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昨日に引き続き
日本循環器学会専門医誌
循環器学会専門医第15巻1号(2007年3月)で
阪大 楽木宏美、荻原俊男両先生が書かれた
「高血圧研究の進歩」
という総説からです。
平成19年9月 28日のブログでも
超高齢者の収縮期高血圧
http://blog.m3.com/reed/20070928
として高齢者と血圧については、既に紹介させていただきました。
高齢者高血圧の降圧目標 Leiden85 plusとJATOS
2004年の高血圧治療ガイドラインでは,高齢者の降圧目標について140/90mmHgを最終目標としているが、75歳以上で160mmHg以上の場合、いったん150/90mmHg未満を目指す緩徐な降圧を勧めている。
これは、介入試験において、とくに後期高齢者において140/90mmHg末満にできた試験がなく,その有用性を示すエビデスがなかったためである。
前向きの疫学研究においては、メタ解析の結果、高齢者でもthe lower,the betterとされてきたが、85歳時の血圧値をもとに群分けして生命予後を観察したLeiden 85 plusでは,140mmHg未満群がもっとも予後が不良であった。
後期高齢あるいは超高齢患者における降圧目標設定のむずかしさを示す報告であった。
ISH2006では,高齢者高血圧の降圧目標に関するエビデンスとしてCa拮抗薬(efonidipine)を基礎薬に、降圧目標の群間比較試験を行ったJATOSの成績が報告された。
160mmHg未満を目標とする群と140mmHg未満を目標とする群での比較では,両群間で血圧に8/4mmHgの差がついたが、一次エンドポイントである脳心血管疾患の発症についての複合エンドポイントには群間で差がなかった。
ただし,全対象者を1つにして二層化解析をした結果では,140mmHg未満に降圧できた患者群でイベント発症が少なかった。
少なくとも現在のガイドラインにある150/90mmHg未満を達成することの重要性と、可能な場合140/90mmHg未満を目指すという最終目標を設定する指針について、その意義が再確認できた結果と考える。
<コメント 1>
efonidipine 商品名 ランデル
<コメント 2>
JSH2004のガイドラインには「高齢者高血圧」の章が設けられています。
その中で高齢者高血圧に対する主な臨床試験が紹介されています。
1)プラセボ群との比較
EWPHE HEP SHEP STOP MRC2 STONE
Syst-Eur Syst-China
2)薬剤間の比較
STOP-2 ANBP-2 SCOPE NICS-EH(日本)
PATE-Hypertension(日本)

山本彪一 バラ 油彩6号http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t50546923
以下 「JSH2004ガイドライン」からの高齢者高血圧に関する解説の紹介です。
治療対象
7O歳以上では血圧値と生命予後に逆相関がみられるとの報告もあり、さらに、85歳以上の超高齢者群では高血圧は死亡のリスクとはならず、治療効果についても死亡率を抑制していない。
このような背景下に、本邦における専門家を対象とした調査では70歳代、80歳代では治療対象血圧をやや高めに設定している。
この是非については明らかではない。
l60mmHg以上では非高齢者と同様の治療開始方針に従うが、軽症高血圧ではまず生活習慣の修正を行い、数カ月の経過後も140mmHg以上であれば降圧薬治療を開始する。
高血圧性心不全や大動脈瘤などの合併例では年齢、血圧値に関わりなく積極的な降圧を行う。
降圧目標
欧米のガイドライン、すなわちJNC7や2003ESH-ESCガイドラインでは年齢を問わず140/9OmmHg未満を降圧目標としている。
しかしながら、高齢者において140/9OmmHg未満が妥であるか否かは、現在のところエビデンスがない。
高齢者ではすでに動脈硬化による臓器障害を有することが多く、特に脳血流では自動調節能に障害がみられること、一般健常者でも収縮期血圧は加齢によりある程度上昇がみられることなどから、本邦においては降圧目標は一般成人と比べやや高めに設定されている。
最近の大規模臨床試験における治療後の血圧平均値の多くは141~152/77~85mmHgである。
高齢者の収縮期血圧160mmHg以上の高血圧を治療した場合、l40mmHg未満への降圧がよいとする考え方に疑問を持たせる事実として、SHEP試験、HOT試験のサブ解析がある。
SHEP試験では150mmHg未満の群が最も脳卒中リスク抑制効果が強く、140mmHg未満ではその有意性が消失している。
HOT試験は65歳以上の群でみると
the lower thebetter
の関係が認められなくなる。
さらにSHEPでは拡張期血圧60mmHg未満では心血管事故が増加しており、収縮期血圧の降圧にも限度があることを示している。
本邦において行われたPATE-Hypertension試験でもJ型カーブ現象が認められており、収縮期血圧130mmHg未満の降圧では心血管事故が増加している。
Leiden 85 plus In a population-based prospective study,no association between high blood pressure and mortality after age85 years.
