多職種の脳卒中診療ネットワークを!
脳卒中は高度な急性期治療を要する疾患だが,のみならず回復期に身体機能回復のリハビリテーション(リハ),維持期には日常生活への復帰と維持のためのリハ,急性期から維持期まで長期にわたる再発予防が必須である。
したがって,多科多職種による病期に応じた多面的ケアが求められる。
これを単独の医療施設で行うことは難しく,時に現実的でない。
例えば熊本市とその周辺の人口約100万の医療圏では,急性期病院である済生会熊本病院,熊本赤十字病院,熊本市民病院,熊本医療センターの神経内科に年間約1,500例の脳梗塞患者が入院する。
この 4 施設の神経内科医は,レジデントを含めて15名にすぎない。
この限られた人数で日々運ばれる患者に対応するには,急性期病院の在院期間をできるだけ短縮,リハ専門病院に回復期医療を担ってもらう必要がある。
この点から橋本氏は,個々の病期を担当する病院と病院,診療所がネットワークを作る必要があると考えた。
こうして,かかりつけ医,急性期病院,リハ専門病院,療養型病院・施設がそれぞれの役割を受け持って連携する地域完結型診療ネットワークが,10年ほど前に構築された。地域連携クリティカルパスを開発し,施設間での診療情報の共有や診療指針の共通化を図ることにより,継続的医療の実現(シームレスケア)やその質の向上に努めてきた(図1)。

このシステムは熊本方式として知られ,厚生労働省の推進する地域医療連携のモデルにもなっている。
成功の背景には,熊本地域では回復期リハ病院が充実していたという事情があった。
これに対して,首都圏ではリハ病棟の病床数が少なく,多くの患者が地元でリハを受けられない状況だという。
同氏は地域の医療施設がネットワークを作ることの意義を強調し,リハ専門医とリハ病床の不足をいかに克服するかが,今後の大きな課題だと指摘した。
入院当日から再発予防のアスピリン投与を始める
脳梗塞の急性期治療は,近年のCTやMRIの進歩,rt-PA療法の導入で大きく前進した。
しかしMRIが24時間稼働する施設は限られ,rt-PA療法の適応となる患者は一部であるなど課題も多い。
橋本氏は臨床病型別に急性期治療を概説。
入院当日から再発予防を始める意義を強調した。
再発予防について抗血小板療法のエビデンスは確立している。
30万例に及ぶ国際共同研究ATTのメタ解析では,アスピリンを主体とする抗血小板療法は急性期脳卒中で11%,脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)の既往例では22%,血管イベントを減少させた。
このため日本,米国,欧州の脳梗塞急性期ガイドラインは一致して発症早期のアスピリン投与を推奨する(表1)。

欧米ではエビデンスに基づきアスピリンだけが推奨されているが,日本ではオザグレルがあるため,アスピリン開始が遅れる傾向がある。
同氏は入院当日から数日間両薬を併用し,以降はアスピリン単独に切り替えるという。
非心原性脳梗塞慢性期の再発予防に関しては,各国のガイドラインでやはり共通してアスピリンを第一選択薬に挙げる(表2)。

日本ではチクロピジン,シロスタゾール,クロピドグレルも選択できる。
その使い分けについては,「原則的にエビデンスが豊富で安価なアスピリンを用い,合併症などの病態に応じて高価な薬を選ぶ場合もある」という。
再発予防のための薬物治療は,加齢とともにリスクが高まることを考えれば,生涯継続してもらうことが肝心である。
急性期病院入院中は高価な抗血小板薬を使用できても,リハ病院ではそれを継続できないケースがあることには注意すべきである。
用量について,急性期病院の処方をリハ病院で変更しにくいことがある。
アスピリンは急性期の推奨用量160~300mg/日から慢性期の75~150mg/日に減量することになるが,これは急性期病院で行うほうが適切であろう。
同氏は,「入院当日からアスピリン腸溶錠を 2 錠,2 週間後に 1 錠」を基本とする。連携先である回復期リハ病院での処方継続率も85%と,非常に高く維持されているという。
抗血小板薬の併用をめぐっては,最近ではアスピリン+クロピドグレルに期待が寄せられた。
しかし,脳梗塞患者では出血性合併症のリスクを上回るベネフィットは確認されていない。
「再発予防における抗血小板薬併用は慎重に」と同氏は語る。
Medical Tribune 2008.2.14
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誘発冠攣縮発生頻度が増加傾向に
