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日本医事新報の質疑応答の記事で「心臓リモデリング」について勉強しました。

阪市大 葭山稔 教授

高血圧に伴う心臓のリモデリングとは、左心室に対して進行性の後負荷が加わった結果、生じる病態である。
この変化は負荷に対する適応現象であるが、Framingham Studyで示されたように、高血圧により惹起される心臓の形態学的変化である心臓肥大を含めた心臓リモデリングは心不全の前段階と考えられる。
代償不能となった心臓リモデリングは心不全へと移行するため、心臓リモデリングの診断と治療は大きな意味を

Framingham Studyによれば、
①心不全の生命予後は男性で平均3.2年、女性で5.4年②心不全の75%は高血圧を合併
③高血圧に左室肥大が合併すると心不全の発症頻度が約3倍になる

ことなどが報侍されている。
また、高血圧症で心臓リモデリングを伴う患者では、不整脈による突然死の危険性も高い図1)。


高血圧による心臓リモデリングの形態学的変化は、マクロ的には4つのパターンに分類される(図2)。


①正常の場合
②左室壁肥厚と心重量が増加している求心性心肥大
③左室壁は正常で心重量が増加している遠心性心肥大
④左室壁は肥厚を認めるが、心重量が増加していない求心性リモデリング

に分けられる。
特に、心重量増加は他の危険因子と同様に独立した予後規定因子である。
左室心筋重量係数50g/m(身長で補正)増加するごとに、心血管疾患により死亡する相対危険率が約1.5倍に増加する。

この4つの中で最も予後の悪いのが求心性心肥大であり、4つのグループ分類の中での変化では、心重量が最も重くなっている。
次に予後が悪いのが遠心性心肥大、そして求心性リモデリングとなる。
心重量が増加せずに心肥大のみが認められる求心性リモデリングも、予後を悪化させる因子となる。

心筋細胞は心重量の70%ないしはそれ以上を占めるといわれるが、その数は心臓を構成する細胞のうちわずかに25%を占めるにすぎない。
成熟した心筋細胞は分裂増加しない。
このため、心筋細胞は収縮蛋白の合成を促進させ、負荷に
適応する。

心肥大の形成には圧負荷という物理的・機械的因子以外にアンジオテンシンⅡ、エンドセリン、カテコラミン、サイトカインなどの液性因子が影響を与える。
また、間質の線維化も心臓リモデリングにおいては重要な変化である。
病理学的には、心筋肥大とは、求心性心肥大では心筋細胞が心筋細胞の肥厚(心筋細胞を横の長い長方形に見立てると縦に長くなる)として現れ、遠心性心肥大では心筋細胞の伸展(心筋細胞を横の長い長方形に見立てると横幅がさらに長くなる)となる。
心臓リモデリングに関与する因子は血圧の程度と期間以外に、年齢、性別、血液の粘性、カテコラミン、食塩摂取、ホルモン、体脂肪、心拍数、心収縮性、遺伝などがある。

心肥大は胸部の触診(心尖部たい起性拍動)、心電図、心臓超音波検査で診断される。
心肥大の診断において、心電図は特異度は高いが感度が低く、心臓超音波検査は心電図に比べはるかに感度が高い。

心臓超音波検査では、心重量はDevereuxらによる方法を含め、いくつかの方法で測定することが可能である。
リモデリングを呈した心臓が、やがて心不全に至るメカニズムは明らかではないが、心筋細胞死、間質の繊維化進行、細胞内エネルギー産生の異常などが関与すると考えられている。

心臓リモデリングは高血圧に対する代償機構の一つであるが、独立した予後規定因子であり、また、心機能にも悪影響を及ぼす。
心機能の面からみると心臓リモデリングの予防が高血圧症の重要な治療目標の一つと考えられる。
一方、予後改善を考えるとリモデリング予防だけでなく、リモデリングを呈した心臓が、やがて心不全に至るメカニズムを明らかにすることも肝要であり、今後の検討が待たれる。

出典 日本医事新報 2008.1.12

著作権  日本医事新報社

白日会会員 飯島裕次  水門  F6号
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p88247109?u=;garouooo

<コメント>
リモデリングについては以前にも取り上げさせていただきました。

リモデリング
http://blog.m3.com/reed/20070909/1

「代償機構の一つであるが、独立した予後規定因子」ということで、「悪者扱いするものではなく必要悪」というこででしょうか。
最近、この代償機構を「いじる」治療(考え方)が数多く出てきています。
このリモデリングもそうですが、心不全に対するβ遮断剤の使用、昨日も取り上げさせていただいたRAAS系抑制などです。
代償機構は当然生体にとっての自己防衛機序のはずです。
文中でも、少し述べられていますが「代償機構のpoint of no return」を解明する、ないしは臨床的に把握出来る指標を持つということも重要ではないのでしょうか。
代償機構を破綻させるだけの治療になっては却って患者さんにとってはミゼラブルなことはもちろんです。
そのうち「ANP、BNP上昇」も心不全の代償機構ではなく、生体にとってBNP自体が悪者という考え方も出てくるのでしょうか。

<番外編>
アトルバスタチンで無顆粒症

厚生労働省は12月26日、「医薬品・医療機器等安全性情報No.242」を発表し、下記の薬剤について重要な副作用等を情報提供した。
高脂血症用剤の「アトルバスタチンカルシウム水和物」(販売名:リピトール)は、重大な副作用の項目に無頼粒球症と汎血球減少症を追加。
直近3年間(平成16年4月~19年9月)の副作用報告(因果関係が否定できないもの)の件数は、無顆粒球症が5例(うち死亡1例)、汎血球減少症が1例(死亡例なし)となっている。平成18年の年間使用者数(推計)は約230万人。
(日本医事新報 2008.1.12)
<コメント>
広く使用されている薬剤であり、副作用の内容が看過出来ないものとしてあえてとりあげました。
世界的に使用されているスタチンでもあり、どうして今頃になってという思いがあります。

 

他に  「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ があります。

 

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