van Bemmel et al. J Hypertens
2006;24:287-292
JATOS
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ASCOT-CAFE試験
日本循環器学会専門医誌
循環器学会専門医第15巻1号(2007年3月)で
阪大 楽木宏美、荻原俊男両先生が書かれた
「高血圧研究の進歩」
という総説にこんな内容の紹介がされていました。
中心動脈圧の臨床的有用性一CAFE
CAFE(Conduit Artery Function Evaluation)は,降圧薬の併用療法について検討したASCOTのサブスタディであるamlodipineを基礎薬にperindoprilを追加降圧薬とした群(CCB+ACE群)と,atenololを基礎薬として利尿薬を追加降圧薬とした群(β+利尿薬群)で心血管イベントへの影響が検討され、CCB+ACE群で冠動脈イベントや脳卒中の有意な抑制が認められた。
この説明の1つに、CCBとACEの臓器保護効果の増強があげられるが、CAFEは、大動脈起始部での降圧がCCB+ACE群でより強かったことを示した。
この中心動脈圧は、とう骨動脈での圧波形をもとに反射波の存在を考慮することで数学的に求められる値である。
CCB+ACE群では、上腕血圧は0.7/1.7mmHg低く,大動脈血圧は4.3/1.3mmHg低かった。
このように拡張期血圧より収縮期血圧に大きな違いが認められる。
今後このように,上腕動脈での血圧だけでなく,大動脈血圧も含めた検討が進められると予想される。

ASCOT-CAFE試験が2006年3月7日のCirculation誌に
掲載されました。
http://www.medical-tribune.jp/congress/ascot2005/aha/aha_kaisyaku.html
日常臨床では前腕を用いて測定した末梢血圧測定が代用されているが、大動脈圧は必ずしも末梢血圧を反映しないということが近年明らかとなってきた。
例えば、降圧薬によっては大動脈圧の降下度に差がみられることも指摘されている。
このため、心臓への後負荷を示す大動脈圧の変化を観察することは臨床上たいへん有用であり、大動脈圧の正常化は予後改善に大きく影響すると考える。
ASCOT-CAFE試験では、アムロジピンベース治療群とβ遮断薬ベース治療群とで大動脈圧の変化が比較検討された。
その結果、末梢血圧の降下度は両群間で同等であったにもかかわらず、大動脈圧はアムロジピンベース治療群で有意に低下した。
この結果は、アムロジピンをベースとした降圧治療は心臓への後負荷軽減に優れ、aortic complianceを改善することを示唆している。
また,ASCOT-CAFE試験は大動脈圧と心血管系イベント発症の関連性を検討した初の大規模臨床試験としても注目に値する。
両者の相関性が認められたことから,大動脈圧は心血管系イベント発症の予測因子の1つとなりうることが示された。
この結果は,今後の高血圧治療の変遷に影響を与える可能性があると考えられる。

油絵 水島清「セビリヤ」F4号
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p85321527
CAFE - The Conduit Artery Functional Endpoint Study
http://www.medscape.com/viewarticle/518570
CAFE: Lower central aortic blood pressures with amlodipine and perindopril
http://www.medscape.com/viewarticle/538882
<コメント>
先生方は手術適応までには至らない高血圧合併の胸部大動脈瘤の患者さんにはどのような降圧剤を処方してみえるでしょうか?
今回の論文は、そのような際に参考になるかも知れません。
従来、降圧の程度が同様でエンドポイントなどに差がある場合、その理由を血行動態以外に求める傾向にありました。
いわゆる臓器保護作用などです。
この結果は、上腕血圧のみで降圧効果を判定する方法論に対する一つの提言と捉えるべきと考えられます。
最近、脈波伝播速度検査で四肢血圧を同時測定する機会がしばしばあります。
私自身も上肢に比較し、下肢血圧が随分高い症例をしばしば経験し、上肢血圧が正常でも心内圧や胸部大動脈での血圧が高い可能性を患者さんにお話して来ました。
上腕血圧などの末梢動脈圧だけで降圧剤の効果を論じてはならないという、まさに目から鱗(うろこ) のお話です。
ところで中心動脈圧はどのように算出するのでしょうか。
Williams B et al. Circulation113;1213-1225
の論文を読めばわかるとは思うのですが。
一度調べてみます。
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インスリン抵抗性の機序については,上流にまずは腹部肥満があって、 種々のアディポサイトカインの異常を介してインスリン抵抗性をきたし、インスリン抵抗性をさらに増悪させています。
アディポサイトカインの中でも特にTNF-α増加とアディポネクチン低下がインスリン抵抗'性に重要な役割を果たしています。
メタボリックシンドロームでは、血中アディポネクチン濃度は有意に低下するという成績があります。
いよいよアディポネクチンが糖尿病や冠動脈疾患の将来的な予測マーカーとしての臨床現場での使用の動きが出てきたようです。
そこで
日本医事新報4344 2007.7.28 に掲載された
東大 山内敏正先生、門脇 孝先生
のアディポネクチンに関するお話の紹介です。
アディポネクチンの臨床応用について解説されています。

鈴木信太郎 風景 油彩20号
http://page4.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d77822950
# わが国死因の第一位を占める心血管疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)の主要な原因は、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧が一個人に重積するメタボリックシンドローム(Mets)と考えられ、原因の解明と、それに立脚した予防法や治療法の確立がきわめて重要である。
# 筆者らは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質アディポカインのうち、アディポネクチンが肥満に伴って低下することが、インスリン抵抗性、Mets、糖尿病、動脈硬化などの原因となっていることを明らかにした。
脂肪細胞が分泌するアディポネクチン
http://www.nikkeibp.co.jp/style/secondstage/kenkou/evidence_070919.html
# そこで、アディポネクチンを補充することがこれらの治療法になりうると考えられたので、遺伝子組換えタンパクの投与や過剰発現するトランスジェニックマウスの作成を行い、アディポネクチンがAMPKやPPARαといった鍵分子を活性化して、抗Mets・抗糖尿病作用を発揮していることを明らかにした。
AMPK
http://web.indstate.edu/thcme/mwking/ampk.html