各種危険因子から,わが国の動脈硬化の進展傾向を検討した報告はさまざまあるが, 済生会西条病院(愛媛県)循環器科の末田章三部長(同院副院長)らは,冠攣縮誘発負荷試験の結果を後ろ向きに検討。
アセチルコリン(ACh)冠攣縮陽性頻度は過去17年間で増加傾向にあることを第21回日本冠疾患学会で明らかにした。
動脈硬化危険因子の増加が関与
冠攣縮性狭心症の診断では,AChおよびエルゴノビン(ER)を用いた冠攣縮誘発負荷試験が実施されている。
これまで末田部長は,同負荷試験でのACh負荷試験例の増加傾向に注目していたことから,同院および同県内の喜多医師会病院,鷹ノ子病院で,1991~2007年の過去17年間に同部長が実施した2,079例(ACh負荷1,192例,ER負荷887例)の負荷試験における誘発冠攣縮陽性頻度を後ろ向きに解析。
誘発冠攣縮陽性の定義は,血管造影上,少なくとも90%以上の一過性冠動脈異常収縮とした。
その結果,ACh冠攣縮陽性例は過去17年間で増加傾向にあり,1,192例中513例(43.0%)に認められた。
ER冠攣縮陽性例については,大きな変動はなく887例中281例(31.7%)に認められた。
そこで,増加の背景因子を検討するため,1991~2000年に同負荷試験を実施した症例を前期,2001~07年に実施した症例を後期に分けて,虚血性心疾患(IHD)の割合を比較検討した。
その結果,前期と後期で有意差はなく,IHDによる誘発性冠攣縮増加への関与は認められなかった。
その他の危険因子については,喫煙は65%前後で変化がなかったが,高血圧,脂質異常症,糖尿病が占める割合は後期で有意に増加傾向にあった。
ACh負荷試験を受けた者の平均総コレステロール値は前期184.5mg/dLから後期196.5mg/dLへ,平均血糖値は101.2mg/dLから117.4mg/dLに有意に上昇していた。
狭心症,心筋肥大症,心筋梗塞など各種心疾患におけるACh冠攣縮陽性頻度は,後期例で増加していた。
また,IHD,非IHDともにACh冠攣縮陽性頻度は増加傾向であった。
ER冠攣縮陽性頻度については,一定の結果が得られなかったものの,全体として前期より後期に誘発冠攣縮陽性頻度は高くなっていた(図)。

同部長は,わが国の誘発性冠攣縮陽性頻度は増加傾向にあり,この背景には動脈硬化危険因子の増加が影響していると考えられると指摘。
「全体として冠動脈硬化が進行していることに留意すべきではないか」と述べた。
Medical Tribune2008.2.24
版権 メディカル・トリビュン社
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4108331&year=2008

ピカソ「Girl In Colorful Dress」
http://page8.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/h55148866
<参考>
冠攣縮(冠スパスム)
http://blog.m3.com/reed/20071002/1
心筋梗塞患者の慢性管理
http://blog.m3.com/reed/20070911/1
日本人には冠スパスムの多いことが知られており、心筋梗塞亜急性期におけるアセチルコリン誘発試験では、実に47%でスパスムが誘発されたという報告もある。
スパスムは想像以上に強力であり、スパスムによるステント変形も報告されている。
冠動脈攣縮性狭心症
http://www.iryokagaku.co.jp/frame/03-honwosagasu/shuyoumokuji-860033035/860033035-138.pdf
(文中のエルゴノミンはエルゴノビン.ERGONOVINEの間違い)
冠攣縮性狭心症治療において日本が抱えている問題
http://www.lifescience.jp/ebm/taidan/0505/3.htm
冠攣縮性狭心症診療で施設間格差が明らかに
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2007/200703/502719.html
冠動脈攣縮誘発負荷試験の実施症例数別にみた場合、試験実施例がないとする施設が24%あったほか、10例未満の施設が30%、10例以上50例未満の施設が33%などと、施設による取り組みにばらつきがあった。
