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皆さんすでにご存知のように、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)が、2007年6月1日付で保険適用されました。
今回の保険適用は、従来、心不全に関してBNPによる病態把握のみ認められていた保険適用が心不全の診断の部分にも適用されたものであり、保険適用区分としては新規保険項目となります。

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【NT-proBNPについて】
ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)は、76個のアミノ酸より構成されるペプチドです。
循環血液量の増加や心室壁へのストレスなど、心負荷の増大により脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体(NT-proBNP)が産生され、これが蛋白分解酵素によりヒト心臓中で生理活性を持つBNPと生理活性を有しないNT-proBNPに分解されて血中に放出されます。
健常人のBNPおよびNT-proBNPの血中濃度は極めて低く、心不全の重症度に応じてそれぞれの血中濃度が上昇しますが、NT-proBNPは変動幅がより大きく、重症度の判断に役立ちます。
また、BNPよりも血清あるいは血漿中において安定性が良好であるため、信頼できる結果に基いた診断に役立つことが期待されます。
【NT-proBNP測定の特長】
(1)NT-proBNPは、血清あるいは血漿での測定が可能で、他の生化学項目・心筋マーカー等と同一採血管にて測定が可能です。また、追加で検査する際も採血する必要がなく患者負担が軽減できます。
(2)NT-proBNPは、検体の保存安定性が良好であることから測定結果の信頼性が高く、冷蔵での検体保管が3日まで可能です。
(3)NT-proBNPは、血中半減期が長いため血中濃度の上昇率が高く、心不全の早期診断や疾患レベルに応じた病態把握・判断が可能です。
【算定における留意事項】
(ア) ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)精密測定は、区分「D008」内分泌学的検査の「13」のヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)精密測定に準じて算定できる。
(イ) ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)精密測定は、心不全の診断または病態把握のために実施した場合に月1回に限り算定する。
(ウ) 1週間以内に、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)精密測定、区分「D008」内分泌学的検査の「13」のヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)精密測定及び同区分「22」のヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(HANP)精密測定のうち2項目以上を併せて実施した場合は、主たるものを1つに限り算定する。
(エ) 本検査を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に本検査の実施日(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)精密測定又はヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(HANP)精密測定を併せて実施した場合は、併せて当該検査の実施日)を記載する。
health.nikkei.co.jp/release/drug/index.cfm?i=2007062005520j5
ファルコ検査案内
www.falco-lab.com/cgi-bin/detail.cgi?f01=6983
新たに保険収載された検査項目 算定における一部付帯条件が変更された項目
uwb01.bml.co.jp/test/PDF/BML2007-15.pdf
NT-proBNPは心不全検査として有用
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/esc2006/200609/501324.html
心不全治療におけるACE阻害薬投与前からの
カルベジロール投与の意義:血漿 NT-proBNP濃度による検討
www.ttmed.com/cardiology/jp/aha/pdf/poster2262.pdf
BNP
www.lifescience.jp/ebm/cardiologyfrontier/no4/theme2.html

米国では随分以前から心不全の評価はNT-proBNPで検討されているようです。彼我の差を実感します。
<コメント>
従来のBNPとはそれぞれの特徴を理解して使い分けるのがいいのかもしれません。