# さらに、血中に存在する高分子量アディポネクチンが高活性型であることも明らかとなっている。
# 次に筆者らは、アディポネクチンの臨床応用に向けて、その受容体の同定が重要と考え、特異的結合を指標とした発現クローニング法により、AdipoR1、AdipoR2を同定した。
# 肥満の病態においては、このAdipoR1、AdipoR2の発現レベルも低下しており、遺伝子組換えアディポネクチンを外から投与しても十分にアディポネクチン作用が得られないことが観察された。
# このことから、肥満の病態においては低下したAdipoRの発現を増加させることが治療につながるのではないかと考え、アデノウイルスを用いてAdipoRの発現を増加させたところ、耐糖能障害が有意に改善するのが認められた。
# 上記結果より、高分子量アディポネクチン増加薬、AdipoR増加薬、AdipoR作動薬の探索がMets・糖尿病の治療法開発につながるものと考えられた。
# 診断法に関しては、これまで総アディポネクチン量を測定することがインスリン抵抗性やMetsのよい臨床指標となること、また将来の糖尿病や冠動脈疾患発症の予知マーカーとなることが知られていたので、筆者らは高活性型である高分子量アディポネクチンの測定がよりよい臨床指標になると考え、その測定法を共同開発し、東大病院の入院患者でインフォームドコンセント取得後に測定したと
ころ、実際によりよい臨床指標となることを示すことができた。
# 今後に関しては、この高活性型の高分子量のアディポネクチンの測定が、CTによる腹部内臓脂肪量の測定やMRIによる肝臓内脂肪含量測定と比して、より低侵襲で安価で同等以上に有用な臨床指標となりうるかについての臨床試験や、既知のマーカーに比して将来の糖尿病や冠動脈疾患発症の予知マーカーとして、よりよい健診での測定項目となりうるかについての検討を行っているところである。
# 治療法に関しては、インスリン抵抗性改善薬として臨床応用されているチアゾリジン誘導体が、高活性型の高分子量アディポネクチンを著明に増加させること、抗高脂血症薬として臨床応用されているフィブラート剤がAdipoRを増加させること、この両者の併用がアディポネクチン作用をより増加させ、抗Mets・抗糖尿病作用を発揮することが認められた。
# AdipoRアゴニストに関しては、野菜・果物に含まれるオスモチンが、少なくとも骨格筋のモデル培養細胞でAdipoRを介してAMPKを活性化しうることを見出している。
#野菜・果物には、オスモチンと高いホモロジーを有するファミリー分子が多く含まれ、それらがAdipoRを活性化しうる可能性も存在することから、摂取する野菜・果物の種類・量がメタボリックシンドロームの分子基盤の一部を形成している可能性があるものと考えられる。
# さらにオスモチンとアディポネクチンの立体構造の類似性の研究から、経口投与可能な低分子量の受容体作動薬をデザインできる可能性も存在するものと考えられる。
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10月 26日に引き続き「心血管イベントの抑制」 の座談会からです。
前回
心血管イベントの抑制
http://blog.m3.com/reed/20071026/1
肥満や高齢者に多いCKDやCVDの関係
小川
腎機能低下がどうしてCVDのリスクになるのでしょうか。
<コメント>
心腎連関についての病因論に関する本質的質問です。
心腎疾患 慢性腎疾患と心血管疾患との相関
carsensor.net/catalog/mitsuoka/
(すばらしいサイトです。
心腎連関についてのすべてが述べられています。
このサイトを熟読すればこの領域についてはすべて習熟できると思います。
いつも築山先生の真摯な学問に対する姿勢には敬服しています。)
斎藤
CKDからCVDが発症する詳細なメカニズムは、まだ解明されていません。
ただ、高血圧の臓器合併症の1つに腎硬化症があり、同時に高血圧はCVDの原因ともなります。
<コメント>
医学生時代には必ず耳にする疾患名ですが何故か最近は地味な名前となってしまいました。
高血圧と腎臓病
carsensor.net/catalog/mitsuoka/
(高血圧が長期間続き、腎の糸球体高血圧が続くと、腎臓の細動脈の動脈硬化、すなわち糸球体硬化を生じるとされています。更に糸球体硬化は蛋白尿を生じ、蛋白尿が尿細管への負荷となり、炎症による線維化も加わり腎臓組織が次第に硬くなり腎硬化症をきたすとされています。)
そして、腎臓を悪くする高血圧関連因子が、同時に心臓や血管をも悪くしている。
そして、腎臓の血管病としての表現型がCKDであり、心臓の血管病の一部がCVDであると考えてもよいと思います。
<コメント>
血管病としてのCKD、CVDのとらえ方です。
但しそこに至るプロセスは複雑です。
血管内皮障害と心血管病
http://www.lifescience.co.jp/cr/zadankai/0408/1.htm
(内皮障害という見地から血管病をとらえるのが一つのアプローチ法と思われます。)
肥満者では、蛋白尿陽性や糸球体硬化症が多く、その発現には、AⅡなどの液性因子の関与が指摘されており、それが、CVDの発症にも関与しているのでしょう。
肥満そのものによる腎障害は、「肥満関連腎症(ORG)」と呼ばれています。
これは、肥満に伴う血行の異常、内臓脂肪からの内分泌的変化に起因します。
メタボリックシンドロームは、インスリン抵抗性(空腹時血糖値の上昇)、高血圧などの代謝異常を起こし、 それに伴って二次的な腎障害として、糖尿病性腎症、腎硬化症が引き起こされる場合があります。
<コメント>
「肥満関連腎症(ORG)」については、私自身初耳でした。
皆さんはいかがでしょうか?
メタボリックシンドロームは、インスリン抵抗性(空腹時血糖値の上昇)、高血圧などの代謝異常を起こし、 それに伴って二次的な腎障害として、糖尿病性腎症、腎硬化症が引き起こされる場合があります。
さらに、腎機能が低下すると貧血になります。
貧血があると、虚血性心疾患イベントや心不全などの発症頻度も高くなるので、貧血の関与も見過ごせません。
金屋
腎機能障害の存在自体が、動脈硬化の進展を示唆しているのだと思います。
<コメント>
腎機能障害の原因は様々ですが、動脈硬化の結果としての腎障害という考え方です。
動脈硬化と腎障害
http://ekisaikai.com/admin/data/helth43cf3887365bc..pdf
そして、腎機能低下例は、たとえPCIが成功しても院内死亡率が高いことを含め、予後が非常に悪いので、二次予防を考慮するうえでも、腎機能を高く保持できる一次予防を心がけるべきだと思います。
造影剤腎症とその保護薬
http://plaza.umin.ac.jp/JPS1927/fpj/topic/topic_123_224.htm
小川
CASE-J では、カンデサルタンによる降圧療法で、CKD患者の腎障害の進行リスクは半減することが明らかになりました。
CASE-J
http://www.case-j.com/01_sabusokuhou.html
日本人の、日本人による、日本人のためのエビデンス、CASE-J
http://info.medical.nikkeibp.co.jp/cj/
CASE-J
http://intmed.exblog.jp/4532422/
(CASE-Jに関する手厳しい意見もあります。)
<コメント>
CASE-J はカンデサルタンとアムロピジンのガチンコ勝負でした。
