戯れ言たれる侏儒
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少量利尿薬

戯れ言たれる侏儒 / 2008.01.27 01:32 / 推薦数 : 1

少量利尿薬は第一選択薬か併用か
東大 分子循環代謝病学 安東克之

利尿薬少量投与
降圧薬として一般に用いられているサイアザイド利尿薬またはサイアザイド類似薬は、低力リウム血症、高尿酸血症、インスリン抵抗性亢進、脂質代謝異常といった代謝系の副作用があリ、このため降圧によって得られるベネフィットが相殺される可能性があるのが欠点である。
サイアザイド利尿薬の降圧効果は、少量の時には用量依存性であるが、ある程度の用量以上では頭打ちになり、一方、代謝系の副作用は用量依存性に増大するために、降圧効果と副作用のバランスから少量投与が高血圧の治療には合理的であると考えられる。
JNC7とわが国の添付文書の用量を比べると、1985年に発売したインダパミド(商品名ナトリックス)は同程度の用量が定められているが、1959~1961年に発売されたヒドロクロロチアジド(
商品名ダイクロトライド)、クロルタリドン商品名ハイグロトン、ならびにトリクロルメチアジド(商品名フルイトラン)の用量は多すぎることが明らかである()。
すなわち、添付文書においてはこれまでのエビデンスの集積にもかかわらず、発売当時以来、用量の変更がなされていないためにこのような用量設定になっているのである。
また、この表に示された最少適正用量の投与が可能な剤型が存在するわが国で、使用できる薬剤はトリクロルメチアジド(2mg錠を1/4分割)とインダパミド (1mg錠を1/2分割)のみであり、単価の安い薬剤であるために医療環境にも不備がある。

利尿薬の特徴と併用療法
サイアザイド利尿薬のもう一つの特徴は、その効果に個体差が大きいこととほかの降圧薬、特に血管拡張作用に基づき降圧を来たす薬剤の降圧作用を増強することである。
特に近年主要に用いられているCa拮抗薬やレニン・アンギオテンシン系抑制薬の作用増強効果が顕著である。
単剤における140/90mmHg未満の降圧達成率は、Moriによると3~4割であるということからも、併用薬として優れたサイアザイド利尿薬は併用療法が中心となっている今日の高血圧治療に欠くべからざる薬剤である。

その併用薬としての有用性をよくあらわしているのが、PROGRESS(Perindopril Protection against Recurrent Stroke Study)である。
この試験はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬ペリンドプリル(商品名コバシル)を一次薬として、サイアザイド類似利尿薬インダパミドを二次薬として脳卒の二次予防について検討したものである。
治療群全体としては有意の二次予防効果を認めたが、ACE阻害薬単剤群とACE阻害薬 + サイアザイド類似利尿薬併用群に分けて検討すると、単剤群では有意の効果を認めず併用群のみで有用性があったのである。
また、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の有用性を示したLIFE(The Losartan lntervention For Endpoint
Reduction in Hypertension Study)においても約8割に利尿薬が入っていたという。
以上のように、利尿薬は特に併用薬として有用であると考えられている。
なお、このような成績は最近登場したARBと少量利尿薬の有用性の根拠となっている。

出典 メディカル・ビューポイント 2008.1.10
版権 医事出版社


<コメント>
プレミネント錠はロサルタン50mgと、ヒドロクロロチアジド12.5mgの合剤です。
文中で「最少適正用量の投与が可能な剤型が存在するわが国で、使用できる薬剤はトリクロルメチアジド(2mg錠を1/4分割)とインダパミド (1mg錠を1/2分割)のみ」と書かれています。
ヒドロクロロチアジド(ダイクロトライド錠25mg)の1/2分割、つまり12.5mgは該当しなくなってしまいます。
表にはヒドロクロロチアジドの最小用量は6.25mgとなっています。
プレミネントのヒドロクロロチアジドの用量設定が6.25mgではなく12.5mgになった経緯も知りたいものです。
そして、製薬メーカーの事情とはいえサイアザイド系薬剤としては1959年発売という一番古い薬剤というのも気になるところです。

ヒドロクロロチアジド(ダイクロトライド錠25mg等)
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se21/se2132004.html

中島 忠   サントロッペhttp://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t59069704?u=edelcoltd

<参考>
プレミネント錠:日本初の配合降圧薬
2006年10月20日、2種類の降圧薬を配合した「プレミネント錠」が製造承認を取得した。
配合されているのは、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のロサルタンカリウムと、サイアザイド系利尿薬のヒドロクロロチアジドである。
本薬は、降圧薬の配合剤としては日本初であるが、世界的には1995年以降、フランス、米国をはじめとして82カ国で承認され、広く臨床で使用されている。

ロサルタンカリウムをはじめとするARBは、昇圧物質アンジオテンシンIIの作用に拮抗することで降圧作用を示し、特にレニン・アンジオテンシン(RA)系が活性化した高血圧症患者において、良好な降圧作用を発揮する。
一方のヒドロクロロチアジドは、腎臓の尿細管に作用して体内のナトリウムと水分の排泄を促進する利尿薬であり、尿量を増やすことで降圧効果を発揮する。
プレミネント錠の1錠中には、常用量1回分に相当する50mgのロサルタンと、少量のヒドロクロロチアジド(12.5mg:単独投与時の常用量は1回25~100mgを1日1~2回)が含有されている。

