戯れ言たれる侏儒
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DESのLMTへの適応

戯れ言たれる侏儒 / 2008.01.26 00:01 / 推薦数 : 0

左冠動脈主幹部への適応
土谷総合病院 心臓血管センター 林 康彦先生

はじめに
非保護左冠動脈主幹部病変 (ULMD)の治療は、DESの出現後も原則冠動脈バイパス術(CABG)であることは認められているところで、それに比肩するカテーテルインターベンション(PCI)の適応にコンセンサスは得られていない(文献1)。
しかしながら現実には、特にDESの出現後は入口部や体部の病変でPCIが行われることも多くなっている。
また、分岐部病変では一般に症例選択がなされた上でPCIが施行されているが、この部位のPCIはいまだチャレンジングな治療の域を出ない。
最近のデータもまじえて、主としてDESの適応について述べてみたい。

最近の報告およびデータ
Chieffoらは147例のULMD入口部と体部病変へのDESを用いた成績を報告している(文献2)。
886±308日の追跡期間で総死亡5例(3.4%)、心死亡4例(2.7%)、標的血管再血行再建(TVR)7例(4.7%)、標的病変再血行再建(TLR)は1例(0.7%)のみであり、安全で有効であるとしている。
同著者らは別の報告において1施設でのデータとして87例の遠位ULMDを含む107例のDESを用いたPCIと142例のCABGを1年間比較し、死亡率は2.8%と6.4%、心筋梗塞は0.9%と1.4%、TLRは15.8%と3.6%、TVRは19.6%と3.6%であり、心事故発生率に差異はなかったとしている(文献3)。
Kereiakesはこの報告に対する論説として、複雑な分岐部主幹部病変における血行再建はCABGのほうがいまだ信頼される治療としているが、近い将来のPCIの進歩も含蓄してULMDの治療は岐路にさしかかっていると述べている(文献4)。
ValgimigliらはRESEARCHおよびT-RESEARCH症例からの遠位ULMDに対するシングルステント(SVS)48例と2ステント(BS)46例を平均587日追跡し、総死亡は10%と11%、TVRは10%と13%、ステント血栓症はいずれも0%、心事故率はそれぞれ28%と31%で差はなかったと報告している(文献5)。
Cypher Registryの主幹部PCIの解析では、2004年8月から2006年5月の間に384例(待機的332例、緊急52例)のULMD例があり、330例(86%)が1年の追跡を完了している。
死亡率は10.6%で、うち緊急例が32.6%、待機例が7%であり、心死亡は6.7%で緊急19.6%、待機4.6%であった。
ステント血栓症(ARC,definite or robable)は1.8%、TLRは11.5%であった。
多変量解析では心死亡で慢性透析と心不全、TLRでは2ステント、慢性透析、41mm以上のステント長が独立した危険因子であった(文献6)。

治療法選択に寄与する因子
ULMDへの治療を考慮する場合、
①病変の性状と部位
②患者の全身状態
最終的に
③CABGかPCIかの決定をいかにするか
などが問われる。
前述の報告は無作為比較のものではないため、いずれも施設や術者の方針、技量に負うところが大きく、これらの因子に影響されていることを忘れてはならない

病変性状は冠動脈径、石灰化の程度が影響し、径が5ないし5.5mm以上あるもの、石灰化が強くアブレーションを行っても十分な拡張が望めないものはDESに不適である。
そのほか、多枝にわたり長い病変が存在する例ではCABGが適している。

主幹分岐部病変は、現在PCIが遭遇している最も大きな障壁であることは論をまたない。
特に十分な灌流域を有する回旋枝入口部の狭窄病変を含む真性分岐部病変では、不適状態がなければ即座にGABGという考え方も現時点では受け入れられる。
しかし、CABG不適例も含め、この部位でもPCIが選択される場合もある施設では、方法論や予後も含んだ十分な考慮が要求される。
いわゆる方向性粥腫切除術(DCA)を前下行枝、回旋枝の入口部に行ってステント留置することも行われているが普遍的ではない。
今のところシングルステントとKBT(kissing balloon technique)、プロビジョナルステントというのが基本的な考え方であると思われるが、2ステン卜を始めから考えねばならない例もある。
いずれにしても十分な説明義務をはたさねばならないし、常にCABGが原則であるこを考えるべきである。