また、観血的冠攣縮誘発負荷試験に用いる薬剤では、アセチルコリンが64%で主流だったものの、エルゴノビン冠動脈内投与が28%、エルゴノビン経静脈投与が2%などだった。
このほか、アセチルコリン負荷試験での冠攣縮陽性基準にもばらつきがあり、99%以上とする施設が25%、90%以上が25%、75%以上が12%などと差があった。アセチルコリンの投与量や冠注時間などでも施設によって格差が認められた。エルゴノビン負荷試験でも同様だった。
冠攣縮誘発負荷試験の実施条件、冠攣縮性狭心症の治療方針の面でも、施設によって考え方が違うことも明らかになった。
一方で、調査に応じた病院の大多数は、冠動脈攣縮について建設的な考えを持ち、さらに74%もの病院が冠動脈攣縮に関するガイドラインの必要性を感じていることも分かった。
<コメント>
ACh冠攣縮とER冠攣縮の頻度および増加の有無のdiscrepancyに関する考案はどうだったのでしょうか。
この紹介からは知ることができなかったのは少し残念です。
それにしても誘発陽性率がこれだけ多いのには少し驚きました。
狭心症をみる場合不安定プラークの方に気持ちがいってしまう昨今です。
カルシウム拮抗剤の重要性を再認識した次第です。
他に
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第1回成人ASD/PFOカテーテル治療研究会
非冠動脈疾患のカテーテルインターベンション治療の普及目指す
心房中隔欠損症(ASD)に対する治療法として,従来の外科的閉鎖術に加えて,国内でも経カテーテル的閉鎖術が2005年に保険適用となり普及しつつある。
一方,卵円孔開存症(PFO)は,脳梗塞・奇異性塞栓症や片頭痛の発症機序として注目されており,内科的治療に抵抗性の場合,欧米ではカテーテル治療が考慮される。
このように成人領域の新しいカテーテル治療の普及が課題となるなか,第1回成人ASD/PFOカテーテル治療研究会が東京都で開かれ,約200人が参加した。
成人ASDカテーテル治療
適応評価には心エコー図診断が重要
ASDに対する経カテーテル的閉鎖術は外科的閉鎖術に比べて侵襲が少ない利点があるが,ASDの形態によっては適応できない症例がある。
岡山大学循環器内科の谷口学氏は,成人ASDカテーテル治療の適応評価の際には心エコー図診断が重要であり,(1)ASDの形態がカテーテル治療に適しているか
(2)手術が望ましい他の心合併症がないか
の 2 点を念頭に置いて検査を進めるとした。
欠損孔が大きい(30mm以上),周囲縁欠損,多孔型などはカテーテル治療が難しい場合が多いという。
ASD形態評価,心合併症検索を
Amplatzer Septal Occluder(ASO)を用いた経カテーテル的ASD閉鎖術の適応基準は,二次孔型,欠損孔のバルーン進展径38mm以下,欠損孔周囲縁5 mm以上(前縁欠損例を除く),左右短絡比(Qp/Qs)1.5以上,もしくはQp/Qs<1.5であってもASDに伴う心房性不整脈や奇異性塞栓を合併する症例,体重15kg以上(経食道ガイド下閉鎖術が十分可能)などとされている。
適応評価は,治療前の心エコー図診断により行う。
経胸壁心エコー図検査では,ASD閉鎖術の適応(位置,サイズ,Qp/Qs,Eigenmenger化の有無,右室容量負荷)を確認し,手術が望ましい心疾患合併(弁膜症,他の先天性心疾患,虚血性心疾患など)がないかを検索する。
また,術後心不全の可能性を検討して心機能評価(収縮能,拡張能)を行う。
ASDの形態評価は,おもに経食道心エコー図検査で行う。欠損孔の多くは正円でないため,サイズは 0 度,90度のほかさまざまな角度で評価し,収縮期末期の最大径を計測する。周囲縁(rim)は,0 ~20度(transverse plane)で全体像を把握し,おもに 0 度で前縁,後縁,90~110度(longitudinal plane)で上縁,下縁の各最小部分を計測し,十分な周囲縁(5 mm以上)の有無を確認する。
さらに,欠損孔辺縁と心内構造物(僧帽弁前尖,三尖弁,右上肺静脈)との距離を計測し,閉鎖栓の突出部と十分な距離(5 mm以上)が確保できるかを評価するとした。
治療後の心不全対策などが課題
ASD患者は40歳前後で症状が増悪して受診することが多い。
埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科の小林俊樹教授は,成人のASDカテーテル治療について解説。
「成人ASDの治療では,心房性不整脈や房室弁閉鎖不全,肺高血圧,心予備能低下などが問題となる。
