| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | |||
| 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
| 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
| 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
| 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
近々アルドステロン受容体の選択性の高いエプレレノンが発売されます。
きょうはその関連記事の紹介です。
高血圧とアルドステロン受容体拮抗薬
原著: 独協医科大学循環器内科 松岡 博昭先生
治療学 Vol 40、N08 2006 P49~P52
(一部改変)
<はじめに>
原発性アルドステロン症でも明らかなように、アルドステロン分泌の過剰は高血圧をきたす。
一方、本態性高血圧においてアルドステロンが重要な役割を果たしているか否かについては議論のあるところである。アルドステロンには血圧とは独立した心血管系臓器障害の作用のあることが示されており、アルドステロン拮抗薬の心血管系臓器保護作用が注目されてきている。
アルドステロン拮抗薬であるスビロノラクトンは半世紀の歴史をもつが、心不全の治療薬のほかに、降圧薬としても用いられている。
最近では、より選択性の高いアルドステロン拮抗薬であるエプレレノンも登場し、心不全や高血圧の治療に用いられようとしている。
ここでは高血圧とアルドステロンならびに降圧薬としてのアルドステロン拮抗薬について概説を試みる。
<高血圧とアルドステロン>
原発性アルドステロン症はまれな疾患と考えられてきたが、最近では本態性高血圧とされているもののなかにも、かなりの頻度で本症が含まれている可能性も示唆されている。
本態性高血圧では血清アルドステロン値は一般的には正常値を示すので、アルドステロン分泌は本態性高血圧では役割を果たしていないと考えられる。
しかしながら正常血圧者(平均年齢55歳)を対象としたフラミンガム研究の4年間にわたる追跡研究では、血清アルドステロン値を4分位に分けて検討しているが、血清アルドステロン値が正常範囲内にあっても、比較的に高値を示す症例においてはそうでない症例に比べて血圧が上昇したり、高血圧になる頻度の高いことが報告されている。
これらの対象者のなかには潜在的な原発性アルドステロン症が含まれている可能性もあるが、生理学的な正常範囲内とはいえ、血清アルドステロンが相対的に高い症例では腎におけるNaの再吸収に加え、血管内皮機能の障害、アンジオテンシンⅡの作用の増強、中枢神経系への作用などを介して高血圧をきたしてくる可能性も示唆されている。
これらの作用を含めてアルドステロンは、高血圧や心血管系臓器組織の障害をもたらすと考えられている。
<降圧薬としてのアルドステロン拮抗薬>
1 スピロノラクトン
アルドステロン拮抗薬であるスビロノラクトンは以前よりカリウム保持性利尿薬として用いられているが、現在のところ降圧薬としての使用頻度は高くない。
スピロノラクトンが注目を浴びるようになったのは重症心不全患者を対象としたRALES(Randomized Aldactone Evaluation Study)試験において、既存の心不全治療薬にスピロノラクトン(25mg/曰)を追加して死亡率を30%減少させてからである。
以来アルドステロンは食塩の過剰摂取とあいまって、高血圧以外にも血管炎や心血管系の線維化などに深く関与していることが明らかにされてきた。
したがって、アルドステロン拮抗薬は心不全の治療薬として用いられるほか、降圧薬としては原発性アルドステロン症あるいは体液量依存性高血圧を反映すると思われる低レーン性高血圧、老年者高血圧、糖尿病合併高血圧などによい適応になると考えられる。
また、アルドステロンが心血管系臓器組織の障害を促進するということから、臓器障害を伴う高血圧に対してよい適応になると思われる。
さらに、アルドステロン拮抗薬は最近注目されているメタボリックシンドローム(肥満、耐糖能異常、脂質代謝異常)を伴う高血圧にもよい適応になると思われる。
スピロノラクトンは従来、西欧では単剤で降圧薬として用いられていたようであり、米国ではカリウム保持のためにサイアザイド系利尿薬との合剤が開発され、用いられている。
前述のごとく、アルドステロン拮抗薬は多くの高血圧症例に幅広い適応があると思われるが、最近のヨーロッパの高血圧ガイドライン(2003ESH/ESC)およびJNC7では、抗アルドステロン薬は心不全や心筋梗塞後の症例に適応とされているが、主要降圧薬や第一選択薬となっておらず、併用薬として用いられることが多いと考えられる。
わが国の高血圧治療ガイドライン(JSH2004)でもスピロノラクトンは主要降圧薬には位置づけられていない。
併用薬としては治療抵抗性高血圧にスピロノラクトンを追加すると良好な降圧が得られたとの報告もある。
スピロノラクトンの欠点はアルドステロン受容体のみならずアンドロゲンやプロゲステロンの受容体も遮断するので、性機能などへの副作用(男性では約10%に女性化乳房をきたすほか、インポテンツなども認められる。また、女性では生理不順など)がみられることである。
その点、次に述べるエプレレノンによる女性化乳房の発現率は1%以下とされている。
2 エプレレノン
