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安全性懸念はひとまず収束
では、昨年起きた騒動は今、どうなっているのか。
天理よろづ相談所病院(奈良県天理市)循環器内科部長の中川義久氏は、「その後、より信頼性の高い研究結果がいくつか発表されたことから、今年の海外の関連学会では、安全性に対する議論はほとんど終息していた」と語る。
それらの中で、現状で最も信頼できるとされる研究結果が、図3のデータだ。

これはDESとBMSを直接比較した38のランダム化比較試験(計1万8023人)の、最長4年までの追跡調査結果を対象
に、死亡や心筋梗塞、ステント血栓症の頻度などをメタ解析したもの。
死亡+心筋梗塞のリスクは2種類のDESとBMSで有意差がなかった。
また、カナダのオンタリオ州で行われたコホート研究では、DESとBMS使用例をそれぞれ3751例ずつ追跡したところ、3年死亡率はBMS群がDES群よりも有意に高く(7.8%対5.5%、P<0.001)、2年間の心筋梗塞発生率は同程度となった
(5.2%対5.7%、P=0.95)。
これらの結果を踏まえて中川氏は、「単一のランダム化比較試験で安全性を議論できない中、現時点のデータでは、DESのメリットを否定するほどの懸念はない」と強調する。
バッシングが一段落した今、改めて注目されているのは、DESの適応と抗血小板療法の期間だ。
適応と抗血小板療法の期間は
DESの使用に慎重な姿勢を取る仙台厚生病院(仙台市青葉区)循環器科主任部長の井上直人氏は、「日本人は血管が細く複雑病変が多いため、再狭窄のリスクが高い。
BMSだけでは治療は困難なので、DESはやはり必要。
重要なのは、DESの適応をしっかり考えることだ」と語る。
井上氏が適応を考える際に考慮するポイントは表2の通りだ。

「どこの施設でもポイントは基本的に同じだが、何を重視するかで使用率は異なってくる」と井上氏。
仙台厚生病院では、DESの使用率は従来2割程度だったが、最近は増加傾向にあり、今年の6~9月は38%となった。
ちなみに日本全体でのDESの使用率は6~7割だ。
また、DES使用例におけるステント血栓症のリスクは1年後以降も続くとされるため、チエノピリジン系薬を用いた抗血小板療法をいつまで続ければよいかも、まだコンセンサスが得られていない。
DESの使用経験が多い京大循環器内科准教授の木村剛氏は、「継続による出血リスクもあるので、特に事情がない限り6カ月までが妥当と考える」としている。
その理由の1つには、チエノピリジン系薬の服用をやめた時期が6カ月以内の場合は有意にリスクが高いが、それ以降にやめた場合は有意差がなかったという報告(Airoldi F et alCirculation 2007; 16: 745-54.)がある。
また、DESの1つであるサイファーステントを日本で使用した症例の観察研究(J-Cypher)では、1年以内に遅発性ステント血栓症を発症した患者のうち、60%はチエノピリジン系薬を継続していた。
つまり1年まで継続しても、血栓症を確実に防げるとは必ずしもいえないわけだ。
もちろん、他の意見もある。
米食品医薬品局(FDA)は昨年、DESの安全性に関する緊急ミーティングを開催した際、チエノピリジン系薬を1年間継続することを推奨しており、これに従う医師も少なくない。
いずれにせよ、安全性や適応などの問題に対して、現段階では明確な答えは出ていない。
ただ、今回の大きな議論が、急速にDESが浸透した現状に対する警鐘となり、DESとBMSの適応を再確認する契機に
なったことは確かだ。
NIKKEI MEDICAL 2007.12
版権 日経BP社
カシニョール リト『海に面したバルコニー』
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t56837315?u=;artfolio11
<参考>
DESに至るPCIの変遷,そして今
-mechanical solutionからmolecular solutionへ-
http://www.ebm-library.jp/circ/trialreview_kyoketsu02.html
すべてのインターベンショナリストが知っておくべきEBMに基づいた薬剤溶出性ステントの臨床成績
http://www.nv-med.com/tct/05/pdf/04.pdf
薬剤溶出性ステントCypher Drug Eluting Stents (DES)
http://www.chibanishi-hp.or.jp/pages/des.php
他に 「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/ があります。
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