特に50~60歳以上の症例では左室拡張能が低下していることが多く,このような症例には閉鎖後の心不全対策として,閉鎖前からのホスホジエステラーゼ(PDE)-III阻害薬の予防的投与などを考慮する」と述べた。
早期に心機能改善の可能性も
同センターのASD治療方針として,左房内血栓を有する症例はカテーテル治療を禁忌とし,持続的な心房細動,心房粗動,明らかな房室弁閉鎖不全を有する症例は手術適応とする。
労作時などに間欠的に心房細動,心房粗動を有する症例にはカテーテル・アブレーションを先行し,その後閉鎖術を施行する。
成人ASDのカテーテル治療は,大きな閉鎖栓の操作に習熟すると,心房が大きくカテーテル操作により閉鎖栓の位置や角度を調整可能なため,10歳未満の小児よりも技術的に容易なことが多い。
しかしその半面,経食道エコー検査のASD計測径に比べて大きな閉鎖栓が必要になる傾向があり,特に周囲縁が脆弱な症例ではその傾向が強いという。
左心機能の拡張能が著しく低下している症例では,ASD閉鎖直後に左室前負荷の増大により心不全を呈することがあるため,PDE-III阻害薬などを閉鎖術前後に予防投与する。
左心拡張能低下が軽度であっても,閉鎖後日常生活に復帰して心不全症状を一過性に訴える場合は,退院後短期間,利尿薬やACE阻害薬を投与する。
成人経カテーテル的ASD閉鎖術の成績は現在調査中だが,閉鎖後 3 か月以内に胸部X線や心エコー所見は改善し,自覚症状の改善も 1 ~ 3 か月以内に得られており,手術に比べて早期に心機能が改善する可能性が考えられるとした。
卵円孔開存症・PFO
脳梗塞の5%が奇異性塞栓症
~ 川崎医科大学病院前向き調査 ~
奇異性塞栓症とは心原性脳塞栓症の 1 つで,深部静脈血栓(VDT)が,PFOに代表される右左シャント疾患を介して動脈に流入し塞栓症を生じる。
川崎医科大学脳卒中医学の木村和美教授は,脳梗塞連続240例の前向き調査の結果から,脳梗塞における奇異性塞栓症の頻度は 5 %と予想外に多く,さらに45歳未満の若年患者では約 3 割にのぼることを示した。
45歳未満では3割と高率
奇異性塞栓症は,
(1)神経放射線医学的に脳塞栓症
(2)右左シャントの存在
(3)右左シャント以外の塞栓源(心疾患,動脈病変)がない(4)静脈血栓塞栓症(VDT/肺塞栓症)の存在
の 4 項目すべてを満たす場合に診断される。
右左シャントの検査は,経食道心エコー法が最も優れているが,経頭蓋ドプラ(TCD)で脳血流のマイクロバブルを検出する方法も用いられる。
ただし,TCDは日本人では経頭蓋的に脳動脈の検出頻度が低いため,眼窩窓からアプローチするとよいという。
同科では,発症10日以内の脳梗塞連続240例を対象に奇異性塞栓症の頻度を前向きに検索した結果,脳梗塞240例中48例(20%)が右左シャント陽性を示し,12例( 5 %)が奇異性塞栓症と診断された。
奇異性塞栓症の頻度は,45歳未満の若年脳梗塞群(13例)では約 3 割と高かった。
奇異性塞栓症は女性に多く,多発性脳梗塞が多いことも特徴だという。
また,高血圧や糖尿病のないラクナ梗塞,原因不明の一過性脳虚血(ITA),院内発症の脳梗塞および担がん患者の脳梗塞において,右左シャント陽性率が高く,これらの発症機序に奇異性塞栓症が関与する可能性について報告している。
木村教授は「院内発症の脳梗塞は死亡率が高く,心房細動と関連することが報告されている。
われわれの検討でも,院内発症の脳梗塞の半数以上で右左シャント陽性もしくは心房細動が認められており,長期臥床患者にPFOがあると奇異性塞栓症のリスクが高まる可能性がある。
心房細動を認める入院患者には抗凝固療法を行うことが重要になる」と述べた。
~ PFOカテーテル治療の試み ~
再発性脳梗塞合併例に施行
岡山大学循環器疾患治療部循環器内科の赤木禎治准教授らは,再発性脳梗塞合併例を対象にASDの閉鎖器具を用いてPFOカテーテル治療を行った 2 例を提示し,「再発性脳梗塞や片頭痛に対するPFOカテーテル治療は国際的に急速に広まっており,わが国でも導入が検討されるべきである。これまでのチーム医療の枠組みを超えた診療体制づくりが求められる」と述べた。
循環器内科,神経内科の協力体制を
現在,国内にはPFO閉鎖を目的とした専用の閉鎖器具は使用できないが,この治療で先行する欧米では多くの新しい器具が開発され,大規模な治験が行われている。
同大学病院ではASDカテーテル治療をこれまでに130例(平均年齢30.4±24.2歳)に施行した。