臨床現場では両者併用のことが多く、併用効果に期待すればいいだけじゃんと思った先生も多いかと思います。
実際ARB単独投与の先生は少ないんじゃないでしょうか。
カンデサルタン単独(含増量)とカンデサルタン・アムロジン併用では、あびせ倒しで後者の勝ちになるはずですが。
高野
RA系の亢進や、高血糖により産生されるAGE(最終糖化産物)の増加は、腎における酸化ストレスの亢進や糸球体内圧の上昇を来たし、糸球体障害を起こします。
一方、ARBは腎での酸化ストレスマーカーである尿中8-OHdGを低下させます。
この抗酸化作用は、糸球体障害が軽症なときほど、効力が発揮されます。
ですから、糖尿病性腎症を伴う高血圧症に対しては、できるだけ早期からARBを投与しやほうがよいでしょう。

高血糖の記憶;糖化最終産物 AGE と合併症
http://www.dm-net.co.jp/kankosin/toy80/01.htm
体に残された、もう一つのA1C
http://www.somos.co.jp/solution/064.htm
(このサイトはドクターの書かれたサイトではありません。
非常にアカデミックで敬服しています。こんな患者さんが外来に来られたら困ってしまうのは私だけでしょうか。もっとも一度来院されたら足元を見られて二度と私の医院には見えないとは思いますが。)
[PDF]
生体内 DNA 酸化的損傷(尿中8-OHdG 排泄量)に及ぼす
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=尿中8-OHdG&btnG=Google+検索&lr=lang_ja%7Clang_en
二次予防のために
見逃せない糖尿病! 耐糖能障害合併高血圧
石川
PCI後の重大な問題点の1つであった再狭窄は、DESの登場によりほぼ解決しました。
だからこそ、現在では、新規病変に対する二次予防の重要性が注目されています。
そのうえで重視すべきは、糖尿病を含む耐糖能異常の存在です。
PCI施行例で、既に糖尿病と診断されている患者は25%程度です。
しかし、経口ブドウ糖負荷試験を行うと、残りの20%に糖尿病を
30%に耐糖能異常を認めます。
つまり、耐糖能正常例は、わずか25%です。
3〜5年と、長期的視野に立った場合、耐糖能異常から糖尿病を発症する方もいるでしょう。
たとえ糖尿病を発症しなくても、耐糖能異常の方は糖尿病と同様に血管障害が進行していますから、しっかりと対応しなければなりません。
糖尿病もしくは高齢、これらを合併している高血圧に対し、ARBのRA系抑制剤が長期予後を改善させることは明らかです。
また、カンデサルタンは、膵β細胞機能の低い日本人においても、糖尿病の新規発症を半減させることが、CASE-Jで示されているので、PCI後の二次予防に重要な役割を果たすと期待しています。
木村
最も大切なのことは生命予後の改善です。
<コメント>
実に素晴らしい言葉です。CVDの二次予防のためのスタチン使用でLDLはlower the better と唱える人々(あえて学者とはいいません) に聞かせてあげたいですね。
糖尿病合併高血圧症では、血糖値と血圧の両者を厳格にコントロールすることがまず重要です。
血糖降下薬では、ピオグリタゾンを選択します。
<コメント>
糖尿病治療のファーストラインに何故に副作用が懸念されるピオグリタゾン。
もう少し理論的な説明を聞きたいところです。
ピオグリタゾンは理論的には確かに有用な薬剤ですが、ファーストチョイスとしては問題のあるところです。
食後高血糖によるグルコーススパイクが問題になっている昨今、αーGIも選択肢に入れるべきものと思われます。
そして、降圧薬では、インスリン抵抗性を改善し、腎機能障害の発症・進展を抑制するカンデサルタンなどのARBが望ましいと思います。
<コメント>
いくらスポンサーのことを考えてもピオグリタゾンとカンデサルタン。会場からの笑を狙ったんでしょうか。嗚呼、高性能ACEIはいずこへ。

アンドレ ブラジリエ RIVAGE
http://page2.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b82951457
http://ja.wikipedia.org/wiki/腎臓
(図で示されている静脈と動脈の関係は見事に間違っています。)
読んでいただいてありがとうございました。
きょうはちょっと香辛料をかけすぎました。
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10月23日に
高性能ACEI
http://blog.m3.com/reed/20071023/_ACEI
という内容で書かせていただきました。
この「高性能」
という表現を今まで聞いたことがなかったことと、当日のブログに質問をいただいていたので、早速あるメーカーの学術に問い合わせてみました。
まずは質問(コメント)を紹介します。
「本当に私もARBが過度に評価されているように思います。冠動脈疾患、またCKDのコントロールにもACEIの方がEvidenceが揃っています。
しかし、イミダプリル、キナプリル、トランドラプリル等の「高性能ACEI」がそれ以外のACEIに比して確かに臓器保護に優れるという臨牀データはあるのでしょうか?理論的には、組織親和性が高く、T/P比が長いものの方が良さそうな気はしますが、実際の臨牀でこのあたりの違いはどうなんでしょうか?」
私の返事の要旨
ご指摘の件ですが動物実験は多いかと思いますがACEI間での直接のきちんとした比較はあまりないかも知れません。
一度調べて近々アップさせていただきます。

ピカソ 戦争と平和 1946 http://page7.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/g56120696
ここからは、某メーカーの学術課からの回答の紹介です。
●「高性能ACEI」という表現は世界的なガイドライン等で認められた基準ではございません。
●しかしながら、ACEI間の比較試験で臨床効果に差があることを示すデータが散見されるため、Dr.Baklisがご講演の中でACEIを分類しております。
●そのBaklis分類に基づき最も性能が良いとされるACEIを「佐藤敦久先生」がご講演などで「高性能ACEI」とお話くださっています。
●しかしながら、Baklis分類におきましても、「高性能ACEI」という表現におきましても、ご講演の中でお話されていることのため、客観的にお示しできる著書等はございません。
●ACEI間に差があることを示唆するデータとして、心筋梗塞後1年間への影響をみた論文があります。
Pilote L.Ann Inyern Med.2004;141:102-112
●塩酸イミダプリル(商品名タナトリル)に関して糖尿病性腎症に対するカプトプリル(商品名カプトリル)と比較したデータがございます。
(JAPAN-IDDM試験 Katayama S.Diabetes Res Clin Prac 2002;55:113)
こちらのデータはカプトリルに比しタナトリルは腎機能改善効果が優れる傾向が見られており、ACEI間の臓器臓器保護効果に差があることが示唆されています。
以上が学術課からの回答です。
迅速で真摯な回答に感謝しています。
担当の方、有り難うございました。
MRという名称、そしてMR試験制度が確立して随分月日がたちました。
先生方で薬剤に関する質問をMRにしても、関連文献のみ後日持参して説明を求めるとシドロモドロといった経験はありませんか?
