戯れ言たれる侏儒
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昨日までの続きです。
http://blog.m3.com/reed/20071215
http://blog.m3.com/reed/20071216

特別企画 Bayer Stroke Forum 2007    
モーニング・ディスカッション

出席者(敬称および所属 略)

司会  北川一夫、井上 亨                  
討論者 吉村紳一、古谷大典、黒田 敏、山本晴子    
ゲスト  Carlo Patrono、Kevin M.Cockroft
 
アスピリンレジスタンスの臨床実態は?
すべての血管イベント再発 ≠ アスピリンレジスタンス

井上 
さて、最後にアスピリンレジスタンス(抵抗性)について議論を深めたいと思います。
Patrono先生、近年このテーマヘの関心は特に臨床家の間で高まっていますね。

Patrono
まるで「流行」しているかのように論じられています。
実際、Pub Med (インターネットの科学情報検索サイト)で関連文献を探すと、1,000件以上検出され、2006年だけでも150件ほど発表されています。
ところが、アスピリンレジスタンスの定義や臨床的意義、評価法は確立されていませんので、何が「事実」なのかが判然としていません。

井上 
われわれは、どのような点に留意して理解すべきでしょうか。

Patrono
従来アスピリンレジスタンスとは「アスピリンの効果が発揮されない状態」として、次のような点が注目されてきました。
①血栓性合併症が防げない。
②出血時間の延長が見られない。
③血小板凝集能測定などの血小板機能検査で予想され
る効果が示されない。

要するにアスピリンレジスタンスの概念には、臨床的な側面と生化学的な側面が混在しています。
抗菌薬などのドラッグレジスタンスと異なり、きわめてあいまいなのです。
特に大きな誤解を招くのは①の考え方であり、これは本来「治療の失敗」と解すべき現象です。
血栓を来すのは、単にアスピリンが効いていないからでしょうか。

アスピリンの脳・心血管イベント抑制効果は、患者のイベント発生リスクが高いほど発揮されますが、プラセボ比の相対イベント抑制率は概して25%程度です(図2)。


換言するとアスピリンを用いても、4件のイベントのうち3件は再発を免れないと推定されます。
降圧薬や高脂血症治療薬の抑制効果も同様です。
アテローム血栓は複数の因子が関与して形成されるため、アスピリンのみで予防しうるイベント件数には限界があります。血栓性合併症の原因をすべてアスピリンに求めるのは、明ら
かに誤りというわけです。

また”アスピリンレジスタンス”に関する報告を見ると、小規模試験で1回限りの血小板凝集能の測定結果に基づいて抵抗性の有無を評価している例が少なくありません。
血小板凝集は変動しやすく、その測定結果を指標とする判断に臨床的意義があるとは思えません。

井上 
一見アスピリンレジスタンスの症例と思われても、リスク全体の管理状況を吟味したうえで、その真偽を見定める必要があるということですね。

古屋 
私どもの施設では、アスピリン服用中に血管イベントが再発した際、アスピリン以外の要因として、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病がきちんと管理されていたかを見直しています。
同時に治療開始時の診断が正確であったか、念のためチェックするようにしています。
当初アテローム性血栓と判断されても、後に心原性の要素が見出されることがありますので、注意しています。

黒田 
アスピリン服用患者の背景はさまざまです。
冠動脈疾患や腎機能不全、ASO(閉塞性動脈硬化症)な
どを抱えていたり、無症候性で頭蓋内血管の狭窄が進行していたりする例も少なくありません。
そのような場合は血管イベントが再発しやすく、一概にアスピリンレジスタンスと判断することはできません。

血小板凝集能検査に基づく判定に専門学会は否定的
井上 
実際、アスピリンを服用しているにもかかわらず再発した場合、どのように対応されますか。

山本 日本人対象のエビデンスがあまりにも少ないため、アスピリンに他の抗血小板薬を追加すべきか、他薬に変更すべきか、ほとんどの臨床家は手探りの状況下で判断していると思います。
自主臨床研究などを積み重ねながら、エビデンスを構築し
ていくことが期待されます。

吉村 
われわれの施設では、再発した患者に入院してもらい、しっかりと全身をチェックして再発原因を探るように努めています。
その結果、喫煙などを含むリスク因子の管理や服薬コンブライアンスも良好ということであれば、患者と相談しながら抗血小板薬の変更または短期併用を行うことにしています。

井上 
やはり現時点ではエビデンスが乏しいため、患者とのコミュニケーションの充実を図りながら慎重に対応していくとしか言えませんね。

Cockroft
将来エビデンスが蓄積されても,この問題の答はおそらく複
数になると思います。
リスク因子の再評価および管理状況の確認を前提とし、患者ごとに最適な治療を考慮していくことになるでしょう。

井上
それから日常臨床において、そもそもアスピリンの抗血小板作用をどう評価すればいいのかも大きな課題です。
先ほどParono先生は、血小板凝集能の測定に否定的見解を示されましたが。

Patrono 
血小板凝集能測定結果は、アスピリンレジスタンスを判断
する根拠になりません。
ACCPや
ESC (欧州心|職学会)、ISTH (国際血栓止血学会)は血小板凝集能検査を行うことも、その結果に基づく治療変更にも反対する立場を表明しています。
私自身は、アスピリンの抗血小板作用についてはこれを直接反映するトロンボキサン(TX)A2の安定加水分解物である、TXB2の血精濃度が妥当な評価基準になると考えています。

北川 
アスピリンの効果判定に有用なバイオマーカーを見出すには、多様な視点からアプローチする必要があると思います。血清TXB2濃度のほか、例えば血小板活性化に伴って上昇する可溶性CD40リガンド濃度、脳梗塞急性期に経頭蓋超音波検査で検出されるmicroembolic signal (微小栓子シグナル)なども検討対象になります。
さらにアテローム血栓症と炎症の関係が最近注目されているので、アスピリンの抗炎症作用も忘れてはなりません。

井上 
対処法や評価法は今後の検討課題ですが、臨床上アスピリンレジスタンスのみが大問題になるケースは非常に少ないと考えられます。
本日の議論を通じて、個々の患者が抱えるリスク因子を把握したうえで、管理・治療戦略を考えることが重要であると確認できたと思います。

<コメント>

ジピリダモール(商品名ペルサンチン)は,高用量での使用で頭痛が出現することはよく知られている事実です。

アスピリンとの併用で若干でも緩和されるのではないかと考えましたが、実際はいかがでしょうか。

恥ずかしながら今回初めて、ジピリダモール徐放錠の「ペルサンチンLカプセル」の存在を知りました。

徐放錠の場合、頭痛の副作用は軽減されるでしょうか。

一度使用してみたいと思います。

 

他に  「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ があります。

 

 

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