このような既存の2種類の降圧薬を配合した薬剤が登場したのは、国内外のガイドラインにおいて、複数種類の降圧薬の使用が推奨されていることと関係している。
これは、1種類の降圧薬を常用量使用しても十分に血圧が低下しない場合、その降圧薬を増量するよりも、別の種類の降圧薬を併用した方が、副作用の発現を抑えられるためである。実際、日本でも、複数種類の降圧薬を併用することが広く行われている。

また単独療法の場合、ARBは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とともに、カルシウム拮抗薬と並ぶ第1選択薬となっているが、RA系の亢進が見られない患者では降圧効果が弱い場合があった。
一方のサイアザイド系利尿薬は、降圧作用が比較的良好で薬価も安いが、カリウムの排泄を促すなど代謝面での副作用から使用できない症例もあった。
その点、ARBとサイアザイド利尿薬を組み合わせたプレミネントは、利尿薬による体液量減少でRA系が活性化されるため、併用されたARBの降圧作用が効果的に機能する可能性がある。
また、利尿薬によるカリウム排泄が、ARBの使用による血清カリウム値上昇で相殺もしくは軽減できると期待されている。

患者にとって本薬は、配合剤であることから、1錠で2種類の薬剤を服用できることになり、飲み忘れがなくなるなど、服薬コンプライアンスの向上に結び付くのではないかと考えられる。
しかし一方で、2成分を含んでいることから、過度の降圧が起こる可能性があり、本薬を安易に高血圧治療の第1選択薬としては用いるべきではない。
このことは、添付文書の「用法・用量」にも明記されており、十分に注意したい。
(北村 正樹=慈恵医大病院薬剤部)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200611/501799.html

プレミネント降圧効果(8週間)
http://preminent.jp/secure/effect_8w.html
プレミネント錠を1日1回1錠8週間投与したところ、ロサルタン50mg投与より有意に優れた降圧効果が認められました(-18.4%vs-10.6%)。
副作用発現率はプレミネント群9.0%(14/155例)、ロサルタン群6.3%(10/160例)でした。臨床検査値異常発現率はプレミネント群14.2%(22/155例)、ロサルタン群6.3%(10/160例)でした。
<コメント>
尿酸増加を主体とした臨床検査値異常発現率も決してひくくないようです。
http://preminent.jp/secure/sideeffect.html

PROGRESS
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c1999059.html
本試験の結果で注目すべき点は,まず第一に高血圧群(平均159/94mmHg),非高血圧群(136/79mmHg)ともに,perindopril+ indapamide併用療法によってほぼ同等の降圧(各9.5/3.9mmHg,8.8/4.2mmHg)と脳卒中発症率(32%,27%)の減少が得られていることである。このことは少なくとも127.2/74.8mmHgまでは降圧によって脳卒中予防効果が明らかであることを示唆している。第二に ACE阻害薬と利尿薬の併用の相乗効果である。すなわち併用例にのみ限ったサブ解析では脳卒中の減少率は43%,主要な心血管イベントは40%と著しい予防効果が認められていることは注目に値する。
我が国のガイドラインでは脳卒中既往例ではより高めの降圧目標値が示されていたが,降圧目標値を大幅に変更すべきであろう。また併用療法についてはもっと推奨されるべきである。(桑島)

LIFE
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2000095.html
左室肥大の合併は脳卒中頻度を増加させ,また退縮は脳心血管イベントの減少をもたらすとする成績を裏付ける結果である。losartanの一次エンドポイント予防効果はほとんど脳卒中予防効果によるもので,心筋梗塞予防効果はatenololと差がみられていない。言い換えればlosartanの心筋梗塞予防効果はatenololと同等であるが,脳卒中予防効果ははるかに優れているということである。両群の降圧効果はほぼ同等であることから losartanの脳卒中予防効果は降圧効果以外の要因が関与していると考えられるが,losartan群ではatenolol群に比べて左室肥大の退縮効果が大きかったこと,糖尿病発症は少なかったことの2点がなんらかの関連で脳卒中予防効果をもたらしたと推定されるが,なお脳卒中の病型別の予防効果などサブ解析の結果が待たれる。(桑島)

→サブスタディ(J Am Coll Cardiol. 2005; 45: 705-11,712-9.)へのコメント
losartanは心房細動(AF)の発生を抑制するばかりでなく,AF発症においてもatenololに比べて有意に脳卒中,心血管死を抑制することができる(井上)。
LIFE 試験のこの二つのサブスタディは,心房細動による脳塞栓症の予防策として唯一確認されている治療法はワルファリンによる抗凝固療法であるが,アンジオテンシンII受容体拮抗薬も左室肥大のみならず左心房のリモデリングを予防して心房細動発作の予防とともに血栓形成を予防する可能性があることを示している(桑島)。

→サブスタディ(Lancet. 2002; 359: 1004-10.)へのコメント
左室肥大に加えて糖尿病を有する高リスクの高血圧患者に対するlosartanとatenololの心血管合併症発生に対する予防効果を比較したものであるが,一次エンドポイントに関してはlosartan群が有意に少なかった。しかし内訳をみると全体解析と異なり脳卒中,心筋梗塞発症の予防に関しては両群間に有意差はみられなかったが,心血管死亡はlosartan群の方が有意に少ないという結果であり,解釈が難しい。降圧効果は両群同等であることから,やはり左室肥大の退縮およびレニンアンジオテンシン系の抑制を介した効果と考えるのが妥当か(桑島)。


他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。

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