戯れ言たれる侏儒
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抗血小板剤の併用療法

戯れ言たれる侏儒 / 2008.01.21 00:09 / 推薦数 : 0

日常診療において抗血小板剤同士、そして抗凝固剤との併用については頭を悩ませられるところです。

以前にもこのブログで書かせていただいたことで恐縮です。TIA再発予防のためにバイアスピリン100mg投与中の患者で再発作を起こしたためにチクロピジンを追加投与(加薬)し重篤な肝障害を起こした苦い経験があります。

併用については、どれだけのエビデンスがあるのでしょうか。

きょうはこのことについて勉強してみました。 

教材は日本医事新報の「質疑応答」です。 

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(1)冠動脈インタ-ベンション後に、アスピリンに加えてチクロピジンなどの抗血小板剤の加薬が標準的に行われている。アスピリンを使用せず、抗血小板剤最大使用量(チクロピジンでは300mg)単独では、併用療法よりも効果は劣るのか。
この質問に直接回答を与えることのできるトライアルはない。
例えば、アスピリンとチクロジピンの併用はそれぞれがCOX(シクロオキシゲナーゼ)阻害を介したトロンボキサンA2産化抑制とADP受容体への拮抗による血小板内cAMP上昇の抑制を招き、異なるメカニズムにより血小板凝集能を低下させる。
それゆえ相加的な効果が期待できる。

一方、アスピリンの投与量を増やせば、血小板内皮細胞内のCOXを抑制し、PGI2生成減少がむしろ血小板凝集を促進する方向に働くというジレンマがあり、むやみにアスピリンを増やしにくいことには根拠がある。

また、チクロジピンを増量することは血小板機能抑制にマイナスであるという証左はないが、一経路での薬理作用には飽和が予想され、かつ副作用の頻度から考えてあえて高用量は勧めにくい。

なおチクロジピンの300mg/日はもともと通常治療量であ
り、この量のチクロジピン単独と比較するならアスピリンを併用したほうが治療効果は高いという見方が一般的である。

(2)心房細動を合併する冠動脈疾患でのPT-INRの目標値や抗血小板剤の具体的処方は。
抗血小板剤とワルファリンの併用で出血性イベントが増すことは、ご指摘の通りである。
ただし、抗血小板療法に不十分な量のワルファリンを併用してもメリットは少ないことも示されている。
両者の併用を必要とする病態であるなら、ワルファリンは治療量を投与することが必要であり、PT-INRは1.6~2.6程度を目指したい。
なお、PT-INRのコントロールゾーンをこれ以上狭く設定するのは現実的ではなく、むしろ他科の処方薬剤、摂取食品、
あるいはサプリメントなどがワルファリンの効果に大きな影響をもたらしていないか留意したい。

(3)アスピリンに中等量の抗血小板剤を併用する妥当性について。
併用に際して若干投与量を控えることの意味は、薬剤ごとに異なる。
ワルファリンではPT-INRが増加しないような投与量では併用する価値は少ないが、抗血小板薬ではそれぞれの副作用を軽減しながら、薬効を重ね合わせるという発想は許容しやすい。

(4)併用療法に対するガイドラインの必要性について。
クロピドグレルが抗血小板作用において新たな治療選択であり、その臨床有用性には大きな期待が持たれている。

ご質問の中で示唆されたBhartらの大規模調査(CHARISMA)では、アスピリン単独とクロピドグレル併用との間で動脈硬化関連のイベント発症率についてはわずかな差しか確認できていない。
28カ月の観察期間中、アスピリン単独では7.9%、クロピドグレル併用では6.9%と有意差はあるものの、その差は比較的小さかった。
重篤な出血が1.3%に対し1.9%と高めであ
ったこともあり、クロピドグレル併用はまだ標準的治療にはなっていないと思われる。
ただし、薬剤価格と治療選択の関係は国内外で異なり、保険
診療が徹底している本邦では、予後改善の幅が比較的小さくても選択される可能性はある。

ご指摘のように、ある程度コンパクトなものでも併用のガイドラインがタイムリーに提供されることが望まれる。

文献
Bhart DL , et al: N Engl J Med 354:1706,2006

帝京大学医学部附属溝口病院
第四内科教授    村川裕二

出典   日本医事新報 2008.1.19 「質疑応答」
版権  (株) 日本医事新報社

<コメント>先生方も同じと思いますが、日常臨床で日頃疑問に思っていることは、調べても明解な回答が得られることはそんなに多くはないのではないでしょうか。

そういう場合が多ければ多いほど、自分の臨床の実力がついたと思ってもいいのかも知れません。 

要するに自分がわからないことは、皆もわからない。

歯切れのよい解答(回答) にめぐり合えない。

悲しいことでもありますが、歳を重ねるにつれ「目から鱗 」はだんだん減ってきます。

しかし臨床場面でわからないことには疑問を持ち続ける問題意識は大切と思います。 


抗血小板剤 その1(1/3)
http://blog.m3.com/reed/20071215/_1_3_
抗血小板剤 その2(2/3)
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