戯れ言たれる侏儒
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Doctors Blog

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昨日は新規抗血小板剤prasugrelについて書かせていただきました。http://blog.m3.com/reed/20071214 

次々に新しい抗血小板が出てきますが、古くて新しい(?)抗血小板剤アスピリンとの優劣が意外と議論されていないような気がします。

たまたま本日届いたMedical Tribune誌にアスピリンの特集が出ていました。

そこで温故知新の意味も含めて再度勉強してみました。 

主として脳卒中診療をされている先生方の議論ということです。

循環器専門の先生方にはかえって違った角度からの切り口でのお話もあるだろうということで、とりあげさせていただきました。

特別企画 Bayer Stroke Forum 2007

       モーニング・ディスカッション 

出席者(敬称および所属 略) 

司会  北川一夫、井上 亨

討論者 吉村紳一、古谷大典、黒田 敏、山本晴子

ゲスト  Carlo Patrono、Kevin M.Cockroft 

 

抗血小板薬のエビデンスと位置付けは?

アスピリンのエビデンスが抗血小板薬の中で最も豊富
北川
討論前半では,抗血小板薬の位置付けや併用療法について意見交換したいと思います。まずPatrono先生,アスピリンの位置付けを概説していただけますか。

Patrono
アスピリンの有効性と安全性を確認した研究としては,2002年に発表された国際共同研究ATT
(Antithrombotic Trialists' Collaboration)
のメタ解析が最もよく知られています。

この研究では、心筋梗塞(MI)既 往、急性MI、脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)既往、脳梗塞急性期、糖尿病などの高リスク患者を対象とした、287の無作為化比較臨床試験の成績が解析されました。
その結果、投与の対象や期間はさまざまでしたが、アスピリンをはじめとする抗血小板薬群の主要血管イベント発生率は、プラセボ群と比べて有意に低いことが判明しました。
アスピリンと他の抗血小板薬の比較では、有効性に有意
な差は見られませんでした。

要するにアスピリンは、急性期から慢性期まで、脳・心血管疾患既往例および他の高リスク例の血管イベント予防に有用であると示唆されました。

こうしたエビデンスに基づいて、2006年の米国心臓協会/米国脳卒中協会(AHA/ASA)の脳卒中予防ガイドラインは、非心原性脳梗塞/TIA既往例の脳・心血管イベント再発予防薬として抗血小板薬を推奨()。


初期治療にはアスピリン、アスピリン+徐放性ジピリダモール、クロピドグレルが適応となると明示しました。
ACCP(米国胸部疾患学会)も、まったく同じ評価を下しています。

アスピリンを中心に個々の患者背景を踏まえた処方を
北川 
おのおのの抗血小板薬の選択については、どのような指針が示されていますか。

Patrono
先述したAHA/ASAガイドラインは「アスピリン以外の抗血
小板薬の選択に関しては,エビデンスベースの推奨をするための十分なデータが得られていない
」と指摘。
個々の患者のリスク因子や薬剤の忍容性、その他の臨床的特徴を踏まえて薬剤を選ぶべきと付言しています。

アスピリンが使えない場合、クロピドグレルの使用が考慮されます。

しかし、アスピリン服用中に虚血性脳血管イベントに見舞われた患者への対処法は確立していません。
アスピリンの増量や他の抗血小板薬への変更、併用療法が試みられていますが、それらのベネフィットは証明されていません。

北川 
現時点ではアスピリンのエビデンスが最も豊富ですが、その安全性についてはどう評価されますか。

Patrono
われわれは最近、低用量アスピリン療法を受けている男性患者を対象に観察研究を行い上部消化管合併症は80歳以上の高齢患者、消化管潰瘍の既往患者に好発することを報告しました(N Engl J Med 353:2373、2005)。

北川 
合併症のリスクは、剤形によっても異なる可能性があります。例えばアスピリン腸溶錠を用いると、消化管障害が軽減されるとの調査結果が示されています。
ただ,やはり高齢などで上部消化管障害が特に懸念される場合は、アスピリンと抗潰瘍薬を併用することも検討すべきではないでしょうか。

