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急性冠症候群との戦いはプラークとの戦いである、という考え方があります。
現在では急性冠症候群、まず不安定プラークの破綻(脂質に富んだプラーク)あるいはびらん(内皮細胞障害を起こし易いプラーク)が起こり、引き続いて起こる血栓形成によって発症すると考えられています。
破綻を起こしやすいプラークは不安定(易破綻性)プラークと呼ばれて、その狭窄度は必ずしも高度ではなく75%未満の狭窄が7~8割を占める。
臨床上重要なのは、狭窄が軽度のため破綻前の診断が難しいということです。
この不安定プラークはその周辺に活発に活動するT-リンパ球やマクロファージそして平滑筋細胞を持ち、それらから発現する蛋白融解酵素やサイトカイン、増殖因子がプラークの不安定化を修飾しています。
急性冠症候群の予防、最近ではその急性期においても、この炎症性反応を抑えてゆくことが重要になっています。
さて第13回日本血管内治療学会総会での阪市大病理病態学の山本真喜子先生の教育講演「冠動脈と頚動脈の不安定プラーク」を少し紹介させていただきます。テロメアとネオプテリンがキーワードです。
# 血管内皮細胞は障害を受けて細胞分裂する際に染色体の末端のテロメア長が短くなる。
# 動脈硬化が全くない場合でも、加齢によってテロメア長が徐々に短くなることが分かっており、動脈硬化がある部位の方がない部位に比べてテロメア長が短くなっている。
# 冠動脈プラーク内には、慢性・急性の炎症細胞浸潤の存在が分かっている(成立・不安定化にプラーク炎症が関与)。
# 好中球が酸化ストレス増強によって、プラークの不安定化をより亢進させている可能性がある。
# 好中球が多い部位では、酸化ストレスが増強し、内皮細胞を傷害してマクロファージを泡沫化することで、プラークをさらに不安定化させる。
# ネオプテリンは、Tリンパ球によって産生されるインターフェロンにより活性化されたマクロファージに発現する。
# プラーク炎症が強い部位では、ネオプテリンがマクロファージ中に強く発現する。
# ネオプテリンの発現はプラークの不安定化が進展していることを意味している。
# 急性心筋梗塞の梗塞責任病変の特徴は「脂質に富んだプラーク」「拡張性リモデリング」「病変に小さな石灰化パターン」
<参考資料>Japan Medicine 2007.8.31
<コメント>
臨床とはちょっとかけ離れた内容となってしまいました。
しかしテロメアとネオプテリンには個人的に興味が湧きました。
Lancet, Jan. 13, 2007; vol 369: pp 107-114.
Telomere length predicts heart disease risk
「白血球遺伝子のテロメアの長さが冠動脈疾患の
予測因子となる」
不老不死への科学 テロメア
http://genetics.fc2web.com/file/teromea.html
テロメア
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%82%A2&action=edit§ion=1
ネオプテリン
Acute Coronary Syndrome (ACS)
予後のカギ握るプラークの型
http://www.mochida.co.jp/dis/jelis/jlnwepm3.html
J トレンツ リャド版画「ベルヴェデーレの睡蓮
http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s68775837
不安定プラーク診断に成功 心疾患などを予防
久留米大の共同研究グループ
http://kumanichi.com/iryou/kiji/heart/12.html
シンバスタチンが、炎症を抑制し病変を安定させることもPETで突き止めた。
高脂血症薬に抗炎症作用があることは示唆されていたが、確認されたのは初めてという。
共同研究グループは、PETが炎症にも反応することを“逆手”に取って、動脈硬化を起こした患者の頸(けい)動脈を調べた。
2004年1月以降、PET検診センターを受診した約1000人を調べたところ、1割~2割に不安定プラークがあることが分かった。
今泉勉教授(心臓・血管)は「不安定プラークと安定プラークを区別できる意義は大きい。まずカテーテルを使って危険な不安定プラークを取り除いたり、炎症を抑えたりして心疾患や脳の血管障害を予防できる」と指摘している。
<コメント>
結局、不安定プラークは炎症であるーということなんでしょうか。
臨床でPETが気軽に利用できるといいですね。
頚動脈病変の写真が出ていましたが、冠動脈でも不安定プラークが描出できるんでしょうか。
同じような非侵襲的な方法で不安定プラークを検出するための手段として64列CTによる冠動脈検査が注目されています。これなら開業医でも紹介さえすれば可能ですね。
<最後に>
プラークの破綻はなぜ起こるか、引き金は何か?
ここが正直いって現時点で一番知りたいところです。
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