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インスリン抵抗性の機序については,上流にまずは腹部肥満があって、 種々のアディポサイトカインの異常を介してインスリン抵抗性をきたし、インスリン抵抗性をさらに増悪させています。
アディポサイトカインの中でも特にTNF-α増加とアディポネクチン低下がインスリン抵抗'性に重要な役割を果たしています。
メタボリックシンドロームでは、血中アディポネクチン濃度は有意に低下するという成績があります。
いよいよアディポネクチンが糖尿病や冠動脈疾患の将来的な予測マーカーとしての臨床現場での使用の動きが出てきたようです。
そこで
日本医事新報4344 2007.7.28 に掲載された
東大 山内敏正先生、門脇 孝先生
のアディポネクチンに関するお話の紹介です。
アディポネクチンの臨床応用について解説されています。

鈴木信太郎 風景 油彩20号
http://page4.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d77822950
# わが国死因の第一位を占める心血管疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)の主要な原因は、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧が一個人に重積するメタボリックシンドローム(Mets)と考えられ、原因の解明と、それに立脚した予防法や治療法の確立がきわめて重要である。
# 筆者らは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質アディポカインのうち、アディポネクチンが肥満に伴って低下することが、インスリン抵抗性、Mets、糖尿病、動脈硬化などの原因となっていることを明らかにした。
脂肪細胞が分泌するアディポネクチン
http://www.nikkeibp.co.jp/style/secondstage/kenkou/evidence_070919.html
# そこで、アディポネクチンを補充することがこれらの治療法になりうると考えられたので、遺伝子組換えタンパクの投与や過剰発現するトランスジェニックマウスの作成を行い、アディポネクチンがAMPKやPPARαといった鍵分子を活性化して、抗Mets・抗糖尿病作用を発揮していることを明らかにした。
AMPK
http://web.indstate.edu/thcme/mwking/ampk.html
# さらに、血中に存在する高分子量アディポネクチンが高活性型であることも明らかとなっている。
# 次に筆者らは、アディポネクチンの臨床応用に向けて、その受容体の同定が重要と考え、特異的結合を指標とした発現クローニング法により、AdipoR1、AdipoR2を同定した。
# 肥満の病態においては、このAdipoR1、AdipoR2の発現レベルも低下しており、遺伝子組換えアディポネクチンを外から投与しても十分にアディポネクチン作用が得られないことが観察された。
# このことから、肥満の病態においては低下したAdipoRの発現を増加させることが治療につながるのではないかと考え、アデノウイルスを用いてAdipoRの発現を増加させたところ、耐糖能障害が有意に改善するのが認められた。
# 上記結果より、高分子量アディポネクチン増加薬、AdipoR増加薬、AdipoR作動薬の探索がMets・糖尿病の治療法開発につながるものと考えられた。
# 診断法に関しては、これまで総アディポネクチン量を測定することがインスリン抵抗性やMetsのよい臨床指標となること、また将来の糖尿病や冠動脈疾患発症の予知マーカーとなることが知られていたので、筆者らは高活性型である高分子量アディポネクチンの測定がよりよい臨床指標になると考え、その測定法を共同開発し、東大病院の入院患者でインフォームドコンセント取得後に測定したと
ころ、実際によりよい臨床指標となることを示すことができた。
# 今後に関しては、この高活性型の高分子量のアディポネクチンの測定が、CTによる腹部内臓脂肪量の測定やMRIによる肝臓内脂肪含量測定と比して、より低侵襲で安価で同等以上に有用な臨床指標となりうるかについての臨床試験や、既知のマーカーに比して将来の糖尿病や冠動脈疾患発症の予知マーカーとして、よりよい健診での測定項目となりうるかについての検討を行っているところである。
# 治療法に関しては、インスリン抵抗性改善薬として臨床応用されているチアゾリジン誘導体が、高活性型の高分子量アディポネクチンを著明に増加させること、抗高脂血症薬として臨床応用されているフィブラート剤がAdipoRを増加させること、この両者の併用がアディポネクチン作用をより増加させ、抗Mets・抗糖尿病作用を発揮することが認められた。
# AdipoRアゴニストに関しては、野菜・果物に含まれるオスモチンが、少なくとも骨格筋のモデル培養細胞でAdipoRを介してAMPKを活性化しうることを見出している。
#野菜・果物には、オスモチンと高いホモロジーを有するファミリー分子が多く含まれ、それらがAdipoRを活性化しうる可能性も存在することから、摂取する野菜・果物の種類・量がメタボリックシンドロームの分子基盤の一部を形成している可能性があるものと考えられる。
# さらにオスモチンとアディポネクチンの立体構造の類似性の研究から、経口投与可能な低分子量の受容体作動薬をデザインできる可能性も存在するものと考えられる。
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