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教材は昨日に続き NIKKEI MEDICAL2007.11 からです。
脳卒中におけるRA系抑制の重要性(その1)1/2
http://blog.m3.com/reed/20071114/1
降圧とRA系抑制からみた治療薬の選択
脳卒中における血管保護の重要性(その2)
熊本大学大学院医学薬学研究部生体機能薬理学分野教授
光山勝慶先生
と
大阪大学大学院医学系研究科
神経内科学(脳卒中センター)准教授
北川一夫先生
の対談形式で話が進行します。
光山
冠動脈疾患や腎疾患の予防・治療では降圧とともにRA系の抑制が必要だといわれます。
脳卒中におけるRA系抑制の効果をどのように評価しておられますか。
北川
脳卒中においてRA系抑制薬が降圧とは独立した有効性を示した臨床試験としては、LIFEとMOSESがあります。
LIFEは、左室肥大を合併した高血圧患者約9、000例を対象に、AT1受容体拮抗薬(ARB)の群またはβ遮断薬群に無作為に割付し、平均4.8年間における心血管系イベントの発生を比較した試験ですが、両群の降圧効果はほぼ同等であったにもかかわらず、脳卒中の発症率と死亡率はARB群で有意に低下しました。
一方、MOSESは、脳卒中の既往歴を有する高血圧患者対象に、ARBとCa拮抗薬の有効性を比較した二次予防試験です。
治療前血圧は両群でほぼ同等であり、治療後の血圧にも差はみられませんでしたが、平均2.5年の観察期間における脳血管イベントの発生はARB群で有意に低下しました。
また心血管系イベントも、ARB群で低下傾向が認められました。
これらの成績は降圧効果が同等であれば、ARBの脳卒中抑制がβ遮断薬やCa拮抗薬に優っていることを示唆しています。
光山
RA系活性の亢進は心臓や全身の血管系の障害を促進するといわれますが、脳血管におけるRA系の障害機序についてはどのようなことがわかっているのでしょうか。
北川
RA系の作用は多面的ですが、アテローム硬化性病変においてはRA系活性の亢進が報告されています。
アテローム硬化性プラークでは脂質沈着とともに炎症反応の亢進が認められますが、そこに集積する炎症細胞の特徴として、アンジオテンシン変換酵素やAT1受容体の活性化がみられます。
RA系の活性化は酸化ストレスを高めることが知られていますが、酸化ストレスは血管の炎症を促進するだけでなく、血管内皮機能にも障害を及ぼします。
また、RA系には血管平滑筋細胞の増殖を促進する働きもあります。
これらの作用が脳血管の動脈硬化とリモデリングを促進し、狭窄病変を形成するとともに、急性イベントの成因である血栓形成や血管壊死を引き起こすのではないかと考えています。
降圧効果と、血管保護に優れたARBを基礎薬に
光山
ここまでのお話をまとめると、脳卒中発症を抑制するためには、第一に厳格な降圧が必要であること。
これを大前提とした上で、さらに抑制効果を高めるには、炎症や血管内皮障害抑制を考慮し、RA系抑制作用をもつ降圧薬を使用することが望ましいということですね。 RA系抑制薬にはACE阻害薬とARBがありますが、どちら
を優先的に用いるべきだと思われますか。
脳卒中抑制におけるRA系抑制の意義
北川
ACE阻害薬もARBも優れた心血管病の抑制が認められているので、有効性からいえば、どちらを使用してもさしつかえないのですが、良好な服薬コンブライアンスが得られるのは副作用の少ないARBだと思います。
脳卒中の抑制には降庄とRA系抑制が長期間必要ですから、服薬コンブライアンスは極めて重要です。
また、ARBは早い段階で降圧が得られるという印象があります。
光山
つまり、脳卒中の抑制にはARBを中心とした降圧治療が望ましいということですね。
国内では、すでに5種類のARBが上市されていますが、どのようなARBを選択すべきだとお考えですか。
北川 ARBはAT1受容体を遮断し、効果を発揮しますが、受容体への結合親和性は薬剤によって異なります。
ARBのなかでAT1受容体への結合性が高いのは、2つの側鎖(ダブルチェーンドメイン)で受容体に強く結合するオルメサルタン メドキソミル[以下オルメサルタン](商品名オルメテック)です。
オルメサルタンには、アゴニストの刺激を受けていなくても、AT1受容体のベーシックな活性を抑制する作用(インバースアゴニスト作用)があることも報告されています。
臨床におけるオルメサルタンの優れた降圧効果とその持続性は、これらの基礎的特性によるものと考えられます(図4)。
したがってARBを用いる場合、オルメサルタンのような優れた降圧力を示す薬剤を選択することが望ましいと思います。
さらに、先ほどRA系は血管の炎症を促進すると述べましたが、臨床試験EUTOPIAでは、高血圧患者に対し、オルメサルタンが炎症マーカーである高感度(hs)CRP、hsTNF-α、IL-6、MCP-1などの血清濃度を投与前に比べて有意に低下させることが報告されています(図5)。

これはオルメサルタンの降圧を超えた血管保護に関するエビデンスといえると思います。
光山
降圧とRA系抑制は血管障害の抑制において車の両輪のような役割を担っており、どちらも不可欠であること。
そしてそれは脳卒中の抑制・治療においても同じく重要であるということですね。
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