学術に上げずに自分で処理をしようとするMRが結構いるものです。
きちんとした回答を必要とされる場合は、MRまたはMSを通して是非、「学術課から文書で回答」してもらうように指示されることをお勧めします。
MRの中には自分が「学術課」と勘違いしている方もみえるようですから。
さて最後に、皆さんが多分一番興味をお持ちの「BarkrisのACEIの分類」を紹介させていただきます。
分類1(第1世代)
ACE阻害
降圧
蛋白尿減少
(カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、フォシノプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、ベナゼプリル、トランドラプリル、シラザプリル、キナプリル)
分類2(第2世代)
ACE阻害
降圧
蛋白尿減少
慢性心不全の生存率改善
腎障害進展抑制
(ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ラミプリル、トランドラプリル)
分類3(第3世代)
ACE阻害
降圧
蛋白尿減少
慢性心不全の生存率改善
腎障害進展抑制
組織選択性
バイオアベイラビリティ>50%
長時間作用型
肝腎排泄型
(ラミプリル、トランドラプリル、イミダプリル)
他に一般内科を内容としたブログがあります。
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
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心血管イベントの一次予防は循環器内科医にとっては一番重要なことと思われます。
薬物や生活指導による効果は開業医ではなかなか実感できないのが実情です。
イベントが起こってからのインターベンションなどと比べれば、まことに地味な分野であり、患者さんに外来通院を継続していただくにはそれなりのスキルが必要です。
本日と明日の2回、最新の心血管イベントの一次と二次予防はどうなっているかを勉強してみます。
教材はMedical Tribuneの座談会です。
CVDの一次予防を目指して(その1)
Medical Tribune2007.10.8の特別企画
座談会「わが国の心血管系イベントの抑制はどこまで可能か?」
からです。
小川久雄先生(司会) 、石原正治先生、金谷法忍先生、木村一雄先生、斉藤能彦先生、坂本和浩先生、高野仁司先生、水野杏一先生
以下敬称略
肥満・メタボリックシンドロームとアンジオテンシンⅡ
水野
肥満・メタボリックシンドロームの病態とCVDの関係で最もポピュラーなのがインスリン抵抗性という概念だと思います。
インスリン抵抗性により生じる高インスリン血症はNa再吸収の促進や交感神経の活性レ二ン・アンジオテンシン(RA)系の亢進、血管平滑筋の増殖などにより、CVDの重大なリスクである高血圧を惹起させます。
また.インスリン抵抗性は糖代謝ならびに脂質代謝を障害するため、高血糖のみならず、高中性脂肪血症を引き起こします。
一方.肥大化した脂肪細胞から分秘されるさまざまなアデイポサイトカインによるアンジオテンシンⅡ(ATⅡ)の活性化が.最近注目されています。
これは「メタボリックドミノ」という概念で、肥満がインスリン抵抗性を惹起させ,高血圧、脂質異常症、糖尿病などが起こるという考えですが、AⅡの活性化がインスリン抵抗性を増悪させます。
いずれにしても、その中心となるインスリン抵抗性の治療を念頭に置くことが大切だと思います。
(インスリン抵抗性が重要だが、最近では肥満者におけるATⅡの活性化も重視すべきである。ここに減量による降圧効果の理由が見出せる。)
小川
高血圧症を対象にカンデサルタンとアムロジピンとで予後を検討したCASE-Jでは、カンデサルタンが肥満高血圧症患者の全死亡リスクを低下させました。これも、今のお話と関連するのでしょうか。
斎藤
AⅡの前駆物質であるアンジオテンシノーゲンのmRNA量は,肥満の程度と相関します。
つまり,肥満であるほどRA系は冗進していると考えてよいでしょう。
そして,RA系はCVDの発症におけるさまざまなステップで関与しています(図1)。
ですから,CASE-Jの結果は,肥満者がCVDを発症する過程において、RA系が重要な役割を果たしていることを,あらためて認識させる結果であったと思います。

高齢者の重大なCVDリスクは高血圧
小川
高齢者についてはいかがでしょう。
木村
心筋梗塞発症後48時間以内に登録したJACS研究の約3,000例のデータ
ベースから,心筋梗塞患者の背景を調べると,糖尿病は45-65歳に多く,脂質異常症あるいは喫煙者は,さらに若い人に多いことがわかりました。
一方、高血圧だけは、男女とも加齢とともに増加します(図2)。
OASIS Studyでも同様の結果です。
つまり、高齢者では高血圧がCVDのリスクとしてきわめて重要かもしれません。

金谷
私も,高齢者のCVDには肥満が少なく,高血圧が多いと感じています。
循環器疾患で一番問題視しているのは,突然死と急'性心筋梗塞,そして心不全の増悪です。
高齢者では左室拡張能が低下していますから,特に心不全,そして発作
性心房細動を含めた心房細動を意識して,高血圧の治療に臨む必要があると思います。
以前は,spasmを考慮してCa拮抗薬を第一選択薬としてきましたが 心房細動や心不全をより重視すべき現代においては、ARBを選択することが多くなっています。
<コメント>
#両者の併用の選択肢もありうるし実際は併用されることが多い。
#この講演のスポンサーはカンデサルタン発売の製薬会社です。
ACEIの選択肢について言及されていないのは仕方がないことかも知れません。ARBとして限定するのではなく、両者の総称としてのRAS系抑制剤という言い回しが適切かも知れません。
ACEIに優位性がもしあるのならば(ARBと同等ないし優位)についても説明していただけるとよかったかなと思います。
高性能ACEI
http://blog.m3.com/reed/20071023/_ACEI)
Hypertension Online Slide
http://www.hypertensiononline.org/slides2/slide01.cfm?q=congestive+heart+failure
(高血圧の主だったトライアルの要点がスライドになって紹介されています。)
カトラン 赤い花瓶の赤い花
http://page12.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p91400438
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PCIかCABGか?
