| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
| 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
| 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
| 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
| 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
< 進行中のバルサルタン臨床試験 その1(1... | メイン | 降圧薬と左室拡張能 >
日本人におけるバルサルタンのエビデンス蓄積を求めて
~進行中のバルサルタン臨床試験を中心に~
バルサルタン臨床試験の進行状況について
●VART
(バルサルタン群とアムロジピン群で同等の降圧を達成)
望月
では次に、わが国で進行中のバルサルタン臨床試験を取り上げたいと思います。
まず、小室先生からお願いします。
小室
VARTは、合併症を伴う高血圧患者を対象に、千葉県で行われているバルサルタン群とアムロジピン群の予後改善効果を比較する臨床試験です。
開業医の先生方にもたくさん参加していただいています。
試験デザインはVALUEと似ていますが、対象はVALUEほどハイリスクではありません。
「バルサルタンとアムロジピンを同等の降圧下で比較した場合、バルサルタンはイベント抑制効果に優れる」というVALUEの仮説を実証したいと思って開始しました。
対象はインターネット上でバルサルタン群(80mg/日)群とアムロジピン(5mg/日)群に患者背景に基づいて均等に割り付けられています。
高血圧既治療はおのおの49.8%、50.6%でした。
降圧目標値は135/85mmHg未満で、目標値に到達しない場合には増量し、それでも不十分な場合にはほかの降圧薬を増量します(図1)。

一次エンドポイントは総死亡(突然死、心不全、心筋梗塞、
脳卒中、不整、,そのほかの循環器疾患)、病態悪化による入院で、二次エンドポイントは心肥大退縮効果および心機能に及ぼす影響(心エコー法にて評価)、血圧日内変動、心臓交感神経活性(I-123MIBGによる評価)、腎保護作用(尿蛋白減少)などです。
対象数は当初、3,000例を予定していたのですが、結局は1,000例で終了しました。
現在、解析を進めているところですが134.8/80.2mmHgと降圧目標をクリアしており、しかも両群で同等の降圧を得ています。
堀内
それまでに投与されていた薬剤のwash outはなしですか?
小室
はい、VALUEと同様、washout期間は設けていません。
VALUEと比べると高血圧未治療が多く、試験前のCa拮抗薬使用はVALUEが約40%強だったのに対しVARTは約30%強と低くなっています。
望月
今後の見通しという点では、いかがですか?
小室
対象数が少なくなったため一次エンドポイントで有意差が出る可能性は低いと思うので、二次エンドポイントを丹念に見ていきたいと思っています。
●NAGOYA HEART Study
(糖尿病およびIGT合併高血圧患者でバルサルタンとアムロジピンの予後を比較)
望月
次に、NAGOYA HEART Studyについて、室原先生お願いします。
室原
NAGOYA HEART Studyは、2型糖尿病または耐糖能障害(IGT)を合併した高血圧患者を対象に、ARBとCa拮抗薬の予後改善効果を比較する大規模臨床試験です。
NAGOYA HEART Studyでは対象をARBバルサルタン群とCa拮抗薬アムロジピン群に割り付け、3年間追跡します。
一次評価項目は「心血管イベント(心筋梗塞、狭心症、脳血管障害、心不全の増悪による入院)」、二次評価項目は「エコーによる心機能評価、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、腎機能(人工透析への移行、血清クレアチニン値の倍増)」です。
降圧目標値は130/80mmHgです。
バルサルタンの開始用量は80mg/日、アムロジピンは
5mg/日で、両薬とも必要に応じてまず2倍への増量、次に多剤併用を行います(図2)。

目標登録数は、各群1,500例ずつの合計3,000例ですが、現在は830例ほど登録されています。
最終的には1,500例ほどに落ち着くのではないかと思います。
少し前のデータになりますが、患者背景をご紹介しますと、平均年齢63歳、血圧144/81mmHg、BMI25kg/㎡、現喫煙者16%、総コレステロール168mg/dL、HDL-C52mg/dL、血糖値153mg/dL、 HbA1c6.5%などです。
既往歴としては冠動脈疾患24%、脳血管疾,患4%、高脂血症43%で、高血圧既治療例は60%でした。
2型糖尿病が77%で残りがIGTです。
IGTは経口糖負荷試験(OGTT)を実施して診断しました。
なお、メタボリックシンドロームは85%です。
望月
糖尿病やIGTの患者さんをこれだけ集めるのは大変なことですね。
ちなみにJIKEI HEARTStudyでは、糖尿病は全体の20%で629例でした。
室原
これまでの大規模臨床試験の結果などからみて、糖尿病や
IGT合併が1,000例を超えれば、かなりパワーのあるものになるのではないかと考えているのです。
ただ糖尿病治療については全く関知しておらず、割り付け因子にも入っていません。
このスタディの弱点と言えるかもしれません。
松原
糖尿病の治療薬剤を指定していないのですね?
室原
全くしていません。
望月 逆に言うと興味ある結果に繋がるかもしれませんね。
●KYOTO HEART Study
(ハイリスク高血圧患者に対するバルサルタン上乗せによるイベント抑制効果を検討)
望月
最後に、松原先生から KYOTO HEART Study についてお願い致します。
松原
KYOTO HEART Studyでは、ハイリスク高血圧患者にバルサルタンを上乗せ投与した際の心血管イベント抑制効果を検討しています。
対象は糖尿病、喫煙習慣、脂質代謝異常、肥満、虚血性心疾患などの心血管疾患リスクファクターを1つ以上有する高血圧患者で、バルサルタン上乗せ群と従来治療群に無作為化して3年間追跡します。
一次エンドポイントは心血管イベント、二次エンドポイントは総死亡、心機能悪化、不整脈、糖尿病出現・悪化などです。全例に心エコーを実施していることが1つの特徴と言えます。バルサルタンは80mg/日から開始して、2倍増、他剤併用と進めます(図3)。

従来治療群はARB以外の降圧薬をflexible doseのかたちで使用します。
目標降圧値は140/90mmHg未満(糖尿病や腎疾患合併例では130/80mmHg未満)です。
目標としていた3,000例を超えて3,029例になったので、本年7月に登録を終了しました。
合併症としては高脂血症が50%強、虚血性心疾患・糖尿病がおのおの約25%で、うっ血性心不全が約5%です。
試験開始時にはCa拮抗薬が55%、ACE阻害薬が20%に使われていました。
望月
バルサルタンの上乗せ試験ということではJIKEI HEART
Studyによく似ていますが、ACE阻害薬を除いているところが興味深いですね。
松原
中間解析の結果では、試験開始時の収縮期血圧158mmHgが131mmHg、拡張期血圧88mmHgが70mmHg台前半までよく下がっています。
まだすべての対象の解析が終了していないので何とも言えませんが・・・・・・。
望月
どこまで降圧できるのか、イベントがどれだけ減るのか、非常に楽しみですね。
本日は、わが国で進行中のバルサルタン臨床試験の経過を知ることができました。
PROBE法についても話し合うことができてよかったと思います。
出典 Merdical Tribune 2008.1.3
版権 (株)メディカル トリビューン社
<コメント>
望月
バルサルタンの上乗せ試験ということではJIKEI HEART
Studyによく似ていますが、ACE阻害薬を除いているところが興味深いですね。
ということですが、逆にJIKEI HEART StudyではARB/ACEIの併用例がかなりありました。これがバイアスをかけているのではないかという懸念とサブ解析がどうなるかという指摘を以前ブログに書かせていただきました。
他に 「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/ があります。
固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
コメント
コメントはまだありません。コメントを書く