Patrono
消化管障害の既往例には、合理的と考えられます。
しかし残念ながら、その有効性を検証する無作為化試験は行われていません。 

抗血小板薬の併用療法を要する症例は?
CAS周術期は血栓の回避に抗血小板薬の併用が不可欠

北川 
では、次に抗血小板薬の併用について議論したいと思います。
脳神経外科では、どのようなケースに併用することが多いでしょうか。

吉村 
頚動脈ステント留置術(CAS)などが多いと思います。
血管内にステントなどの異物を留置するので血栓が生じる危険性が高く、単剤使用例では急性閉塞を来すことがあると報告されており、われわれも経験しているからです。
併用期間は症例ごとに異なりますが、頭蓋内出血の合併を招きかねない長期併用は避けます。
術後1~3か月の併用後は、アスピリン単剤に切り替えています。

北川
内科治療ではどうですか。

古屋 
アスピリン服用中に血管イベントが再発した場合、まずは患者の服薬コンプライアンスを確認するようにしています。
アスピリンの効果が不十分と疑われる一番の原因はコンプライ アンスの不良にあるからです。
服薬状況に問題がなければ、アスピリンと他の抗血小板薬の併用を考えます。
重篤な副作用が生じない限り、特に頚動脈や脳主幹動脈に
狭窄性病変を伴う場合、併用を継続しています。

Cockroft
米国では併用療法を受けている患者の大多数が,単独療法での再発例です。
併用療法を行う場合、自施設の脳卒中内科医の多くはアス
ピリン+徐放性ジピリダモールを第一選択
としています。
われわれ外科医は、吉村先生が説明されたように、CAS周術期の併用療法は必須と考えています。

併用療法を行う場合は出血リスクに細心の注意が必要
北川                                                         今お話しいただいたように、外科でも内科でも抗血小板薬の併用を要することがあります。
一方で併用時は、出血リスクの増大が懸念されます。

Patrono
そうですね。
AHA/ASAガイドラインは、アスピリンとクロピドグレルを併用すると出血リスクが高まるため、脳梗塞/TIA例での両薬の日常的併用を推奨していません。
近年報告された、種々の大規模臨床試験成績を踏まえた判断と言えます。
同ガイドライン発表後に公表されたBhattらによる大規模臨床研究でも、抗血小板薬の併用群の有効性は単独群と統計学的に有意差がなかった半面、中等度以上の出血は併用群で有意に多いことが示されました(N Engl J Med 354: 1706、2006)。

黒田 
出血リスクは、単独療法でも特に高齢患者で高まりますから、併用療法を行う際はいっそう注意を要します。
そのような患者は、同時に消化管障害の高リスク者であることも考慮しなくてはなりません。

北川 
国立循環器病センターの先生方は今春、前向きコホート研究の結果を報告されましたね。

山本 
私の施設の脳内科グループでは、循環器疾患既往後に抗血栓薬を内服している患者約4,000例を平均19か月観察しました。
抗血小板薬の単独・併用・抗凝固薬の単独・併用の4群に分けて検討すると、重篤な出血合併症は抗血小板薬併用群で明らかに増え、その発症頻度は抗凝固薬単独群と同等でした。

この研究に参画し、2年近く外来で出血有無を問診する経験を通じて、その実態が見えてきました。
問診の重要性を再認識するとともに、以前に増して抗血小板薬の併用に神経を使うようになりました。
脳・心血管イベント予防の基本は、抗血小板療法だけでなく高脂血症などの治療も進め、リスク因子を多面的に管理
ていくことであると考えています。

北川 
抗血小板薬の併用効果を検討した大規模臨床試験の成績から、併用群での出血合併症は、併用期間が長くなるほど非併用群と比べて多くなり、短ければ両群間の差は小さい傾向がうかがえます。
血管イベント発生後の高リスク期、例えば半年間などに限定して併用療法を行うことについては、どのように考えられますか。

Patrono                                                      確かに短期間に限ると、出血合併症は少なく見えます。
しかし短期間では、イベント発生数そのものが少ないため、両群間の差が判然としないとも考えられます。
短期併用の安全性を信じるに足るエビデンスも十分でないと.思います。

Medical Tribune 2007.12.13

版権 (株)メディカル トリビューン 

<コメント>

カテゴリの抗血小板療法をクリックいただくと今までの関連記事がでます。

抗血小板剤の併用療法は「害多く、益少なし」の感があるようです。

 

他に  「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ があります。

  

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