これはPCIが行われるようになってから繰り返し議論されるテーマです。
個々の症例によって違うといってしまえばそれまでですが、循環器内科医と心臓外科医。
双方の分野では各々技術やデバイスが日進月歩(OPCABやDESなど)で進歩しています。
昔と違って左主幹部(LMT)病変でも迅速な再灌流を目的にPCIを行う時代になっており、CABGの症例はPCI後も含む低左室機能症例などの重症例が多くなる傾向にあります。
したがってCABG症例の方が予後がよくないことも想定されます。
自分の守備範囲だけでなく相手の実力も常に把握し直しておくことが必要と思われます。
きょうは総集編的な論文を取り上げました。
Systematic Review:
The Comparative Effectiveness of Percutaneous Coronary Interventions and Coronary Artery Bypass Graft Surgery
全文はこのサイトでご覧下いただけると幸甚です。
http://www.annals.org/cgi/content/full/0000605-200711200-00185v1
以下は主立った箇所の紹介です。
Data Synthesis:
We identified 23 RCTs in which 5019 patients were randomly assigned to PCI and 4944 patients were randomly assigned to CABG.
23のRCTについて検討(PCI 5019例、CABG 4944例)。
The difference in survival after PCI or CABG was less than 1% over 10 years of follow-up.
10年間の観察で両者間に生存率の差はほとんど変わりなかった。
Survival did not differ between PCI and CABG for patients with diabetes in the 6 trials that reported on this subgroup.
糖尿病合併患者での生存率は両者間(PCI と CABG)で差はなかった。
Procedural strokes were more common after CABG than after PCI (1.2% vs. 0.6%; risk difference, 0.6%; P = 0.002).
CABG後に脳卒中の発生が多かった。
Angina relief was greater after CABG than after PCI, with risk differences ranging from 5% to 8% at 1 to 5 years (P < 0.001).
狭心症症状の改善に関してはCABGの方がPCIより有効であった。
The absolute rates of angina relief at 5 years were 79% after PCI and 84% after CABG.
5年後での狭心症改善率はPCIで79%、CABGで84%であった。
Repeated revascularization was more common after PCI than after CABG (risk difference, 24% at 1 year and 33% at 5 years; P < 0.001); the absolute rates at 5 years were 46.1% after balloon angioplasty, 40.1% after PCI with stents, and 9.8% after CABG.
再度の血行再建はCABGに比較しPCIに多かった。
In the observational studies, the CABG–PCI hazard ratio for death favored PCI among patients with the least severe disease and CABG among those with the most severe disease.
軽症例ではPCI、重症例ではCABGが救命に有効であった。
Conclusion:
Compared with PCI, CABG was more effective in relieving angina and led to fewer repeated revascularizations but had a higher risk for procedural stroke.
CABGはPCIに比較して狭心症症状の緩解により有効でしかも再度の血行再建術が少なかった。しかし脳卒中の発生率が多かった。
Survival to 10 years was similar for both procedures.
10年後での生存率は両者で差はなかった。
略
Recent safety concerns about drug-eluting stents emphasize the need for extended follow-up and trials large enough to detect clinically meaningful differences in outcomes.
安全性の高いDESの登場によって長期間にわたる臨床的転帰についての試験が待たれる。

ポール・アイズピリ カンヌのテラス リトグラフ
http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m35255150
<コメント> この論文の主旨がCABG群で脳卒中の合併が多かったという結論であればPCI群に軍配があがってしまいます。CABG群の方が低心拍出症例などで脳塞栓が多かったとかいうバイアスがかかっているとすれば問題です。深く論文を読み込む必要がありそうです。
読んでいただいてありがとうございました。
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昨日に続きRA系阻害薬です。
2日連続で恐縮です。
同じく
NIKKEI MEDICAL 2007.10の記事の紹介です。
シンポジウム
「RA系阻害薬を再考する2007」(東京)2007.8
演題名
史上最大のメタ解析から学ぶRA系阻害薬の臓器保護
〜RA系阻害薬の降圧と独立した効果の検証〜
演者 Bruce Neal先生
2007年5月に公表されたBPLTTC(Blood Pressure Lowering Tretment Trialists' Collaboration)によるメタ回帰分析の最新データの紹介です。
<まずBPLTTCとは>
WHOとISHの協力により1995年に開始されたプロジェクトで、降圧治験のメタ解析を次々に行い、世界的にも高い信頼を得ている。
その解析手法には2つの大きな特徴がある。
1つは解析対象となる試験の基準があらかじめ定められている「プロスペクティブ研究」である点、もう1つは対象となる臨床試験の「生データ」を用いて解析を行うという点で、これらによりメタ解析によって生じるバイアスを最小限におさえることができる。
Blood Pressure Lowering Treatment Trialists’ Collaboration
http://www.thegeorgeinstitute.org/bplttc/
BPLTTC
http://blog.m3.com/reed/20070915/BPLTTC
高い信頼性を誇る解析プロジェクト-BPLTTC
