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わが国で実施され、2006年には米国心臓協会にて報告された大規模試験J-WINDが、Lancet誌10月27日号に掲載された。
心筋梗塞に対する再灌流療法にヒト心房性ナトリウムペプチド(カルペリチド)、あるいはニコランジルを加える有用性を検討した本試験、筆頭著者は国立循環器病センターの北風政史氏である。
カルペリチドとニコランジルの有用性を別個に検討
J-WINDは2つの別個の試験から成る。
いずれも急性心筋梗塞例を対象としているが、J-WIND-ANP試験では再灌流療法時にカルペリチドを3日間持続静注、J-WIND-KATP試験ではニコランジルをボーラス静注し、いずれの試験も梗塞サイズと左室駆出率を対照群と比較した。
ANP試験ではカルペリチド群に277例、対照群に292例が、KATP試験ではニコランジル群に276例、対照群に269例がそれぞれ無作為割り付けされ、単盲検にて平均2.7年(ANP試験)、2.5年(KATP試験)追跡された。
カルペリチド群では梗塞サイズが縮小し左室機能も保たれる
569例が無作為化されたANP試験では、まず535例(カルペリチド群:255例、対照群:280例)で梗塞サイズが検討された。
梗塞巣サイズの評価は、再灌流療法前と再灌流1時間~72時間後の間に少なくとも6回採取した血液サンプルから求めたクレアチニンキナーゼのAUCで行なった。
その結果、対照群の77,878.9IU/L時に比べカルペリチド群では66,459.9IU/L時と有意(p=0.016)に低下していた。
梗塞サイズに換算すると相対的に14.7%の減少になるという。
ただし再灌流後12~18時間に測定したトロポニンT濃度は減少傾向にとどまった。
また398例(各群199例ずつ)で評価できた6~12カ月後の左室駆出率も、カルペリチド群では対照群に比べ相対的に1.05倍、有意(p=0.024)に高値だった。
この結果よりJ-WIND研究者らは、「経皮的冠血行再建術を施行される心筋梗塞患者に対し、カルペリチド追加は安全かつ有効な治療だと信じている」と記している。
ニコランジルは用量の問題か
対照的だったのがKATP試験である。
ニコランジル群で梗塞サイズ、左室駆出率とも対照群と有意差を認めなかった。
しかしJ-WIND-KATP試験については本年度の日本循環器学会のセッション「Late Breaking Clinical Trials in Japan」において、以下が指摘されている。
すなわち、これまでに報告された臨床試験で、ニコランジルによる梗塞巣縮小が認められた場合、用量は8~12mg程度が用いられている。
特に、プラセボ群に比べ心筋梗塞患者の「心血管系死亡と心不全による予定外入院」を有意に抑制し,Circulation誌に掲載された臨床試験では12mgが用いられていた [Ishii H et al. Circulation 2005; 112: 1284]。
しかし今回J-WINDで用いられた「0.067mg/kgボーラス+1.67μg/kg/分×24時間」というレジメンではおよそ4mg程度にしかならないため、「もう少し高用量ならば異なった結果になっていた可能性もある」(コメンテーター)とのことである。 (宇津貴史:医学レポーター)
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=1046
Kitakaze M et al. Human atrial natriuretic peptide and nicorandil as adjuncts to reperfusion treatment for acute myocardial infarction (J-WIND): two randomised trials. Lancet. 2007 Oct 27; 370(9597): 1483-93.
J-WIND
http://www.jwind.csscj.com/wind/contents/summary.html
(J-WINDの概要が紹介されています。)
リャド ミックス『マリアとの自~』
http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x27589782?u=;artfolio11
<参考>
第79回AHA 2006.11.12~15 シカゴ
ST上昇型急性心筋梗塞初発患者において,ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)は梗塞サイズを縮小し,心不全による再入院を抑制したが,抗狭心症薬nicorandilには本有効性は認められなかった。
presenter:Masafumi Kitakaze, MD, Ph.D ( National Cardiovascular Center, Japan )
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/aha2006/JWIND.html
上記サイトの中の本試験に対するコメントです。
本試験は,わが国で単離精製され急性心不全治療薬として広く用いられている,心房性ナトリウム利尿ペプチド(carperitide)(hANP試験)と,安定狭心症患者の予後の改善がIONA試験にて示されたnicorandil(NIC試験)が,緊急冠動脈インターベンションの適応となるST上昇型急性心筋梗塞初発患者において,梗塞サイズ,左心機能,心血管イベントを改善するかを検討した多施設,無作為割付け,プラセボ対照盲検試験である。
結果としては,hANP試験でcarperitide群は対照群に比べ,一次エンドポイントである梗塞サイズが14.7%縮小し,EFは5.1%上昇した。
また,二次エンドポイントであるreperfusion injuryも25.9%低下したが,全死亡と複合エンドポイントの減少については有意ではなかった。
しかし,サブ解析の結果,carperitide群の心臓死+心不全のHRは0.267と有意に低下していた。
一方,NIC試験で,nicorandil群では対照群に比べ,一次エンドポイントおよび二次エンドポイントに有意な差はなかった。
しかし,慢性期の経口投与によりEFの改善は対照群に比べ有意に大きく,未治療病変の新規病変発生による血行再建術施行を有意に低下した。
hANP試験569例,NIC試験545例という大規模で行われ,平均追跡期間はそれぞれ2.7年, 2.5年と,その信頼性は高く,心疾患の終末型としての心不全の原因のひとつである急性心筋梗塞に対する,ごく初期の治療介入によって,将来の心不全を予防する手段を与えたという意味で,今後の急性心筋梗塞治療に影響を与えそうである。
問題点としては,carperitide群においても全死亡も,複合エンドポイントもプラセボと有意差がみられなかったことで,心機能の改善すなわち良いアウトカムとはならなかったことである。
しかし,これは,日本のように急性心筋梗塞に,緊急冠動脈インターベンションが多く行われる状況で,エビデンスのある慢性期治療薬をコンプライアンスよく使用した場合には,全死亡も,心臓死+心不全も大きくないためだと考えられる
(原田・桑島)。
<コメント>
北風先生のバイタリティには、ただただ敬服します。
他に 「井蛙内科/開業医診療録」 http://wellfrog.exblog.jp/があります。
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