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Ca拮抗剤の有用性(1)http://blog.m3.com/reed/20071119
Ca拮抗薬の薬理作用(2)
http://blog.m3.com/reed/20071126
の続きです。
Ca拮抗薬の脳・心・賢に及ぼす作用
わが国における三大死因(脳血管疾患、心疾患、悪性新生物)による死亡率の変遷を見ると、長年にわたり死因のトップであった脳血管疾患が減少する一方で、心疾患が増加するなど、大きなパラダイムシフトが起こっている。
詳細に見ると、脳血管疾患のうち脳出血は減少傾向にあるものの、脳梗塞や脳塞栓などは増加傾向にあり、心疾患においては心筋梗塞が増加傾向にある(表)。

このような死因の変化の要因として,食生活の欧米化やライフスタイルの変化が指摘されている。
食塩摂取量に比例する脳血管疾患の発症率
脳血管疾患の死亡率は各地域によって差があると思われる。
そして食塩摂取量などの生活習慣が脳卒中の発症に関与する可能性が示唆されている。
# 長野県は、平均寿命は男性が全国で1位、女性は全国3位の長寿県である。
ただし、2002年度の、脳血管疾患による死亡率と心疾患による死亡率の順位が入れ替わっている。
この背景にはやはり塩分摂取量の影響があると思われる。県民調査の食塩摂取量の結果から、1998年までは平均14~15g/曰で、全国平均よりも2~3g多いことがわかった。
これは全くの推論だが、長野県では心疾,患で死亡する,患者数が他県に比べて少なかったため、相対的に長野県民の寿命が延び、平均寿命の順位が上がったのではないかと思います。
長野県で心疾患による死亡率が低かった理由の1つには、良好な食習慣が挙げられると思います。
虚血性心疾患の発症には10~20年前の食生活が関係して
いると言われていますが、長野県では1960年代、70年代の食生活が都市部に比べてよかったのではないかと推測しています。
若い世代に限って見れば、心疾患が増加傾向にあると
思われます。
#心疾患、脳血管疾患による死亡率の高い地域を見ると、高齢化の進んだ、寒冷地域で脳血管疾患による死亡率の割合が高く、暖かい地域や東京をはじめとする関東地方は心疾患による死亡率の割合が高いですね。
もちろん脳血管疾患については気候だけでなく、やはり食塩の摂取量の影響もあると思います。
脳血管疾患の発症予防を重視した場合、降圧治療は最も重要であると考えています。
薬物治療としては,確実な降圧効果がある一方で副作用は少なく、代謝面への悪影響も見られないCa拮抗薬をベースに他剤を併用するケースが多いです。
長野県は医療コストが低い県ですが、逆に言えば使用する薬剤に対するコスト意識も高いと言えます。
そういう意味でも、Ca血拮抗薬は費用対効果が高く,使
いやすいと感じています。
冠攣縮の抑制には塩酸ベニジピンがファーストチョイス
#以前,有意狭窄の有無にかかわらず、カテーテル検査を行った全患者を対象に誘発試験を実施したところ、狭心症の患者に冠攣縮が高率に認められました。
ですから、私は冠攣縮を抑制する目的で最初からCa拮抗薬をベースとした降圧治療を開始しています。
冠攣縮を抑制することを考えると,冠攣縮を抑える作用が強い塩酸ベニジピンがファーストチョイスになります。
私の印象ですが、他のDHP系Ca拮抗薬は、飲んでいても冠攣縮を起こす人がいるものですから、塩酸ベニジピンに比べると冠攣縮に関しては作用が弱いという印象があります。
ですから、心筋梗塞の患者には血圧が低くても少量でも塩酸ベニジピンを使っているのが実状です。
考えられる作用は、乳頭筋よりも冠血管に選択的に作用するところにあると思います(図1)。
#心筋梗塞後の患者で血圧が高い場合は、冠攣縮を抑制すると言われているCa拮抗薬(塩酸ベニジピン等)を使いながら,積極的に降圧することが必要だと思います。
心疾患のなかでも冠攣縮はいつ起こるか予測できないところが問題のようです。
正確な発症予測が不可能であれば、予防的にDHP系Ca拮抗薬が投与されているようです。
DHP系Ca拮抗薬のなかでも冠血管に選択j性のあるものが望まれ、とりわけ塩酸ベニジピンの印象がよいものと感じました。
最近では、高食塩および低食塩の食事をとった高血圧患者に対する塩酸ベニジピンの自律神経系に及ぼす影響が報告されました。
塩酸ベニジピンは高食塩群、低食塩群ともに確実な降圧効果を示し、亢進した交感神経活性を有意に抑制していま
す(図2)。

