戯れ言たれる侏儒
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ストロングスタチンの登場後、冠動脈領域でのエビデンスが次々と出てきています。
強力な脂質低下療法を行うことにより、冠動脈造影やIVUSでプラークの退縮を観察する症例も増えてきたようです。
きょう、明日はこのテーマを取り上げた座談会で勉強しました。

動脈硬化の進展抑制から退縮の時代へ  その1(1/2)
Nikkei Medical 2008.1掲載の座談会からです。
司会   倉林正彦先生 群大 臓器病態内科学教授
出席者  野原隆司先生 北野病院 心臓センター長
        山崎 力先生  東大 臨床疫学システム講座教授
            横井宏佳先生 小倉記念病院 循環器部長

脂質管理目標値の達成のために積極的な脂質低下治療を
倉林 
先生がたもご存知のように、近年メタボリックシンドロームが社会的な問題となっています。
その背景には、食生活の欧米化があり、脂質異常症の発症が多くみられるようになってきています。
幸いにも,心血管イベントの発生頻度は微増しているかもしれませんが、現時点では大幅な増加には至っていません。
しかし、現状を放置しておくと間違いなく心血管イベントが増加してくるのではないかと危惧しています。

本年、日本動脈硬化学会ではガイドラインを改訂してより広く動脈硬化を予防するメッセージを発信しています。
2002年のガイドライン作成から5年が経ち,その間に報告された本邦と欧米の新たなエビデンスをもとにガイドラインが改訂されました。
山崎先生、まずは今年度改訂された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」のポイントをいくつかご紹介いただけますか。

山崎
5年ぶりに改訂された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」では、タイトル中に初めて「予防」という言葉が入りました。
これまでは「診療」ガイドラインだったわけですが、高齢化やハイリスクの患者さんの増加に伴って動脈硬化を未然に予防できる脂質管理を目指すことに重点を置いたことが、このガイドラインの一番大きなポイントであると思います。
そして、脂質管理に関しては、生活習慣の改善を第一に掲げてありますが、それでも脂質管理が不十分な場合には生活習慣の改善と並行して薬物治療を行うことを提唱しています。

倉林                                                                                                              実際には、ガイドラインに示されているリスク因子別の脂質管理目標値はどのくらい達成されているのでしょうか。

山崎
2005年に、本邦で行われたアンケート調査の結果が報告されました。
その報告によると、改訂前のガイドラインに沿ったデータではありますが、リスク因子を持たない方のLDL-C管理目標値の達成率は93%、リスク因子を1つないし2つ持っている方では62~66%の達成率、そしてリスク因子が3つ以上、糖尿病の合併、あるいは脳梗塞の既往がある方では30%ほど、そして、虚血性心疾患の既往があり最も厳格に管理しなければならない方では17%しか達成できていませんでした。

倉林
ハイリスクであるほどLDL-C管理目標値を達成できていない理由として、どのようなことが考えられるのでしょうか。

山崎
その理由は2つあると思います。
一つは、この管理目標値という概念そのものが、一般の臨床の先生方に必ずしも十分に浸透していないかもしれません。

LDL-C<140mg/dLという基準は、おそらく一般の臨床の先生がたもご存知でいらっしゃると思いますが、患者さんのリスクに対して100~160mg/dLまで幅広く管理目標値を定めているということがまだ十分浸透していない可能性があるのではないでしょうか。
もう一つは、これまでに使われてきたスタチンではLDL-Cの低下作用が十分ではなかったのかもしれません。
今後、心血管イベントの発生を未然に防ぐためにもLDL-Cを管理目標値まできちんと下げる脂質管理がなされなければなりません。

倉林
LDL-Cを低下させることで心血管イベントの発生を抑制できるというエビデンスが欧米で行われた臨床試験で報告されていますが、横井先生、いくつかの試験名を具体的に挙げて、これらのエビデンスをご紹介いただけますか。