また,10歳代と60歳代の再発性脳梗塞 2 例に対してASDの閉鎖器具を用いてカテーテル治療を施行し, PFOを完全に閉鎖できた。
術後それぞれ 1 年,6 か月を経過したが,合併症は認められていない。
ASDの閉鎖器具と比べて,PFO専用の閉鎖器具は左房側が小さく,右房側が大きいことと,中央の接続部分が細いことが特徴だ。
ASDの閉鎖器具は短絡孔の周囲縁が柔らかい場合に代用が可能だが,一部のPFO症例にしか適応できないという。
赤木准教授は「PFOカテーテル治療の対象はおもに成人の再発性脳梗塞症例で,内科的治療と比較した適応判断が重要になる。
手技は比較的単純だが,診断や治療に際して,神経内科と循環器内科の協力体制による総合的アプローチが必要である」と述べた。
成人ASD/PFOカテーテル治療研究会
非冠動脈疾患のカテーテルインターベンション治療の技術向上や教育・普及を目的として,日本心血管インターベンション学会(JSIC),日本心血管カテーテル治療学会(JSICC)の後援,日本Pediatric Interventional Cardiology研究会,日本成人先天性心疾患研究会の協力により設立された。
中高年期に発見されることの多いASDの軽症例や,PFOに起因する再発性脳梗塞に対するカテーテル治療を,成人領域で取り組むべき重要な課題としている。
循環器内科領域のカテーテルインターベンション施行施設(JSIC・JSICC)を対象に昨年実施した調査によると,診断カテーテルの年間総数の約7%が先天性疾患で,その半数をASDが占めているという。
なお,第 2 回成人ASD/PFOカテーテル治療研究会は,7 月に名古屋市で開催されるJSIC学術集会中に開かれる。
第 1 回成人ASD/PFOカテーテル治療研究会
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4108401&year=2008
Medical Tibune 2008.2.21
版権 メディカル・トリビューン社

ビュッフェ HEIAN SHRINE KYOTO
http://page5.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/e77846693
心房中隔カテーテル治療について
http://www.okayama-u.ac.jp/user/cvs/staff/Akagi-1.html
アンプラッツアーセプタルオクルーダーはニチノールと呼ばれる特殊な金属(形状記憶合金)の細い線から作られたメッシュ状の閉鎖栓です。両側の広がった部分(ディスク)とくびれた部分(ウエスト)には、特殊な布(ダクロン)が縫い付けられています。この布は、心臓の手術の時に利用されるものと同じ成分です。このくびれた部分を心臓の欠損孔の部分に合わせるように入れて、左右の広がった部分で穴の両側から挟みこんで、穴を閉じます。
この閉鎖栓を使った治療は、8年ほど前から欧米を中心に始まり、これまでに5万例を越える治療が行われてきています。これまで手術によって開胸を伴う外科的な心房中隔欠損の閉鎖術に代って、患者さんの負担を少なく、かつ安全に行える有効な方法として考えられています
(岡大のサイトです。写真入りで詳しく説明されています。)
「心房中隔欠損症」カテーテル治療
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/20060519ik0c.htm
日本では、治療技術の向上を図るため、国立循環器病センター小児科部長の越後茂之さんが中心となり研究会を設立。治療を実施できる施設の条件として〈1〉先天性心疾患に対するカテーテル治療の実施件数が一定以上ある〈2〉研究会が定めた新治療の教育プログラムを受けた医師のみが行う――などを課している。
現在、治療できる施設は国立循環器病センター、埼玉医大、岡山大の3か所だが、「今後は増えるとみられる」。閉鎖栓が輸入承認された昨年3月以降、計59人に治療が行われ、栓の脱落もなく、全例で経過は良好だ。
(2006年5月19日 読売新聞)
一般の方を対象にわかりやすく解説しています。
また2006年時点での心房中隔欠損症のカテーテル治療を行っている病院、今年度中に治療開始を予定している病院が紹介されています。
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動脈硬化の新たなリスクマーカー
