戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2008/01 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

血漿レニン活性とARB

戯れ言たれる侏儒 / 2008.01.09 00:02 / 推薦数 : 0

第17回欧州高血圧学会(ESH2007)(ミラノ、イタリー6月15~19日)の発表内容で勉強しました。
ARBがRASに作用する降圧剤であることから、低レニンより非低レニンの高血圧患者により有効であることは容易に想像できることです。
以下の記事に述べられていますが、「治療前の血漿レニン活性(PRA)レベルとARBに対する血圧の反応性との関係について24時間血圧モニタリングを用いて検討した成績は少ない」ということです。
この意味するところは、24時間血圧モニタリング(ABP)での検討は少ないということかも知れませんが、一般的な外来随時血圧での検討は数多くあるのでしょうか。
ACE-Iが登場した時にもPRAとの関係はどの先生方も気にされていたはずです。
ACE-I、ARB処方の際にPRAを検査される先生はどれだけ見えるでしょうか。
最近、原発性アルドステロン症(PA)も意外と頻度が高いことがわかってきています。
二次性高血圧(curable hypertension)のrule outのためにも初診時のPRA,PACのチェックは必須ということのはずです。

町田 二郎 作品名: 麦畑    
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t57161659

本態性高血圧患者における治療前血漿レニン活性レベルとテルミサルタンに対する血圧の治療反応性
獨協医科大学循環器内科講師
南 順一 氏

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)に対する血圧の反応性は、低レニン性高血圧患者では低下していると考えられる。
しかし、治療前の血漿レニン活性(PRA)レベルとARBに対する血圧の反応性との関係について24時間血圧モニタリングを用いて検討した成績は少ない。
南氏らは,本態性高血圧患者11例を対象に、この関連性について前向きに検討した結果、「ARBテルミサルタンによる24時間血圧の反応性は治療前PRAレベルに依存性であり、テルミサルタンによる24時間血圧の降圧効果と治療前PRAレベルとの間には強い相関関係が認められ、PRAが0.65ng/mL/hr未満の低レニン性高血圧患者においてはテルミサルタンによる降圧が認められにくい半面、PRAが0.65ng/mL/hr以上の非低レニン性高血圧患者においてはテルミサルタンにより大きな降圧が認められた」と報告した。

低PRA群に比べて高PRA群で大きな降圧効果
南氏らが対象としたのは、未治療の本態性高血圧患者11例。

うち女性3例、男性8例で、平均年齢は50±9歳(mean±SD)であった。

4週間の降圧薬非投薬の観察期の後、テルミサルタン(20~40mg)を1日1回、経口投与で8週間投与した。

全例観察期最終日に、少なくとも30分安静臥位後にPRAレベルを測定。

また、観察期最終日とテルミサルタンによる治療期の最終日の2回、24時間自由行動下血圧(ABP)を測定した。

観察期最終日とテルミサルタンによる治療期最終日における11例の平均24時間ABPは,それぞれ141±8/95±7mmHgと129±7/86±7mmHgであった。

テルミサルタン治療による24時間ABPの変化量は-12±11/-9±8mmHgで,収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)ともに有意な降圧が認められた。

テルミサルタンによる降圧効果は,治療開始前のPRA<0.65ng/mL/hrの低PRA群(6例)に比べ、PRA≧0.65ng/mL/hrの高PRA群(5例)で有意に大きかった。

すなわち、24時間ABP変化量は低PRA群が-3±3/-4±6mmHg、高PRA群が-22±7/-15±5mmHgであった。

また、昼間と夜間のABPについても同様で、低PRA群に比べて高PRA群で有意に降圧効果が大きかった。

24時間ABP変化量と治療前log PRAとの間に有意な負の相関
PRAの分布には正規性が認められないため、以下の解析にはPRAを自然対数で正規化した値を用いた(log PRA)。

その結果、log PRAと24時間、昼間、夜間のABP変化量との間には有意な負の相関が認められた。

重回帰分析の結果、両者の負の相関関係は、年齢、観察期最終日の24時間ABP値などと独立して認められた。

以上の成績から、南氏は「ARBによる治療の反応性の予測には、ARBによる治療前にPRA測定を行うことが有用であると思われる」と総括した。

【監修者のコメント】
 カンデサルタンに代表されるARBは近年降圧薬としての処方頻度が飛躍的に伸びており、特にわが国においてその傾向が顕著である。

その理由としては、国内外の臨床試験によりARBの優れた心血管疾患や新規糖尿病の発症の抑制効果を示すEBMが蓄積されてきたこと、幅広い疾患に適応があること、ほかの降圧薬と併用しやすいこと、服薬コンプライアンスに優れること、などが挙げられる。

さらにカンデサルタンには、高血圧予備群である正常高値血圧の者において、その後の高血圧発症を抑制する効果を有していることも明らかにされている(TROPHY試験;Julius S, et al: N Engl J Med 354: 1685-1697, 2006)。

以上により、今やARBは降圧薬のなかで主役の座を獲得したとも言えよう。

しかし、治療中の外来高血圧患者を対象に行ったMoriらの最近の調査によると、降圧薬単剤を投与されている患者において,ARBを投与されている患者の降圧目標(<140/90mmHg)の達成率が最も低かった(34.0%;Ca拮抗薬においては40.3%,Mori H, et al: Hypertens Res 29: 143-151, 2006)。

実際われわれの日常診療においても、ARB単剤投与により思い通りの降圧が得られない場合があることを経験する。ARBやACE阻害薬といったレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬による降圧が不十分である理由としては、その患者のRA系が抑制傾向にある、いわゆる低レニン性高血圧であることが考えられる。

本研究の特徴は、ARBによる降圧反応を24時間血圧モニタリングにより評価していることである。

低レニン性高血圧では日中も夜間もARBによる降圧反応は不良であったが、血漿レニン活性(PRA)が0.7ng/mL/hr以上の非低レニン性高血圧では日中も夜間もARBによる降圧反応は良好であった。

わが国における食塩摂取量はいまだ多く、また遺伝子解析による検討によっても日本人には食塩感受性の高い低レニン性高血圧が多い可能性が示唆されている。

したがって、ARB単剤投与により思い通りの降圧が得られない場合や未治療の状態で評価したPRAが低値の場合には、食塩制限や少量の利尿薬を併用することによりRA系を亢進させた状況にする必要があると考えられる。

最近、わが国でもARBと少量のサイアザイド系利尿薬との合剤が高血圧診療に用いられるようになったが、海外では既にこのような合剤は一般化している。

実は、ARBを用いた海外の大規模試験においてARBと利尿薬の併用率は高く、7080%と報告されている。

監修:
獨協医科大学副学長 同循環器内科教授
松岡 博昭
獨協医科大学循環器内科講師
南 順一

出典  Medical Tribune 2007.6.16
版権  メディカル トリビューン社

 

<コメント>
「ARB単剤投与により思い通りの降圧が得られない場合や未治療の状態で評価したPRAが低値の場合には,食塩制限や少量の利尿薬を併用することによりRA系を亢進させた状況にする必要があると考えられる」
RA系を亢進させてまでARBにこだわる必要があるのだろうか疑問に思います。
表現としては、「低レニン状態を改善させて」ぐらいが妥当ではないでしょうか。


「選択的アルドステロンブロッカー」の降圧剤「セララ」は食塩感受性すなわち低レニンの高血圧患者の多い日本では有効率が高いものと思われます。
逆にいえば食塩感受性の異なる、諸外国の大規模臨床試験の結果を鵜呑みにするわけにはいけないかも知れません。
 

他に  「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ があります。

 

固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)