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高血圧症にはACE阻害薬かARBか? 慢性腎疾患では?
http://www.m3.com/news/news.jsp?pageFrom=m3.com&sourceType=SPECIALTY&articleId=65611&articleLang=ja
提供:Medscape
ACE阻害薬とARBは、高血圧症に対しても蛋白尿に対しても有効性は同等であることが2つの総説で結論づけられた。
しかしこの2つの病態の一方に対しては、2つのクラスの薬剤を併用したほうが単独で使うよりも成績がよいようであった。
-WebMDの専門ニュースサービスHeartwireより-
【1 月4日】(ペンシルヴェニア州フィラデルフィア)『Annals of Internal Medicine』2008年1月1日号に発表された2本の論文が、アンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)が導入されて以来未解決だった問題と既存の文献とを関連付けた。
未解決だった問題とは、ACE阻害薬を長期使用している病態においてこれらの薬剤をいつどのように使用すれば有益か、というものである。
論文のきわめて慎重な精査によって、この2つの薬剤クラスは高血圧管理における安全性と有効性がほぼ等しく、本態性高血圧症患者におけるその他のリスク因子や臨床転帰への影響も等しいことが判った[1]。
また、ARBのほうが咳嗽を引き起こす傾向が小さいことが確認されたが、ACE阻害薬による副作用はランダム化試験で示された率よりも少ないと考えられる。
慢性腎疾患(CKD)の場合では、蛋白尿の低減効果はACE阻害薬とARBの単剤療法で等しいことが別のメタアナリシス研究で結論づけられているが、この2種類のアンギオテンシンII抑制薬を併用すると、それぞれを単独で使用するよりも有効であった[2]。
ただし著者らによると、併用によって臨床転帰が単剤療法以上に改善するというエビデンスはほとんどなく、併用の安全性についてもまだほとんど明確になっていないので、併用を全面的に推奨することは時期尚早である。
2つの分析研究の著者らは、分析に大きな限界があることを認めている。
特に、合算した試験が均一でなく、追跡期間が限られており、有害事象のデータは散発的であった。
「今回の体系的総説のもっとも重要な意義は、我々が何を知らないのかをはっきりさせてくれたことだ」と関連解説記事は述べている[3]。
Dr Patrick S Parfrey(ニューファンドランド記念大学、カナダ、セント・ジョーンズ)の解説によれば、今回の総説によって2つの薬剤クラスは抗高血圧薬および高蛋白尿薬としての有効性が等しいことが示されたが、「特に3期、4期の慢性腎疾患に対してACE阻害薬とARBを併用した場合での長期安全性についてはほとんどなにも判っていない。」
高血圧症において「臨床的に意義のある差」はない
「本態性高血圧症の患者への便益と有害性についてACE阻害薬とARBとに臨床的に意義のある差があるという説を強く支持するようなエビデンスは、咳嗽の発生率を除き、得られなかった」と、Dr David B Matchar(デューク大学臨床医療政策研究所、ノースカロライナ州ダラム)を筆頭とする論文著者らが記している。
Matchar博士らは、本態性高血圧症の成人患者を対象にして血圧管理、治療順守、有害事象といった意義のあるエンドポイントを評価してACE阻害薬とARBを3カ月以上にわたって直接比較したランダム化試験と観察試験61本に基づく論文69本を分析した。
エビデンスが強いと思われたのは、血圧管理に関して2つの薬剤クラスは同等の有効性を持つという観察結果であった。その転帰を評価した試験50本のうち37本において両薬は同等であった。
これら50本のうちランダム化対照試験(RCT)が47本を占めていた。
また、関連する死亡率やCV事象率、QOL(生活の質)の測定値、抗高血圧薬としてのみ使用した場合のACE阻害薬およびARBの奏効率、脂質濃度と左室重量への効果、血糖異常と腎機能障害のリスクも同等であった。
死亡とCV事象の転帰が調べられた試験は9本のみであり、そのほとんどにおいて、臨床的に意義のあるCV疾患または併存疾患を有する患者は除外されていた。
1年程度の長さで追跡を行った試験はほとんどなく、「心臓発作や脳卒中といった重大な事象についてはきわめて限定されたデータしかない」とMatchar 博士はheartwireに語った。
この2つの薬剤クラスは、頭痛と眩暈のリスクは同等であったが、副作用として咳嗽を引き起こす傾向は、コホート研究かRCTかにかかわらず、ACE阻害薬のほうが3倍大きかった。
ただし咳嗽発生率はRCTのほうが「はるかに高かった」が、その理由はおそらく、RCTの患者はコホート研究とは違い副作用に特化した質問を受ける傾向が大きいためであろうと、Matchar博士は説明した。
ACE-I=アンギオテンシン変換酵素阻害薬、ARB=アンギオテンシン受容体遮断薬
その他のエビデンスによると、ARBとACE阻害薬のそれぞれを初期治療として用いた場合には、ARBのほうが患者の順守が高い傾向があった。ただし「その差の大きさは計測できない程度であった」と総説には記されている。
2 つの薬剤クラスの間の有効性の差はすべて小規模である傾向があったが、血圧の変化がほんのわずかでも転帰に大きく影響することがすでに分かっているので、こうした小規模な差を明確にするために長期の大規模ランダム化試験を実施するだけの価値がある、とMatchar博士らは述べている。
