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新着の雑誌からの紹介です。
JELISがLancetに掲載された論文を和訳で紹介していました。
横山先生自ら解説をしてみえますので解説を特に興味深く読ませていただきました。
私もJELISが発表されて以来、個人的にもEPAを服用しています。
November 2007 Vol3 No.11 MWJ
日本人の高脂血症患者の冠動脈イベント予防に、n-3脂肪酸が有効
高コレステロール血症患者における主要冠動脈イベントに対するエイコサペンタエン酸の効果(JELIS):無作為化オープンラベル、エンドポイント盲検化解析
Effects of eicosapentaenoic acid on maior coronary events in hypercholesterolaemic patients (JELlS)
a randomised open-label, blinded endpoint anaIysis
LANCET Yokoyama M et al.2007;369:1090-1098.
Kobe University,Japan
背景
長鎖n-3脂肪酸の摂取量が多いと冠動脈疾患による死亡を防げるというデータが、疫学的・臨床的エビデンスから示されている。
本研究では、エイコサペンタエン酸(EPA)の長期使用が魚摂取量の多い日本の高コレステロール血症患者において主要冠動脈イベントの予防に有効である、という仮説の検証を目的とした。
方法
1996~99年に日本全国の医師から総コレステロール値が6.5mmol/L以上の患者18,645人を集め、本試験の対象として登録した。
対象患者を、スタチンに加えてEPA1,800mgを毎日摂取する群(EPA群 ; n=9,326) もしくはスタチンのみ服用する群(対照 ; n=9,319)に無作為に割り付け、5年間追跡した。
1次エンドポイントは、心臓突然死、致死的・非致死的心筋梗塞、そして他の非致死的冠動脈イベント(不安定狭心症、血管形成術、ステント術、冠動脈バイパス術など)とした。
解析はintention-to-treat(治療企図)に基づき行った。
結果
平均4.6の追跡期間中に、1次エンドポイントはEPA群では262例(2.8%)、対照群では324例(3.5%)に発生し、主要冠動脈イベントはEPA群で、相対的に19%減少した(P=0.011)(図1)。
治療後のLDLコレステロール値は両群とも4.7mmol/Lから25%低下した。
血清LDLコレステロールはEPA群での主要冠動脈イベントのリスク低下に関与する有意な因子ではなかった。
EPA群において不安定狭心症と非致死的冠動脈イベントも有意に減少した(図2)。

心臓突然死と冠動脈疾患死については2群間で差がなかった。
EPA群のうち冠動脈疾患既往歴を有する患者では主要冠動脈イベントが19%減少した(2次予防サブグループ: EPA群158例[8.7%]vs対照群197例[10.7%]; P=0.048)。
冠動脈疾患既往歴のない患者でもEPA併用により主要冠動脈イベントが18%減少したが、統計学的に有意ではなかった(EPA群104例[14%]vs対照群127例[1.7%];P=0.132)。
結論
日本人の高コレステロール血症患者において、EPA補充は主要冠動脈イベント、とくに非致死的冠動脈イベントの予防に有望な治療である。
解説
わが国から発信する新しいエビデンス
横山光宏 兵庫県立淡路病院院長
本研究のJELISは、日本人の高脂血症患者を対象として主要な冠動脈イベントの予防にエイコサペンタエン酸が有効であることを証明した長期大規模無作為化比較試験である。
本論文は3月31日発行のLancetに掲載されたが、本年4月中に高頻度にダウンロードされたLancet掲載論文のトップ3にランクされ、読者の関心がきわめて高い内容であることが分かる。
本研究の特徴について以下に記す。
本試験はきわめて純度の高いEPA製剤を用いた医薬品による介入試験として行われ、対象患者の血漿脂肪酸濃度をモニターした。
冠動脈イベントと脂肪酸濃度の詳細な関連性については、
サブ解析結果として今後報告する予定である。
高コレステロール血症患者の全死亡と心血管イベントの予防に有効であることが多くの臨床試験で示されているスタチンをすべての患者に投与し、2群に分けた対象患者の一方にEPA1,800mgを上乗せし、PROBE法で評価した。
EPAの効果を評価するのにこのような方法を用いたのは、臨床研究の科学性と倫理性を担保したうえで、日常診療に応用しやすい"real world''をよく反映する方法であるためである。
長鎖n-3脂肪酸の冠動脈イベントへの予防介入試験では2次予防についての報告が欧米でなされていたが、1次予防介入試験についての報告は皆無であった。
1次エンドポイントである主要な冠動脈イベントとして心臓突
然死、心筋梗塞などのhard endpointと不安定狭心症、血管形成術、ステント術、冠動脈バイパス術などのsoft endpointの両者を用いた。
その理由は、日本人の冠動脈イベント発症率が欧米に比べてきわめて低い点と、治療の目的が生存率の改善とともに生活の質(QOL)の改善であるからである。
本試験は、日ごろの魚摂取量の多い日本人を対象としてEPAの保険診療上の常用量 (1,800mg/日)を5年間投与することによって、冠動脈イベント、特に非致死的冠動脈イベントを有意に減少させることを示した。
一方、欧米での2次予防試験では少量の魚やn-3脂肪酸(EPA+DHA)の摂取が致死的冠動脈疾患、特に心臓突然死を減少させることを示している。
これまでの大規模臨床試験は、JELISを含めて、長鎖n-3脂肪酸の作用機序を解明するための試験デザインになっていないため、機序の詳細は不明である。
低濃度の、n-3脂肪酸は抗不整脈作用を有し、その効果には閾値濃度があるとされる。
一方、冠動脈イベント抑制効果には高濃度を要すると考えられる。
長鎖n-3脂肪酸は抗血栓作用、抗炎症作用、プラーク安定化作用、脂質代謝改善作用など多彩な生物作用を有することが明らかにされているが、生体内でどのような機序によって冠動脈イベントが抑制されるかは今後解明されるべき課題である。
今回はJELISの1次エンドポイントについての解析結果に関する報告であるが、今後なされる多くのサブ解析によってどのような症例でエイコサペンタエン酸投与の効果が最も期待できるかを明らかにすることが重要である。
<コメント>
最近、家森幸男先生が書かれた「110歳まで生きられる!脳と心で楽しむ食生活」という本を読ませていただいております。
スタチン一辺倒の研究者の講演には最近少しうんざりしているところです。
家森先生も疫学調査の結果からはっきり「コレステロールが高すぎれば心筋梗塞が増える。低すぎれば脳卒中が増える。」 とおっしゃってみえます。
これが大方のコンセンサスの筈です。
しかるに冠動脈イベントだけに目をむけてlower the betterの大合唱。
EPAとスタチンのガチンコの話はあるのでしょうか。
EPAは脂質低下作用では負けるでしょうが、冠動脈イベントで勝ったら痛快です。
しかし、スタチンにはpleiotropic作用もあるの一筋縄にはいかない?
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