しかし今のところ、BNPがNT-proBNPに優る点がイメージできません。
出入りの検査業者はNT-proBNPは翌日結果報告出来るが、BNPは数日後になると言っていました。
最近、今回の報告のようにピオグリタゾン(商品名 アクトス)による心不全発生が報告されています。
心不全の「診断」の適応をとったNT-proBNPによるチェックはそれらの早期発見に有用と思われます。
未消化な内容です。
コメント、訂正などのご指摘よろしくお願いします。
<追加 2010.9.12>
第79回米国心臓協会学術集会(AHA 2006)
#IMPROVE-CHF
〜NT-proBNP〜 呼吸困難/非代償性急性心不全疑い例の診断・予後予測に有用
N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)は心不全(HF)の増悪,すなわち非代償性急性心不全(ADHF)の生物マーカーである。
IMPROVE-CHF(N-Terminal proB-Type Natriuretic Peptide Improves the Management of Patients with Suspected Acute Decompensated Heart Failure)試験は,救急救命室において呼吸困難が見られ,ADHFが疑われる症例に対するNT-proBNPの使用は,診断・予後予測能を改善し,入院期間を短縮して管理コストの削減に寄与することを示した。
聖ミカエル病院(カナダ・トロント)のGordon Moe氏が報告した。
#患者管理全体が改善
急性心不全(AHF)の診断,リスク層別化,治療法決定において,従来の方法に生物マーカーを導入する戦略が,医療費の抑制や予後の改善をもたらしている。
Moe氏らは,カナダの公衆医療システムにおけるNT-proBNPの有用性を評価する目的でIMPROVE-CHFを実施した。
対象はカナダ国内 7 つの救急救命室で呼吸困難が見られ,AHFが疑われた症例。501例がNT-proBNP値に基づいて治療するNT-proBNP群(247例)あるいは通常治療群(254例)にランダムに割り付けられた。平均年齢71歳,男性52%,安静時呼吸困難55%,NT-proBNP中央値1,299pg/mLで,両群の患者背景に有意差は認められなかった。
最終的にADHFと診断された症例のNT-proBNP中央値は3,717pg/mL,非ADHF例は340pg/mLであった(P<0.0001)。
臨床評価にNT-proBNPを導入することにより,救急救命室におけるHF診断の感度が臨床評価単独に比べ有意に改善された。
救急救命室滞在時間は,通常治療群6.3時間に対しNT-proBNP群5.6時間と有意(P=0.038)に短縮した。
また,院内死亡率および60日後の死亡率は両群間で差はなかったが,60日後の入院率は通常治療群20%に対しNT-proBNP群14%と有意(P=0.044)に低かった。救急救命室滞在時間の短縮,再入院率の低下などにより医療コストが 1 例当たり961ドル(約11万3,000円)削減されたという。
同氏は「公的なヘルスケアシステムにおいて,ADHFの疑いで救急救命室に搬送された患者のケアにNT- proBNP検査を導入することで,診断の迅速化,コスト削減,予後の改善がもたらされた結果,患者管理全体が改善された」とまとめ,「NT- proBNPはルーチン検査とすべきであろう」と締めくくった。
出典 Medical Tribune 2007.1.11
版権 メディカルトリビューン社
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NT-proBNPが2060という数値の場合、どのように評価すべきでしょうか?私は他科ですのでご教示お願いします。
「NT-proBNPが2060という数値の場合、どのように評価すべきでしょうか?」というご質問をいただきましたが、この数値自体はかなり高いです。
それ以上は具体的内容がわからないのでお答えできません。
自覚症状や心エコーの結果などはいかがでしょうか?
「今のところ、BNPがNT-proBNPに優る点がイメージできません。」とのことですが、私は逆にNT-proBNPがBNPに勝るところが見つかりにくいと感じています。
というのは、NT-proBNPは100%腎臓で代謝されるため、あまりにも腎機能の影響を軽度の腎機能低下の時から受けてしまうので心臓の検査としては特異性が低くて使えないという印象があります。その点、BNPは受容体による代謝メカニズムがあるので腎機能にはあまり依存しませんん。
また、両者の相関を見ると、本来は合うはずなのにNT-proBNPの方がはるかに高い値をとってしまうことが多く、しかも患者によって両者の関係がかなり異なることが分かりました。すなわち、相関係数が悪かったのです。そして、その理由が腎機能だけでは説明がつきませんでした。
検査結果が早くわかることは大切なメリットですが、検査として臓器特異性がかなり劣るものはちょっと使い辛いし、患者の誤診につながるものと心配しています。
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