横井
LDL-Cは、「the Lower, the Better」といわれるように、低下させれば低下させるほど心血管イベントの発生を抑制できるというエビデンスが報告されています。
虚血性心疾患の既往がある患者さんを対象とした二次予防に関しては、TNT(Treating to New Target)とPROVE IT
(PRavastatin Or AtorVastatin Evaluation and lnfection sTudy)の2つの試験によりLDL-Cを70mg/dL近くまで低下させることで、心血管イベントの発生率が大幅に低下することが認められています。
これらの結果を踏まえて、欧米ではハイリスクの患者さんでは70mg/dLを目標に積極的なLDL-Cの低下治療が行なわれるようになってきています。
また、一次予防でも同様に、LDL-Cを低下させれば低下させるほど心血管イベントの発生を抑制できるというエビデンスが報告されています。

LDL-C低下と同様、注目すべきHDL-C上昇
倉林
LDL-Cが低くても、HDL-Cも低いために心血管イベントが発生する症例が報告きれていますが、横井先生、実際の日常診療でLDL‐Cが低くても虚血性心疾患を発症してしまう例はしばしば見られますか。

横井
最近、LDL-Cが低くても虚血性心疾患を発症してしまう患者さんが顕著に増加しているように思います。
これらの患者さんではHDL-Cが低い方が多いため、HDL-Cが低いことがその原因であると考えています。
HDL-Cの低下とプラーク破綻との関係についてはわかっていませんが、HDL-Cの低下はプラーク破綻を予測する一つの予測因子にはなるのではないかと思います。

倉林
HDL-Cの低下にも注目するべきだと思いますが、先生がたはどのように考えていらっしゃいますか。

山崎
HDL-Cの低下は無視できないリスク因子だと思います。
以前、虚血性心疾患患者の冠動脈硬化の重症度と,高LDL-Cや低HDL-Cをはじめとするいくつかのリスク因子との相関を多変量解析した際、最も高い相関関係が得られたのは低HDL-Cでした。
次いで高LDL-Cという結果になりました。

野原
これまでHDL-Cの重要性はあまり強調されてこなかったと思いますが、私は、低HDL-Cの重要性はLDL-Cに勝るとも劣らないと思います。
HDL-Cを積極的に上昇させる薬剤が開発されていないためHDL-Cに関するエビデンスが乏しいのでしょうが、これからはHDL-Cの上昇も念頭においた脂質異常症の治療戦略を考える必要性が増してくるかもしれません。

倉林
LDL-Cを低下させてHDL-Cを上昇させるということは、LDL-/HDL-C比が下がるということになります。
私は,今後このLDL-C/HDL-C比を低下させることで動脈硬化の予防戦略を展開していくことも考えられると思います
が,いかがでしょうか。

横井
日本人を対象とした研究から、LDL-C/HDL-C比が2.5以上で有意な左冠動脈のプラーク面積の増大と形成率の上昇が認められました〔野池博文ほか:J 45(1),1-10(2005)〕。
またJ-LIT(Japan Lipid Intervention Trial)ではLDL-C/HDL-C比が高くなると心血管イベントの発生率が上昇することが認められていることから、倉林先生がおっしゃるように、LDL-C/HDL-C比を低くするということには意味があると思います。

倉林
ロスバスタチンには強いLDL-C低下作用だけでなく強いHDL-C上昇作用もあるといわれています。
LDL‐C/HDL-C比を低下させることで動脈硬化の予防戦略を展開していくために、ロスバスタチンの強いLDL-C低下作用と強いHDL-C上昇作用に期待したいと思います。

出典 Nikkei Medical 2008.1
版権 日経BP社


堀内規次  九十九里浜  油彩20号
http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v39959124

メタボリックシンドローム
http://www.sankei.co.jp/metabolic/200703/070311m_lfe_86_1.htm
超音波診断による「ESTABLISH(エスタブリッシュ)試験」では、ストロング・スタチンを使って、日本人の急性心筋梗塞患者に対してLDLを 70mg/dlまで低下させたところ、プラークの退縮が認められました。さらに海外で行われた「ASTEROID(アステロイド)試験)」では、慢性の冠動脈疾患を対象に、LDLを60mg/dlまで低下させた結果、安定型のプラークを退縮させ、狭心症を改善したことが明らかになっています。日本人では、欧米と動脈硬化の質が違うかもしれないので、現在、同じように「The lower the better」に基づいた動脈硬化試験「COSMOS(コスモス)」を試みているところです。

PCI/薬物療法
http://blog.m3.com/reed/20071231/PCI

他に

「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 

ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)                  

があります。

 

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