戯れ言たれる侏儒
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BMJ Ferreira-Gonzalez l,et al.2007;334:756-757の紹介です。
November 2007 Vol3 No.11 MWJに原著の和訳と解説が掲載されていますので紹介させていただきます。 
特に佐藤先生の解説が読み応えがあると思います。
多くの循環器疾患の大規模臨床試験では「複合エンドポイント」が設定されています。
その問題点について解説されています。


複合エンドポイントは解釈が難しく誤解を招くことも
心血管系の臨床試験に複合エンドポイントを用いる場合の問題: 無作為化比較試験の系統的レビュー

ProbIems with use of composite end points in cardiovascular trials: systematic review of randomised controlled triaIs

BMJ Ferreira-Gonzalez l,et al.2007;334:756-757

目的 
無作為化比較試験で使われる複合エンドポイントに含まれる個々の評価項目が患者への重要性に関してどれくらい幅があるのか、重要性の高いあるいは低い評価項目のイベントの頻度、個々の評価項目間で相対リスク減少にどれくらい差異があるのか検討する。

中略

結論 
心血管系の臨床試験で使われる複合エンドポイントは、評価項目ごとに患者への重要度が異なったり、治療効果で大きな差異が生じるため、しばしばその解釈が難しくなっている。
複合エンドポイントに含まれている重要性の低い評価項目はイベント発生率が高く、治療効果が大きく現れる傾向がみ
られ、治療効果に対して誤った印象を与えかねない

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以下はこの論文に対する佐藤先生のコメントです。

解説
複合エンドポイントの問題を改善する工夫も必要
  佐藤俊哉 京都大学社会健康医療統計学教授 
心血管系の臨床試験で死亡率の低下や心筋梗塞の発症予防をエンドポイントに設定すると、イベント発生が少ないため、膨大な数の試験参加者を長期間追跡する必要がある。このような場合に、「死亡、非致死的な心筋梗塞、または非致死的な脳出血のうち最初に観察されたもの」といった複合エンドポイントを主要評価項目にすれば
1)必要な対象者数を減らすことができる
2)治療の心血管系イベント全体への効果を調べられる
3)重要な評価項目を無理に1つ選ばなくてもよい
4)検定の多重性を回避できる
といった利点がある。

複合エンドポイントを使用する一番の動機が観察イベント数
を増やすことにあるため、本論文で述べられている、患者への重要'性が中等度・軽度の評価項目でイベントが発生する割合が高く、致死的・重篤な評価項目で低いという結果はしごく当然な結果である。
つまり、複合エンドポイントを使用する以上、その結果は中等度や軽度の評価項目に重きがおかれているものだと思って解釈すべきであり、そのことが治療効果に対して誤った印象を与えるのであれば、複合エンドポイントは用いないほうがいいということになる。

あるいは本文最後に提案されているように、結果を報告する
際には、複合エンドポイントを構成するすべての評価項目の結果を記述することで、適切な複合エンドポイントの解釈が可能となるかもしれない。
しかし、すべての評価項目の結果が記述されたとしても、致死的や重篤な評価項目でのイベント数が少ないため、結局のところ中等度・軽度の評価項目への治療効果としてしか解釈できないこともありうる。

複合エンドポイントの使用は致死的あるいは重篤な評価項目のイベント数が少ないことに由来しているのであるから、この問題を回避する方法として、下位の評価項目として致死的・重篤な評価項目のサロゲート(代替変数)と考えられる評価項目を選ぶことが考えられる。
個々の評価項目を階層的に選ぶことで、あまり重要でない項目が選ばれて患者への重要性の幅が広くなるという、本論文で指摘されている問題も改善されるだろう。

さらに、このように階層的に選んだ個々の評価項目について
は、「いずれかのうち最初に観察されたものをイベント」とするのではなく、試験期間中はすべてのイベント発生を調べ、「いずれかのうち試験期間中に観察された最も重要なイベント」を解析する方法も有効と考えられる。
個々の試験参加者に対する追跡の負担が増えるため、試験環境によっては現実的でない場合もあるかもしれないが、個々の評価項目でのイベント数が増えるだけでなく、評価項目間の関連の程度を調べる手がかりともなりうる。

最後に、本論文の著者らと本論文で最初に引用されている
論文の著者Freemantle and Calvertが複合エンドポイントに関する誌上討論をJournal of Clinical Epidemiology誌で行っているので、こちらも参考にしてほしい(Variance and Dissent.Journal of Clinical Epidemiology 2007;60:651~662)。

<コメント> 

今まで、何の問題意識も持たずに大規模臨床試験をみてきた私としては、これからはエンドポイントンのところでつっかかってしまいそうです。

話は別ですが、ドロップアウト例って追跡はどうなっているんでしょうか?それらの症例の中にも真実が隠されているような気がいつもしています。もちろん死亡例もあるかも知れません。

 

他に  「井蛙内科/開業医診療録」 http://wellfrog.exblog.jp/があります。

 

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