LDLコレステロール(LDL-C)が動脈硬化の進展を示すリスクマーカーであることは,数々のエビデンスから確立されており,昨年改訂された動脈硬化性疾患予防ガイドラインでもLDL-C管理の重要性が強調されている。
近年,このLDL-C値にHDLコレステロール(HDL-C)値を組み合わせたLDL-C/HDL-C比が,動脈硬化の進展をより高い精度で評価する指標となりうることが報告されている。
東京医科歯科大学生命倫理研究センターの吉田雅幸教授(学長特別補佐)は,東京都で開かれたプレスセミナー「動脈硬化退縮を目指したコレステロール値の評価」(主催=アストラゼネカ(株)・塩野義製薬(株))のなかで,LDL-C/HDL-C比がプラーク容積と相関することや,プラーク進展の目安となるLDL-C/HDL-C比が明らかにされつつある状況を,国内外の文献から概説した。
単独因子より動脈硬化を正確に評価
LDL-C/HDL-C比が動脈硬化の進展と相関する機序について,吉田教授は「LDL-Cがコレステロールを末梢へ運搬する一方,末梢の余剰コレステロールを引き抜くのがHDL-C。
この両者のバランスによって末梢コレステロール量が決まる」と説明。
LDL-Cが末梢に運搬するコレステロールは,細胞膜成分やステロイドホルモンの重要な構成要素であるが,供給が過剰になると蓄積され,血管において供給過剰の場合はプラーク形成につながるという。
一方,HDL-Cは肝臓で合成され,末梢組織で余ったコレステロールを引き抜く作用がある。
引き抜かれたコレステロールはコレステロールエステル転送蛋白(CETP)によって他のリポ蛋白に渡されるか,肝臓へ転送される。
このような機序によって末梢組織のコレステロール量が規定され,LDL-C値が低くHDL-C値が高いほど末梢コレステロール量の蓄積が抑制されると考えられる。
つまり,LDL-C/HDL-C比が低いほど,プラーク形成リスクが低くなると考えられる。
このLDL-C/HDL-C比が動脈硬化の指標として優れていることを示すデータとして,冠動脈疾患患者の両側頸動脈におけるプラーク体積をMRIにより評価した研究〔J Cardiovasc Imaging 2007; 23(3): 337〕がある。
この研究では,HDL-C値およびLDL-C値単独でもそれぞれプラーク体積と有意に相関したが,LDL-C/HDL-C比とプラーク体積の相関係数がより高かったという。
また,TNT試験対象者のLDL-C/HDL-C比を 5 段階に分けて心血管イベント発症リスクを見た分析では,LDL-C/HDL-C比が高いほどリスクも高くなることが報告されている(NEJM 2007; 357: 1301)。
国内では,野池博文氏らが冠動脈が正常あるいは軽度の壁不整のみの97例の左前下行枝のプラーク占拠率を血管内超音波法(IVUS)で評価し,LDL-C/HDL-C比との関係を調べている。
この報告によると,LDL-C/HDL-C比が2.5超の群のプラーク占拠率は20%超で,2.5以下の群と比べて有意に高くなっていた(J Cardiol 2005; 45: 1)。
一般的に動脈硬化進展リスクの目安になると考えられる平均プラーク占拠率は15%と言われているが,同氏らはこれに相当するLDL-C/HDL-C比が2.5であったことも確認した。
さらに,糖尿病を合併する場合はこの比が1.3,収縮期血圧140mmHg以上の場合は1.4であったことから,吉田教授は「心血管リスクを有する場合はLDL-C/HDL-C比が2.5以下であっても,動脈硬化の進展を抑えるには不十分と考えられる」と述べた。
LDL-C/HDL-C比の目安について海外からは,IVUSでプラーク退縮効果を見た 4 試験(REVERSAL,CAMELOT,ACTIVATE,ASTEROID)の解析で,2.0超でプラーク体積が進展傾向,2.0以下であれば退縮傾向,さらに1.5未満であれば退縮傾向がより強いことが報告されている。
簡便かつ患者にもわかりやすい
これらの結果から,LDL-C値と合わせてHDL-C値を管理することでプラーク進展抑制がより期待できると言えるが,現在のところHDL-C上昇薬と言える薬剤はない。
そこで吉田教授は,現実的な対応として「HDL-C値の上昇効果が明らかにされている運動と禁煙,スタチン系薬のなかでもHDL-C上昇作用のある薬剤や比較的上昇作用のある
ニコチン酸製剤と組み合わせる」ことを推奨した。