近年、スピロノラクトンよりもアルドステロン受容体の選択性の高いエプレレノンが開発され、臨床応用されるようになってきた。
エプレレノンのアンドロゲンやプロゲステロン受容体への親和性はスビロノラクトンの1/100~1/1000とされている。
エプレレノンにもスピロノラクトン同様、心臓の保護作用のあることが臨床的に示されている。
すなわち、急性心筋梗塞症例で心機能が低下している症例に対して既存の治療薬に加えてエプレレノンを追加することにより予後が改善するという成績を示したEPHESUS(Eplerenone Post-Acute Myocardial Infarction Heart Failure Efficacy and Survival study)試験が報告されている。
降圧薬としてのエプレレノンは軽中等症の高血圧症例に対して、8週間の投与で座位血圧および24時間血圧ともに良好な降圧作用を示す。
また、本薬はACE阻害薬やCa拮抗薬と同等の降圧作用を示し、黒人や老年者高血圧で良好な降圧作用を示すことが報告されている。
さらに、エプレレノンは心臓の拡張能を改善したり、糖尿病性腎症においては蛋白尿を減少させることが示されている。
本態性高血圧患者193例を対象としたわが国での無作為二重盲検プラセボ対照試験においては、大半の症例が低レニン性高血圧の症例であったが、8週間のエプレレノン(1日50mg、100mg、200mgの3用量)の投与で重篤な副作用はなく、用量依存性に良好な降圧が得られている。
3 併用薬としてのアルドステロン拮抗薬
前述のごとくアルドステロン拮抗薬にはACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)などのレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬と同様に、心臓、腎臓、血管などの保護作用があることが報告されている
一方、ACE阻害薬やARBでRA系を遮断すると、初期には血漿アルドステロン濃度(PAC)は低下するが、長期的にはPACが正常化するというエスケープ(あるいはブレークスルー)現象が報告されている。したがって、臓器保護という点ではRA系抑制薬とアルドステロン拮抗薬の併用は合理的であると思われる(併用による保護作用はRALES試験やEPHESUS試験でも示されている)。
一方、高血圧の治療という点ではアルドステロン拮抗薬をどの降圧薬と併用すればよいのかということについては十分なデータがない。
本薬はカリウム保持性に働くことから、サイアザイド系利尿薬と併用しやすい。
RA系抑制薬との併用では高カリウム血症に注意する必要がある。
RA系抑制薬はどちらかといえば正~高レニン性高血圧に対して良好な降圧効果が得られるのに対し、アルドステロン拮抗薬は低レニン性高血圧に対して良好な降圧を示すことが期待されるため、適切な組み合わせではないかと考えられる。
事実、原発性アルドステロン症や本態性高血圧症例でサイアザイド系利尿薬やRA系抑制薬で治療しても治療抵抗性を示す症例に、少量のスピロノラクトンを追加すると良好な降圧が得られたと報告されている。
併用療法に関してわが国では十分なデータがないが、臨床的にエプレレノンはRA系抑制薬Ca拮抗薬、β遮断薬などとの併用でも効果的であり、耐薬性に優れるとされている。

ギュスタヴ・ボリン 油彩『南仏』
http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x19908612
(注)
エプレレノンは商品名「セララ錠25mg、50mg、100mg(ファイザー)として、2007年7月31日に製造販売承認を取得、9月頃薬価基準収載の予定です。
本邦で承認された効能重効果、用法・用量は以下の通りになります。
効能・効果 : 高血圧症
用法・用量 : 通常、成人にはエプレレノンとして1日1 回50mgから投与を開始し、効果不十分の場合は100mgまで増量することができる。
新しい展開を迎えたアルドステロンの臨床応用
http://www.lifescience.co.jp/cr/zadankai/0608/4.htm
(月刊「治療学」の座談会。わかりやすいです。)
アルドステロン研究の50年
http://www.lifescience.jp/ebm/medhist/0608/0608.htm
(研究の歴史が書かれています。1960年にアルダクトンが市場に登場。実は凄く古い薬剤なんです。)
高血圧治療薬の基礎:開発中の高血圧治療薬
http://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/127/5/127_381/_article/-char/ja
エプレレノン:日本初の選択的アルドステロン阻害薬
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200708/503976.html
レニンアンジオテンシン系阻害薬をめぐる大規模試験の変遷
http://www.lifescience.jp/ebm/medhist/0601/0601.htm
わが国で降圧薬はどうつかうべきか
http://www.lifescience.co.jp/cr/zadankai/0402/4.htm
(「治療学」vol 38 no2 収載の座談会)
固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)