患者の状態としては、年齢、CABG不適状態(EuroSCORE高値など)、PCI不適病変(明らかに結果が悪いであろうと思われる病変)、抗血小板薬の内服困難(副作用、近々の休薬を要する観血的手術、内視鏡治療、服薬コンプライアンス不良など)、患者の強い要望などが影響する。

最終的にはCABGかPCIかを決定するが、これには前述の因子以外に双方の術者としての力量(知識、経験、技術、良心、情報開示や討論への低閾値など)が問われる。
その上で十分な説明を果たし患者の希望や決定に沿うことになるが、現実には医療サイドに決断を迫られることも多く誠実な答えを用意する必要がある。

まとめ
十分な説明、慎重なデータの積み重ねと解析、大規模無作為トライアル、治療法の進歩などがULMDsの適切な治療に必要である。


 

出典 メディカル・ビューポイント 2008.1.10
版権 医事出版社

千住博  雨後の朝  リト
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p100241236?u=;artfolio11

DESに至るPCIの変遷,そして今
-mechanical solutionからmolecular solutionへ-
http://www.ebm-library.jp/circ/trialreview_kyoketsu02.html

第21回 日本冠疾患学会学術集会 ランチョンセミナー 4
http://www.toaeiyo.co.jp/iryou_kankeisya/seminar/kansikkan_lun2007.html

Live Demonstration in KOKURA
http://www.kokura-heart.com/2007live/pdf/23rdhighlight.pdf
LM分岐部病変に対するステント手技にはSingle stent法、Culotte stent法、Modified T-stent with mini crush法、Kissing stent法がある。我々は国内外にてこれらのステント手技により、Cypher stentとTAXUS stentを用いてPCIを500症例に施行した。分岐部病変はこれらの症例のうち60%を占めた。
国内でBMSを用いた1例にSATを経験したが、DESでは2年間の観察期間においてSATの症例は0%であり、また国外で2年間におけるDESの再狭窄率およびTLR率は6.2~8.4%、4.7~7.6%であり、durabilityは2年間を保証され得るものと考える。
PCIを施行した500症例のうちSingle stent法によるステント手技では、回旋枝の入口部に狭窄を認めない症例に適応していたというバイアスはあるものの、SATを発症した症例は0%であった。
またTLRは、Single stent法とModified T-stent with mini crush法において各1例であるのに対し、他の手技では4例であった。
ロータブレータで前処置を行ってからCulotte stent法にてステントを留置したLM分岐部病変約60例に対しては良好な予後の成績を得ていた。
しかし、BMSと比較すると再狭窄の頻度は少ないが、特にLCxに再狭窄が認められる症例を経験するようになった。一方、分岐部病変に対してDESを使用した多くの報告では、Single stent法 で再狭窄の頻度が低いことが示唆されたためステント手技をSingle stent法に切り替え良好な結果を得ている。
LMのCTOに対してSingle stent法にてPCIを施行した症例では、IABPサポート下にCTOを通しantegrade flowを得た後、バルーンとステントを留置し、KBTにて処置した。
その結果、12~13%であったEFは10%程度まで改善された。
Single stent法で対処できない複雑病変においては、crush部分を最小限に留めるModified T-stent with mini crush法を取り入れている。
以上から,LM分岐部病変に対してDESを用いるPCIは安全に施行し得るものと考える。
ステント手技についてはSingle stent法によりloss lateを減少させることから、TLR率は圧倒的に低下するものと思われる。またSingle stent法が適応できない症例においては、Modified T-stent with mini crush法でステント留置すると良好な成績が得られるものと考える。


<コメント>
インターベンションの専門家はここまで考えながらLMT病変などの難しい病変にチャレンジしていることがわかりました。
専門外の私には、正直よく理解できません。
一開業医としては、どの施設に患者を送れば本人にベネフィットが得られるかという情報のアンテナは張り巡らしておきたいものです。

他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。

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