今後,LDL-C/HDL-C比が臨床で使用される際のメリットについて「近年,small dense LDLなど動脈硬化の新たな指標が出てきているが,LDL-C/HDL-C比は一般的な血液検査で評価できるため,新たに検査項目を増やす必要がなく簡便。
また,患者にとってわかりやすいマーカーである」としている。
現時点のLDL-C,HDL-C値の目標値は「あくまでも動脈硬化性疾患予防ガイドラインが前提」としているが,今後始まる特定健診の指導においても指導に有用との期待感を述べた。
最後に,今後明らかにすべき点について,同教授は「HDL-C値上昇に伴うリスク低下に頭打ちがあるのかなど明確でない点もあるため,LDL-C/HDL-C比の基準値と合わせて,さらに詳細に検討する必要がある」と述べた。
<コメント>
目新しい内容でもない気もしますが、IVUSのプラーク占拠率での検討というところがneuesなんでしょうか。
従来の動脈硬化指数(TC-HDLC/HDL)はそれなりに意味があっての指数だったはずなのですが、最近はLDL-C/HDL-Cが動脈硬化の指標となっているようです。
動脈硬化指数はいつから用いられなくなったのでしょうか。
一時期、Lp(a)やRLP-Cがとりあげられ私自身も検査の際オーダーしています。研究報告が最近あまりないのも気になるところです。
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。
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IVUSもボリューム評価からVH-IVUSによる質的診断の時代になってきたようです。
超音波で組織診断が出来てしまう。
すばらしいことです。
その昔、心エコーをかじった頃tissue charactarization
という言葉が飛び交っていたのをつい思い出してしまいました。
第21回日本冠動脈学会の発表で少し勉強してみました。
VH-IVUS評価でボリューム変化に先行
プラークの組成が 4 つの色調で表示され,その安定性を視覚的,定量的に把握できる血管内視鏡(virtual histology IVUS;VH-IVUS)を用いた評価で,スタチン投与により,非責任病巣のプラークの安定化が,プラークボリュームの変化に先行して認められる可能性のあることが,日本大学板橋病院循環器内科の高山忠輝医長らにより報告された。
慢性期にHDL-C上昇,CRP低下
プラークは責任病巣だけでなく,非責任病巣にも存在し,二次予防の観点からは,むしろ後者のプラークのほうが予後に大きく影響するとも言える。
こうした非責任病巣のプラークに対して,スタチンが安定化あるいは退縮効果をもたらすことが海外の大規模臨床試験により明らかにされている。
同科の研究グループも昨年,71例172プラークをIVUSで観察し,スタチンの長期投与により,プラークが退縮し,それが持続すること,退縮に先立って安定化が認められることを報告している。
今回は,ACS非責任病巣のプラークに対するスタチン投与の影響をVH-IVUSで評価した。
対象は,ACS急性期および慢性期( 6 か月以降)に冠動脈造影とVH-IVUSを施行できた22例。VH-IVUSにより,赤色で表示されるプラーク不安定性指標のnecrotic core(NC)が慢性期に増加した 8 例( I 群)と減少した14例( II 群)に分けて検討した。
スタチンは I 群では1 例のみ, II 群では11例(79%)に投与されており,有意差が見られた。
慢性期におけるLDLコレステロール(LDL-C)低下の程度は I 群と II 群で有意差がなかったが,HDLコレステロール(HDL-C)の上昇は II 群で有意に大きく,さらに炎症指標のC反応性蛋白(CRP)は II 群だけで有意の低下が認められた(図 )。

プラークボリュームの変化は両群で有意差が見られなかった。
以上から,高山医長は「スタチンが持つLDL-C低下作用に加え,抗炎症作用,HDL-C上昇などのpeliotropic effects(多角的作用)により,プラーク性状の安定化がプラークボリュームの変化に先行することが示唆された」と述べた。
出典
Medical Tribune 2008.2.14
版権 メディカル・トリビューン誌
リャド(カロリーナアミーゴ嬢)シルクスクリーン
http://page8.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/h51000442
VH-IVUSによる不安定プラークの確認
http://tomochans.exblog.jp/2827208