このことからも、食塩を取りすぎの日本人において、塩酸ベニピンは心臓にやさしいCa拮抗薬と考えます。
多彩な腎保護作用を示す塩酸ベニジピン
腎機能低下例では血圧の上昇が心血管系疾患を発症させるとの報告がいくつかの大規模臨床試験でなされるなど、腎障害と高血圧は密接な関係にあります。
降圧療法における腎保護作用に関しては、RA系抑制薬であるACE阻害薬やARBの有効性がさまざまな大規模臨床試験で報告されており、腎障害の改善にはRA系の抑制が重要です。
一方、Ca拮抗薬にはどのような腎保護作用があるのでしょうか。
#Ca拮抗薬のなかでも塩酸ベニジピンはL型Caチャネルだけでなく,T型Caチャネルも抑制し(古川泰司:第100回日本内科学会総会2003)、輸入細動脈だけでなく、輸出細動脈も拡張することがわかっており、腎保護作用も期待できます(図3)。

また、腎障害を伴った高血圧、特に慢性腎疾患の患者に対し
ては、降圧が何よりも大切であるということが指摘されています。
#特に、クレアチニン値が徐々に上昇してくるような方たちは、できるだけ降圧することが原則で、SBP130mmHg、DBP80~85mmHgを目標にします。
また,糖尿病の患者は腎障害を合併するケースが非常に多いので,同様の降圧レベルまで徐々に下げます。
塩酸ベニジピンは腎障害を伴う高血圧患者に対して確実な血圧コントロールを示すとともに、血清クレアチニン値を低下させます(図4)。
また、最近の報告によると、塩酸ベニジピンには腎間質においてNO産生を促進させる作用が報告されているほか(図5)、左心室においてもNO合成酵素(eNOS)の産生を亢進させることが報告されております。

こうした結果から塩酸ベニジピンは臓器局所の微小血管リモデリングを抑制させることが示唆されます。
日本人の臓器合併症を考慮した降圧療法において、塩酸ベニジピンはふさわしい薬剤であると考えられます。
塩酸ベニジピンとRA系抑制薬との組み合わせ
単剤で十分な降圧効果が得られない場合、2剤目の降圧薬がしばしば併用されます。
現在、ARBと利尿薬との合剤が、本邦で発売されています。日本人においては食事の欧米化、運動不により代謝異常が多くなりつつあり、糖尿病患者も増加の一途をたどっています。
ALLHATの結果で利尿薬による代謝性異常が示されたように、利尿薬の薬価が安いからと言って、日本人における利尿薬の使用範囲は限定され汎用されないと予測します。
一方、Ca拮抗薬とRA系抑制薬の併用療法が軸になるものと考え、事実、ARB単剤では血圧コントロールが不十分な症例に塩酸ベニジピンを併用すると、ARBを増量するよりも降圧効果は著明であるという成績もあります(図6)。

その理由としては、塩酸ベニジピンは、ノルエピネフリンやアンジオテンシンⅡによる血管反応性の亢進を抑制するためと考えられます(図7)。

つまり、塩酸ペニジピンとRA系抑制薬との併用療法は,亢進している血管反応性をダブルでブロックする可能性があることから、併用の相性がよいと考えます。
他に 「井蛙内科/開業医診療録」 http://wellfrog.exblog.jp/があります。
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