●2003年に発表した「ACE-IとARBの心血管イベント抑制効果」の結果では、ACE-Iはプラセボに比べ死亡を含む全ての心血管イベントを有意に減少させたが、ARBでは死亡と冠動脈イベントにおいてはは有意な低下が認められなかった。
●その結果を受け、ACE-IとARBの心血管イベント抑制効果を本格的に比較検討したのが今回の最新データである。
●解析対象となった試験は、ACE-I群を有する試験が17試験101,626例、ARB群を有する試験が9試験45,212例であった。
ACE-Iのみがもつ降圧とは独立した冠動脈イベント抑制効果

<図 説明>
ACE-I群またはARB群と対照群のSBPの差を横軸、イベント発症のオッズ比を縦軸として、そこに各臨床試験のデータをプロットし、そのプロットからACE-I、ARBの各々について回帰直線を求めることにより、降圧度とリスク低下度の相関、降圧差が0mmHgのときのイベントリスク低下率を算出
●脳卒中イベントについては、回帰直線の傾き、降圧差0mmHgでのイベントリスク低下率のいずれも、ACE-IとARBに有意差はなかった。
●しかし、冠動脈イベントについては両群の間に有意差が認められた。
回帰直線の傾きは、両群の間に有意差が認められなかったものの、降圧差0mmHgでのイベントリスクは、ACE-I群が9%減少したのに対して、ARB群では8%の上昇がみられ、両群間に有意差(p=0.002!!)が示された。
したがってACE-Iは「降圧とは独立した冠動脈イベント抑制効果」を有するといえる。
●Bruce Neal先生のまとめ
ACE-Iは冠動脈イベントに対し、降圧によって得られる抑制効果に加え、プラス9%のリスク低下が期待できる。
一方、ARBには降圧による効果以外は期待できない。
「ARBは咳の出ないACE-I」という捉え方はできない。
冠動脈イベント抑制効果を最大限に得たいのであれば、併用薬のうち1剤はACE-Iにすべきである。
<ディスカッション>
梅村敏先生
●心臓専門医のACE-I使用頻度は高い。
●ACE-IはBK分解抑制によりNOを増加させる。この点が最大のARBとの相違です。
佐藤敦久各先生
●ACE-IはARBに比べ血中PAI-Ⅰ濃度を有意に低下させます。逆に、血中t-PA活性はACE-I服用では上昇を示しますが、ARBでは有意に低下します。これらには、ACE-IによるNO増加作用が大きく関与しているようです。
●ARBがACE-I以上の有用性を明らかにした大規模臨床試験はありません。
心不全を対象としたELITEⅡ、心筋梗塞後患者を対象としたOPTIMALやVALIANT、いずれも一次評価項目は両群間に有意差はありませんでした。
(低性能ACE-Iを使っている点が重要です。最近の高性能ACE-Iを使えばARBに優るデータになっていたものと思われます。)
●高リスク患者には「高性能ACE-I」を優先させるのがEBMです。
<コメント>
2008年に報告予定のONTARGET試験では、ACE-IラミプリルとARBテルミサルタンのガチンコ勝負が行われています。

杉山寧 原画8号「静物」 文化勲章
http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c149741148
ONTARGETプログラムの意義http://www.lifescience.jp/ebm/cms/cms/no.3/interview/interview.htm
「ONTARGET」への患者登録が順調
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp/news/p-release/03_0320_b.html
ONTARGET/TRANSCEND
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002419.html
読んでいただいてありがとうございます。
<追記>
週刊朝日11月2日号(p118〜124)に興味深い記事が掲載されていました。
(以下次号ということなので第二弾もあるようです。)
題して「お役人の超高収入アルバイト」
厚労省管轄の医師の原稿料、講演料が生々しく数字入りで公表されています。
これから講演を聴く際の参考(?)にもなります。
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高性能ACEIの選択とそのエビデンス
ARBはACEIに多い空咳がなく、高薬価ではあるが患者さんへの説明の手間も省けることから処方頻度は急増しています。
皆さんもご存知のように昨今は、「CBBかARBか」とか「CKBにはARB」といった感じでACEIが(わざと?)無視される風潮もあります。
そしてARBに関する研究会や講演会が豪華なホテルで行われ、聴きに行ったわれわれはすっかり洗脳されて(?)家路につきます。
その結果欧米に比較し、ARBがACEIよりはるかに多く使われているわけです。
ARBがACEIにまさるエビデンスがないこともあって、へそ曲がりの私は、「まずはACEI」と患者さんに説明しながらACEI回帰を行っています。
そんな中で目に止まった記事です。
写真で見る限り豪華な会場での講演会ではありましたが。
(NIKKEI MEDICAL 2007.10)
シンポジウム
「RA系阻害薬を再考する2007」(東京)2007.8より。
演題名
高性能ACEIの選択とそのエビデンス
〜ACEIも使い分ける時代〜
演者 佐藤敦久先生
多くのエビデンスから確立されたACEIの心・腎保護作用
●わが国の臨床現場で、ACEIの姿が見えなくなってきた。
●その背景には、クラスエフェクトとしてのACEIの有用性が理解されておらず、さらにACEIは種類が多いため、個々の薬剤の特徴が十分に認識されていないという状況がある。
●ACEIで実証されている第一のクラスエフェクトは心・腎保護作用である。
●近年、軽度の腎機能低下は心血管系イベントの大きなリスクであることが明らかにされたが(心腎連関)、ACEIは腎機能を改善することから、その結果として心血管系イベントが抑制されると考えられる。
大規模臨床試験 MICRO-HOPE(図1)
大規模臨床試験 PREVEND-IT
●ACEIとは異なり、ARBはまだ新しい薬剤であり、心・腎保護のエビデンスがACEIに完全に追いついたとは言えない。
ブラジキニン増加によるACEI独自の効果
●ARBによる冠動脈イベント抑制効果が降圧に依存的であるのに対して、ACEIにはさらに、降圧に非依存的な付加効果(第二のクラスエフェクト)がある。
●つまりACEIは「降圧を超えた冠動脈イベント抑制効果」をもつ。
●さらにいいかえれば、「ACEIは、単に降圧薬という範疇では括れない臓器保護薬としての一面をもつ」
●冠動脈ではATⅡによる収縮反応がほとんど見られない(サルでの検討)。
●ブラジキニン(BK)増加作用を介したACEI独自の冠動脈拡張作用および虚血後の側副血行路形成促進作用が存在する。

ACEIの使い分け 「高性能ACEI」の選択
●臓器保護作用が強力で、降圧作用が持続し、長期服用可能であること。
●いいかえれば、組織親和性が高く、T/P比が長く、空咳が少ないこと。
●空咳は継続服用により消失することが多く、就寝前の服用あるいは利尿剤やCCBとの併用によっても減少する。
●HOPE/HOPETOO試験では、心血管イベントおよび糖尿病の発生抑制において、服用期間が長くなるほどACEI群とプラセボ群との差が拡大した。
<参考>
CAMELOT試験
http://www.cardiovascular.jp/camelot/camelot03.html