Matchar博士はheartwireに対して次のように語った。「ARBはACE阻害薬に比べていわゆる忍容性が大きいことからわずかな便益がほんとうに存在するのならば、(より確定的な)直接比較研究でそのことを明らかにする必要がある。」
CKDに対する併用療法には「心強い」支持
その他の研究は、ACE阻害薬およびARBの単剤療法がCKD患者の蛋白尿を低減させる効果は、腎不全の基礎原因の種類に関係なく同等であるという「質の高いエビデンス」を提示している。
そして、Dr Regina Kunz(バーゼル大学病院、スイス)を筆頭とする著者はこう述べている。
「エビデンスはこの2つの薬剤を通常用量で併用すると、それぞれ単独で使用するよりも効果が強くなるという心強いものだ。」
この著者らが分析した49本のRCTは、CKD患者を対象にしてARBをACE阻害薬、その2つの薬剤クラス、プラセボ、カルシウムチャネル遮断薬と併用して比較し、ミクロアルブミン尿と蛋白尿を4週間以上にわたって追跡した試験である。
ARBとACE阻害薬の蛋白尿低減の効果は同等であり、ARBはカルシウムチャネル遮断薬よりも有効であった。また、ARBとACE阻害薬の併用は、それぞれを単独で使用するよりも有効であった。
著者らによれば、試験での薬剤による有害事象の評価法の詳細を記している論文は全体の3分の1しかなく、「因果関係が推測できるような構造化した方式で薬剤有害反応を提示」した論文はほとんどなかった。また、49本のうち45本は「数は多くても重症度は低い薬剤有害反応の定量的データを欠いており、発生率を信頼性を持って推測することが不可能になっている。」
編集委員のParfrey博士によれば、Kunz博士らの知見は最近のIMPROVE試験[4]の知見に沿うものであり、「早期の腎疾患でアルブミン排泄量が比較的少ない患者に対してはレニン・アンギオテンシン系阻害薬の単剤療法で充分であり、蛋白尿が重度の患者に対しては併用療法が有効である」ことを示している。しかしParfrey博士は次のようにも警告している。「併用療法について言えば、慢性腎疾患に対する安全性データを我々は持っておらず、慢性腎疾患の進行率が分かっていない…ARBまたはACE阻害薬の単剤療法を、ARB・ACE阻害薬併用療法と長期にわたって直接比較する大規模な3群RCTが必要である。」
Matchar et alの総説によれば、共著者のDr Douglas C McCrory(デューク大学臨床医療政策研究所)がAstraZeneca社から報償を受けており、同研究所のDr Gregory P SamsaがPfizer社の株ないし株買い入れ選択権を保有している。Kunz et alの総説は、「会合、文献検索、統計分析は部分的にNovartis社の支援を受けた」ことを表明しており、共著者のDr Johannes F E Mann(ミュンヘン総合病院、ドイツ)がBoehringer-Ingelheim社、Novartis社、Aventis社から報償を受けており、Aventis社とNovartis社から研究助成金を受けている。
1. Matchar DB, McCrory DC, Orlando LA, et al. Systematic review: Comparative effectiveness of angiotensin-converting enzyme inhibitors and angiotensin II receptor blockers for treating essential hypertension. Ann Intern Med 2008; 148:16-29. Abstract
2. Kunz R, Friedrich C, Wolbers M, Mann JFE. Meta-analysis: Effect of monotherapy and combination therapy with inhibitors of the renin angiotensin system on proteinuria in renal disease. Ann Intern Med 2008; 148:30-48. Abstract
3. Parfrey PS. Inhibitors of the renin angiotensin system: Proven benefits, unproven safety. Ann Intern Med 2008; 148:76-77. Abstract
4. Bakris GL, Ruilope L, Locatelli F, et al. Treatment of microalbuminuria in hypertensive subjects with elevated cardiovascular risk: results of the IMPROVE trial. Kidney Int 2007; 72:879-885. Abstract
Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape
<コメント>
最後の製薬メーカーからの報償の明記は印象的です。
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
があります。
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