(東可児第13同盟という情熱あふれるブログです)
VH-IVUSによる脆弱性プラークの判別について
In vivo intravascular ultrasound-derived thin-cap fibroatheroma detection using ultrasound radiofrequency data analysis.
J Am Coll Cardiol. 2005 Dec 6;46(11):2038-42. Epub 2005 Nov 9.
Rodriguez-Granillo GA, Garcia-Garcia HM, Mc Fadden EP, Valgimigli M, Aoki J, de Feyter P, Serruys PW.
Erasmus Medical Center, Thoraxcenter, Rotterdam, the Netherlands
安定プラーク(急性心筋梗塞、不安定狭心症)と
安定プラーク(安定型狭心症)の組成の違いはありませんでした.
プラークが不安定であるサインとして,このThin-cap fibrinoatheroma(不安定フィブリンキャップ)が重要です.
新しいモダリティであるVH-IVUSを用いれば、この不安定プラークのサインである
Thin-cap fibrinoatheromaをより正確に確認することが可能です.
不安定プラークや、壊死性コア(Necrotic Core)を治療前にIVUSでその存在を
確認できることで、冠動脈末梢血栓、Slow Flowなどの発症を予防し、または
その合併症を最小限にする処置が可能となります.
最新の血管内超音波検査 ; VH-IVUSについて
http://tomochans.exblog.jp/2789516
(同じくこのサイトからです)
Association of plaque characterization by intravascular ultrasound virtual histology and arterial remodeling.
Am J Cardiol. 2005 Dec 1;96(11):1476-83. Epub 2005 Oct 12.
Fujii K, Carlier SG, Mintz GS, Wijns W, Colombo A, Bose D, Erbel R, de Ribamar Costa J Jr, Kimura M, Sano K, Costa RA, Lui J, Stone GW, Moses JW, Leon MB.
Columbia University Medical Center and Cardiovascular Research Foundation, New York, New York.
(この論文をカラー写真入りで邦訳して紹介しています)
IVUS-VH(IVUS-Virtual Histology
http://www.wakayama-med.ac.jp/med/junnai/research_02.html
近年、IVUS-VH(IVUS-Virtual Histology)が臨床応用され、これにより血管内超音波で得られる信号から、動脈硬化病変のプラーク組成は、4つの色調(緑:線維組織、黄緑:線維脂肪組織、赤:壊死中心、白:石灰化)で表示される。
血管内超音波検査装置(IVAS)のメリット
http://www.sakakibara-hp.com/menu_new_topic_spot/200509/IVUS/
<番外編>
iTune,Podcast,iPodによる情報検索
http://tomochans.exblog.jp/i7
(上に紹介した「東可児第13同盟」からの記事です。私もMacファンですが、彼のようには医療面で活用出来ていません。今春、医学生の我が子が3か月米国に留学します。キャンペーン期間中ということもあってMac Book ProとiPod touchを奢ってやりました。あちらで使いこなさせて帰国後は教えて貰う下心です。トホホ)
MacとiPod。学生生活に最高の組合わせ。
http://www.apple.com/jp/promo/backtoschool/
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。
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