Nissen 私はHOPE試験はあまり評価していません。HOPE試験の対象患者は十分に治療されていませんし,現在の基準である≧140/90mmHgに基づくと対象の半数近くが高血圧なのですが,血圧測定も厳密ではありません。24時間自由行動下血圧で確認したところ,実際は文献で発表されたよりも降圧していました。最近,十分な治療によって血圧が良好にコントロールされている冠動脈疾患患者を対象にきちんと実施されたPEACE試験3)の結果が発表されましたが,ACE阻害薬の上乗せ効果は認められませんでした。よって私は冠動脈疾患においてACE阻害薬には特別な効果があるとする仮説は否定されたと思います。そしてPEACE試験の結果は,「冠動脈疾患患者にはACE阻害薬ではなくアムロジピンのような薬剤を選択すべきなのか?」というたいへん刺激的な新しい疑問を提起しました。
大規模試験を正しく評価するために
http://www.lifescience.jp/ebm/wadai/0411/index.html
心不全の病態・診断・治療
www.gik.gr.jp/~skj/lecture/okamoto03.php3
脳卒中・心筋梗塞予防に降圧を超える効果がバルサルタンでは証明でき
なかった
http://www.clinicalnewswire.com/esh2004/trial4.html
冠動脈疾患予防効果におけるACE阻害薬とARBの違い
〜世界規模のメタ解析BPLTTCより〜
http://www.carenet.com/hypertension/tana02/kuwa/index.html
読んでいただいてありがとうございます。
<追記>
コメントをいただきましたがうまく送信できなかったので返事をここに書かせていただきました。
のんきい 様
おはようございます。
以前にもコメントいただきありがとうございました。
私自身「高性能」ACEIという表現は今回初めて聞きました。
ペリンドプリル(コバシル)では、たしか脳出血再発予防のエビデンスが報告されていたと記憶しています。
また余談ですが強力な肝ガン発育抑制効果もあるとのことです。
さて、ご指摘の件ですが動物実験は多いかと思いますがACEI間での直接のきちんとした比較はあまりないかも知れません。
一度調べて近々アップさせていただきます。
またのコメント楽しみにしています。
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抗血小板療法による薬剤溶出性ステント留置後のイベント抑制効果
Clopidogrel use and long-term clinical outcomes after drug-eluting stent implantation
(薬剤溶出性ステント留置後のクロピドグレル使用と長期臨床転帰)
<背景>
DESに関する最新の研究により、現行の抗血小板療法はステント血栓症の予防には効果が十分でない可能性が示唆されている。
<目的>
冠動脈疾患治療のために、DESとBMSを留置された患者におけるクロピドグレル使用と長期臨床転帰の関連を評価する。
<結果>
<コメント>
2つの太字に注目。DESでのクロピドグレル非投与群で成績が悪いのが分かります(実線)。
<結論>
薬剤溶出性ステント術を受けた患者において、クロピドグレルの長期使用は死亡および死亡/心筋梗塞のリスク低下に関連している可能性が示された。
しかし、クロピドグレルの適切な投与期間は大規模な無作為化臨床試験でないと明確にできない。
<解説>
田辺健吾先生(三井記念病院循環器内科医長)
●BMSの場合、アスピリンに加えてチェノピリジン系の抗血小板薬(チクロピジンやクロピドグレル)を投与する2剤抗血小板療法の必須期間は従来1カ月とされてきた。
●現在、日本で使用可能なDESとしてはシロリムス溶出性ステント(Cypher)とパクリタキセル溶出性ステント(TAXUS)がある。
●添付文書上、2剤による抗血小板療法が必要な期間は前者で3カ月、後者で6カ月とされている。
●BMSに比べて長期なのは、ステントに塗布された薬剤が、再狭窄の原因となる血管平滑筋細胞の増殖だけではなく、内皮細胞の増殖も抑制するため、金属表面の再内皮化が遅れ金属が剥き出しとなっている期間が長く血栓性素因が高まっている期間が延長するのではないか、と考えられているためである。
●最近発表されたAHAなどからの勧告では2剤投与は12カ月以上が望ましいとされている(Grines Cl,et al.Circulation.2007;813−818)
●現在チクロピジンにはPCI後の投与の適応があるが、クロピドグレルにはない(脳梗塞後のみの適応)。
●近々わが国でもクロピドグレルの適応が拡大される見込みであり、循環器領域のクロピドグレルに関する論文などの情報収集には務めるべきである。
MMJ3;10:802-803,2007より
<コメント>
務めるべきは関連学会だと思います。http://blog.m3.com/reed/20070903
24時間ホルター血圧計(ABPM)がいまだに保険適応にならないのは、日本高血圧学会の怠慢もあると思います。
MMJ3;10:802-803,2007より
薬剤溶出ステント:最近話題のキーワード:日経メディカル オンライン
https://medical.nikkeibp.co.jp/ACSF1011.action
(後で入力する をクリックして下さい)
アスピリンとクロピドグレル(プラビックス)の比較試験
http://tomochans.exblog.jp/3609211/
[PDF] 薬剤溶出性ステントについて 教えて下さい
http://www.kessen-junkan.com/2005061302/19.pdf
パクリタキセル溶出ステントは急性冠症候群患者に対して安全
かつ有効か?
http://www.natureasia.com/japan/ncp/ncpcardio/pp/0511/1.php
[PDF] クロピドグレルとチクロピジンとの 薬効の違いと安全性について教えて 下さいhttp://www.kessen-junkan.com/2007031501/Q44.pdf
冠動脈再狭窄予防に対するパクリタキセル溶出ステント
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/348/348apr/xf348-16-1537.htm
最新のステント治療術について
http://www.shinshinkai.net/watashitachi/1_8.htm
DESは血栓形成性が高く、長期にわたる2種類の抗血小板療法を要する
http://www.nv-med.com/tct/05/pdf/11.pdf
読んでいただいてありがとうございます。
<追加>
昨日、セララ発売記念シンポジムに出席しました。
有意義な講演会だったと思います。
●原発性アルドステロン症(PA)は意外に多い。高血圧患者の 6~8%を占める。中には正常のカリウム値の場合もある。(西川哲男先生)
● 食塩感受性高血圧とMetsは実は関係がある。
肥満者では減塩による降圧効果が期待できる。
Metsでは微量アルブミン尿の頻度が高い。
(藤田敏郎先生)
アルドステロン受容体拮抗薬 その2 http://blog.m3.com/reed/20071020
TOHP試験(減塩食の長期効果) http://blog.m3.com/reed/20071021/TOHP_
お医者さんはいませんか?
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2007/10/22
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