戯れ言たれる侏儒
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JIKEI HEART Study(その2)

戯れ言たれる侏儒 / 2007.09.10 00:10 / 推薦数 : 3

以前「JIKEI  HEART Study」については私見をまじえて書かせていただきました。

 

JIKEI  HEART Study

http://blog.m3.com/reed/20070822 


わが国初の高血圧治療に関するエビデンスとして注目されているこのスタディをもう少し勉強したいと思います。

 

一つの論文を隅から隅までじっくり読むことはよほどでない限りないと思います。

個人的にも昔、博士論文のための研究の際、測定法を追試するため何度も繰り返し方法論を吟味して読んだ記憶があるだけです。

 

今回、この論文を教材としてとりあげたのは、論文をきちんと読むということをこの際一度してみたかったからです。 

もちろん興味深い論文であるということは言うまでもないことですが。 

 

さて、また私見をまじえながら整理してみました。 

 

試験の仮説
高血圧と心血管系疾患を伴う日本人患者において、従来治療へのバルサルタン追加は、心血管系イベントと死亡率を改善する
●試験デザインはPROBE法を採用
   前向き、無作為化、オープン・エンドポイント非開示
●プライマリーエンドポイントは
脳卒中、初発および再発のTIAや心筋梗塞、心不全や狭心症の新規発症および増悪による入院、解離性大動脈瘤、下肢動脈閉塞、透析への移行、血清クレアチニンの2倍化

●両群ともACE阻害薬が30%以上、Ca拮抗薬が60%以上に使用

●治療開始時両群とも139/81mmHgより開始

(世界で実施された大規模臨床試験のなかでも一番低い値からの開始)
●降圧目標値は130/80mmHg
●バルサルタン群131/77mmHg
 従来治療群132/78mmHg
(腎障害を伴う試験を除くと、これまでに世界で行われた高血圧大規模臨床試験で最大の降圧達成)
●両群ともACE阻害薬が30%以上、Ca拮抗薬が60%以上に使用(私見;意外と少ない数字)


VALUEでは試験前に使用されていたCa拮抗剤やベータ遮断剤を中止して2群にふりわけている。
(私見:JIKEI  HEART Studyはバルサルタン追加方式のためきれいなデータになった?いわゆる上乗せ効果?結局多剤併用がよいということか?)

全エンドポイントの治療効果は

有意差あり
一次エンドポイントとしての複合エンドポイント
脳卒中またはTIA
入院を必要とする狭心症の新規発症または増悪
入院を必要とする心不全の新規発症または増悪
解離性大動脈瘤

有意差なし
急性心筋梗塞の新規発症または再発
透析導入、血清クレアチニン値倍化
総死亡
心血管死
(結局、総死亡や心血管死は減少させていない。)

問題点(私見)
●従来治療群(Ca拮抗剤やACE阻害薬の増量・新規使用などによる)のサブ解析がされていない。
(解析中と思われるがCa拮抗剤、ACE阻害薬あるいは両方使用の3群の差を知りたい)
●バルサルタン群にはACE阻害薬がすでに投与されている患者も入っている。
従ってACEIとARBの併用という患者のバイアスがかかっていないか。
 (参考)バルサルタン群とは

    従来治療群にバルサルタンを追加投与する群
●従来治療群でACE阻害薬使用群と非使用群の比較検討は?
●CKD予防としてのARBの観点から腎不全進行抑制ができなかったのは不思議である。

(従来治療群にACE阻害薬が多く使われていて、そのために差が出なかった?)
●腎機能低下例でのサブ解析でACE阻害薬and/orARB群と
非ACE阻害薬and/orARB群で差が出るかも知れない。
  (Solomon SD Circulation114;26:2006)
●患者数がスタートから終了時点で
 バルサルタン群 1541例から368例
 従来治療群   1540例から343例
   に減少している。

この減少数は一般的な数なのか?

(多いのか少ないのか)

減少した患者の追跡調査は終了時点でされているのだろうか。
(追跡不能はバルサルタン群で8例、従来治療群で7例となっている。)


今後サブ解析がどのように行われ、どのような結果が出て、それがどのように解釈されるか。 
いずれにしろ、これからされるであろうサブ解析が待ち遠しいところです。

糟野勝美 油絵6号「アムステルダム~」
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(参考) 

ARBと心筋梗塞発症に関する論争(Circulation誌)
 増加させるという論文  StraussMH 114;838:2006
 増加させないという論文 Tsuyuki RT 114;855,2006
少なくともARBは心筋梗塞を減少させない!?!

  
MOSES試験

(ARBが脳卒中再発予防に有用)

PEACE試験

(左心機能が維持されている安定狭心症に対するACE阻害薬の投与の効果を検討した大規模臨床試験)

 

<参考資料> 

Medical Tribune 2007.6.28の特別企画
「JIKEI  HEART Study わが国初の高血圧介入大規模臨床試験の成果をめぐって」

望月正武先生と藤田敏郎先生との対談形式です。

 

 

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