戯れ言たれる侏儒
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高性能ACEI(その4)

戯れ言たれる侏儒 / 2007.11.04 00:30 / 推薦数 : 1

昨日の
高性能ACEI(その3)
http://blog.m3.com/reed/20071103
の続き(後半)です。

題して
「心血管病に対するACE阻害薬とARBの違いを探る」

演者は同じく
国際医療福祉大学附属三田病院内科 助教授
      佐藤敦久先生 です。

ACE-IとARBはともに、大規模臨床試験によって腎保護作用を有することが実証されている。
腎機能を改善する薬剤は心血管系予後を改善すると考えられるが、RENAAL、IDNTなどのARBによる大規模臨床試験では、心血管イベントの抑制は示されなかった。
同様に、糖尿病性腎症におけるメタ解析でも、ARBはACE-Iと異なり生存率の改善が認められなかった[Strippoli GF etal:BMJ 2004;329:828](図3)。
腎研究の世界的第一人者である米国Rush大学のBakrisは、「心・腎保護を考えた場合、ACE-Iは必須である」と述べるとともに、(Ca拮抗薬などとの)併用も良いが、必ずベースにACEIを用いるべきだ」と強調している(図4)。

また、降圧反応率の観点からも、ACE-IとARBは異なる降圧薬であることが示されている。
ACE-IとARBの降圧度の相関は、ACE-Iとβ遮断薬の相関と同程度でしかなった[Sterigious GS et al:
AmJHypertens2001;14:688]。
ACE-Iとβ遮断薬を同じ薬剤と考えないのと同じように、ACE-IとARBも同様の薬剤と考えるべきではない。
したがって、これまで蓄積されてきたACE-Iのエビデンスはあくまで「ACE-Iのエビデンス」として重視すべきであり、安易にARBに外挿できるものではなく、ましてやARBは「咳の出ないACE-I」ではない(図5)。


このように、ACE-I、ARBはクラスの異なる薬剤であり、両者の併用は魅力ある治療法となる。

ACE-IとARBの使い分けと医療費負担
高血圧や腎疾患では薬剤の服用は長期にわたるため、ACE-IとARBの使い分けを考える上では、科学的エビデンスに加え、患者の医療費負担(表)も重要な要素である。
医療費負担に対する配慮は2003年に公表された欧州高血圧学会、欧州心臓病学会(ESH-ESC)による高血圧ガイドラインで勧告されているが、わが国の高血圧学会ガイドライン(JSH2004)においても「各降圧薬の特徴、副作用を十分把握し、年齢と性別のほか各患者の心血管危険因子、標的臓器障害、心血管病などの病態に合わせ、QOLへの影響、費用を考慮し最も適するものを選択」と明記されている。

より高性能な”ACE-I”を  
これまで述べてきたように、心保護の観点からみるとACE-IはARBを上回る臨床的有用性が期待されるが、さらには同じACE-Iでも薬剤によって特徴(性能)が異なる。 
例えば、1型糖尿病性腎症を対象にイミダプリルと他のACE-Iの腎保護作用を検討したJAPAN-IDDMでは、プラセボに比べイミダプリルと他のACE-Iで有意な尿中アルブミン排泄量の減少が示されたが、その程度はイミダプリル群で高い傾向が認められた(イミダプリル群:41%、他のACE-I群:6%)。
この結果は、イミダプリルの強力かつ持続的な組織ACE活性阻害作用に基づくものと考えられる(図6)。

 


前出のBakrisによると、ACE-Iは「ACE阻害」「降圧」「蛋白尿減少」が認められている第1世代、それに加え「慢性心不全の生存率改善」「腎障害進展抑制」まで 認められた第2世代、さらに組織選択性が高く、長時間作用する第3世代の3つに分けることができるという(図7)。

 


イミダプリルは米国で発売されていないため、この分類には入っていないが、第3世代のACE-Iといえるであろう。
現在わが国で用いられているACE-Iの中でイミダプリルは「高性能ACE-I」に位置付けられる薬剤であり、より大きな臓器保護作用が期待できる。
こうした様々な知見から、ARBが臨床適応されるようになった今日でも、臓器保護をめざした高血圧治療においてACE-Iは中心的役割を担う薬剤であり(図8)、さらにはACE-I個々の薬剤の特徴を把握し、高性能なACE-Iを積極的に選択すべきである。

 

<コメント> 

ACE-Iをわれわれ臨床医が敬遠するのは、いつに咽頭不快感や咳嗽といった副作用にあります。

これは諸外国に比較して日本人に特に多い副作用なのか一度「高性能ACEI」を発売しているメーカーの学術に問い合わせてみます。

今回の発表では諸外国のデータが並んでいますが、多分咳の副作用が日本人より少ないため薬剤耐用性があったのではないかと推測されます。

演者はどのような工夫をしながら患者さんの副作用の訴えに対処してみえるのでしょうか?

少なくともファーストラインにACE-IではなくARBをチョイスするというパターナリズムは避けたいと思います。

ARB発売メーカーを利して、患者さんに薬剤効果や経済的な面で不利益を被らしめることでは困りますから。

 

非喫煙者におけるアンギオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬による咳喇の臨床的検討http://ci.nii.ac.jp/naid/110002417464/ 

(抗コリン薬である臭化イプラトロピウムの吸入により完全に消失しないが, 抑制効果を認めた. このことから, 咳喇発生機序の一部として, 迷走神経末端からのACh放出, vagal reflex亢進などのcholinergic activationの関与が示唆された。)
 
アンギオテンシン変換酵素阻害薬による咳におけるトロンボキサン合成酵素阻害薬の抑制効果
 

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